「指揮官の……××んぽ、ちょうだい?」
無表情のまま――だが身体の示す欲求には抗えず、小さな身を彼に寄せる。
「かたくて……とっても…あつくなってる……。」
彼はベッドの上のエルドリッジに、己のモノを押し当てる。
「きもち……いぃ……。」
小さな身体で、彼のものを受け入れたエルドリッジは、快楽に身を任せ意識を失うまでベッドの上で――
っていう話しです。
注)即落ちします。
「指揮官の……湯たんぽ、ちょうだい?」
寒い冬の日の夜――。
彼の自室を訪れたエルドリッジは、開口一番にそう彼に懇願した。
「なっ!?何故俺が湯たんぽを使っていることを……!?」
「このまえ…指揮官がはこんでるとこ見た。」
彼はしまったという顔をする。
実際、湯たんぽはこの一つきりしか無く、冷え症の彼が独占しようとしていたのは事実だ。
その為倉庫からこっそり自室に運んだのだが――まさか見られていようとは。
「ねぇ、ちょうだい……?」
無表情のままのエルドリッジは、しかし表情とは真逆の積極性をもって彼に詰め寄る。
彼としても、叶うのなら快くエルドリッジに渡してやりたい。
だがもしそうなれば――彼は今晩、眠れぬ夜を過ごす事になってしまうだろう。
「スマン、エルドリッジ。でも俺、湯たんぽが無いと眠れないんだ。今度の週末にでも別のを買ってくるからそれまでは……」
我慢してくれ、と告げようとしたところで――
エルドリッジの頭頂部の髪の毛(通称:アホ毛)が、どうやったか電球のような形を作っている事に気付く。
彼は最近気付いたのだが、これはエルドリッジが何かを思いついた時のサインらしい。
それを証明するように、エルドリッジは目を輝かせて一つの提案を彼に示す。
「じゃあ今日は……"はんぶんこ"する。」
「"半分こ"……?」
エルドリッジの謎の提案に、彼は首を傾げる。
湯たんぽを"半分こ"するとはどういう意味だろう?
まさか両断した片割れを持ち帰ろうと考えているのだろうか?
「えっ?ちょ、エルドリッジ……??」
彼が考えている隙に、エルドリッジは彼の傍らを通り抜け、室内へと侵入した。
そしてぽふっ!と彼のベッドにその身を投げる。
「あ、あのー……エルドリッジ?どうしたんだ?」
我が物顔で彼のベッドに入り込んだエルドリッジは、被った布団の中からちょいちょいと彼に手招きする。
「指揮官も…はやく入る。いっしょに使えば……"はんぶんこ"。」
そこで彼はようやくエルドリッジの意図を知る。
彼が湯たんぽを手放せないのならば――自分が彼の隣で眠ればいい、と考えたのだと。
彼はハァ…とため息を一つ吐きだす。
既にベッドに潜りこんだエルドリッジに、今更出て行けとは言えない。
彼は湯たんぽを準備してベッドに入る。
「ほれ。廊下歩いてきて冷えたろ。まずはエルドリッジが温まれ。」
湯たんぽをエルドリッジに押し当ててやると、微かに目を細めて喜ぶ。
「かたくて……とっても…あつくなってる……。」
湯たんぽをぎゅっと抱きしめるようにして暖を取るエルドリッジ。
「きもち……いぃ……。」
うわ言のようにそう呟いて、エルドリッジはそのまま眠りに着いた。
***
「………んぅ?」
深夜、エルドリッジは目を覚ました。
抱えていた湯たんぽは、既にその熱を失っていた。
彼は――どうやら眠っているらしい。
深夜の静寂に満ちた室内に、彼の寝息の音だけが聞こえていた。
(……そうだ。)
エルドリッジはしばし考えた後、その細い腕を、隣で寝息を立てる彼の首へと回し――
引き寄せるように、彼へと抱き付いた。
(……。……あれ??)
熱を求めて彼に抱き付いたエルドリッジは、不思議な感覚を覚えていた。
肌越しに伝わる彼の体温――。
それ自体の暖かさの他に――エルドリッジの、胸の内から湧き出すような"不思議な暖かさ"を感じる。
安心するような――
それでいて、ドキドキするような――
エルドリッジの――"知らない暖かさ"。
だが――
(……イヤじゃ、ない。)
エルドリッジは細い腕に力を込め、彼の身体に自分の身をぎゅっと密着させる。
先程よりも更に、胸の暖かさが強くなるのを感じる――。
(……。)
その暖かさの正体を、エルドリッジはまだ知らない。
朝になったら、彼に問うてみようか?
一瞬だけそう考えて、エルドリッジはふるふると首を横に振る。
この気持ちは、内緒にしなければいけない。
理屈はわからないが、エルドリッジはそう直感していた。
(……ぅぅ~。)
しかし――
ではこの胸に渦巻く気持ちは、どうしたらいいのだろう――?
せめて――
せめてこの気持ちを――言葉にして、口に出したい。
まだ名も知らぬ、この気持ちを――。
だからエルドリッジは――
自身の持てる言葉の中で、最もその気持ちに近い言葉を選んで――
静寂の満ちる部屋の中で――ぽつりと、呟いた。
「指揮官……好き。」