今回はアニメ第5話Aパート終わりの部分である自衛隊の中乃鐘邸突入の部分をgrんばの自衛隊側から見た話です。
「サクラ1よりシラカバ送れ」
「シラカバ受信」
「サクラの配置完了せり」
中乃鐘の自宅周辺に陸上自衛隊の特殊部隊である特殊作戦群の隊員が包囲の形で展開を完了した。
隊員が手に持つHK-416小銃は中乃鐘の自宅に向け構えられている。
「シラカバよりサクラへ。別命あるまで待機」
「サクラ了解」
特殊作戦群は総理の作戦許可が下るまでしばし待つ事になった。
現場で指揮を執る真垣三等陸佐は暗視装置越しに対象となる中乃鐘宅を見つめる。
電気が点いている以外何も変化は無い。
だがあの家の中には人知を超えた能力を持つ人間が居るらしい。
「危険性を除去すべく身柄を確保する」
特殊作戦群の群長から聞かされた作戦内容はどこか掴みどころが無かった。
専守防衛の自衛隊にあって「危険がある」として先制攻撃のような手段に出るのは珍しいと言える。
相手の顔や名前は知らされず、「この住宅に集まる者達は特殊な人間離れした能力を持つ」としか教えられていない。
何者が居るか不気味でならない。
「見張りやセンサーは確認できません」
中乃鐘邸を偵察している隊員から報告が入る。
真垣は不思議に思う。
自分達のような特殊部隊が出動するような事をしている連中が潜んでいるにしては警戒心が低過ぎる。
ますますあの家に潜む何者かが不気味に思えた。
「戦車や野戦特科を中心にした火力部隊も展開するが我々で制圧し事態を早期に終結させる」
群長は目的を更にこう述べた。
何者が居るか不明だが明確な侵略行動があると国民に知らせないまま自衛隊が実弾を撃つ戦闘を繰り広げられば野党やマスコミのみならず世論も紛糾する。
政権が倒れるだけではなく自衛隊の置かれる状況にも影響するだろう。
だからこそ特殊部隊により密かに事態を終わらせる必要があるのだ。
「シラカバよりサクラ1へ送れ」
「サクラ1受信」
「作戦開始」
「サクラ1了解送れ」
真垣はようやく下った作戦開始の命令を受け取る。
「サクラ1より各員へ。突入する」
真垣の指示が下ると事前の計画通りに隊員達は動く。
HK416を構え周囲を警戒しつつ夜の暗い空間を前進する。
真垣は作戦が展開している様子を見守る。
気配を消しながら速足で前進する。その視界は装着した暗視装置により暗い夜でありながら緑色のクリアな視界で見る事ができる。
センサーや見張りも居ない。普通の人間相手なら楽に突入して奇襲を成功させられるだろう。
だが目標が特殊な人間離れした能力を持つならこうして近づいているのを察知しているのかもしれない。
しかし迷う暇はない。
別行動の隊員により中乃鐘宅への送電を止め灯りが消された。
突然の暗闇で驚いている隙に突入する。行くしかない。
先行している隊員が放り込んだ音響閃光弾がカメラのフラッシュのような眩い光と高音を発した。
これで目標の視界と聴力を奪う。
「突入!」
隊員達は中乃鐘宅の窓や戸を蹴破り侵入する。
真垣は作戦の様子をより見る為に三脚で固定したカメラのような機材である近距離暗視装置JGVS-V7を使う。
無線には隊員の突入に混乱する目標らしき声も聞こえる。
「確保!目標を確保!」
誰かを拘束した通信も入る一方で「セレジア!殺してはいけない!」「分かっている!」と若い女らしい声が聞こえる。
その女の声の方向を見ると長い髪の女が剣らしき物を振り回し隊員の銃を斬りまたは刀の柄を当てて昏倒させている。
またもう一人の髪の短い背の低い女は透明な盾みたいな物で隊員の拘束を防ぎなおかつ盾を押して隊員を倒している。
「もう目標の1人を発見するも抵抗している」
別の部屋に突入した隊員が通信を送って来た。
目の前と別室の戦闘の状況はまさに苦戦している。格闘戦による拘束をしようとして銃撃を禁じているとはいえ特殊部隊の隊員がここまで手こずるとは真垣でも信じられなかった。
「至急!至急!巨大駆動体が動いた!離陸した!」
無線に割り込む緊急電はあの巨大な物体(ギガスマキナ)が動いたと伝える。
まさかアレが来るのかと真垣が新たな脅威を感じたと同時に目の前にその巨大な物体が降って来るように現れた。
「第3小隊、誘導弾用意!」
真垣は軽装甲機動車で待機していた第3小隊を呼び出す。その第3小隊は01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)を持っている。
巨大駆動体対策で一応持ち込んだ軽MATだがこれだけでは心細い。
「サクラ1よりハンター1へ支援求む。送れ」
真垣は上空待機していたAH-1対戦車攻撃ヘリの小隊を呼び出す。
もはや隠密に事を収める段階では無くなった。
巨大駆動体が敵として現れた事でミサイルでも砲弾でも使うしかない。
しかし真垣は「撃て」とは命じられなかった。
何故なら巨大駆動体が中乃鐘宅を持ち上げその掌にあるからだ。
中に居る隊員や被造物の関係者である一般人を巻き込んで撃つ事はできない。撃つ構えを見せて威嚇するのが精いっぱいだ。
「静まりなさい!私達は抵抗しない!」
鋭い女の声が無線に入る。
どうやらこれ以上の抵抗は無いようだが真垣は気を緩めない。
この状況から変わらなければ銃もミサイルも降ろせない。
「停止を!」
同じ女の声でそう強く言うと巨大駆動体は両手で中乃鐘宅を元の位置へ戻し動きを止めた。
「サクラ1より各隊へ。射撃待て」
真垣は目標が矛を収めたと見えた。
それでも緊張に張り詰めた状況だ。真垣は自ら目標の所へ出向く事にした。
突入した隊員も緊張で頭が働かないだろう。
ならば自分が状況説明をするしない。真垣は「銃降ろせ!」と隊員に呼びかけながらセレジアやメテオラらの所へ歩いて行く。