問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
『ギフトゲーム名゙アンダーウッドの迷路゙
・勝利条件
1、プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る
2、対戦プレイヤーのギフトを破壊。
3、対戦プレイヤーが
勝利条件をみたせなくなった場合(降参含む)
・敗北条件
1、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。
2、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
「―――――゙審判権限゙の名において。
以上が両者不可侵で有ることを、御旗の下に契ります。
御二人とも、どうか誇りある戦いを。
此処に、ゲーム開始を宣言します」
黒ウサギの宣誓が終わる。
それが開始のコールだった。
今回の対戦相手゙ウィル・オ・ウィスプ゙
入場開始からノーネームを小バカにしたアーシャと
腰かけていた火の玉から現れた
誰もが知っているジャック・オー・ランタン
この二人は、いや所属しているコミュニティは
六桁の外門に構えており
通常は下位の外門のゲームに参加しないらしい
ただ今回はフロアマスターから得る
ギフトを欲して降りてきたようだ
つまりは格上、強敵なのだ。
しかしノーネームの皆は心配していなかった
確かに格上であり強敵なのかもしれないが
このゲームは耀だけではない、大助がいるから
十六夜と同等といっていいほどのギフト
異質で異常なギフトを大助は所持している
余程難解なゲームではないかぎりは負けはしないと
誰もが思っていたのだろうが、
「それじゃ春日部さん、頑張ってね。」
「うん。」
そういって大助は巨大な樹の根に寄りかかり座った
このゲーム盤は上下左右、その全てが
巨大な樹の根に囲まれている大空洞
その中から先に外へ抜け出せば勝ちなのだが
「おいおい、補佐はやらないのかよ。
随分と舐められているよな、なぁジャック!」
「YAッFUFUUUUUuuuuu!!」
そうこのゲームは耀一人でやるのだ
あくまでも大助は補佐として
耀が助けが必要なときだけ参加する
「まぁいいや。どうせ勝つのは私達だ!
だから先手は譲ってやるぜ」
ツインテールを揺らしながら肩を竦め、
余裕の笑みを浮かべるアーシャ
耀は無表情でしばらく考えたあと、
一度だけ口を開いた。
「貴女は………゙ウィル・オ・ウィスプ゙のリーダー?」
「え?あ、そう見える?
なら嬉しいんだけどな♪けど残念なことにアーシャ様は」
「そう。分かった」
リーダーと間違わられたことが嬉しかったのか
愛らしい満面の笑みで質問に答えるアーシャ。
だが耀は聞いておらず背後の通路を疾走した
「え……ちょ、ちょっと………!?」
自分から投げ掛けたにも拘わらず
話の途中で逃げ出した耀にアーシャはしばし唖然
ハッと我に返ったアーシャは全身を戦慄かせ
怒りのままに叫び声を上げた
「オ………オゥェゥウウウケェェェェイ!
行くぞジャック!樹の根の迷路で人間狩りだ!」
「YAHOHOHOhoho~!!」
怒髪天を衝くが如くツインテールを逆立たせて
先に進んだ耀を追いかけていった
その姿を見送った大助は誰も聞こえない声で
「……………頑張って………」
……………………………………………
「くそ、やべえぞジャック………!
このままじゃ逃げられる!」
「Yaho…………!」
耀の後ろから業火が放たれるが
すべて最小限の風を起こして避けていた
゙ウィル・オ・ウィスプ゙の篝火の正体
それは可燃性のガスや燐を撒き散らしている
そしてその無味無臭の天然ガスだが嗅覚が
人間の数万倍の感覚を持つ耀は
その違和感を感じ取り軌道を曲げていた
噴出したガスや燐を発火前に霧散させていたからだ
豹と見間違う健脚は見る見るうちに
距離を空けて遠ざかる
しかも耀の五感は外からの気流で
正しい道を把握している
迷路の意味は既にない。
アーシャは離れていく耀の背中を見つめ――
―――諦めたようにため息を吐いた
「…………くそったれ。
悔しいが後はアンタに任せるよ。
本気でやっちゃって、ジャックさん」
「わかりました」
え? と耀が振り返る。
遥か後方にいたジャックの姿は無く
耀のすぐ前方に霞の如く姿を現したのだ。
巨大なカボチャの影を前にした耀は、
驚愕して思わず足を止める
「嘘」
「嘘じゃありません。失礼、お嬢さん」
ジャックの真っ白な手が、強烈な音と共に耀をなぎ払う
樹の根の壁に叩きつけられた耀は、
意識が飛びそうになるほどの衝撃を受けて
軽い嘔吐感をもよおし、ケホッと咳をつく
「っ…………!?」
「さ、早く行きなさいアーシャ。
このお嬢さんは私が足止めします。」
「悪いねジャックさん。
本当は私の力で優勝したかったんだけど……」
「それは貴女の怠慢と油断が原因です。
猛省し、このお嬢さんのゲームメイクを
少しは見習いなさい」
「う~……了解しました」
「ま、待っ」
「待ちません。貴女は此処でゲームオーバーです」
ジャックが言う。そしてランタンから篝火を零す
その僅かな火は樹の根を瞬く間に呑み込み、
轟々と燃え盛る炎の壁となった
先ほどまでとは比にならない圧倒的な熱量と密度
耀は息を呑んでジャックを見る
「…………。貴方は、」
「はい。貴女の御想像はきっと正しい。
私はアーシャ=イグニファトゥス作の
ジャック・オー・ランタンではありません
貴女が警戒していた存在――
―――生と死の境界に顕現せし大悪魔!
ウィラ=ザ=イグニファトゥス製作の大傑作!
それが私、世界最古のカボチャお化け……
………ジャック・オー・ランタンでございます♪」
ヤホホ~♪と笑うジャックだが、
カボチャの奥の瞳には
先ほどまでとは違う炎が灯っている
明確な意思と魂。そして威圧感。
ふざけたその口調と仕草はしかし、一分の隙もない。