原作では内閣府の人と言う設定ですが本作ではその辺りも変えています。
「菊地原君。内閣府へ行ってくれ」
警察庁で菊地原亜希は直属の上司から突然こう言われた。
亜希が居るのは警察庁警備局公安課である。そこで亜希は課長補佐をしている。
亜希の上司である公安課長はお遣いにでも行かせる様に亜希へ言った。彼女にとっては違う省庁である内閣府への異動はあまり驚くべき事ではない。
内閣府にある政府の安全保障部門である内閣情報調査室や内閣危機管理センターへ警察から出向するのはよくある事だからだ。
亜希もそのどれかに行くのだと思った。
「実は厄介な仕事になりそうなんだ」
上司がこう言うと亜希は警戒心を高める。
上司の普遍なる口調ではどんな厄介事なのか汲み取れない。
警察の中でも公安は外国のスパイや国内の過激派を追い監視する社会の裏側で活動する部門だ。普段から厄介な仕事ばかりをしている。
そんな所であえて言う厄介事はただごとではない。
「最近のX事案は知っているな?」
「はい。俗に言う超常現象的な事件と聞いています」
X事案と公安や警察関係者が口にする事件とは軍服の姫君など被造物と呼ばれる異世界の者達が起こした事件に付けられた名称だ。
被造物同士が戦うのでケンカや私闘の類としていたがさすがに頻繁に起きると無視できなくなった。
目撃証言や防犯カメラの動画から外国人による犯罪とも思えたが対象が空を飛ぶとかビームを放つような現実離れした行動をする為に説明のつかないX事案と呼ばれるようになった。
X事案の事件が東京都内で起きているので警視庁が捜査していると亜希は把握していた。
「そのX事案で自衛隊の武器が使われてしまったようだ。それで代々木の競技場に被害が出てしまってな」
これはメテオラが自衛隊から拝借した01式軽対戦車誘導弾を使い軍服の姫君を攻撃した件だ。
メテオラが発射したミサイルは一部が国立代々木競技場へ着弾して施設に被害が出ていた。
「自衛隊装備の盗難に国立とはいえ一般施設への被害拡大、X事案を政府が主導して解決する事になった。その対策部署の統括官を君に任せたい」
「課長補佐の私にですか?」
亜希は統括官のポジションが自分では不相応ではないかと思った。
政府の部署で統括官となれば自分以上にキャリアを積んだ局長以上の者が相応しいのではないかと。
「X事案はただキャリアを積んだだけでは難しくてな」
上司は亜希へ一冊のファイルを渡した。
「X事案調査報告第22号」と題したファイルを亜希は開く。
そこには防犯カメラや目撃者によって撮影された画像とアニメや漫画のイラストらしい画像が並べて載っている。
亜希は驚く。
そのイラストのキャラクターとカメラで撮影されたX事案の容疑者の姿が凄く似ている。
「これは容疑者がいわゆるコスプレをして犯行をしていると?」
「かもしれない。だが連中の超人的な能力もそのアニメのキャラクターと同じだと分析が出ている。菊地原君はそう言ったのを知っていると聞いたのだが」
上司がそう言うと亜希は全身が凍るような思いになる。
亜希は趣味として読書している。その好む分野としてライトノベルと呼ばれる小説も読んでいた。
時折自宅と庁舎の通勤途中で読む一冊として何冊か鞄に入れて職場に持って来ていた。
(アイツかなあ上司に言ったの)
同じ読書愛好者である同僚にライトノベルも読んでいると告げた事があった。
その読んでいると言った作品はアニメ化もされた作品であった。そこから「アニメみたいな格好をした容疑者」の対策を任せられると思われたのかもしれない。
「詳しくはありませんが」
亜希はそう答えた。
小説は読んでいるがアニメや漫画・ゲームにまで趣味は広がっていない。仕事に追われて他のコンテンツに気が向く暇が無かったからだ。
「キャリアで適切な者だとアニメや漫画には疎いからな。少しでも知っている君なら常識外れでも混乱はしないと私は思っている」
上司はどうやらX事案の対処を柔軟性のある点で亜希を選んでいるようだった。亜希にとっては正当な評価での抜擢なんだと納得できた。
「対策部署の長として内閣危機管理監の槙野さんが兼務する」
「2代前の警視総監ですね」
「そうだ。槙野さんをよく補佐してくれ」
「分かりました」
こうして菊地原亜希は被造物同士の戦いに加わる事となる。
菊地原亜希は内閣府に登庁した。
X事案の対策部署は「特別事態調査室」と名前が定まっていた。
内閣府の庁舎内にはこの「特別事態調査室」の為の部屋が確保されていて「統括調整官室」とされた部屋が亜希に与えられた。
「警察庁総務課から出向して来ました高江聡美です。宜しくお願いします」
統括官となった亜希に部下が付いた。
それが聡美である。亜希と同じく眼鏡をかけていたが童顔の彼女は初々しさを感じさせる。
「これから前例のない大変な仕事になるわ。宜しくね」
亜希は同じ警察庁の人間同士と言う事で優しく応える。
「あの、菊地原さんも趣味が高じて選ばれたんですか?」
聡美が遠慮気味に尋ねる。
「違うわ。貴方はそうなの?」
亜希の答えに聡美は少しがっかりしたようだ。
「はい。私がアニメやゲームは大好きなのを知って課長が選んだそうです」
「私はライトノベルを少し読んでいるのが知られてよ」
亜希は聡美へそういうと聡美は希望の糸を掴んだかのように喜ぶ。
「どの作品を読んでいるんですか?」
「少し古い作品よ」と言うと作品名を答えた。
「あ~懐かしいですね。私も読んでましたよ。アニメも見ましたし」
まさに水を得た魚の如く亜希が読んだラノベについて語る。
ああこれがオタクなのかと亜希は未知を知った。
高江聡美は原作には登場しないキャラなんですが、菊地原さんには秘書というか補佐役は必要だろうと思いオリキャラをこの作品で登場させています。