問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
ノーネーム一行は店内を通らず中庭から白夜叉の座敷に招かれた
白夜叉は上座に立てられた屏風の前に座り、
カン! と煙管の灰を落とし、
「大丈夫か、小僧。」
「……えぇ、なんとか……」
大助はそう答えるが見た目ではボロボロ
両隣に座っている女性陣は、
「誤解を生んだ大助君が悪いわ」
「その通り。」
「…………すみません…」
実際は勘違いをした二人なのだが認めるわけもなく
そんなことをいったらまた恐怖が始まると
もう抵抗しないことにした大助だった
「それでは本題に入る前にまず、一つ問いたい。
゙フォレス・ガロ゙の一件以降、
あんしらが魔王に関するトラブルを
引き受けるとの噂があるそうだが………真か?」
「ああ、その話?
それなら本当よ」
飛鳥が正座したまま首肯する。
白夜叉が小さく頷くと、視線をジンに移す。
「ジンよ。
それはコミュニティのトップとしての方針か?」
「はい。
名と旗印を奪われたコミュニティの存在を手早く広めるには、
これが一番いい方法だと思いました。」
ジンの返答に、白夜叉は鋭い視線で返す。
「リスクは承知の上なのだな?
そのような噂は、同時に魔王を引きつけることにもなるぞ」
「覚悟の上です。
それに仇の魔王からシンボルを取り戻そうにも、
今の組織力では上層にいけません。
決闘に出向く事が出来ないなら、
誘きだして迎え撃つしかありません」
「無関係な魔王と敵対するやもしれん。それでもか?」
上座から前傾に身を乗り出し、更に切り込む白夜叉
その問いに、傍で控えていた十六夜が不適な笑みで答える
「それこそ望むところだ。
倒した魔王を隷属させ、より強力な魔王に挑む
゙打倒魔王゙を掲げたコミュニティ――どうだ?
修羅神仏の集う箱庭の世界でも、
こんなにカッコいいコミュニティは他には無いだろう?」
「…………ふむ」
茶化して笑う十六夜だが、その瞳は相も変わらず笑っていない
白夜叉は二人の言い分を噛み砕く様に瞳を閉じる。
しばし瞑想したあと、呆れた笑みを唇に浮かべた。
「そこまで考えてのことならば良い。
さて、゙打倒魔王゙を掲げたコミュニティに、
東のフロアマスターから正式な頼みたいことがある。
此度の共同祭典についてだ。よろしいかな、ジン殿?」
「は、はい!
慎んで承ります!」
……………………………………………
「サ、サンドラが!?
え、ちょ、ちょっと待ってください!
彼女はまだ十一歳ですよ!?」
その後、北のフロアマスターの一角が世代交代したこと
それがノーネームと親交があっだサラマンドラ゙だったこと
トドメに頭首はジンと同じ年のサンドラが火龍を襲名した
「あら、ジン君だって十一歳で私達のリーダーじゃない」
「そ、それはそうですけど……! いえ、だけど、」
「なんだ、まさか御チビの恋人か?」
「凄いなジン…僕なんてまだ作ったことないのに……」
「ち、違っ、違います!
失礼な事を言うのは止めてください!!」
ヤハハと茶化す十六夜と飛鳥
軽くショックを受ける大助
怒鳴り返すジン
全く関心のない耀は
「それで?
私達に何をしてほしいの?」
「そう急かすな。
実は今回の誕生祭だが、北の次代マスターである
サンドラの御披露目も兼ねておる。
しかしその幼さゆえ、東のマスターである
私に共同の主催者を依頼してきたのだ。」
「あら、それはおかしな話ね。
北には他にもマスター達が居るのでしょう?
ならそのコミュニティにお願いして共同主催すればいい話じゃない?」
「…………うむ。
まあ、そうなのだがの」
急に歯切れが悪くなる白夜叉に
十六夜が隣から助け船をだした
「幼い権力者をよく思わない組織がある。
―――とか、在り来たりにそんなところだろ?」
「ん――…………ま、そんなところだ。」
「………そう。
神仏の集う箱庭の長達でも、思考回路は人間並みなのね」
「うう、手厳しい。だが全くもってその通りだ。
実は東のマスターである私に共同祭典の話を
持ちかけてきたのも様々な事情があってのことなのだ」
「大変なんだなマスターってのも…」
すると耀がハッと気がついたような仕草で
「ちょっと待って。
その話、まだ長くなる。」
「ん、んん、そうだな。
短くともあと一時間程度はかかるかの?」
「それはまずいかも……
黒ウサギ達に追い付かれる」
ハッと他の者たちも気づく
今は黒ウサギ達と追いかけっこの最中なのだ
気づいたジンは咄嗟に立ち上がり、
「し、白夜叉様! どうかこのまま、」
「ジン君、黙りなさい!!」
飛鳥の支配する力で黙らせられたジン
すかさず十六夜が
「白夜叉! 今すぐ北側に向かってくれ!」
「む、むぅ?
別に構わんが、なにか急用か?
というか、内容聞かず受諾してよいのか?」
「構わねえから早く! 事情は追々話すし何より――
――その方が面白い! 俺が保証する!」
十六夜の言い分に白夜叉は瞳を丸くし、
呵々と哄笑を上げて頷いた
「そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!
娯楽こそ我々神仏の生きる糧なのだからな。
ジンには悪いが、面白いならば仕方ないのぅ?」
白夜叉は両手を前に出し、パンパンと柏手を打つ
「―――うむ。これでよし。
これで御望み通り、北側に着いたぞ」
「「「「――――…………は?」」」」
………………………………
四人は支店から外に飛び出してみると熱風が頬を撫ぜる。
まず目に飛び込んできたのは北と東を区切る赤壁。
数多の巨大なランプが炎を灯し、
挙句キャンドルが二足歩行で街を闊歩しているのが見える。
炎とガラス。 常に黄昏色に染まる街。
東とはまるで違う文化様式に大いに心躍らせた。
中でも特に瞳を輝かせた飛鳥が子供のように声を弾ませた。
「今すぐ降りましょう。
あのガラスの歩廊にいってみたいわ!
いいでしょう白夜叉?」
「ああ、構わんよ。
続きは夜にでもしよう。
暇があればこのギフトゲームにも参加していけ」
ゴソゴソと着物の袖から取り出したゲームのチラシ
四人がチラシを覗き込むと、
「見ィつけた――――のですよおおおおおおおおおおおおおお!」