Fate/Grand Order 蔵馬の天狗ともう一人のマスター   作:たぬさん蕎麦

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第0話 その5

さて、今日は立香のコンクールの日だ。

余程気合いが入ってたのか、案の定呪歌になってたから、逆波長の妖力をぶつけて相殺し、観客に影響が出ないようにする。

多分、全部相殺できたはずだ。人外が二人ほど混ざってて、そいつ等の分は相殺していないが。

 

立香はしっかり金賞を手にしていた。

コンクールも終わり、立香を迎えに行くと……そこには、立香と、一人の女性、例の人外の男二人が居た。

……この人外共、一人は緑色の服を着た胡散臭い男で、もう一人は軽薄なヘタレといった感じの白衣の男。

白衣の方はド級の魔術師、緑の方は……コイツ、悪魔か。

 

「ウチの立香に何の用で?」

 

俺が声を掛けると、はっと驚いたように女性……恐らくは人間レベルの魔術師がこちらを向いた。

 

「……貴方は、彼女の親類の方ですか?」

 

「血はつながってないが、まぁ保護者みたいなもんだ。

で、こっちの質問に答えてもらおうか、魔術師殿?」

 

「そこまで見抜かれたのですね……。」

 

女性はしっかりとこちらに身体を向け、話を続けた。

 

「私はオルガマリー・アニムスフィア、人理継続保障機関フィニス・カルデアの所長です。

本日は、彼女……藤丸立香さんの高い魔術素養を見たため、我々の組織に勧誘をと思い、話をさせていただいてました。」

 

「アニムスフィアってーと、確か魔術の名門だったか。

人理継続保障機関ってのは良くわからねぇが、魔術絡みの活動をしてるって捉えて良いのか?」

 

話が理解できずにオロオロしている立香を手招きで呼び、俺の背後に隠す。

 

「えぇ、その通りです。

詳しくは機密のために話すことは出来ませんが、ノストラダムスの大予言のような事態に対処するための組織だと思ってください。」

 

「で、そこでの活動のために立香を勧誘したいってわけか。

……話にならねぇな。」

 

そう言って、控室の扉に隔離の術式を込めた呪符を投げつけ、それにより控室を完全に隔離する。

これにより、話し声はもちろん、電波や魔術、果ては魔法すら通さない結界が形成される。

まぁ然程堅いわけでもないが、機密を話す分には問題ないだろ。

まぁ、オルガマリーと人外二人は驚愕に顔を歪めていたが。

 

「さて、魔術絡みの組織が、立香の才能で欲する所っつったら……まぁ妖術や呪歌って線も無くは無いだろうが、十中八九英霊使役の適正の方だろうな。」

 

「な……知っているのですか?」

 

「そりゃあそうだ、俺は何時だったかの、冬木で行われた聖杯戦争……遠坂家とアインツベルン家が参戦していた上、無銘の英霊まで参加していたアレを見ていたからな。

あぁ、佐々木小次郎の奴も英霊として召喚されていたか。

まぁそれはどうでも良いが、立香にはその英霊を使役するだけの才能がある。

それも、一人で複数の英霊すら使役出来るほどの……冬木の聖杯戦争のアインツベルンの娘のように、一人でヘラクレスを召喚、使役してなお有り余るほどだ。

英霊の力を必要としているのであれば、飛びつかない理由がない。」

 

「……彼女のポテンシャルがそれほどまでとは思っていませんでしたが、その通りです。

私たちは、彼女のその才能を欲しています。」

 

「まぁ、俺はその才能を埋めたままにしておきたいんでな。」

 

「何故ですか? 彼女の才能があれば、それこそ一流の魔術師となる事だって可能です。」

 

「だからだよ。 俺の庇護下にある立香をそんな危険な世界に関わらせられるかって事だ。

幸い、立香の才能は魔術絡みを除いても、多方向にぬきんでているからな、わざわざ危険な目に遭わせる理由がない。」

 

「……我々は、近未来を予測する方法を有しています。

それにより、このままでは近いうちに人類史が崩壊してしまう事が確認できているのです。

それを防ぐためにも、彼女のような才能に溢れる人材を必要としているのです。」

 

「知った事か。 それが立香を巻き込んで良い理由にはならん。

第一、そう言った危険に首を突っ込ませないために、魔術や妖術の類は一切教えてなかったんだ。」

 

「人類史が滅びれば、彼女も死んでしまうんですよ!?」

 

「それがどうした、俺の目の届く範囲にさえ居れば、俺が守れる。」

 

「人類史の崩壊がどのような形になるかもわからないのに!」

 

「空間ごと崩れ去るなら隔離結界でも使って小さな世界を作るさ。

強大な魔物が現れるってんなら、英霊のヘラクレス程度なら俺一人で対処できる。

俺を殺したいなら、竜でも悪魔でもグロス単位で持って来い。」

 

「一人でそんな事が出来るわけがないでしょう!?」

 

「出来る。 昔に経験済みだ。

なんなら、お前の後ろの男どもで試してみるか?

一分と掛からず座に帰してやる。」

 

「なっ……二人は人間の魔術師よ!」

 

「そうかい、俺にはそうは見えないが、まあ良いか。」

 

「あぁもう……! どうやら、貴方と話しても無駄なようです。

彼女と直接話して決めてもらう事にしましょう。」

 

「……そうだな、立香がどう思うかは知らないが、本人がどうしてもって言う様なら俺は認めてやる。

ただし、立香の両親の許可を得た上で、実際にその組織に加わるのは高校を卒業してからだ。

それまでは連れていく事は許さん。 俺が最低限の呪術と魔術、及び英霊召喚に関することをしっかり仕込んだ上で送り出す。」

 

「えぇ、それで構いません。幸い、人類史の崩壊まで6年強の猶予があります。

それまでにそちらで鍛錬を積んでもらえるのであれば、こちらとしては何の不都合もありません。

と言うわけで……。」

 

オルガマリーは立香を連れてコソコソと話し始めた。

数分が経過し……

 

「狗楽さん、私魔術師になる!」

 

「はぁ……わぁったよ。」

 

どんな説得をしたのか、立香はすっかり魔術師になる気のようだ。

ったく、6年の間にどこまで仕込めるか……呪術魔術の基本は当然として、最終的には固有結界まで習得させておきたいところだが……。

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