問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
「魔獣??
それを撃退しようと向かっていたときに
私たちを襲ってきたというの?」
「明らかに異質な者がおると感じたからな…
それがまさかこんな優男だとは……」
「弱々しくて悪かったね。」
耀と飛鳥はシェルの手によって目が覚めた
初めは状況が飲み込めなかった二人がだ
徐々に思い出したところで二人は
シェルの頬を左右から引っ張り始めたのだった
痛い!痛い!!と子供のように叫ぶシェル
大助は助けてあげようとしたが
二人に思いっきり睨まれヒビってしまった
二人の気がすんだのはそれから一時間
シェルの頬は真っ赤になっており涙目になっていた
なんかどこかで見たことがあるなーと思いながら
どうしてこんなことをしたのかと話していることろ
「その魔獣は気配を消すことができるのだが
あまりにも「存在が無い」ために
見つけるのはそこまで難しくないのだが…」
「ちょっと待って、存在が無いなら
普通は見つけるのは難しいのではなくて??」
「悪い悪い、説明が足りなかったの
私は「有機物」ならば全て気配を感じることができる
だからこの森に魔獣がおるならば
気配を感じない所に向かえばいいだけなのだが
岩などと間違える場合もあるのだ…」
岩などは無機物
それなら気配を感じることはできない
間違えることはあるだろうが
けして見つけられない訳ではない
「それでどうして大助を異質だと感じたの??」
「この者から複数の気配が感じたからの
一人の者からそんなもの感じたら充分異質だろう」
「「それがなくても充分異質だけど」」
「息がピッタリあったね~」
自分でもイヤというほど分かっていたが
こんなときまで思い知らされるとは…
「で、その魔獣を倒したらいいの??」
「……おい、まさか付いて来る気か!??」
「悪いけどこっちも事情があってね
もしかしたら僕もその魔獣に用事があるかも」
「来るのはいいが邪魔はすることは許さぬ」
さっきまでも子供モードとは違い
出会った頃の様子に戻っていた
シェルは黙々と道なき道を歩く
それを追いかけるように三人も付いていく
その後ろ姿は何かの覚悟があるような
小さな体では背負いきれない何かを
必死に担いでいるような……
それが何かは知らないが
きっとそれがその強さなのだろう…
「ハズレね。」
「…ハズレ。」
「…ハズレだね。」
「…………………。」
あれから何回目だろうか
またしても大きな岩にたどり着いたのだ。
シェルがいうには魔獣は普段は動かずに
食事をするときだけ行動するらしいが
その食事が一週間に一回と少なく
時間もバラバラであるのだ
「し、仕方ないよ。
こればかりはしらみつぶしに探すしかないよ」
「………う、う、うわあぁぁぁ!!!!!」
「あぁ、泣かしてしまったわね…」
「止めをさした。」
そんなつもりはなくった
と、いえば簡単だがこればかりは…
すっかりさっきまでの戦う者から
子供モードへとまた戻っていた
「ご、ごめん!!!
別に攻めたわけじゃないんだよ!!」
「ど、どうせ…私は無能だ…う、うわあぁぁぁ!!!」
「1抜けたわ」
「2抜けた」
「3抜けました」
「……4抜けた」
「5抜けね」
「ち、ちょっと!!!!」
もう完全に子供モードなシェルを
大助以外の者はその場から離れた
飛鳥も耀も子供が苦手なのはなんとなく分かっていたが
まさか精霊も苦手なんて……いやそれよりも
姿を見せずに声だけなんて思わなかったな…
そんなことを考えていても状況は良くならない
わんわんと泣き止まないシェルに大助は
「ほ、ほらシェルは大人なんだからね
こんなことでは泣いたらいけないよ!!」
「………大人、なのか……」
「そ、そうだよ大人だよ!!!
それに魔獣を倒すシェルには涙は似合わないよ!!」
「……そ、そうじゃな…」
涙をぬぐうシェルにホッとしていたが
「!!!?」
またしてもシェルの表情が変わる
それもなにかに気づいたようだ
ぐるっと180度回転しその方向をジッと見ている
「どうやら動いたようだ。」
「動いたって…魔獣が??」
「ここからかなり離れておるが油断するな
魔獣は狩りをするときは見た目よりも
ものすごいスピードで迫ってくる」
「ちょっ、ちょっと待って!!
狩りってその魔獣ってもしかして…」
「魔獣の主食は「人間」じゃ」
その言葉が合図かと思うぐらいタイミング良く
遠いところから低く崩れる音が聞こえる
それもその音はなんだか大きくなっているようで
「まさかと思うけど……」
「間違いなく私や主らを狩るために近づいている」
「弱肉強食。」
「春日部さん…間違いはないけどいまは言わないで!!」
そんなことしている間にもどんどん大きくなる
それにつれて耀と飛鳥の表情が強張る
シェルからの奇襲にも反応できず倒れた
同じ失敗しないようにと嫌でも力が入る
それを感じとった大助は、
「落ち着いて二人とも。
僕が囮になるからその間に魔獣を倒して」
「そんな危険なっ!!?」
「大丈夫だよ、相手は「獣」
獣なら至近距離でも一時停止は使えるから」
「………信じて…いいの??」
「うん、大丈夫。」
その言葉に安心したのか強張った表情は柔らかくなり
それに釣られ飛鳥も緊張がほぐれたようだ
シェルはそんな光景を見てフッと笑い
「話し合いは終わったか?
