問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
アッと今まで無関心状態だった耀は
思い出したように白夜叉に訊ねる
「白夜叉。
私が明日戦う相手ってどんなコミュニティ?」
「すまんがそれは教えられん。
主催者がそれを語るのはフェアではなかろ?
教えてやれるのはコミュニティの名前までだ」
パチン、と白夜叉が指を鳴らすと羊皮紙が現れ、
そこにはコミュニティの名前が書かれている
そしてそれを見た飛鳥は驚いたように目を丸くした
「゙ウィル・オ・ウィスプ゙に――
―――゙ラッテンフェンガー゙ですって?」
それはここに来る前に飛鳥ととんがり帽子の幼い精霊
この精霊は自分のコミュニティをラッテンフェイガー
と、繰り返し名乗っていたようだが…
「うむ。
この二つは珍しい事に六桁の外門、
一つ上の階層からの参加でな。
格上と思ってよい。
詳しくは話せんが、余程の覚悟はしておいた方がいいぞ」
白夜叉の真剣な忠告に、コクリと頷く耀
すると大助が何も言わずに手をあげる
そして耀に白夜叉にノーネームに向けて
「補佐は一人までいいんだよね。
なら春日部さんの補佐は僕がやる」
「……ほぅ……
お主はこのような目立つことはしないと思っていたが」
「白夜叉の言ったとおりだけど、
なによりコミュニティの貢献に繋がるなら
少しでも何かしないとね
もちろん春日部さんがいいならだけど」
「うん、いいよ」
こうして大助も明日のギフトゲームに参加することに
するとさっきから表情が思わしくない飛鳥に黒ウサギが
「どうかされましたか飛鳥さん?」
「い、いえ、ちょっとさっきの対戦相手の名前にね…」
「確がウィル・オ・ウィスプ゙と……」
黒ウサギの言葉に遮るように十六夜が
「゙ラッテンフェンガー゙だったか。
成程、゙ネズミ捕り道化゙のコミュニティ。
明日の敵はさしずめ、
ハーメルンの笛吹き道化だったりするのか?」
え?と飛鳥が声を上げる。
しかしその隣に座る黒ウサギと白夜叉の
驚嘆の声に、飛鳥の声はかき消された、
「ハ、ハーメルンの笛吹きですか!?」
「まて、どういうことだ小僧。
詳しく話を聞かせろ」
……………………………………
ラッテンフェんガー
それば幻想魔道書郡゙(グリムグリモワール)という
魔王のコミュニティの下部コミュニティの名だった
全200篇以上にも及ぶ魔書から悪魔を呼び出し
魔書の一つ一つに異なった背景の世界が内包され
魔書の全てがゲーム盤として確立されたルールと
強制力を持つという絶大な魔王
しかしその魔王はとあるコミュニティとの
ギフトゲームで敗北してこの世を去った…
……はずなのだがどうやら潜んでいるようだ
それでも白夜叉は魔王が現れると聞いて
最小限の対策を立てている
゙参加者以外はゲーム内には入れない゙
゙参加者は主催者権限を使用できない゙
これで魔王が襲ってきても
゙主催者権限゙を使うのは不可能となる
こうして本番当日となったのだが、
『長らくお待たせいたしました!
火龍誕生祭のメインギフトゲーム』゙造物主達の決闘゙の
決勝を始めたいと思います!
進行及び審判ばサウザンドアイズ゙の
専属ジャッジでお馴染み、
黒ウサギがお勤めさせていただきます♪』
「うおおおおおおおお月の兎が
本当にきたああああああぁぁぁぁああああああ!!」
「黒ウサギいいいいいいい!
お前に会うために此処まで
きたぞおおおおおおおおおおお!!」
「今日こそスカートの中を
見てみせるぞおおおおおおおおおおおぉぉぉおお!!」
割れんばかりの熱い情熱が迸らせる観客
その声を観客席から見えない舞台袖で
「……本気でやめたいと思ってきた……」
バカバカらしい声にやる気を無くした大助
その隣では耀が三毛猫と戯れていた
セコンドについたジンとレティシアは、
次の対戦相手の情報を確認していた。
「―――――゙ウィル・オ・ウィスプ゙に関して、
僕が知っている事は以上です。
参考になればいいのですが………」
「大丈夫。
ケースバイケースで臨機応変に対応するから」
何処かのキャッチフレーズのような
返答に苦笑いするジン
会場では黒ウサギの手でゲームが進行し、
とうとう試合開始が近くなる
「二人とも頑張ってくれ。
大助がサポートに回るなら耀も安心して
ゲームに専念できるな」
「………そのことなんだけど……」
すると耀は気まずそうに大助を見て
「私がいうまで手を出さないで欲しい」
「………理由を聞きたいだけど……」
「……………ごめん…………」
「……分かったよ。
でも無理だと思ったら必ず頼って」
「うん。」
すると舞台の真中では黒ウサギがクルリと回り、
入場口から迎え入れるように両手を広げた
『それでは入場していただきましょう!
第一ゲームのプレイヤー・ノーネームの春日部耀と、
゙ウィル・オ・ウィスプ゙のアーシャ=イグニファトゥスです!』
三毛猫をジンに預け、通路から舞台に続く道に出る
その瞬間――耀の瞳前を高速で駆ける火の玉が横切った
「YAッFUFUUUUUuuuuu!!」
「わっ………!」
『お嬢!』
耀はバランスを崩し仰け反り倒れそうになるが
そこを隣にいた大助が受け止める
しかし更なる追撃が大助を襲う
襲うといっても大助の足元を払った
さすがに二人分の体重を支えきれずに倒れた
なんとか耀を地面に着かさずにすんだが
その、体勢というか、その状態が、
「だ、大丈夫か耀……」
「う、うん……」
それは大助が耀を両腕で支えている
まるでお姫さまだっこしているように
足は地についているが頭は、その顔は大助に近い
「な、なんだよ!!!
こっちは素敵に不適に
オモシロオカシク笑ってやろうとしたのに
なにいい雰囲気を出してるんだよコラ!!」
その声に二人はとっさに離れた
周りの観客達はヒューヒューと冷やかす
さすがに耀も頬を赤くして俯いている
そして大助は、
(……出なきゃ…よかった……///)