問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
「さて……貴女は一つ、侮辱に等しい
誤解をされているようですね。
゙ウィル・オ・ウィスプ゙の炎の原点は
悪魔の炎で間違いありません。
外界では人間達にも理解できるように、
わざわざ科学現象として我々が発信しているのです」
「なぜ、」
「そんな事を?
それはですねえ。
死体がそこに埋まっていることを知らせているのですよ
無念にも、遺棄された哀れな魂を救うために」
ヤホホ!
と大きな指を立てて笑うジャック
燐やメタンガスなどは、
土葬された死体の土壌から発生する事が多い
それ以外に゙ウィル・オ・ウィスプ゙の
炎が発生する場所には、
死体が遺棄されている事がよくあるのだ。
「…………。なら、」
「どうして先ほどまで燐を使っていたか?
此れまた簡単。
アーシャは本来、地災で亡くなり、
そのまま自縛霊となって彷徨っていたところを
ウィラが引き取り、
今では立派な大地の精霊として
力をつけ始めているからです
天然ガスを放出していたのは地精の一端」
「…………。どうして、」
「どうして見知らぬ霊を引き取ったのか?
――聞いたこと有りません?
我々゙ウィル・オ・ウィスプ゙に纏わる逸話を。
我々の蒼き炎の導は、報われぬ死者の魂を導く篝火。
彷徨う御霊を導く功績で、
私達は霊格とコミュニティを大きくしてきたのです」
ギョロリ、とカボチャ頭の奧に見える瞳を見据える
「知らぬなら今こそ知りなさい。
我ら蒼き炎の導を絵描きし旗印は、
無為に命を散らした魂を導く篝火なのだと。
救済の志は、神々に限られた領分ではないのだと――!!」
ジャック・オー・ランタンは己が旗印を誇る様に腕を広げ
轟々と燃え盛る炎を背に叫ぶ。
「いざ来たれ、己が系統樹を持つ少女よ!
聖人ぺテロに烙印を押されし不死の怪物――
――このジャック・オー・ランタンがお相手しましょう!」
業火の炎で燃え盛り、大炎上する樹の根の空洞
あの炎の瞳が放つ違和感は、
耀が箱庭で対峙したどの敵よりも強大なものだった。
(………。参ったな)
これが゙悪魔゙と呼ばれる種。
世界に独立した霊格を認められた、超常存在
の実感が徐々に春日部耀の臓腑の中に満ち満ちていく
アーシャが先行した今、ジャックを破壊するしか
勝利条件は満たせないが――
耀はまるで勝負を諦めたように
肩の力を抜きジャックの瞳を見据える
「おや、向かってこないのですか?」
「私じゃ、貴方には勝てないから」
「自分の実力を知り正しく判断することは難しい
貴女はそれが出来る、素晴らしいことです。
ですがならなぜ、補佐と一緒に
ゲームに挑まなかったのですか?
自分の実力を試したいとしても
戦わずとも助言をもらったり側にいるだけでも
この戦況は変わっていたはず」
そうかもしれない
大助なら助言をくれるだろう
側にいるだけでも違っていたかもしれない
だけど、
「私は十六夜や大助みたいに強くなりたかった
だから私はこのゲームでそれを証明したかった」
「気持ちは分かりますが
それが貴女達の敗北に繋がってしまったら意味がない」
「そうかもしれないけど……まだ諦めてない。」
まだ耀の瞳は諦めてない
それよりも強い意思を感じる
それを感じ取ったジャックはその大きな手で
耀を吹き飛ばそうとするが
「「!!?」」
その瞬間、耀とジャックを
囲んでいた業火が「停止」した
まるで硝子細工のように固体化した業火は
キラキラと光り今でも熱を発しているようだ
停止した業火は突然にヒビが入り
高い音を出しながら崩れ落ちた
その時間は一秒も掛からず
今度は耀を攻撃しようとした
ジャックのその大きな手が小さな手によって止まった
その小さな手、比べれば頼りにならないかもしれない
だけど耀にとってはその手は大きく見えた
「お待たせしました、補佐の大助です。」
「………大助。」
ジャックの方を向かずに耀を向いている
攻撃対象だと分かっているのにも関わらず
平気そうに耀と会話を続ける
「さすがにずっと座りっぱなしはキツかったからね」
「もしかしてずっと探してた?」
「これだけ広いと見つけるのも時間が掛かったよ
そんなことより早くアーシャを追いかけないと
こっちは足止めしておくから」
初めは戸惑っていた耀だが
自分ではどうにも出来ないことを知っている
そして自分がアーシャより早く
出口に向かわないといけないことを
コクリと頷いた耀は
大助を背を向けてこの場から去っていった
見届けた大助はゆっくりとジャックの方を見て
重ねあった手をはずして指をパチッンと鳴らす
すると停止して動作が動きだした
「ヤホホ!!?
ここにいたお嬢さんは何処へ?」
「悪いけどアーシャの元へ行かせてもらったよ」
「……これは瞬間的な移動によるもの…
いえ違いますね、それではこの業火の説明が出来ないません」
「本当に悪いけど例え理解したとしても
僕を止めることは出来ないよ
そしてジャック、君は僕の前に現れたらいけなかった
そのせいで僕は……この「時」を使える。」
大助はその手をジャックの方にかざした
次の瞬間にはジャック・オー・ランタンは
その身がいくつもの樹の根を貫き
他のとは一回り大きな樹の根にぶつかり止まった