妖精と呼ばれた傭兵   作:vitman

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先月のシフトより少な目でお願いしますと言ったら、いきなり四分の一まで減らされちゃいました。限度ってものを知らないんですかね…

さてそれより、ついにメタルウルフカオスがHDリマスターで出ますね!その調子で初代ACとかもしてほしいですが…新作忍者ゲーも頑張ってほしいですし…まぁ要するに、フロムってすげー(小並感)


大粛清

マグリブ最後のネクストをシャルルが相手にしている最中、アナトリア・コロニーは別のマグリブの部隊から攻撃を受けていた。いや、受けそうであったというのが正しいだろう。

その部隊は欠片も残さず、また、アナトリアに指一本触れることなく全滅してしまったのだから。『Unknown』の手によって。

 

GAEから受けていた任務をオーエンが達成した後、すぐに仕掛けられた攻撃は、しかし成功する事はなく、むしろ事実上のマグリブ解放戦線壊滅を決定させたものになった。

また、同じくマグリブ解放戦線所属のリンクス、ススは、アナトリア・コロニーへの移動中に、アナトリア所属のリンクス『シャルル』の機体が格納されている輸送機を発見、攻撃。したのだが、こちらも返り討ちにあってしまった。

全ての所属リンクス及びネクストと、事実上全ての実働部隊を失ったマグリブ解放戦線は、もはやアナトリアを襲撃するどころか、小さな街すら襲えるかどうか怪しい状態になり、維持する事すら厳しいものとなった。

 

「はぁ。多額の投資をしたのにも関わらずコレとは…結局は烏合の衆であったか」

 

「インテリオル・ユニオンとの陣取り合戦、危険域に達したアナトリアの処理。どちらも中途半端以下に終わるというのは、些か予想外だった…これなら、アマジークを我々で引き抜いた方が早かったのでは?」

 

「彼の戦闘スタイルは、我が社のネクストとは合わないだろう。それこそ、インテリオルの処理という、イクバールとの共通目的が無ければこの段階すら到達していないはず」

 

延々と形ばかりの会議を続けるのは、GA社の幹部達。勿論議題はマグリブ解放戦線についてであった。

GA社はマグリブに経済面、物資面での協力体制をとっていた。というより、マグリブという組織自体が、GA社が作ったものと言っても過言ではなかった。

反対勢力の存在を知った彼ら企業は、それぞれ対策をとっていた。人道的な面で言うなら、最も良い対策をしていたのはレイレナード社であり、最も非道であったのは、アルドラを除いたインテリオル・ユニオンを構成する二つの企業とアクアビットだろう。

レイレナードはその見た目とは裏腹にかなり平和的で、反体制派の殆どを自社の構成員とすることにすら成功した。一説によれば、所属リンクス達によるゲリラライブ活動が実を結んだとかなんとか。

逆にインテリオルやアクアビットは容赦がなく、片っ端から反体制派の人間を捕らえ、それをAMS被験体として“活用”したという。

 

そしてGA社は、そんな対応の中でも真ん中…よりもちょっと非道寄りで、彼らを戦力として扱ったのだった。勿論、都合のいいように。反体制派の勢力にエージェントを送り込み、マグリブ解放戦線として結束させ、インテリオル・ユニオンに対して攻撃を仕掛けるように仕向けた。

 

「まぁこれもすでに過ぎた事にすぎない。次の議題はなんだったかね」

 

「この間のGAEへの粛清は、どうなったのか?だったかな?」

 

「おおぅ、そうだったそうだった」

 

GA社は子会社として、ヨーロッパの方にGAE社を持っている。が、どうも彼らはコジマ技術欲しさに、GA社と敵対関係にあるアクアビット社と接触しているらしいのだ。本社としては、望ましくないものなだけに放っておくわけにはいかなかった。

そんな彼らは、二度に渡り攻撃を仕掛けた。もちろん表面上はGAと何ら関係がないように装って。ノーマルや大型兵器などをふんだんに使った作戦で、ある程度の規模の工場を襲撃し、アクアビットから貰ったものなどを破壊する事を目的にしていた。GAE自体にいるネクスト戦力は本当に少ないもので、練度も低い。この数で攻めれば勝算は十分にあった。

 

「で、成功したのかね?残骸などは回収したんだろうな?」

 

だから、かなりの自信を持って、この作戦を発案した幹部の一人は聞いた。彼は満面の笑みで、良い報告を聞く気満々であった。が、それに対して報告する者の顔は、かなり暗い。

