(∪^ω^) <“その2”で合ってます
□落船都市<ナラカ>
<厳冬山脈>の麓に構えられた集落<メネオン>。
そこには昔栄えたとされる超巨大飛空挺、今は朽ち果てたその飛空挺を中心にして集落が存在し、人々は【
一人の<マスター>、フレキが訪れるまでは。
彼は寒いところが好きという、極寒の地においては信じられないような理由からここ<メネオン>に住み着き、住民が秘匿にしていた【蒸気技師】のジョブクリスタルを探し当て、強引に就き、更にはその先、【
これまでは<マスター>という異質の存在を毛嫌いし、嫌悪の目を向けていた住人達。しかし、超級職を取られたとなればもはや住民達は彼を受け入れない訳には行かない。
何せ彼は<マスター>。彼の気分一つで、【蒸気王】は金輪際届かない砂上の楼閣と化してしまうのだから。
そうして、<メネオン>の長となったフレキ。だが、それからの生活は、住人達にとって存外悪いものではなかった。
彼の作成した【スチーム・コア】は、長年悩まされてきた凍死による人口の現象に終止符を打ち、更にはティアンにとっての伝説である彼の<エンブリオ>は、外界からの干渉を完全に断つ物であり、それは時折<厳冬山脈>から降りてくる地竜種や怪鳥種から集落を護るのに大いに貢献していた。
控えめに言って彼等は限界だった。そんな彼等が生き残れたのはフレキのお陰であり、<メネオン>の住人は次第にフレキと打ち解けていった。
──そして、二度目の転機は訪れた。
現れたのは、ロードと名乗る一人の少女。彼女は<メネオン>の長、フレキの絶対の結界を難なく突破し、ゆうゆうと彼の住む屋敷に向かい、その日のうちに新たな長となった。
そうして、彼女は
【
彼女は知らしめることとなる。彼女こそが<
“全知”のロードであると。
◇
周囲を太い蔦で覆われ、一縷の隙間も無い閉塞感に満ちた空間。そんな空間内に根付くようにして、一人の少女が座っていた。
「ふふ、彼は<
少女は聞き役が誰もいない状況でありながら、まるで誰かに話しかけるように独り言を呟いていた。
その言葉は、取ってつけたような女口調であり、まるで男が想像として漠然と抱いている女性像をそのまま口調として反映したような、言うなれば、“ネカマ”をしているような口調であった。
「彼は、何かしら……“望郷”、もしくは“決別”かもしれないわよ?」
少女が見ているのは虚空。何も無い虚無に目を向けていた。しかし、少女の目の焦点は定まっており、確実に彼女は何かを見ていた。
「……あぁ、彼は分かってるからいいわ。自発ね。多分無理だわ」
その後も彼は直視、彼女は愛情、といったふうにつらつらと言葉を並べ立てていく。
と、閉ざされた蔦の空間に、唐突に人ひとり入れる程の隙間が開き、二人の人影が顔を覗かせた。
「相変わらず何言ってるのか分かんないすねー。あ、フレキさんどうも」
「仕事ですから」
「あれそれって仕事じゃなかったら嫌って事ですかっていなーい」
声を向けた先には既に誰もいないというのに一人でコントのようなノリツッコミをしているのは、無精髭が印象深い壮年の男であった。
「ふふふ、私はなんでも知ってるの。超級職への転職条件、<超級>への至り方、この
「あー、いつもの決め台詞ですね。まぁそれも結構信ぴょう性帯びてきましたよねー」
そんな彼の態度は、信じていないというよりは真実であっても偽りであってもどっちでもいいといったふうであった。
「もう、本当なのに」
「いや、まぁ何でも知ってるのは分かりますけど、その中に嘘が混じってるかどうかってのは知ってる本人にしか分かりませんしねぇ」
頬を膨らませる少女に対し、飄々と交わす壮年の男。そこには確かな信頼関係があった。
「まぁ、一種の悪魔の証明ね。私の知識を全て伝えるのなんて無理だわ。それこそ、【大賢者】になって知識の継承でもしない限りはね」
「また新情報でましたねー。wikiに書きます?」
「ふふ、今のはオフレコでお願いするわ。【大賢者】に目を付けられたくは無いもの」
もうとっくに目を付けられてるかも知れないけれどね、と男を不安にさせようとするも、男はどうでも良さそうに耳を搔いていた。
まだそこまでの信頼関係は築けていないらしい。
「でもまぁ、【
「あれは貴方に才能があったから、それを後押ししただけなのだけれどね」
「いやぁそれは信ぴょう性ないですわー」
事実、彼には才能があった。人を率いるリーダーではなく、人に担がれる神輿の才能が。
だからこそ、少女は彼を自陣に引き入れたのだし、こうして任を与えているのだった。
「じゃ、引き続き【
「うい、仰せのままに、ロード様」
まだ夜は明けない。だが、それは日が出ていない事の証明にはならず、事実太陽とは宙の上に在り続けるのだ。
目醒めの時は、幾星霜よりもまだ遠い。
◇◇◇
□■???
