Fate/Grand Order 蔵馬の天狗ともう一人のマスター   作:たぬさん蕎麦

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第0話 その3

数日経って日曜日、朝の10時にチャイムが鳴った。

出てみると、そこに居たのは立香ちゃん。

 

「あの、その……お父さんもお母さんも、今日お仕事で、その……」

 

どうやら、世間は休日にも関わらずこの子の両親は仕事らしい。

学校にも仲のいい友人は少なく、家が近くて構ってもらえそうな俺の所に来たと。

特に予定があったわけでもなく、追い返すのも忍びないため、招き入れて相手をしてあげた。

次の日曜日も、その次の日曜日も。

気が付けば週に二回、三回と来るようになっていて、立香が中学生になる頃には毎日通うようになっていた。

 

「………まぁ、別に良いんだけどよ。」

 

「ん、何が?」

 

「毎日うちに来てるけど、もっとこう、友達と遊んだり、恋人と一緒に居たりとか、無いのか?」

 

「友達は……まぁ今は結構多いけど、恋人とか居ないし、どっちかと言うと狗楽さんと一緒に居るほうが楽しいかな。」

 

「さいで……」

 

こんな感じで立香の口調も軽くなり、まぁ幼さも抜け始めてかなり美人になってきている。

今は俺の家の台所で、自作したエプロンを着て昼食を作っている。

と言うか、昔は使ってなかった部屋が一つ丸々立香の部屋になっていて、着替えだのなんだのどころか家具も置いてあるし、洗面台に行ってみれば、専用のコップと歯ブラシも置いてある。

毎週金曜から日曜に掛けてうちに泊まっているし、聞いた話だと日用雑貨やらなにやらの殆どをこっちに移したらしい。

と言うか俺の家に来る時も、気が付いたら「お邪魔します」ではなく「ただいま」と言うようになっている。

それで良いのか年頃の女の子よ。

 

「お待たせ!オムライス出来たよ!」

 

あれこれ考えていると、立香がオムライスを持ってきた。

料理に関しては俺が教えたのもあって一級品なのは間違いない。

まだ俺の方が上手いし、当分抜かれる予定も無いが、この様子だと成人する頃には大分迫られているかもしれない。

 

「む………70点だな。」

 

「むぅ、どの辺が物足りなかったの?」

 

「卵を火から下ろすのが少し遅かったのか、若干固い。

ケチャップライスも、少しケチャップが多いからか、一部水分が残りすぎているな。

まぁそれでも、舌の肥えた奴でも美味いって喜んで食うだろうさ。」

 

「く……いつか100点って言わせて見せるからね!」

 

「おう、楽しみにしてるよ。」

 

いつもの採点と軽口を叩きつつ食べていると、立香が切り出した。

 

「あ、そうだ、これ渡しておくね。」

 

立香が出したのは、コンクールのチケットだ。それも全日本ジュニアピアノコンクールって奴の最前列だな。

 

「本選会に残ったから、聴きに来てほしいなーって。」

 

「……士郎と桜さんには?」

 

「お父さんもお母さんも仕事仕事で、予選会も聴きに来てくれなかったし。

でも、狗楽さんは時間もあるよね?」

 

「……わかったわかった、聴きに行ってやるから。」

 

そんなにキラキラした目で見るな、眩しいから。

 

「やったぁ!」

 

そう、無邪気に喜ぶ立香。

ピアノねぇ…今でもたまに練習を見たりする程度だってのに、ずいぶんと力をつけたもんだ。

他にも料理も上手くなってるし、通知表を見たらオール5、学業優秀で運動神経も抜群、芸術的なセンスも素晴らしいく、生活態度にも一切の問題が無く、全校生徒の模範ですとまで書かれていた。

先生、この子は家族でない男の家にしょっちゅう泊まりに来るような子ですよ。

 

「あ、あとこっちも見てほしいんだけど……」

 

「……………これは流石に…」

 

「お願い!こっちはお父さんにもお母さんにも先に見せたけど、時間のある日が無いって言われたの!」

 

見せられたプリントに書いてあるのは参観日の案内。

いやこれ俺が行ってもどうにもならないんじゃ……参観日のあとの三者面談とか尚更だろう。

 

「おねがい……」

 

「だぁもうわかった行ってやるから目をウルウルさせてこっち見るな!なんかいたたまれないだろ!」

 

「えへへ♪」

 

まったく、この子はどこでこんな技術を覚えてきたんだか……。

仕方ない、士郎と桜さんにも話を通しておかないとな。

いや多分無駄だと思うけども。立香が俺の家に泊まることに一切の反論をしないどころか、むしろ推奨するような親だし。

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