Fate/abundant colors   作:パンda

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説明回って読むのは好きだけど、書くのは難しい………


2.サーヴァント

「確認するけど、あなた、サーヴァントについて、どれだけ理解してるの?」

街を散策中、所長は話しかけてきた。

 

「使い魔のこと、ですよね?」

「…それだけ?」

「あ、あと凄く強い?」

「ちょっとロマニ! こいつサーヴァントのこと全然分かってないじゃない!!

貴方、ちゃんと説明したの!?」

『す、すみません所長! なにせ時間が無くって…

 

コホン、藤丸君。サーヴァントが使い魔だって言うのはさっき言ったと思うけど、本来であれば彼らはその程度の枠組みで収まる者ではないんだ』

「そんなに凄いんですか?」

 

『結論から言ってしまうとね。彼らの正体は英霊と呼ばれるもの。

 

あらゆる時代に存在する偉人・英雄の魂を人が使えるように形作ったものがサーヴァントなんだ』

 

「英雄…」

 

『アーサー王やヘラクレスっていうのは、君でも知っているだろう?』

 

「そ、そんな存在、人に扱えるものなんですか?」

 

なんか、恐れ多くて手出しできないんだが…。

 

『うん、君の疑念はもっともだ。

だがサーヴァントは基本的には霊体……この世には実体の無いものだから、現世に存在するためには、マスターという楔が必要なのさ。

右手を見てみて』

 

確認すると、赤い刺青のような模様が右手に刻まれていた。

 

「これは?」

『これは令呪。サーヴァントを縛る絶対命令権だ。サーヴァントの中には、マスターに反逆する意思のある英霊だっているからね。

 

令呪は3回のみ英霊に対し、自由に命令できる手綱のようなものだ。まぁ、逆に一時的なブーストや転移にも使えるけど…それは追々ね。

 

サーヴァントにはそれぞれ兵種が存在し、基本各クラス名で呼ばれる。

 

セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー

 

クラス名で呼ぶのは、その英霊の真名が暴かれるのを防ぐためだね。

真名が分かってしまえば、その英霊がどれ程の強さか、どんな特徴を持っているのか、弱点は何か、と対策を打たれてしまうからね』

 

「そして、これらサーヴァントシステム、フェイトを編み出したのが私たちオルガマリー家というわけ。

それがどれ程の大偉業か分かったかしら?」

ふふん、と所長はしたり顔でこちらを見る。

「じゃあマシュも、そのクラスの内のどれかってこと?」

『いや、マシュは7つのクラスのどれにも当て嵌まらないエクストラクラスだね。

サーヴァントの中には、時折そのように例外が存在するんだ。

 

…とまぁここまでが、ざっくりとしたサーヴァントの説明かな』

 

「ドクター、1番重要なものを忘れています。宝具についての説明がまだです」

 

『おっと、そうだったね。

宝具っていうのは、サーヴァントの切り札のことだ。

その英霊を英霊たらしめる、最大の特徴。ノウブルアーツ。

アーサー王のエクスカリバーと言えば分かるかな?』

 

「え、じゃあマシュも、そんな必殺技を持っているのか!?」

 

格好いいの出せるのか!?

 

ビームとか!?

 

「い、いえ。私はシールダー。盾を持った兵士なのでビームは出ないかと」

「露骨に食いついたわね、こいつ…」

『ははは、そりゃあビームは男のロマンだからね』

「すみません。それに私は宝具を扱えるほど、英霊の力を引き出せていません。

私に力を託した英霊は、真名を告げる暇も無かったので、彼がどんな宝具を使えるのかも分かりません。

持っているのはこの盾だけでした」

『それは今後の課題かな。

まぁ盾持ちの英雄なんて、そうは居ない。いずれ分かるときが来るだろう。

 

カルデアのもう一つの実験、レイシフトについては、説明する必要は無いかな。

藤丸君も所長の説明を聞いて―――』

 

話す途中、ロマンはぴた、と話すのを止めた。

 

「どうしたの。ロマニ? 話を続けなさいよ」

 

所長は笑顔でロマンに詰め寄る。

 

「そう言えば、一人、私が話している間に居眠りしている人がいたわねぇ。

誰だったかしら?」

 

『あ、あはは…』

 

「え。誰ですか? そんな非常識な人いましたっけ?」

「アンタのことよ! アンタの!!」

ですよねー。

 

「だ、大丈夫ですよ。意識は朦朧としてましたがレイシフトについては何となく分かります。

要はタイムスリップでしょ?」

「…随分簡単に言ってくれるわね。

レイシフトの目的は、人類史に歪んだ影響を与える特異点の排除。

これを取り除かなければ、我々人類の未来は無いと言っていいのよ」

 

『今回シフトしたのは2004年の冬木。

この街では聖杯戦争が行われていたみたいだね』

 

「聖杯戦争?」

 

『万能の杯、聖杯を巡っての魔術師同士の戦争のことさ。

7人のマスター、7体のサーヴァントを使って最後の一人になるまで行われる生存競争。

 

カルデアの英霊召喚システムも、元はこの聖杯戦争から持ってきたものなんだ』

 

「日本でそんなことやってたんですか」

全然覚えがないな。

 

『一般人には知られないように、情報は秘匿されていたからね。

知らないのも無理はないさ』

 

「でも、2004年にこんな大火災があったっていう話は、聞いたこと無いんですけど…」

街一つ焼け野原になれば、隠しようがないだろうし。

 

「それが、特異点化の原因なのでしょうね。

何が起こったかは分からないけど、この2004年の聖杯戦争に何かが介入し、私たちの知る正しい歴史ではなくなった」

 

『記録では、セイバーの陣営が聖杯戦争の勝者となったみたいだね。

 

おっと、みんな話の途中だが敵性反応だ。

大丈夫、3度目となれば、多少不安はあっても問題はな―――』

 

ロマンは再び、話すのを止めた。

 

「ドクター。どうしました?」

 

『……まずいな、完全に失念していた。

みんな、急いでここから離れるんだ。これは今までの比じゃない』

「な、なによ。何が来るってのよ?」

 

『サーヴァントだ! この近くにサーヴァントがいる!!

…迂闊だった。ここでは聖杯戦争の真っ只中だったんだ。

 

流石にサーヴァント相手だと、戦闘経験の乏しいマシュでは厳しい!』

「は、離れろって言ったって、どこに行けばいいのよ!?」

 

『さっきのサークルを置いた場所に戻ってくれ! あそこならこちらの拠点だし、向こうもそう簡単には―――』

 

 

「―――いいえ。あなた方はもう、私に捕らえられているのですよ」

 

 

上から、冷たい声が聞こえた。




次回はバトル回です
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