 

「それですが…失敗しました」

 

たった一言であったが、報告した者のそのたった一言だけで、会議室はざわめいた。各々が隣の席の人と意見を交わし合い、なんで失敗したかの予測をしていた。

自信を持っていただけあって、人一倍衝撃が強かったのだろう、発案した幹部は少し青ざめた様子で、信じられないという顔で聞いた。

 

「なんだと?奴らのネクスト戦力が予想以上だったのか?それとも、単純にパワー負けしたか?」

 

概ね、会議室内の人々が考えていたのもそれだった。GAEの保有するネクストが意外に強かったのなら、ネクストがやはり強大な戦力であることを再確認するだけで済んだし、結局ネクストをぶつけるしかないと考えるだけで済んだ。

問題は単純な部隊の練度不足の方で、もし仮にそうだとすれば、精鋭と呼ばれる部隊全ての見直しを図らないといけない。

 

「いえ、どちらでもございません」

 

更に彼らは驚いた。それ以外の要因というのが、中々思いつかなかったからだ。

だが次の言葉で、彼ら全員は更に更に驚くとともに、深く納得し、後悔する。彼らは侮っていたのだ。

 

「原因はアナトリアのリンクスです」

 

自分達で見つけた、強力な二人の傭兵リンクスの事を

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

『今回の依頼は、GAEの拠点であるハイダ工廠の襲撃です』

 

フィオナさんが提示した、今回の依頼というものは、控えめに言って異常だった。なにしろ、GAからGAEへの攻撃依頼である。自らの子会社をわざわざ襲撃させるなんて、一体何のメリットがあるのだろうか。

 

『攻撃目標は、敵通常戦力ですが、最優先目標として建造中の巨大兵器が指定されています。また、相手もネクスト戦力を用意している可能性が高く、接触した場合は排除しても構わないとのことです』

 

ますます訳が分からない。自分達の兵器を自分達で破壊し、貴重なネクスト戦力すら捨てる。異常なほど、今回の依頼をGAは重く見ているのだろう。考えられる線は…機密情報の漏洩か、はたまた研究員の亡命か。もしくはその両方か。

 

『それと今回は、二人揃って出撃よ。頑張って!』

 

二人揃って、ということはつまり、オーエンとの共同任務ってことだろう。成功率が跳ね上がるのを感じた。

気になるのは、二人のリンクスを要する依頼なのかということ。普通に考えれば、やはり成功率確保のためだろうが、難易度だけで私達両方を使うわけではない気がする。なんていうか、相手に雇われないためにわざと雇ったような、そんな気が。

 

作戦は単純明快だった。正面からGAEの工場を襲撃し、内部に侵入。目標を発見次第破壊するという、作戦と呼べるかどうか怪しいもの。ちなみに、侵入経路は作戦開始直前にGAの航空機部隊が確保してくれるそうだ。おそらく、ゲートでも破壊しておいてくれるのだろう。無駄に警戒させるのと引き換えにだが。

まぁ、侵入する前に扉を破壊してくれるというのは、弾薬を無駄に使わなくていいという事なので、嬉しい事ではあるが、対空砲火が激しくなるのはそう喜べることでもない。発動している間は、無類の防御力を誇るPAも無限に使える万能兵器ではないのだから。そういうわけで、対空レーザーやレールガンなどは基本的に機動力で避けることになるだろう。

武装も変更しておいた。ついこの間はGAEの工場を防衛する側だったがために、構造はそこそこ知っていた。狭い通路がアリの巣状にいくつもある形で、お世辞にもネクストが戦闘するのに十分な広さだとは言えない。事実、前回はグレネードの爆風を何回も喰らいながらの戦闘で、傷だらけになってしまった。

そういうわけで、今回は、以前エネルギーの問題で外していたプラズマキャノンを右肩に背負い、左腕のマシンガンもオーメル製の低燃費レーザーライフルに変更した。総じて、狭い場所での戦闘に特化した形になる。が、その代わり更にエネルギーには気を付けないといけないだろう。いざとなれば、ブレードを使わず終始中距離での射撃戦すら頭に入れておく必要がある。

オーエンですら、今回の依頼のためにエネルギー兵装を仕入れていた。彼はハイレーザーライフルを手に入れてちょっと嬉しそうだった。

 

 

 

________________________

 

 

