問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
「随分と派手にやったようじゃの、おんしら」
「ああ。ご要望通り盛り上げてやったぜ」
「胸を張って言わないでお馬鹿様!!!」
「どうしてこんなことに……」
黒ウサギは十六夜の頭に向かってハリセンが唸る
その後ろでジンが痛い頭を抱えていた
白夜叉は必死に笑いを噛み殺し、
サンドラの側近らしき軍服姿の鋭い目付きで前に出て、
十六夜達を高圧的に見下す。
「ふん!
゙ノーネーム゙の分際で我々のゲームに騒ぎを持ち込むとはな!
相応の厳罰は覚悟しているか!?」
「これマンドラ。
それを決めるのはおんしらの頭首、サンドラであろ?」
白夜叉がマンドラと呼ばれた男を窘める
サンドラは謁見の間の上座にある豪奢な玉座から立ち上がると、
黒ウサギと十六夜に声を掛けた
「゙箱庭の貴族゙とその盟友の方。
此度ば火龍誕生祭゙に足を運んでいただきありがとうございます。
負傷者は奇跡的に無かったようですし、
貴方達が破壊した建造物の一件ですが
修復も完全なようですし、この件に関して私からは不問とさせて頂きます」
それに大してマンドラは大助を視線で殺せるように睨み付け
聞こえるようにチッ、舌打ちをする
「ほ、本当にご迷惑をかけてすみませんでした。」
「いいえ、それはもういいです。
それよりこのような場所からすみません
まさか時の精霊、クロノスの後継者にお会いになれるとは」
「そんな事は構いませんが、
というかおい白夜叉なにいっているんだ、オイコラ。」
「いやいや、何も間違ってはおらぬだろう
クロノスのギフトを三つも所有しておる時点で
後継者に相応しいと思うのだが」
くくくっと不適に笑う白夜叉
あの野郎…一体何を考えてるんだ…
大体クロノスの後継者って、
「とにかく後継者になるつもりはありません。」
「よいよい、儂も今すぐだとは思っておらん。
だがクロノスがいないことが、後継者がどれ程必要か
お主にも後に分かってくるだろう」
それがどういうことか聞こうと思ったが
後継者にならないと言ったあとにそんな事は聞けない
後々分かってくると言っていたことだし
とにかくいまは目の前の、ノーネームの復興を頑張らないと
「さて、いい機会だから昼の続きを話しておこうかの」
白夜叉が連れの者達に目配せをする。
サンドラも同士を下がらせ、側近のマンドラだけが残る
そしてこの場に残ったのは彼らと
十六夜、黒ウサギ、ジン、大助だけが残った
サンドラは人がいなくなると、硬い表情と口調を崩し、
玉座から飛び出してジンに駆け寄り、
少女っぽく愛らしい笑顔を向けた
「ジン、久しぶり!
コミュニティが襲われたと聞いて随分と心配していた。」
「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」
同じ笑顔で接するジン。
サンドラは鈴の音の様な声で一層はにかんで笑う。
「ふふ、当然。
魔王に襲われたと聞いて、
本当はすぐに会いに行きたかったんだ。
けどお父様の急病や継承式のことでずっと会いに行けなくて」
「それは仕方ないよ。
だけどあのサンドラがフロアマスターになっていたなんて―――」
「その様に気安く呼ぶな、名無しの小僧!!!」
ジンとサンドラが親しく話していると、
マンドラは獰猛な牙を剥き出しにし、
帯刀していた剣をジンに向かって抜く
ジンの首筋に触れる直前、
その刃を十六夜が足の裏で受け止めた
蹴り返した十六夜は軽薄な笑みを浮かべているが、
その瞳は笑っていない
そして大助もほぼ同時にジンをその場から連れ出し
先ほど睨めたお返しと言わんばかりにマンドラを見る
「…………おい、知り合いの挨拶にしちゃ穏やかじゃねえぜ。
止める気なかっただろオマエ」
「当たり前だ! サンドラはもう北のマスターになったのだぞ!
誕生祭も兼ねてこの共同祭典に゙名無じ風情を招き入れ、
恩情を掛けた挙げ句、馴れ馴れしく接されたのでは
゙サラマンドラ゙の威厳に関わるわ!
この゙名無じのグズが!」
その瞬間、マンドラが驚きの表情へと変わった
先ほどジンへ向けた剣が、十六夜に蹴り返された剣が、
一瞬、瞬間、刹那、瞬きを忘れるほどの間に
マンドラが持っていた剣が消えたのだ
誰も触っていないし誰もそんな動きをしていない
見えないほどのスピードならどれ程よかったか
持っていた剣が「その場から消失」したように消えたのだ
握っていたマンドラが最初に気づき
そのあとその表情を気になった十六夜達も気づき始める
「な、何を゙名無じ共!!!!」
「まっ、待ってください!! 私たちは何も」
「………謝れ………」
その言葉に誰もが振り返る。
重く怒り満ちたその声色に驚く
あの時と同じように、
レティシアが連れていかれた時と同じように
仲間の為にぶちギレている
「ふざけるな!!
このようなことをしておいてなにをいっている!!
これはサラマンドラに対する侮辱と」
「そんなことどうでもいい。
どうでもいいほど怒っているだよ僕は
サラマンドラの威厳を守ることに意見は言わないし
ジンの態度が悪いと言うなら謝るよ
だけどね、ただそれだけで命を奪おうとした。
その威厳を守るためだけにノーネームのトップを消そうとした
僕はねそれに対して謝れと言っているだよ。」
「゙名無じ風情に、ましてや貴様のようなクズに
謝る言葉などないわ……―――!!!!??」
…………言葉が止まった。
いやこれ以上喋ることを許されなかったのだ
突如現れた「白き刃」と「黒き刃」がマンドラの首筋手前にある
「それ以上私達のご主人の悪口は許しません」
「……もう一度言ってみろ、かっ切るぞ……」
マンドラの右側には白いドレスを着た女性が
左側にはタキシードを着た男性の姿がある
だがその者達は人ではない
「やめんか、アスカ!シャドう!!
それ以上はコミュニティにも
大助にも迷惑が掛かると分からんのか!!!」
その白夜叉の言葉が聞いたのか
二つの刃はマンドラの首筋から離れ
二人は、いやその白と黒の「影」は大助の背後に戻り
そして大助の影の中へと消えていった
「これで気がすんだろう小僧。
これ以上まだ言うのなら儂も入らないといけなくなるが」
「……分かりました……」
「マンドラもこれ以上は、分かっておるな」
しかしそれでも尚も食ってかかり、睨み返すマンドラ。
「゙サウザンドアイズ゙も余計な事をしてくれたものだ。
同じフロアマスターとはいえ、越権行為にも程がある。
『南の幻獣・北の精霊・東の落ち目』とはよく言ったもの。
此度の噂も、東が北を妬んで仕組んだ事ではないのか?」
「マンドラ兄様ッ!!
いい加減にしてください!!」
サンドラが見かねて叱りつける。
いくらなんでも失言が過ぎた
しかし事情を知らない゙ノーネーム゙一同は、
顔を見合わせて首を傾げている。