Fate/abundant colors   作:パンda

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いやぁ、クリスマスは強敵ばかりでしたね

結局、箱も60ぐらいが限界だったよ……

なんで皆100箱いけるんだよ……


5.突破

「む―――」

 

橋の向こう側、深山町と呼ばれている街にそびえ立つ一つのビル。

そのビルの屋上から、狙撃手は橋を見下ろしていた。

 

「あれは―――」

 

橋の上にいるのは二人の人物。カルデアのマスターである少年と、そのサーヴァントである少女のみだ。

 

先程、彼らとキャスターを含めた四名がこの橋に来ていたので。アーチャーは狙撃した。

……まさか、防がれるとは思ってはいなかったが。

 

(花の魔術師め、まさかあの宝具にそんな使い方があったとは……おとなしく塔の中にいればいいものを)

 

アーチャーは軽く毒づく。

 

「だが、正面突破とは芸のない」

 

いつの間にか、彼の手元には弓と矢が携わっている。

その弓を構え、橋の上にいる彼らに狙いを定めた。

 

おおかた、矢を一度防いだ後、次弾までのインターバルでキャスターをこちらに向け、撃破を狙っているのだろう。

 

だが、遅い。いかにクランの猛犬と言えど、今の彼は魔術師。

転移の魔術も使えず、得意の俊敏さも十分に生かしきれないようでは、こちらを仕留めるなど不可能であろう。

 

「ふ―――!」

 

魔力を込め、矢を放つ。

 

音速を超える弾丸は狙い通りの場所に行き―――

 

彼女の盾によって防がれた。

 

そして予想通り、霊体化していたのか、サーヴァントが後ろに現れる。

 

 

「―――なに?」

 

 

だが、それはキャスターではなかった。

 

 

   ◇     ◇

 

 

「マシュ! 来たぞ、二時の方向!」

 

「はい! 宝具、展開します!」

 

マシュが出した宝具で、アーチャーの弓を受ける。

 

「アーチャーからの狙撃、防御に成功しました!」

「よし、後は―――」

 

 

「私の出番、ということですね。いいでしょう」

 

 

彼女が姿を現す。

 

「それでは、飛ばします。落とされないよう、しっかり捕まっていなさい、キャスター」

『はっ、言ってろ』

 

彼女は体を低く構え、目の前に魔法陣のようなモノが展開された。

色は血のように赤く、そこから、大きな眼が現れる。

 

そう、これこそが彼女の宝具―――

 

 

騎英の(ベルレ)――――――手綱(フォーン)!!!」

 

 

 

   ◇     ◇

 

 

―――30分前。

 

召喚されたのは、見たことがある姿の英霊だった。

 

「……まさか、召喚されたのが貴方なんてね。メドゥーサ」

 

「どうやら、先ほどは別の私が世話になったようですね。ですが、今の私は貴方がたのサーヴァント。貴方がたと戦った存在とは別の者だと思って下さい」

 

そう言えば格好も変わってるな。

 

ランサーの時の彼女はフードを被っていたが、目の前の彼女は際どい所で隠している、ぴっちりとしたボディスーツだ。顔もバイザーで隠されている。

 

「メドゥーサさん。あなたのクラスは何になるのでしょう。ランサーでは、無いのですよね?」

 

「ああ、その女のクラスはライダーだ」

 

そばにいたキャスターが代わりに答えた。

 

「あなたは…そうですか。あなたも別のクラスで召喚されている、と言うことですか」

 

「おう、何でか知らんがご覧の通りキャスターだ。

ったく、何で杖持って戦わなきゃならねぇんだか……あー、槍が欲しい」

 

『おや? 二人は知り合いだったのかい?』

 

ロマンが尋ねる。

 

「ま、ちょっと別の戦いで縁があってね……。

それよりもだ、ライダーを引いたのは幸先が良いぜ、坊主」

「え?」

 

「ライダーは機動力に優れたサーヴァントだ。おまけにこの女の宝具なら、アーチャーの狙撃を突破できる」

 

 

   ◇     ◇

 

 

騎英の(ベルレ)――――――手綱(フォーン)!!!」

 