 

 

決行日は大雨だった。朝からずっと降り続いていて、視界は劣悪である。しかし、爆撃機隊は予定通り出撃するらしいので、依頼の延期はなさそうだった。それが幸か不幸か知らないが。

ネクストの頭部に搭載されているカメラは、一部を除いてノーマル以下の性能らしく、特に暗がりでの戦闘は不可能に近い。一応、BFF社の製品は、若干そこらへん優秀らしい。ちなみにアリーヤは所謂近視で、遠距離になればなるほど苦手らしい。BFF社との中距離以上の撃ち合いにはなりたくないものだ。

脱線してしまったが、それは許してほしい。正直言って、今回の依頼はレイヴンからリンクスになって以来の『何が起きてもおかしくない』もので、こうして緊張を解しておきたいのだ。こうして、サンドイッチを食べながら、独り言をぽつぽつ言うのは、案外気分が落ち着くのである。

 

『作戦開始まで、残り5分です』

 

フィオナさんのアナウンスが聞こえたので、食べていたサンドイッチを口に押し込み、続けて水筒に入れておいた紅茶で流し込む。そうしたら、ヘルメットを被り、AMSのプラグを首に差し込み、シートにゆったりと背をもたれる。一瞬、接続時に頭の中身をかき回されるような不快感が襲うが、それをぐっと堪える。

ヘルメットに搭載された網膜投影装置が起動し、ネクストから情報が送られる。残弾数、残り装甲耐久値、コジマ粒子残量などなど。ネクスト本体が起動していないため、視界に直接関わる情報などは無いとはいえ、それでもかなりの情報量である。起動させれば更に数倍になるだろう。

 

一分経ち、降下体勢に入る。輸送機のハッチが開かれる音がすれば、こちらもネクストを起動する。

メインシステムが立ち上がり、AMSによるパイロットコードの認証が行われる。勿論、このロレーヌは私以外に乗れるリンクス等は一人しかいないが。

メインカメラが点き、ネクスト目線での世界が映し出される。暗い格納ブロックの真下に、高所恐怖症なら発狂間違いなしの光景が広がっている。そこをぼんやりと見ていると突然、爆音が後方から聞こえてきて、続けて通信が入った。

 

『ヘイ!山猫!頼りにしてるぜ!』

 

『俺たちは《扉》を開けるだけ。後はお前さんたちの仕事だ』

 

『空の旅を楽しめよ!』

 

四機編隊の爆撃機部隊が4つ。輸送機の後ろから来ていたのだ。巨大な戦略爆撃機ではなく、ジェットエンジンの航空機に爆装しているようだった。

一機一機が口々に私達に声をかけると、それらはもれなくからかうように、輸送機の周りでアクロバット飛行をしながら先に進んだ。

彼らの行動の理由は確実ではないが、十中八九、覚悟するためだろう。自分等の後、どんな奴が仕事をするのか。そいつらは成し遂げるだろうか、と。

そんな彼らを見て、オーエンは「何人が生き残るんだろうな」と呟いた。

 

 

 

 

『作戦開始!爆撃機隊が攻撃を開始しました!』

 

真下を確認すれば、確かに幾つもの光が見える。それは、彼らが仕事を果たした証であり、更には彼らの命が散っていく光でもある。

それを確認した直後、機長から降下の合図が知らされる。ネクストを機に繋ぎ止めていたアームが外され、ロレーヌが重力に従った落下を始める。横にはグレイゴーストもいる。

 

『山猫!聞こえるか?』

 

聞こえている。そう返す前に声の主は返事を待たずに言葉を続ける。

 

『俺たちは役目を果たしたぜ!不本意だが、ここからはあんたらの仕事だ。時代はあんたらにあるみたいだ。それじゃあ、頼んだぞ!』

 

それを境に、彼らの誰とも連絡はつかなくなった。代わりに、地上で大きな光と炎の塊が12個程、ほぼ同時に出来上がった。そこに大きな穴を残して。

私とオーエンは、なにも言わずにペダルを踏み込み、イメージを固め、地上へと突き進む。元の落下速度でも相当なものだが、相手が自分達に気づいてからでは遅いかもしれないのだ。機体を真っ逆さまにして、QBを何回も起こし、まさに音を置いてく速さで落ちる。

 

地上の様子が見える頃には、彼らがあわただしく迎撃準備をしていた。が、出てきたのは対空レーザーでも、機関砲の山でもなく、対空には向いていないバズーカを装備したノーマルだった。

