問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
『ギフトゲーム名゙月の兎と十六夜の月゙
・ルール説明
・ゲーム開始のコールはコイントス。
・参加者がもう一人の参加者を、゙手のひらで゙捕まえたら決着。
・敗者は勝者の命令を一度だけ強制される。
宣誓 上記のルールに則り、゙黒ウサギ゙゙十六夜゙の
両名はギフトゲームを行います。』
二人が宣誓を交わすと、羊皮紙が一枚ずつ手元に舞い落ちる
「これはコミュニティ間の決闘ではなく、
個人の間で取引される゙契約書類゙です。
決着と同時に勝者の紙は命令権へと変化し、
敗者の紙は燃える仕組みです。」
「へぇ………?」
物珍しそうに羊皮紙を読み直し、ヤハハと笑う十六夜。
「いいぜ。コインが地面に着くと同時に開始だな?」
「YES。トスは譲るのですよ」
「………ふぅん?
随分と余裕そうじゃねえか」
「YES。
このゲームは、どう転んでも黒ウサギに有利でございますから」
そう黒ウサギには高性能なウサ耳がある
審判としてギフトゲームの情報を収集できるなら
プレイヤー時にも使用可能なら脅威になる
だが十六夜は臆することなくトスし、
開始のタイミングに全神経を研ぎ澄ます
――――……キン!
という金属音が響くと同時に――二人の姿はギャラリーから消え、
スタートダッシュの爆発音だけがその場に残った
黒ウサギは開始と同時に、全力で後方に跳躍したのだ
そして十六夜もそれが分かっていたように跳躍する
常に相手の位置や言動を把握でき、
速度がほぼ互角なら十六夜に勝ち目はない
十六夜がこのゲームに勝者するためには
゙黒ウサギを見失わない゙事だった。
黒ウサギは右手に見える尖塔群の中心、
巨大な時計塔に跳躍し、十六夜もそれを追う
ギャラリーは巨大な時計塔を駆け上がる
黒ウサギは瞬く間に時計塔を登りきり、
尖塔の頂上にまで辿り着く
猛追する十六夜は、不満そうに叫び声を上げた
「オイコラ黒ウサギ!
スカートの中が見えそうで見えねえぞ!
どういうことだ!?」
「あやや、怒るところはそこなのですか?」
黒ウサギはスカートの裾を押さえながら、
下から追ってくる十六夜に笑いかける。
実はこのガーターとミニスカート、
視覚を惑わす魔符だったりするのだ。
「フフン。
この衣装は白夜叉の好意で、
絶対に見えそうで見えないという
鉄壁ミニスカートなギフトを与えられているのでございますよ」
「はぁ? あの野郎、チラリストかよ。 クソが。
こうなったらスカートに頭を突っ込むしか」
「黙らっしゃいこのお馬鹿様!!!」
これ以上なく速攻で断じる黒ウサギ。
この男はヤルと言えば本当にやるから恐ろしい。
しかし黒ウサギは十六夜に向けてペロ、と
舌を出して悪戯っぽく笑った黒ウサギは、
右手を掲げて宣言する。
「もっとも、そんなお馬鹿なことを言えるのはそこまでです」
「何?」
「黒ウサギの勝利なのですよ。十六夜さん」
突然の勝利宣言。
黒ウサギは身体を小さく縮こませ、全身の力で超跳躍
瞳下の歩廊めがけて突撃した黒ウサギを前に
十六夜は自分の失態に気がつく
このままだと黒ウサギを見失う
地道に追えばその間に黒ウサギは身を隠し
10m手前や前方に飛んだとしても
その程度の距離ならタイミングを合わせられ
逆にこっちが捕まってしまう
だけど遠すぎても見失う
着地地点を模索検索思考連想、
瞬時に連続計算し――――
―――――そんな事は、つまらないと切り捨てた。
「………中々やるじゃねえか、黒ウサギ。
