問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
頭の中では、おぉっ!!ってストーリーがあるのにな……うまく行かないな………
このタイトルも何か捻りがないかも……
………よし!!ポジティブに行こう!!!!
ということで、どうぞ。
「う、ウンディーネ様がこのアンダーウッドにですか!!!?」
「正確にはアンダーウッドよりも高い場所……そこから気配がしてます」
この巨大なアンダーウッドよりも高い場所からウンディーネの気配がする。耀が空を見上げるがそこにはただの空しかなくウンディーネがいるようには思えない。
しかし黒ウサギはその言葉の意味が分かるようで
「そうですね……もしかしたらいらっしゃる可能性はあるかもしれませんわ」
「ちょっと黒ウサギ、どこをどうみても空しかないわよ」
「あぁ…それはですね……まぁお楽しみとして待って頂けませんか??」
「どういうことなのかしら??」
「このアンダーウッドにいれば自然と分かります。ですから私がいうよりもその目で確かめて頂きたいのです」
「……そういうことなら分かったわ」
「仕方ないね」
ということでウンディーネの詳しい場所は明らかにすることはせずに、耀と飛鳥はレイから話を続きを聞くことにした
「詳しくは話せませんがウンディーネはいま眠りについてます」
「どうしてなのかしら??」
「………」
「それが話せないのね、ならどうしたら目覚めるの??」
「眠りの原因を取り除くしかありませんが現場に行かないと分かりません」
「…もしかして今からそこに行くの??」
その言葉に大助の頬が僅かに動いた。その僅かな変化に耀は気づかないわけもなく
「せっかく屋台とか一緒に回ろうと思っていたのに…」
「ごめん耀さん…なるべく早く帰ってくるから……だから、それからでも……いいかな??」
「うん、待ってる」
「ありがとう」
何か甘い空気に苦笑いするノーネームメンバーとその空気にどうしたらいいのかと戸惑うウィル・オ・ウィスプのメンバー。流石にこのままと思い黒ウサギがゴホンと咳き込み話の流れをもとに戻す
「分かりました。一緒に"
「えぇ、ちゃんと大助君のことを「問題児」だって説明しておくわ」
「誰が問題児だぁ!!!!」
「えっ??」
「ちょっと耀さん!!?なにその驚きはぁ!!!!」
「………まぁ、仕方ないかと……」
「「「うんうん」」」
「嘘だああああぁぁぁぁ!!!!!」
……………………………………………………………
「……絶対に…嘘だ……僕が一番マトモだよ……」
「…ぇ…えぇ…と……ご主人様??」
「やめなさいシルフ、今はそっとしておくのよ」
かなりの精神的ダメージを負ったらしくシルフの自動運転による空中飛行だったから良かったもの、自分の手で運転した日には衝突事故は間逃れなかったと言えるだろう
……………………………………………………………
────"アンダーウッドの地下都市"壁際の螺旋階段。
螺旋状に掘り進められた"アンダーウッド"の都市をグルグルと回りながら登っていく。深さは精々20㍍といったところだが、壁伝いに登るとなるといささか距離がある。
しかし"ノーネーム"一同は億劫そうな顔など一切見せず、初めて訪れた都市に瞳を輝かせていた。収穫祭ということもあって、出店からは美味しそうな薫りが漂っている。
耀は"六本傷"の旗が飾られている出店に、ふっと瞳を奪われていた。
「…………あ、黒ウサギ。あの出店で売ってる"白牛の焼きたてチーズ"って、」
「駄目ですよ。食べ歩きは"主催者"への挨拶が済んでから、」
「美味しいね」
「いつの間に買ってきたんですか!!?」
黒ウサギのツッコミを意を介せず、耀は小さな口に含んだ熱々のチーズを手で伸ばす。
ホクホクと湯気を立ち上がらせるチーズは焼き上がり特有の薫りと食感があり、単品で食べていても飽きが来ない。
するとふっと何かを思ったのか後ろに振り向いて
「大助も食べる??」
「えっ、あ、あの……」
「ごめん黒ウサギ、間違えた」
「い、いいえ……」
白牛の焼きたてチーズを向けたのは大助ではなく黒ウサギだった。その行動に戸惑う黒ウサギを見て謝ったあと前を向いて渡すはずだったそれを一口食べる
それを見ていた黒ウサギと飛鳥は耀に聞こえないように
(相当楽しみだったんじゃないのかしらアレは…)
(………そうだと思います……)
(で、でも食欲はあるようだし…大丈夫よね??)