【亜空土竜 ホルモール】
最終到達レベル:46
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【狂創造主 フライング・スパゲッティモンスター】
MVP特典:伝説級【亜空土竜完全遺骸 ホルモール】
【獄楽鳥 ベンタブラック】
最終到達レベル:72
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【青天星 シリウス】
MVP特典:古代伝説級【獄楽双鏡 ベンタブラック】
【岩屑芥 ズンビブー】
最終到達レベル:27
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【累加奇石 シャイニング・トラぺゾへドロン】
MVP特典:逸話級【芥義手 ズンビブー】
【大拡犀 ナースホルン】
最終到達レベル:13
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【青瞬川原 ウルル】
MVP特典:逸話級【拡声角笛 ナースホルン】
【山彦鯆 ウベルーガ】
最終到達レベル:18
討伐MVP:【
<エンブリオ>:【怪勇魚 バハムート】
MVP特典:伝説級【はいぱーきぐるみしりーず うべるーが】
複数のウィンドウを並行処理しながら、<UBM>担当管理AI四号、ジャバウォックはとあるひとつの画面を注視していた。
「ムゥ、<超級>の手によって容易に討伐されないよう辺境に解放したのだが……なんの巡り合わせか」
映し出されているのは、始まりの<SUBM>【一騎当千 グレイテスト・ワン】と二人の<超級>、その戦いである。
本来ならば<マスター>を<超級>へと誘発するための舞台装置であるはずの<SUBM>。
だが、それがどうだろう。たった二人の超常により、いとも容易く壊されていく“最高”。
悲劇でも喜劇でも、ましてや英雄劇でもない。それはただの茶番劇だった。
「ハァ、結局、この投下で<超級>に至る者が出ることは無かったか」
初の<SUBM>投下。もちろん、ジャバウォックを始め管理AI達の期待も高く、<超級>へと誘発されるその時を待っていた。
その目論見も失敗に終わり、今回の事も次への糧としようと、過去のものにするべく思考を切り替えていく。
「ン?」
だが、画面を閉じ自らの業務に思考を割こうとしたその時、画面にひとつの人影が写りこんだ。
「これは……?」
現れたのは腹部が異様に盛り上がった一人の<マスター>。
なにやら【獣王】に対して挑発的な態度をとるその<マスター>のことが気になり、ジャバウォックはこの続きを見守ることにした。
◇
その戦いは熾烈の一言に尽きた。
「ホゥ……<超級>と互角にやり合うか。面白い」
もちろん、相手の疲労や潜伏中の時間経過による状態異常の悪化等、様々な要因が重なった結果の“互角”ではあったが、客観的に見て“物理最強”である【
そして、
「戦いの最中で■■■によって<超級>へと至ったか。素晴らしい、絶対的な強者へと立ち向かう様はまさに
自身にとって満足のいく
なお、余談ではあるが、この後<超級>へと至った【鉄塊王】不撓不屈によって付近の山のモンスターが一匹残らず死滅してしまった事実に、とあるモンスター担当が激怒し、とある環境担当が頭を悩ませたのは別の話である。
(∪^ω^) <原作の<UBM>閑話の色んな<超級>の討伐履歴が出てるとこ好きです