なので作中の『ぱる』は私でなく別人だと捉えてください。
二品目のオススメBGM
【東京アクティブNEETs】
〔けものフレンズ×ジャズ〕
ようこそジャパリパーク
ですね。
お客さんがドアを開ければ必ず鳴る鈴が今日も鳴る。
チリンチリンと店内に響く鈴のきれいな音色は先客をも癒す。
そして私はお客さんを迎える。
最高の料理と『助言』とで、相手を幸せにするために。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「一人です」
その日の客は変わっていた。
なぜなら春麗らかで暖かい日にも関わらず姿を隠すように大きめのコートを着て目深に帽子をかぶっていたからだ。
「分かりました、ではこちらへどうぞ」
そう言って私は相手を外から一番見にくい席へ案内する。
あくまで素知らぬふりをしながら。
「ご注文お決まりになりましたらお呼びください」
そう言って頭を下げ、カウンターの方に下がる。
その内小腹が空いて注文はしてくるだろう・・・
そんなことを思いながら店の隅の方に置いてあるジュークボックス(改造ばーじょん)のボタンを押し、店内をより明るくする曲を流す。
ボタンを押し、選択された曲が店内に響き始める。
ジャズの軽快なノリと曲調の軽さが気分を高揚させる。
この曲を聴いていると心の底から「たーのしー!」と叫びたくなる。
曲も選び、再びカウンターに戻って暫くカップなどを拭いていると「すみませーん」と呼ぶ声が聞こえる。
声のした方を向けばそこには先程のお客さんがいた。
どうやらコートは暑くなって脱いだ模様。
それで本当に逃げる気なんだろうか?
「お待たせいたしました。ご注文は何でしょうか?」
「えーっと、このパンケーキとコーヒーのアイス頂戴」
「承りました」
注文を書いた紙を持ちながらカウンターに帰り、裏にある厨房へと注文を伝える。
「黒姫姉妹~!オーダー入ったよ~、PKと冷コー一つずつね~!」
「「了解しました!」」
厨房で忙しなく動き回る二人の姉妹。
彼女たちの名前は黒姫 妃と黒姫 雛。
両方ともホムンクルスという人工精霊らしい。
厨房の料理組にオーダーを伝え、定位置に戻って来ると目の前の席には丸っこい狸耳が頭部に着いている少女が突っ伏していた。
「おうおう妃雛さんや、そんな突っ伏してどうしたんよ?」
一応友人だったり取引先だったりする相手だったりするので話し掛けては見るのだが、大丈夫じゃないなこれは・・・
「実験で五徹しててね、流石に私の能力では睡眠時間は生成できなかったわ」
今にも倒れてしまいそうな相手にどう接するか理解に苦しむ。
「なら、さっさと寝なさいな・・・奥の仮眠室行ってきていいからさ」
「わかったわ」
下手くそな人形劇の人形の動きみたいな歩きで奥まで行けるのか心配である。
まぁ、倒れてても死なないでしょ!腐っても妖怪だしね。
そんなことを考えていると厨房のドアが開いて中から妃の方が出てきた。
「パンケーキとアイスコーヒーね」
そう言って手渡されたお盆には丁寧に作られたパンケーキとアイスコーヒーが載せてあった。
お盆にのせられた二つのお皿からはそれぞれの素晴らしい香りが漂ってくる。
パンケーキにはチョコレートの線が美しく引かれていて、チョコの甘い匂いとパンケーキの甘い匂いが程よく合わさっている。
パンケーキの横の方には生クリームがあり、その上には小振りなチェリーが乗っている。
見た目も可愛らしく正に女子のスイーツと言ってもよいフォルムをしている。
アイスコーヒーはその洗練された黒さとコーヒー独特の香りを周りへ振り撒く。
うむ、今日も大変善きかな。
「お待たせしました」
そう言いながら私はパンケーキとアイスコーヒーを開いての目の前にそっと置く。
「ありがと」
お客さんの目は目の前にあるスイーツに釘付けにされている。
とても美味しいのだから味わって欲しいね。
そうして暫くの間ゆったりとした時間を過ごしていたが、いきなりそれは終わる。
「ぱる師匠、ここにいますか?」
肩で息をしながら蒼髪の少女はそう訪ねてくる。
見た目的には大体13歳くらいに見えるためもしかしたら妹なのだろうか?
