繋がる十の世界   作:橘翡翠

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お待たせしました、3話です。
今回から物語の本筋に入っていきます。
楽しんで頂ければ幸いです。


繋がった世界

「乾君、休憩いいよ!」

店内を青年の声が駆け巡る。

「嗚呼、すまねぇがそうさせてもらう」

俺の名前は乾陽炎。喫茶店のバイトを始めた19歳だ。

「1人で大丈夫か?啓人」

俺がそう話しかけたのはこの喫茶店のマスター『菊池啓人』20歳。

年が近いこともあって、話す時はタメ口だ。

「うん。今はお客さんも少ない時間帯だし大丈夫だよ」

啓人は笑顔で返した。

スタッフオンリーの看板を潜り、パイプ椅子にどっかりと座る。

あの戦いのあと、なんとか面接に間に合い、兎に角人手が欲しいという啓人は俺を即合格にした。

なんとか職を手にした俺は生き残ることができた。

働かなけば生き残れない!

「〜♩〜♫」

俺の携帯電話が軽快なリズムを奏でる。電話?誰からだ?

画面を確認すると全く見覚えの無いアドレスだった。

恐る恐る電話に出ると男性の声が聞こえた。

「乾陽炎だな?」

「だったらなんだ…」

「今から私が指定する場所に来い。従わなければお前の住所、電話番号、素顔、勤務先、彼女いない歴をばら撒く」

「おい最後」

しかし、現実問題最後以外の情報をばら撒かれるのは非常にまずい。

「…どこに行けば良い」

「AONの二階、フードコートだ」

そういって男は電話を切った。

あそこは確か爆破事件があって立ち入り禁止の筈…。

「ジーっとしててもドーにもならねぇ…」

啓太に話をつけヘルメットを手にする。

『アタックライド!オートバジン!』

エンジンを蒸し、走り出した。

 

「何やってんだ野上ィ!」

ファミレスの休憩室に店長の怒声が響く。

俺の名は野上闘樹。店長に怒鳴られてる18歳だ。

「ったく、まさか客に出すフライドポテトを7割食べた挙句、逆上して客に手を挙げるとはな…」

よくそれで説教だけで済むなと我ながら思う。

「兎に角お前は今日限りでクビだ」

済まなかった。

店長に引きづられて店の外に投げ捨てられる。

「イッテェ!」

店長に放り投げられた直後、携帯電話が鳴る。

知らないアドレスだ。俺は恐る恐る電話を耳に当てた。

「野上闘樹だな?」

「誰だ」

「今から私が指定する場所に来い。来なければお前の友人の命はない」

「ッ…!」

いや、冷静に考えて…。

「俺友達いないけど」

「えっ…」

「………………………」

「お前の電話番号、住所、素顔をばら撒く」

「言い直すなや」

だがこれだけの情報をばら撒かれたらバイト生活終わるナリ…。

「わかった。どこに行けば良い?」

「AONの2階、フードコートだ」

そういうと電話は切れた。

ヴッ…。あそこを半壊させたのは何を隠そう俺である。そんな場所に赴きたくはない。

『アタックライド!デンバード!』

兎に角行くしかない。俺はバイクに跨りハンドルを握った。

 

指定された場所に着いた俺は、警察の警備を掻い潜り、2階まで上がった。

そこには、俺を含めて9人の男がいた。その中には顔見知りの…

「野上ィ!?」

俺に呼ばれた野上闘樹は目を見開き俺に向かって叫ぶ。

「乾!お前、なんでここに!?」

野上の質問に答える間もなく、1人の少年が姿を現した。

「ディケイドライバーを手にした諸君。良く集まってくれたな」

その言葉に耳を疑う。

俺を含めた9人の男達全員が仮面ライダー?野上も?

混乱してるのは俺だけでなく野上も、他のライダー達も混乱しているようだった。

混乱する俺達をよそに、赤目の少年は言葉を連ねる。

「君達にはこれから殺し合いをしてもらう。最後に残った者は何でも1つ願いを叶えられる」

どよめきがおこる。殺し合い?願いを叶える?つまり…

「『仮面ライダー龍騎』の『ライダーバトル』か…」

俺の言葉に少年が反応する。

「その通り!それじゃ頑張ってよ!ライダーバトル…」

そう言うと少年は白い靄に包まれて消えてしまった。

静寂が訪れる。耳が痛い程の静寂が。

やがて1人の男が腰にディケイドライバーを巻いた。

「変身!」

『カメンライド!キバ!』

無数の蝙蝠が男を包む。

紅く輝く鎧のヴァンパイア。

「『仮面ライダーキバ』だ!最初の犠牲者はお前だ!」

声高らかに俺を指差しやがった。

「ちょっと、まっ、待て!」

俺の制止など聞かずキバは殴りかかってくる。

「ちっ!聴く耳持たずか!変身!」

『カメンライド!ファイズ!』

いつの間にか俺たちの周りには野上しか残っていなかった。

「オラよッ!」

手刀を胸部に打ち込む。

後退したキバの顔面に正拳突きを繰り出す。

「噴!」

しかし右手で受け止められ、そのまま右脚で蹴られる。

『ファイナルアタックライド!キキキキバ!』

右脚の鎖が解ける。銀色の鎧が展開し紅い翼となる。

天高く飛び上がり、跳び蹴りの態勢をとる。

「『ダークネスムーンブレイク』!!!」

マズイ!殺られる…!

『ファイナルアタックライド!デデデ電王!』

真紅の刃がキバとぶつかり合い激しく火花を散らす。

「乾!今だ!」

『ファイナルアタックライド!ファファファファイズ!』

右手にパンチ力を増強するナックルが出現する。

跳び上がり右手を突き出す。

「『グランインパクト』ォォォ!」

電王のエクストリームスラッシュと俺のグランインパクトが重なりキバのダークネスムーンブレイクを撃ち破る。

「ガァァッ!」

そのまま壁を破りキバは姿を消した。

俺達は無言で変身を解いた。

これが…ライダーバトル…本気の殺し合い…。

俺達は顔を見合わせ同時に言葉を発する。

「「被害拡大しとるやんけ…」」

フードコートの復旧はまだ先そうだな…

 




お気づきの方もいるかもしれませんが、陽炎のバイト先は全てファイズ本編で乾巧がバイトをしていたとこをモデルにしています。
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