(………そうだと思います……)
耀の姿に黒ウサギもビックリしていたのか、飛鳥の受け答えが全く同じてあることに気づいていない。これには飛鳥もため息をついた
(本当に大丈夫なのかしら……)
心配してもしょうがない。実際、耀は気にしていないのか普段通りに振る舞っている。二口、三口、と食べ進めていたところで心配していた飛鳥の視線と、アーシャの物欲しそうな視線に気づいた。
すると耀は、包み紙を二人に近づけて小首を傾げた。
「───────…………匂う?」
「匂う!?」
「匂う!!? 匂うって聞かれた!? そこは普通『食べる?』って聞くはずなのに『匂う?』って聞いたよコイツ!!」
「うん。だって、もう食べちゃったし」
「しかも空っぽ!?」
「残り香かよ!! どんなシュールプレイ望んでるのお前!?」
ペロ、と指を舐める耀。
アーシャは離れていく出店を名残惜しく見つめながら歩を進める。それを見てなんかいつもの耀だと感じほっとしたのか苦笑いをする飛鳥。先頭を歩いていたジャックは、
「ヤホホホホホ! いやまったく、春日部嬢は面白いですねえ。賑やかな同士をお持ちで羨ましい限りですよ、ジン=ラッセル殿」
「はい。 でも賑やかさでは"ウィル・オ・ウィスプ"の方が上だと思います」
「ヤホホホホホ! いやまったく恐れ入ります!」
どの集団よりも賑やかに進む一同は、網目模様の根を上がって地表に出る。
しかし長いのはここからなのだ。大樹を見上げた耀は口を開けて呆けたまま問う。
「………………黒ウサギ。この樹、何百㍍あるの?」
「"アンダーウッド"の水樹は全長500㍍と聞きます。境界壁の巨大さには及びませんが、御神木の中では大きな部類だと思いますよ」
「そう…………私たちが向かう場所は?」
「中ほどの位置ですね」
「…………。そう」
つまり高度250㍍。それも梯子や備え付け足場を伝っていかねばならない。耀は面倒くさそうな様子を隠す素振りもなく表情に出し、
「………私、飛んで行っていい??」
「春日部さん、いくらなんでも自由度が高すぎるわ」
「ヤホホ! お気持ちはわかりますが、団体行動をみだすものではありませんよ。それに本陣まではエレベーターがありますから、さほど時間はかかりません」
エレベーター? と首を傾げる一同
しかししジャックは説明せずにどんどん歩みを進める。
太い幹の麓にまで来ると、ジャックは木造のボックスに乗って全員に手招きをした
「このボックスに乗ってください。全員乗ったら扉を閉めて、傍にあるベルを二回鳴らしていください」
「わかった」
木製のボックスに備えられたベルの縄を二回引いて鳴らす。
すると上空で、水樹の
耀たちが乗っているボックスと繋がった空箱に、大量の水が注がれているのだ。乗用ボックスと連結している滑車がカラカラと回ると、徐々に上がり始めた。
「わっ………………!?」
「上がり始めたわ!」
「ヤホホ! 反対の空箱に注水して引き上げているのです。原始的な手段ですが、足で上がるよりはよほど速い」
ジャックが言うとおり、水式エレベーターはものの数分で本陣まで移動した。