「えーっとその『ぱる』って言う人の特徴教えてくれるかな?」
もしもさっき入って来たお客さんじゃなかったら困るので一応聞いてみる。
「えっ?・・・あぁ特徴ですか?・・・そうですね、髪の毛は黒髪で目は緑、それに着ている服は季節外れのコート何ですが・・・知りませんか?」
『ぱる』と言う人の人物的特徴が見事なまでに一致したところで行動に出る。
「うーん、私は知らないかな・・・」
「そうですか・・・貴女の言うことも本当のことのようですし他を当たりますね」
そう言って店を出ていこうとする少女の一言が少し気になり呼び止める。
「ねぇちょっといいかな?どうして私が本当のことを言っていると思ったの?」
先程の少女の発言は私が100%嘘をついていないと信じきっている感じであったので少し聞いてみる。
「簡単ですよ、罪人や志の低い者が分かる特性がのでそれを応用しただけです」
私の疑問に返ってきた答えはある意味興味深かった。
『罪人や志の低い者が分かる特性』で嘘をついていないと分かるのかとは、つまり嘘をつく=罪だと定義すれば良いだけだが、これは誰が○○は罪だと定義したのかが重要になる。
能力のことを趣味ではあるが調べている身としてはずいぶん気になるものである。
まぁ今は目先の事態に対応するためにこの子を追っ払わなければいけない。
しかしこの子は嘘が分かるので誤魔化しにくい・・・どうすればよいだろう?
ポク、ポク、ポク、チーン♪
整いました!
ステップ1〔助言をあげると言おう〕
「へーそうなんだ、じゃあ代わりに貴女に私の能力を体験させてあげましょう」
そう言うと少女は目を微妙に輝かせる。
しめしめ、魚が食いついたな。
ステップ2〔能力発動条件を揃えよう〕
「えっと、能力を発動させるのに必要だから貴女の名前と目的を言ってくれる?」
私の能力は『助言をする程度の能力』だけど、助言をするだけだからって簡単にできはしない。
私の一言でなにかが大きく変わることもあるのだ、なので発動条件は微妙に多い。
能力発動条件
・相手の名前を知ること
・助言の内容を決めること
・助言の内容が特定の人物または動植物ならその名前も知らなくてはいけない
・助言によって起きることに覚悟すること
・助言は必ず「これは助言だから決断はあなたがしてね」と言う形で始めなければならない
発動条件は以上の五つだが前提として私を含めても必ず二人以上じゃないとで能力は発動しない。
全くもって面倒なことです。
「えぇ、良いですよ。私の名前は安宅丸です」
「あっ!私も名乗って無かったね、私は櫻木 楓だよ宜しくね」
ピース1【安宅丸】
「助言の内容はそのぱるってひとの居場所だろうけど、ぱるってフルネーム?」
助言の内容が特定の人物のときはフルネームが必要なのだ。
「いえ、師匠のフルネームは『水橋 ぱる』です」
ピース2【水橋 ぱるの居場所】
「じゃあ覚悟決めてね?」
ピース3【安宅丸&私の覚悟】
ピースフル、助言の構築にかかります。
ピースフル、助言のコーティングをしています。
ピースフル、助言が完成しました。
脳内で響いていた機械音が消え頭に助言が浮かんでくる。
ステップ3〔助言を報告しよう〕
「大丈夫ですか?」
心配そうに私を見る安宅丸さん。
「えぇ、大丈夫ですよ、では始めましょうか」
少し頭を振り、意識を覚醒させ安宅丸さんに向き直る。
「これは助言だから決断はあなたがしてね?」
そう確認するように話し掛けるが、実際は確認する気は更々ない。
しかし、ここでこう言わないと折角の助言は私の頭から消えてしまう、全くもって御しにくい能力だと自分でも思う。
「えぇ、お願いします」
神妙な顔で頷く安宅丸さんは少しかわいかった。
「・・・『安宅丸さん』、貴女の探し人『水橋 ぱる』はこの方角にいます」
そう言って『水橋 ぱる』だと思われる女性が座る席の方向に指差す。
しかし私の指差す席には大きく新聞が広げられており、席に座っているものは見えない。
勿論新聞の向こうには『水橋 ぱる』だと思われる女性が座ったいるが、安宅丸さんに見せなければ大丈夫だと思われる。
「こっちの方角ですね?ありがとうございました!」
しかし、安宅丸さんはそう言って店を出ていってしまう。
すごいスピードで走っていってしまって、もう姿は見えない。
「さて、お客さんちょっといいですか?」
そう言って私は『水橋 ぱる』だと思われる女性に話しかける。