彼女が宝具を展開すると、魔法陣からナニカが出てきた。

白く輝くそれは、橋を抜け、ビルまで一直線に飛んでいく。

 

「ああ」

 

それを見て、空を翔る彗星みたいだな、と場違いにも思ってしまった。

 

「ちょっと。なにボサっとしてるのよ! 早くいくわよ!」

 

「あ、はい」

 

物陰に隠れていた所長が顔を出し、叱りつける。

 

「行きましょう、先輩。目指す場所は柳洞寺の地下、大空洞です」

 

   ◇     ◇

 

「チィ――――――!!!」

 

彼女の宝具がこちらに向かってくる時には、既にアーチャーはビルから飛び降りていた。

 

「まさか、彼女を喚んでいたとはな……!」

 

落下しながら上を見上げると、白い彗星がビルの屋上に突っ込んでいた。

結果、屋上はおろか、ビルの上部が丸ごと吹っ飛ぶ。

 

地上に着地、もう一度弓矢を顕現させ、上空にいるライダーに向けて矢を放とうと構えるが、

 

 

「よう、追いついたぜ。アーチャー」

「!」

 

 

放たれる炎を間一髪で躱す。

 

「はっ、狙撃手が標的に近づかれちゃ世話ねぇな。腕鈍ったかい?」

 

「そういう君はキャスタークラスの分際で、獣のように接近戦を好むようだな。槍はどこに置いてきた?」

 

上を見ると、ライダーの姿は消えていた。

今の宝具は攻撃する為ではなく、キャスターを移動させるための手段だったということか。

 

「黒化しても、減らず口は相変わらず、か。

 

いいぜ、それじゃあいつもの様に、殺しあいますかね――――――!」

 

 

   ◇     ◇

 

 

「はぁ……はぁ…」

「ご無事ですか? マスター」

 

走って橋を渡り終えた頃。上空からライダーの声が聞こえた。

 

ライダーが乗っているのは、白き天馬。ペガサスと呼ばれる伝説上の生物。

 

さっきの宝具の正体はそれか。

 

―――曰く、彼女の首から流れる血で、その天馬は生まれたと―――

 

「キャスターは?」

「彼は今、アーチャーと交戦中です。私たちはその間にセイバーを討ちましょう」

「キャスターを待った方が良くない?」

「……彼が必ず勝つとは断言できません。セイバーと戦闘時、はさみうちにならないためにも我々は先に行くべきかと」

 

ばさ、と翼の動きを抑え、ライダーは地上に降りる。

 

「乗って下さい、マスター。この子なら数分とかからず柳洞寺にたどり着けます」

「え、乗っていいの?」

 

アニメとかで見たことあるけど、まさか自分がペガサスに乗れるとは。

ちょっとわくわくしてしまう。

 

じゃあ失礼して、と天馬の後ろに回る。

 

「あ、すいません。ひとつ言い忘れましたが……」

 

 

ドゴッ!!

 

 

「ごふっ!!」

 

「……この子は、後ろに回られると、蹴ります」

 

「い……言うの、遅い……………ガク」

「先輩!? せんぱーい!!」

「何やってんのよアンタ……」

 

 

   ◇     ◇

 

 

「うう……まだ頭がぐらぐらする…」

「大丈夫ですか、先輩? かなりのスピードで飛んでましたし……」

「少し休憩しましょう。ドクター、彼のバイタルちゃんとチェックしている?」

『え? ああ、はい。そうか、二度にわたる契約に、サーヴァントの召喚、そして宝具。

カルデアの支援があるとはいえ、魔術回路(しんけい)がフル稼働され、脳に負担をかけている。このままだとすぐに倒れてもおかしくない』

 

柳洞寺と呼ばれる寺院の地下、大空洞の中で俺達は腰を落ち着けていた。

 

「ドライフルーツを隠し持っているとは、所長の周到さには舌を巻きます」

「たまたま所持していただけよ。頭痛には、柑橘系がいいのよ」

「メドゥーサさんもお一つどうでしょう?」

「いえ、サーヴァントは基本食事を必要としませんので…」

「まあそう言いなさんなって、ほら、一杯」

蜂蜜が入った紅茶のコップを差し出す。

「は、はあ。どうも……」

 

「………」

「どうしました? 所長も飲みます?」

「私は一杯で充分よ! それと紅茶より珈琲派だと覚えておきなさい!

