ですが、そこは、まぁ、ビジュアル機だから仕方ないよね!
彼の技術に期待しましょう!
後にリンクス戦争と呼ばれる戦争は、四人のリンクスによって、全てがかき乱された。
一人は、故郷の為に命を削って戦い、一人は、ただ戦場を追い求め、一人は、ただ強さだけを追い求め、一人は、ある人物を追いかけた。
この中で、一人は...いや、二人は既に死んでしまった。
つまり、アイツを止められるリンクスを探しているのなら、残った二人を探すしかないのだ。
________________________
最初の依頼からおよそ一ヶ月。あのオリエンテーションは成功したようで、GA社からはすぐに依頼が来た。
一つは、GA社とオーメルサイエンス社という、同じオーメル陣営の中の内輪もめの処理。
二つ目は、工場内の武装テロ組織の排除。
三つ目は、地下施設内を占領した、これまたテロ組織の排除。
なんというか…企業はもうちょっとテロに対する意識を変えた方がいいのではなかろうか。とも思ったが、お陰で私達の依頼があるので、もっと起こしてくれてもいいんだよというのが本音だ。
ここで考えたのだが、流石にテロ組織とはいえ、ここまで大がかりな計画や、整った兵器を揃える事が可能なのだろうか。勿論、GA社を襲ってGA社の倉庫から兵器を奪って使うというのは可能だろう。だが、そうなると潜入のための装備が必要になる。
という事は、これは単なるテロではなく、テロにみせかけた企業同士の牽制のし合いである可能性が高いのだ。
つまり、この三つの依頼は、形こそ違えど、全て根底にあるものは大差ないと考えていいだろう。
そして、今回の依頼は、GA以外の企業からの依頼だ。
依頼主はインテリオル・ユニオン。レオーネメカニカや、メリエス等を主体とした企業群で、主にレーザー系統のパーツを売り出している。
今回彼らから依頼されたのは、自社が保有する発電施設『メガリス』を占領しているテロリストの排除。だが、今回の任務はいつもと趣が少し違うらしい。
なんでも、メガリスには防衛用に、高出力のレーザー砲台が周囲に幾つも設置されており、地上から接近するのはリスクが高すぎるという事だった。しかも、依頼主からはレーザー砲台を極力破壊しないよう、追加でオーダーをいただいているために、更に側面からの奇襲は難しいのだ。
「という事でいいんだよね」
『はい。そのため、今回は上空からの接近となります。輸送機から降下し、レーザーによる対空砲火を避けながらメガリス内に侵入。そのまま敵部隊を殲滅してください』
正直対空レーザーの方が驚異だとは思うのだが…というか、最近いつも降下作戦じゃあないか?まぁ、確かに地下施設は違うけど、レイレナード本社襲撃からここ最近まで、いっつも降下しては対空砲火にさらされている気がする。
____________
『作戦開始です』
フィオナさんの言葉と共に、輸送機のハッチが開かれる。下には大きなタワーのような建物があり、筒状のものだと分かる。ブリーフィングから察するに、あの穴の中に入ればいいのだろう。
『敵レーザー攻撃、来ます!』
その声に反応し、私はメガリスの更に下を見つめる。メガリスを囲むように、光の点が幾つも-ざっと数えても15以上-見え、こちらを捕捉している事がしっかり理解できる。それを理解した瞬間だった。
高速のレーザーが放たれ、一気にこちらに、上空にレーザーが降り注いだ。まるで、下から上に物が落下しているかのように、素早くだ。
しかし、それだけだった。
(拍子抜けだな。所詮火力だけか)
レーザーは不思議な事に、一気に全砲で撃ってくるようで、絶え間なく射撃してくる訳でもない。だから、一度回避してしまえば、約4秒は撃ってこない。しかも、ネクストはQBを使えば楽に回避ができる。まぁ、QB時にかかる肉体と脳への負荷はおそろしいものがあるが。
三射目、やはり回避は楽だ。射撃回数が増えるわけでもなく、このままいけば楽に突入できそうだ。というか、敵は何故同時に撃とうなんて思っているんだか。全くもって意味が分からん。QBの連発は基本不可能なのだから、絶え間なく連射した方がいいという考えは無かったのか。いや、相手が考えてなくてよかったんだが。