私は前線に、お主ら二人は後方支援を
で、貴様が言ったように囮を頼む
もちろん好きあらば攻めていいが……
……自分の力量を考えて行動することだ。」
ムッとする耀と飛鳥だが
すぐにその言葉を素直に受け止めた
ここで自意識に力を信じて行動すると
また同じことを起こしてしまう
自分の力には自信はある
そうでなければ戦いに身を投じれない
しかし相手と自分の力の差を理解しないといけない
それを理解し自分の出来ることをする
そしていま、それが試される。
「それで、気配を消せて存在が無いに等しい魔獣を
どうやって確認したらいいのかしら??」
「……私にも分からない。」
「あっ、僕も分からないな。
ちなみに視覚での認識は出来るのかな?」
「あほ、存在が無いといったろうが
気配も無く姿も無く、あらゆる存在が無いのだ
いま確認できるのは木々を壊すという破壊行動
後は、狩りをするための行動のみじゃ」
その瞬間、何かが迫ってくるのを感じた
目に見えるわけでもなく、気配を感じるわけでもない
ただ木々を切り裂き近づいてくる
その視覚しか捕らえられないのだ
シェルと大助はすぐさま防御に入った
見た限りではその攻撃は二人だけを狙っている
理由は分からないがこれでいい。
攻撃をするということはどこにいるかが分かる
まずシェルの方に見えない攻撃が近づいた
蛇が動くかのようにうねうねと木々を切り裂き
その傷痕からは白い煙が吹き出ている
そして少しずつ溶けていっているのが分かる
あれを一撃でも喰らったら死ぬ
しかしシェルはそんなことを臆せず
その棍棒を構えジッと待っている
見えない攻撃はどんどん近づき、そして、
「………はっ!!」
変則に動き見えない攻撃を
たった一発で見切り棍棒で叩きつけた
地面にめり込んだその攻撃は止まったようで
クレーターからは液体がこぼれ白い煙がたつ
それを見た大助はすぐさまに作戦を変更
魔獣の見えない触手みたいなものを
まずどうにかしないといけない
シェルのように叩きつけ潰せばいいが
魔獣がどれだけの触手を
持っているか分からない以上
本体を見つけないといけない
「シェル、魔獣の居場所はハッキリ分かるの??」
「あぁ、分かるが…その前に攻撃はどうしたのだ……」
「うん、もう大丈夫だよ。
それじゃもう一つ、一撃で魔獣を仕留められるかな??」
「か、可能じゃが……一体なにを……」
「それは後でね。
久遠さんディーンで」
「分かっているわ。」
言いたいことが分かったのか
飛鳥が言うのと同時にディーンを呼び出し
大助の前にその大きな手が近づく
ディーンは見えない触手のようなものを掴み
握ったままその大きな手を振り上げた
すると芋づるのように
その触手が空へ上がり
それと同時に木々も空へうち上がる
見えない魔獣は確かに空にいるのだが
やっぱり気配もなにも感じれない
しかしその触手だろうか
うち上がった木々が突然に壊されていく
それも広範囲であるため木屑が空全体に広がっている
それをその木屑を印に触手の場所を確認し
大助は木屑が広がっている
全ての空間を空間掌握し停止させた
「春日部さん、シェルを」
「うん、任せて。」
春日部はシェルを強引に背中に乗せて
グリフォンのギフトを使い空を駆けた
その出来事にシェルは驚きを隠せなかったが
すぐさまに思考を代えて
大助の考えていることを実行することに
「私をあの木屑が無く広がっている場所に」
「分かった。」
耀はシェルを言われた場所に向けて投げ飛ばした
今はハッキリとそこに魔獣がいることが分かる
直径20㍍近くあるその魔獣へその棍棒を構え
「一竜・痺動体(いちりゅう・ひどうたい)!!!!!!!」
その棍棒を魔獣の方へ突きだし渾身の一撃
物凄く鈍い音が響き渡る
攻撃を終えたシェルは地上へ落下を始め
着地と同時に魔獣も地上へ落ちてきた
するとさっきまで見えず気配も無い魔獣が
霧が晴れるように少しずつ姿を現していく
その姿は虎のような胴体に
背中からは磯巾着のようなうねうねとした触手
そして頭は牛のような……なんとも奇妙な姿
「き、気持ち悪いわね……」
「これが魔獣……」
「確かに…でもどうして姿が見え始めたんだろう」
「さっきの一撃で全身を麻痺させたためじゃな
しかしここまで姿酷いとは……」
そんなことを言っていると
魔獣の体内から光る球体がすり抜けて現れた
その球体はまるで呼び寄せたように
一直線に大助の元へ飛んでいき手前で停止した
すると今度は大助の前に砂時計が光の中から現れた
「どうして砂時計が」
と言葉を遮るように突然に
大助、耀、飛鳥の体が光始めた
それと同時に砂時計の下部の手前で
停止していた一粒の砂がゆっくり動き始めた
「今度は一体何が起きたんじゃ!!?」
「どうやらこの世界とお別れみたいだね」
「あら、これでギフトゲーム終了かしら」
「いや、それはないと思うけど」
「なにをいっておるのじゃ!!
貴様らにはまだ礼しておらぬのに!!!」
「気にしなくていいよ。
勝手に現れて勝手に消えるだけなんだから」
しかし、そんなことを言われても納得出来ない様子
うつむいているシェルは何かを決めたようで
大助に向けて持っていた棍棒を投げた
「なら、この神通棒を持っていけ」
「いや、これは!!!」
「礼ぐらいさせろ!!
正直私一人では魔獣を
仕留められることは無理だったろう。
…気にせんでいい、いくつか持っている武具の一つ
その一つである神通棒を礼として渡すだけじゃ。
通神棒は使い手によって効果が変わるが
きっと手助けしてくれるはずじゃ」
大助がもう一度声をかけようとしたが
その前に一粒の砂が砂時計の下部へ落ちていき
それと同時に三人はシェルのいる世界から消えた
「……また会えるかの……」