よくよく見れば、爆撃機の残骸がある場所には同じように、対空砲の残骸もあったのだ。

ありがたみを忘れぬよう、更に急いで穴に突入する。速すぎる速度のため、ノーマルのロック速度では間に合わなかったのだろう。一度も発砲すらされなかった。

 

施設内に侵入できた私達は、徐々に速度を落としつつ、下層を目指すことにした。この施設の構造は、見たところ私が以前に来た場所とさして変わらないようで、せいぜい各フロアごとでの配置が違う程度だろう。

そうだとすれば、今いる上層は屋外に対する警備、及び住居ブロックであり、中層は研究施設、下層は格納庫、最下層には核シェルターというような配置になっているだろう。恐らくではあるが、GAEが余程のマヌケでないのなら、既に非戦闘員はシェルターのある最下層に避難しているはずである。心置きなく戦闘するとしよう。

狭い通路を二手に別れて進む。このような施設では、二人別れての捜索の方が効率は良いし、戦闘でもお互いの動きが邪魔にならない。最も、これはお互いが別々に行動して勝手に死なないという信頼がないとできない。

 

この施設の面白いところは、何処かにAC用のエレベーターが存在するところだろう。そのせいで、下層から来る敵機が後を絶たず、無限に湧いてる気にすらなってくる。逆に、そのエレベーターを発見すれば、無理矢理にでもそこに行けるということだ。

エレベーターを探すのは骨が折れる、と思うだろうが、それは間違いである。なにしろ、敵が来ている道を辿ればいいのだ。そうすれば、ほら、ネクストも軽々と入れそうな扉がある。

一応、オーエンとフィオナさんに連絡しておく。

 

「こちらシャルル、エレベーターを発見した。3番エレベーターだ」

 

『こちらUnknown了解。こちらも発見した。7番だ』

 

「警戒しつつ下層へと向かう」

 

そう言いつつ、私は自然と苦笑いしてしまっているのを自覚する。なにせ、最低でも7つのエレベーターが存在するのだ。それなら、この湧いて出てくる敵機体にも納得がいくというもの。

カメラからの情報でエレベーターのハッキングを開始し、認証がなくても動作するよう細工する。パソコンとキーボードによるタイピングがいらないし、CPUによる演算補助があるとはいえ、この手のことについてはほぼド素人に近い私は、中々パスワードが解除できずに難航する。

 

「あーったく、面倒だ!」

 

ついにはハッキングを中断、断念して、右手のブレードを起動した。そうして、その刃をエレベーターの扉に向ける。

 

「開かないなら、開けりゃいいんだろ!」

 

隔壁にも似た分厚い鋼鉄の扉に刃を突き刺し、どこぞの銀河の騎士のように扉を溶かし斬っていく。

丁度ネクストが通れる程度の大きさを切る抜き、蹴破る。頭部のライトを付けて下を見ればエレベーターを支えるワイヤー状のものが幾らか地下へと延びている。どうやら、アタリらしい。再びブレードで斬りつけ、ワイヤーを断ってから、しばらく待って、何も落ちてこない事を確認してから降り始める。エレベーターに潰されるなんて、まっぴらごめんなのだ。

右手を壁の溝に差し込みながら、金属が擦れる音と共に下の層へと降下する。耳障りな音だが、この音に紛れて敵が襲撃してくるとも限らないために、音声をカットする事すら許されない。そんな風に考えていれば、すぐに目的地まで着いてしまった。目の前にあるのは、先ほどのエレベーターと同じ扉。再び溶かして内部に入れば、やっぱり同じ通路ばかりである。

 

「…そろそろ飽きてきたな」

 

さっさと終わらせるためにも、下層に足を踏み入れた。その途端である。

《侵入者が下層、格納ブロックに侵入。ガード部隊は今すぐに鎮圧せよ》

というアナウンスと共に、十数機のノーマルACと思わしき移動音が聞こえてくる。流石にこの数は突破できるものではない。殲滅をするしか進むも退くも難しそうである。ただ、私に残された時間は、どう長く見積もってもあと12分。できれば8分以内でやることは終わらせたい私は、左腕のレーザーライフルと右背のプラズマキャノンを構え、一人目の被害者に向けて進みだした。




最近亀でしたが、次は早めに投稿したいなぁ…バイト日四分の一になっちゃったし
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