問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
「ふ、ふふ、フフフフ……
……ようぉぉぉやく見つけたのですよぉ?
お覚悟は出来てますよねぇ …………!!」
淡い緋色の髪を戦慄かせ、怒りのオーラを振りまく黒ウサギ
まさかこんなにも早く追い付かれるとは思っていなかった
危機感を覚えた十六夜はとっさに
「逃げるぞッ!!」
「逃がすかぁッ!!」
十六夜は近くに居た飛鳥を抱え展望台から飛び降りる。
それに続くように耀も飛び出すが、数手遅かった。
黒ウサギも同時に飛び出し耀を捕まえたのだ
「わ、わわ……!」
「……耀さん、捕まえたのです!
もう逃がしません!!!」
どこかぶっ壊れ気味に笑う黒ウサギ
耀を引き寄せ、胸の中で強くだきしめ
黒ウサギは耀の耳元で囁く
「後デタァップリト御説教デスカラネェ?
フフフ……オカクゴシテイテクダサイネ♪」
「りょ、了解」
反論を許さない片言になっていく黒ウサギに
耀は怯えながら頷く
今日の黒ウサギは普段よりバイオレンスだと、
野生の直感が見抜いたのだろう
着地した黒ウサギは、
白夜叉に向けて思いっきり耀を投げた。
「きゃ!」
「グハァッ!?お、おいコラ黒ウサギ!
最近おんしは些か礼儀を欠いておらんか!?
これでも私は東のフロアマスター─────」
「白夜叉様、耀サンヲ御願イシます!
黒ウサギは残りの御三方を捕まえに参りますので!!」
「ぬっ…………そ、そうか。
よ、よく分からぬが頑張るのだぞ」
「はい!」
黒ウサギは十六夜を追いかけるために大きく跳躍した
それを見送る白夜叉と耀だが、そこでフッと気づいた
「そういえば白夜叉。
大助はどこに逃げたの?」
「うむ。そういえば…音もなく消えよったな
さすが奴のギフトを所持しているだけのことはある」
それは耀も知っている
あの出来事があったあと大助から話を聞いた
所持しているギフトは本人も物ではなく
精霊クロノスのギフトだということ
そしてそのギフトにより随分と苦しめられたこと
だけど今はそのギフトに助けれていること
「なんじゃ、小僧となにかあったか?」
「別になにも」
「ふふふ、それならいいが。
それはそうと、お主に参加してもらいたい
ギフトゲームがあるのだが……」
「ギフトゲーム?」
…………………………………
十六夜と飛鳥は煉瓦とカットガラスで
彩られた赤窓の歩廊を歩いていた
そこではテクタイト結晶で彫像された
初代頭首゙星海龍王゙のモニュメント
さらに二足歩行のキャンドルスタンドに浮かぶランタン
飛鳥の世界ではハロウィンは珍しく素敵な催しも
それは憧れといえるものだろう
息苦しい生活とは反対であるものに
そこで十六夜が提案したのは
ノーネームによる「俺達のハロウィン」を主催すること
農園を復活させてノーネームとして
初めて主催者をするギフトゲームをハロウィンにする
そうすればコミュニティも大助かりであり
なにより白夜叉に対して借りが返せる
ハロウィンは元々、太陽に一年の感謝をする収穫祭
太陽に感謝するならお礼をするには打ってつけ
白夜叉には十六夜達だけではなく
黒ウサギ達も随分と世話になっているらしい
ともすれば、彼女がいなければ飛鳥達は
箱庭に来ることだってなかったかもしれない
彼女達には感謝する理由が山ほどある。
飛鳥は納得したように微笑んだ。
「そうね。何時かお礼するために、
白夜叉を招くのに相応しい主催者を目指しましょう」
「とはいえ、今はまだ無理だけどな。
ますは色々なギフトゲームに勝たないと」
「もちろん。こんな大きなお祭りなんだもの。
凄いギフトが貰えるゲームがあるはずよ」
「YES! 祭典では創作系のギフトを競い合う
二大ギフトゲームが進行中なのですよ!」
「創作系?
何か作るの?」
「はいな。
耀さんが持づ生命の目録゙のように
人造・霊造・神造・星造を問わず、
様々な創作系ギフトを持つ者達が参加できる
ギフトゲームなのでごさいます♪」
「へえ?
よく分からんが、凄いギフトが貰えるのか?」
「それはもう!
新たにフロアマスターとなったサンドラ様から
直々に恩恵を与えられるとなれば、
よっぽどのものでございますよ!」
「そう。
なら春日部さんに連絡して出場してもらおうかな。
伝言お願いね、黒ウサギ」
「YES! 任されたのですよ♪
それではそれでは御二人様!
今から向かうので黒ウサギニオトナシク捕マッテクレマスヨネ?」
壮絶な笑顔で問う黒ウサギ。二人は即答した。
「「断る!」」
瞬間、十六夜が歩廊にクレーターをつくる脚力でスタートダッシュ
飛鳥は反対方向に逃げていくが、
空から舞い降りた金髪メイド服の吸血鬼、
レティシアに飛び付かれて捕まる
「きゃ!」
「フフ。観念してもらうぞ飛鳥」
黒い翼を畳み、微笑しながらブラブラと抱き付くレティシア
仕方なさそうに降参して両手を上げる飛鳥。
最後に一声、十六夜に向かって叫んだ
「十六夜君! 貴方が最後の一人よ!
簡単に捕まったら許さないわ!」
「了解、任せとけお嬢様!」
ヤハハハハハハ!
と叫びながら赤窓の歩廊を走り抜ける。
しかし黒ウサギも負けてはいない
箱庭の貴族と呼び称される彼女の身体能力は
並の神仏ですらもて余すほどなのだ
「逃がさないのですッ!!
まだ大助さんを見つけていないのでおとなしく」
「誰が捕まるか!!」
「もう! 今日という今日は堪忍袋が爆発しました!
捕まえたら黒ウサギの素敵なお説教を
長々と聞かせて差し上げるのですよ―ッ!!」
「ハッ、そりゃ素敵な申し出だ!
帝釈天の眷属のご説法、聞かせたいなら捕まえてみろ!」
二人は建造物の尖塔の頭部に躍り出る
下にはギャラリーが集まり
その追いかけっこの結末をみようとしていた
これでは簡単に捕まると結末は許されない
と、いうことで十六夜が提案してきたのは
「そこで提案なんだが、俺と黒ウサギだけで、
短期間の別ゲームをしないか?
そうだなあ。謝罪代わりにそっちのチップは無しでいい
こっちのチップは――ん、何がほしい?
一回分の命令権とか?」
「は―――――!?
そ………それは、駄目でございますよ、十六夜さん
十六夜さんの謝意は伝わりました。
ま、まあ、黒ウサギの頭が少々固かったことも認めます。
ですのでギフトゲームをするなら……
………それはやはり、対等の条件でなければ、と」
これには十六夜も瞳を丸くして驚いた
つまり黒ウサギも、一回分の首輪を
十六夜に賭けるというのだ
「ギフトゲームは対等の条件でのみ行われるべきです。
ペナルティーのあるゲームで得たギフトなんて貰っても
達成感は得られません。なのでやるならば正々堂々!
そして真正面から、黒ウサギは十六夜さんにお説教をするのです!」
「…………ハッ。
黒ウサギのくせに生意気言いやがって」
互いの自由を賭けた、対等の勝負。
それを望まれては全力で挑まざるを得ない
問題児と黒ウサギの追いかけっこは、
最終ラウンドを迎えようとしていた。