シンプルだが、お前のゲームメイクは面白いぞ
だが、此処からは俺のゲームメイクだ。
大胆素敵にほえづら掻きやがれ黒ウサギ……!!」
十六夜は身を翻し、力を溜め込む。
針金の様なしなやかさで全身を撓らせ、
足場の時計塔を――全力で蹴り飛ばした。
「…………は? え、ちょ、
ちょっと待ちなさいお馬鹿様ああああああ!?」
巨大な時計塔の頭角は無残にも瓦礫かし、
第三宇宙速度で迫る散弾の雨となって歩廊を襲う
幸い人的被害はなさそうだが
赤窓の歩廊はさながら爆撃を受けたように残骸が舞い散る
堪らず足を止めて残骸を避ける黒ウサギ
その瓦礫の陰から、ヤハハという笑い声が響く
「っ、十六夜さん…………!」
「射程距離だぜ、黒ウサギ」
舞い落ちる瓦礫を蹴り飛ばし十六夜が襲いかかる
しかし黒ウサギも負けずに応戦し
千手の攻防、互いが互いの攻守に全霊を尽くす
しかしそんな二人に倒壊した建物が襲う
それが二人の勝負の分かれ目
二人は同時に拳を振り上げて倒壊した建物を吹き飛ばす
その一撃に割いた時間で、守の一手が遅れる
掴みかかった2人の手は―――
「「あっ、」」
バシッ。と、全く同時にお互いの腕を掴み取る
二人の゙契約書類゙が発光し、勝敗を定める
『『勝敗結果:引き分け。
゙契約書類゙は以降、命令権として使用可能です』』
「………は?」
「あ―――………コレは、アレです。
引き分けなので、互いに命令権を一つ得たみたいです」
「そんな事はどうでもいい。
腹の底からどうでもいい。
俺が気に入らないのば引き分げの結果だけだ。
どう見ても俺が速かっただろ」
「やや、そんな事は無いですよ?
箱庭の判定は絶対なのです」
「はぁ?
なんだそれどこの神様が決めた判定だよふざけるな
今すぐ速攻で誤審を問いただしてやるから
俺の前に連れてきやがれ糞ウサギ―――!」
「そこま」
「そんな事いってる場合かお前らああああああ!!!!!」
その瞬間、厳しい声音が響いたかと思いきや
怒り満ちたそれも聞いたことのある声が
同時に二人の頭に拳骨が降り注いだ
「ふぎゃ!!
だ、大助さん!!!? 一体どこにいっ」
「そんな事はどうでもいいだろうが黒ウサギ。
この状況はなんだ、いってみろオイコラ」
その普段ではとても想像できない
そこには完全にぶちギレている大助がいた
「これは十六夜さんとギフトゲームをしまして…
そ、それにこの惨劇は十六夜さんがあんな無茶を」
「その前にこの問題児であり十六夜が
「おとなしくギフトゲームを行うはずがない」と
いうことを黒ウサギ、お前は考えて行動したのか!!!」
それを言われると何も言い返せない。
今までの行動から考えれば分かっていたはず
なのに十六夜の提案に乗ってしまい
「く、黒ウサギが悪かったのです……」
「誰が黒ウサギ一人だと言った??
お前もだよ、十六夜!! 何考えてるんだ!!?
招かれた北の地でこんな騒ぎを起こしやがって
ノーネームの名前を売り込むどころか
逆に傷をつけるつもりかお前は!!!!!」
十六夜のことだからそんな事は分かってるはず
だけど言わずにはいられない
今度ばかりは許すわけにはいかなかった
十六夜の返答を聞く前に先ほど何かを言いかけたものが
「何を勝手に」
「黙っていろ!!人のコミュニティに口出しするな!!!!」
周りにいるのはその北の地
北側の゙階層支配者゙――゙サラマンドラ゙のコミュニティ
蜥蜴の鱗を肌に持つ集団が三人を取り囲んでいるが
そんな事お構いなしにお説教タイム
黒ウサギがたっぷりするはずだったお説教は
大助が長々と言い終わるまで続いたとかいないとか……