相手が一斉掃射をとうとう五回し終わった時、とうとう私は被弾を一発もしなかった。
「結局、ネクストには全く意味がない設備だった、と。まぁ、地上から接近していたなら別なのだろうが」
この情報をユニオンに売れば、それはそれでいい資金源になりそうだが、生憎傭兵は明日どうなるか分からない身。次いつここを攻撃する事になるか分かったものではないので、次のためにその報告はしないでおく。
『メガリスへの侵入を確認。ブリーフィングでも伝えましたが、ここはレベル3の保護エリア。8分で殲滅して』
「了解」
8分、ね。なら、楽勝だ。
メガリス内部はすっからかんで、ただただ大きいだけの土管のようにも見える。実際、こんな場所で本当に発電ができるのだろうか。周りにピラーでも置いて太陽光発電でもするのだろうか。それともこの内部にタービンでも設置するのだろうか。まぁ、どうでもいいが。
20秒ほどの時間をかけ、やっとの事で降りきると、すぐさまレーダーを確認する。敵機の数は...4機。...4機?こんな少数部隊でこの大規模施設を制圧したのか。警備体制が杜撰なんだかしらないが、むしろその事に私は驚くね。
《企業のネクストか!?…いや、なんだあのエンブレムは》
《レイレナード社の新手か?それともイレギュラーか?》
《どうでもいいだろ!兎に角攻撃を集中させるんだ!PAがある限り傷一つつけられんぞ!》
《全員で包囲するんだ!動け!接近されたら終わりだ!》
賑やかな事になっているノーマルAC4機。どうやら散開して攻撃してくるらしいが、ならこちらは各個撃破といこうじゃないか。
敵は見た感じローゼンタール製で、装備は実弾ライフルだ。レーザーライフルでないなら、攻撃を警戒する必要もないだろう。包囲が完成されてない内に、1、2機撃破して、さっさと終わらせてしまおう。
レーダーを頼りにして近づき、月光を起動、刀身を出現させる。
《ひぃ!もう来たのかよ!来るな!来るなぁ!》
《落ち着け二番機!》
予想よりも少しばかりノーマル部隊の集結が早く、二機いっぺんに相手する事になった。が、そんなのは大きな問題になり得ない。ネクストにとってはMTもノーマルACも大差はないのだ。
右背中に装備している、軽量型プラズマキャノンを展開し、左腕のマシンガンで片方の脚を射撃。牽制ついでに脚部を破壊する。もう片方がライフルで射撃してくるが、PAによって完璧に防げる。脚部が破損した方に対してプラズマキャノンを撃ちこめば、ノーマルACの装甲が融解し、あとには鉄屑しか残らない。
次いでもう一機を仕留めるため、すぐさま接近。月光で袈裟斬りをし、黙らせる。
自分達の作戦が失敗した事を悟ったのか、残りの二機もやけくそ気味に出てきた。やはり彼らもライフルで射撃してくるも、こちらの被弾は0。彼らの行いは全くの徒労であった。
《この、化け物がぁ!》
左腕のシールドを捨て、予備兵装だろうか?ハンドガンを装備し、射撃に徹する二機。確かに、ネクストの持つ火力があれば、彼らの持つシールドなど粘土細工も同前なわけで、行いは正しい。だが、だからといってPAを消滅させるだけの火力が彼らにはない。
ライフルもハンドガンも、その連射性を有効活用するには、対ネクストには遠く、当たるのも全射撃中の約2、3割と言ったところ。オーエンのように真っ向から至近距離戦を仕掛けるわけでも、私のように一撃に懸けたわけでもない彼らには、ネクストは倒せない。
片方にQBで急接近し、コアにブレードを突き刺す。そして、その死に体を蹴り飛ばし、もう一機に向けて加速。それもブレードで両断する。
『敵反応消失。作戦終了です。帰投して』
どうやら、レーザー砲台なんかの中にいる敵兵は、私が戦闘している最中にどうにかしたらしい。わずか五分でよく制圧したものだ。いや、もしかしたら全て自作自演なのかもしれないが。だとしたら、レーザー砲台の欠点は言わなくても良さそうだな。
____________
~レイレナード本社 エグザウィル会議室~
「この機体、そしてこの武装。やはり彼女のものなのか?」
「まぁ、まず間違いないでしょう」
「ノーマルなんぞにやられた機体だからと、あの小さな研究コロニーに寄付してやったが…まさか、あのブレードも一緒だとは」