い、いえ、そうじゃなくて!」

コホンと所長はひとつ咳ばらいをした。

「こ、ここまでの働きは及第点です。カルデア所長として、あなたの功績を認めます」

「……え」

「フン、なによその顔は」

『おや、所長が他人を認めるとは。これはもしや、所長のにもようやく心の雪解けが?』

「バ、バカ言わないで! 本人が頑張ってるのに失敗したら可哀想じゃない!」

『いやぁ、いつ見てもいいですね、少年少女の交流。所長は少女という割にはアレですが』

「そうでしょうか。所長は確かに年上ですが、趣味趣向は大変近しいものを感じます」

「何言ってるのよ! アンタたちなんて私の道具に決まってるでしょう!」

 

「………」

「どうしたの? ライダー」

傍目から見ているライダーに向けて話しかける。どうやら所長の様子を伺っているようだ。

 

「いえ……。少し、美味しそうだなと思いまして」

 

「!?」

「少女と呼ばれる年齢でなくても、まだまだイケます。舌触りは少し悪くなっているかもしれませんが、その分コクがあるといいのですが……」

「………」

 

な、なんの話だろう……。

 

 

   ◇     ◇

 

 

「最後に確認しましょう。この洞窟の奥にいるサーヴァント、セイバーの撃破。それが今回の特異点における、私たちの最終目的よ」

『セイバーは最優のサーヴァントと呼ばれている。加えてキャスターの話によれば、その宝具は―――』

 

「エクスカリバー……王の剣。星が生み出した神造兵器。それを扱えるサーヴァントはこの世で一人だけ」

 

「ブリテンの王、アーサー王。……間違いなく、今まで戦ってきた中で最強の敵でしょうね」

 

「戦略はどうする?」

「攻撃は私がつとめます。マシュ、あなたはセイバーが攻撃してきた際に前に出て防御を」

「あ、はい!」

「それと、セイバーは魔力放出で攻撃にブーストをかけています。油断していると吹き飛ぶのでお気を付けて」

「……わたしに、防げるでしょうか。音に聞こえたアーサー王の聖剣が」

「それは大丈夫かと。おそらくですが、あなたとセイバーの相性はかなりいい。あなたの盾ならば聖剣は耐えきれます。

あなたの宝具は攻撃するものではなく、守るためのもの。そのことを努々お忘れなく」

「はい……行きましょう。先輩」

「ああ」

 

奥まで行くと、広いところについた。

ここが終着点―――

 

「これが大聖杯…超抜級の魔術炉心じゃない…なんでこんなものが、極東の島国に…」

『資料によると、アインツベルンという錬金術の大家が制作したそうです』

 

「先輩! あの奥にいる人物が―――!」

 

「―――」

 

いた。

 

魔術を詳しく知らない俺でもあの異様さは分かる。

見た目は小さい体だが、その周りから放たれるオーラは体格の比ではない。

ぐにゃりと、周りの空気が歪んでいる。

いや、それよりも―――

 

「女性……だったんだな」

『うん。伝説とは性別が違うけど、事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう』

 

「―――ほう、面白いサーヴァントがいるな」

 

セイバーが、アーサー王が口を開く。

 

「喋れたのですね、セイバー。キャスターの話では、口が利けなくなったものと聞いていましたが」

 

「貴様はランサー―――ではなくライダーか。

……ふむ、因果なものだな。再びこの時、この場で、こうして相まみえようとはな。今回も私の敵にまわるか」

 

「セイバー。あなたの目的はなんのですか?」

 

話しながら、ライダーは顔にかけていたバイザーを外す。

そこから出るのはキュレベイと呼ばれる魔眼。相手を石化するという呪いの眼。

 

「案山子に徹していただけよ。何を語っても見られているのでな。だが―――」

セイバーはマシュの方を見る。

 

石にならない。魔眼が効いていないのか。

 

「面白い。その宝具は面白い。構えろ、名も知れぬ娘。その守りが真実か、この剣で確かめてやろう―――!」

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