「しかし、ここらで何も聞かないとなると、別にアナトリアの連中は、あの機体がノーマルによって傷つけられたという事は、言いふらしてないらしい」
「そんな邪険にならなくても、アリーヤを宣伝していると思えば」
「兎に角、あの機体を調べてくれ。誰が乗っているのか。何が目的か。どんな装備か。内装まで調べろ。計画の障壁になるようなら、消さねばなるまい」
____________
「くそっ、また負けたか…」
シミュレータマシンから出て、ドリンクを手に取り、喉に流し込む。ネクストにいち早く慣れるため、私とオーエンはネクスト戦を想定したシミュレーションをしていたのだ。
対戦相手はもちろんオーエン。シミュレータを同期する事で、対戦ができるという、なんとも素晴らしい設計になっていた。
しかしながら、流石は元レイヴンのトップ。そう簡単に勝たせてはくれない。というより、彼もフィオナさんも言っていたが、オーエンの軽量機と私の近接機では、あまりにも相性が悪すぎる。
私の機体はプラズマキャノンとマシンガンで牽制、相手の移動方向をこちら側で操作、誘導し、一気に接近してブレードで斬るという戦術が基本なのだ。だが、彼の機体はマシンガン、ライフル、ミサイルを主とした軽量機で、所謂『引き撃ち』というテクニックを用いるのに特化している。
そして、更に相性の悪さを加速させているのが、機体の燃費だ。確かに、ノーマルと比べれば圧倒的に使用できるエネルギー量が増えているネクストだが、QBや、高出力化した武装を見れば分かる通り、消費エネルギー量もまた確実に増加している。
私の『ロレーヌ』は、レイレナード社の標準機『
対して、オーエン-現在リンクスネームではUnknown-の機体『グレイゴースト』は、イクバールの標準機『SARAF』を素体にしているのだが、サラーフは、ネクスト全体で見てもかなり軽量で、機動戦に特化した機体に仕上がっており、特徴として、そのパーツ本体での消費エネルギーの少なさと、高い滞空性能が挙げられるのだ。
つまり、燃費が悪いアリーヤは、高い運動性を持ちながら、地上での戦闘を強いられる機体であり、機動性と滞空性を兼ね備えたサラーフとは噛み合わないのだ。
しかも、相手はあのオーエンときたものだ。勝ち目は無いに等しい。
だが、それで諦める訳にはいかない。今はいいとして、いずれ、イクバール機と戦闘する機会は必ずある。それを前にした時、『相手が相手だ。勝てるはずがない』と思って諦めるのか?いや、それはないだろう。
戦場では何があるか分からない。そして、撤退が許されない時だってある。そんな時、死を覚悟して戦うのはいい。だが、最初から敗けを覚悟して戦うのはおかしい。それは駄目だ。
「すまないが、オーエン。もう一度頼めないか?」
「ん?まぁいいが...次やったら休めよ」
オーエンは見た目に反して優しい。私の訓練には必ず付き合ってくれる。ブレードに関する技術も、彼からだいぶ学んだし、QBを応用した急速旋回法『QT』なるものも彼は編み出したのだ。
とまぁ、とりあえず私達はシミュレータマシンに入り、AMS端子を首元の差し込む口に差し込み、システムを起動させる。
起動した時の一瞬だけ、視界が眩み、吐き気を催すような気分になる。そしてすぐさまそれは回復し、目の前には...砂漠に呑まれた街が広がっていた。どうやら、舞台はアフリカ戦線らしい。
シミュレータで再現できるのは、システムの性能面から、4平方キロメートル範囲までとなっており、そこから出てしまうと、作戦領域から敵前逃亡したと見なされ、自動的に撃破判定が出るという。
そんな機能があるとしても、シミュレーションとしては破格の性能であり、企業連合体に登録しているACのデータ全て入っているという点も、素晴らしいの一言だ。
『さて、準備はできたな』
オーエンからの通信だ。
勿論、私は準備万端である。もう何回も負けているから、そろそろ一勝したいところだ。
「OKだ。じゃあ」
『ああ...いくぞ!』
「『いざ、尋常に-勝負!」』
ちょっと短めですが、シャルルvsオーエンが予想以上に長くなりそうだったので…
次回は模擬戦と、もう一つ何か書ければいいなって