デート・ア・イート 〜Law of the Spirit Jungle〜 作:rockzero21
MISSION_CODE:WORKING RELATED:Toka_Yatogami
十香がバイトをしているという言葉は私に寝耳に水だった。
バイト、略さず言えばアルバイトは勤務体系の一つであり、非正規雇用者に分類される。英語でパートタイムジョブということからも分かる通り、「時間」という細かい単位で給料が出される、言わば御手軽収入源みたいなものだ。一方で会社に積極的に貢献したい人は正規雇用となり特別な事情がない限り定年まで働く。バイトは手軽、小時間と学生や主婦に適しているが安定した給料は正規雇用者の特権だ。
そして十香がしているのは前者の方だ。何故に金を集めているのかは如何でもいいとして、問題は彼女自身だ。彼女は此の世界とは長らく、いや全くかもしれないが、付き合いがなかった。よって此の世界の常識、道徳、法則をあまり知らない。ただ辞めた訳ではないのだから余程雇用者に気に入られているようだが此方の心配としては寧ろハラスメントの方だ。
一般的に正規であり会社に近い雇用主はバイトよりも権力が上である。正規な仕事の問題でない為に大っぴらにされることも少ない。さらに言えば彼女の体は背高、ボンキュッボン、長い黒髪と一般的な男性の性的欲求に少なからず刺激を与えられるものだ。
まあそう探るのは店側にも迷惑だろう。其処で帰り際(精神状態の安定化の為一番信頼できる私の下に置いている)に尋ねてみた。以下が其の内容だ。
「何だかウサギのような……」
此処で私の頭に兎耳のカチューシャにボンテージ姿の十香(他の女性でも可)が浮かんだのは決して私の心が桃色に染まっていたとか、其のようなものではないだろう、だよね? 兎も角、考え直した私は取り敢えず例のカチューシャにメイド服という出で立ちで何とか許容できた。
「メニューを特別に飲ませて貰った。ジン……何だったか、兎に角体が熱くなった。」
常用しているサイトを見てみたが其らしきものは見つからなかった。精々酒とスパイスといった所か。飲まれせていたということは溶液かコロイドなのだが、如何もそういった類は見えない。
「店長を気持ちよくしてあげると駄賃がもらえる。」
此はアウトじゃないのか。無知の少女に体から教え込むとは何ともけしからん。尤も単なる思い違いの可能性もあるし此の儘突撃するのも愚策だろう。そこで妹に相談することにした。二回目のコールの途中で繋がり、話を持ちかけようとした。
「もしもし、琴里?」
『あ、おねーちゃん、どうかした?』
「いや、十香のことなんだけど……」
暫し保留。如何やら「姉に甘える義妹」から「とある秘密結社の最上室長」へとジョブチェンジをしているようだ。そして再び妹の声が聞こえる。
『其で、彼女が如何かしたかしら。』
「少々アレな意味でやばい相談なんだけど……」
『あ、ひょっとして常識がないことをイイコトに、淫語をを教えて連呼させていたのがバレたのかしら。』
私は速攻で電話を切り、電話帳の「琴里」の名前を「変態糞義妹」と変えておいた。再び電話が掛かる。
「如何した、変態糞義妹。都北の川の土手の下で盛り合うんだったら私はパス。」
『勝手に話を飛躍させんな。』
「ああ、変態糞琴里の方が良かったかな。安心して、ネットでゲイ専の友達呼べるから。」
もう此奴には関わらないほうが良いかもしれない。一回程尻の所を痛い目にあって感じておけば、私への対応も変わってくるだろう。え、強姦幇助? そんなに言うんなら経験者にでも聞けば良いさ。さて、問題は十香だ。
十香が働いているのは天宮市駅前の喫茶店、「ラ・ピュセル」である。ジャンヌダルクとの繋がりは置いておき、先ずは立地に着目するーーえ、良すぎない? 元々天宮市は旧川崎市北西部や旧横浜市北端、旧大田区西部や旧世田谷区南部を含む市である(旧とついたのは現在の天宮市のある状態のものと区別がし難い為)。そんな処にある天宮駅は前で言う武蔵小杉に代わる駅なのだが、其処にさらに東海道新幹線や横須賀線まで乗り入れている。よって利用客も多く、立地としては最高だ。値段は……私には詳しく分からないが、安いとは言えないが可也妥当なものとなっている。ネットの概ねの評価としては、「値段に見合った味」だとか「JKバイトprpr」とか。一方最近悪い噂も立っているとか。一概に疑って良い店では無いようなので、少々偵察に出掛けた。勿論十香や一人称単数に顔が割れているため変装してだ。
さて、結論から言えば取り越し苦労だったようだ。先ずメニューを一読するとジンジャーハニーの文字。生姜は発熱作用を、蜜は健康食品としては名のある食物だろう。媚薬じゃなくて良かった、とは言えネットで噂も立ってる以上此れで白と一概に決めつけてはいけないし、かといって確実に黒という訳でもないだろう。
続いて折角喫茶店に来たのだから何も注文しないのは道理に反するということで、オーダーに来た麻衣にダージリンとナポリタンを頼む(一応変装はしてある、来る途中で如何考えても男性向けの店の売り子に呼び止められた程には)。と、彼女の胸に猫を模した名札があることに気づいた。
「あの、ウェイトレスさん?」
「はい、何でしょう。」
「少々伺いたのですが、其のネームプレートって……」
「ああ、此の店よくお子さんも来られるんですよ。其処で店長が手作りの名札を作ってくれたんです。」
成る程、そういうことか。恐らく十香のは兎なんだろう。ラビット! キャッスル! う〜ん、ミスマッチ。あ、其れと
「風の噂で何か店長を癒すとボーナスが追加されるとか」
瞬間麻衣が顔を青ざめる。え、もしかして図星?
「貴様、まさか敵国の間者!」
「違います! 違いますから。精々真相を確かめに来ただけです。抑も敵国とか、何処ぞの政党とかスィー何ちゃらではあるまいし。」
「なら安心した。店長ももう年で、マッサージすると喜ばれるんですよ。」
そう言って店の奥を示す。店主らしい老婦人は性善説を裏付けるかのごとく優しそうで、少なくともそういう犯罪者らしきことはしないだろう。白だな、うん……ん?
「敵国……って、ひょっとして商売敵でも?」
「ええ、向かい側に競合店が。元からいた此の店が気に食わないらしくてちょうちょくちょっかいを出してきて、つい最近も一人辞めちゃってね。」
「成る程、有難う。」
文字通りの「業界の闇」だな。一応目的は果たしたが、話し込んだ御蔭で注文はまだ届いてない。「料理を待っているのが一番楽しい時」だったか、ゆっくりと待つことにしよう。所謂店の味というものも知っておきたい。
軈て、十香に因って二品が運ばれてきた。勤務態度には文句もないようだ(序でに名札も確認したが、矢張り兎だった)。さて、何処から手を付けようかと考えたが、既に香りが私の副交感神経に反応を及ぼす。特に感じる此のダージリンは、可也の高地で栽培されたものだろう。そして一口、香りと共に濃厚な味が口いっぱいに広がる。いくら中古品とは言え彼の値段も当然と言えよう。続いてナポリタンに手をつける。トマトの酸味と共にナポリタン独特の柔らかい麺の感触が其の旨さを率直に伝える。其処に玉葱やらピーマンやらが先導されるがの如く引続く。表示価格が適正か疑いたくなるような味だ。其処に此れ又ダージリンがよく合う。腹を空かせてきた甲斐があったというものだ。何時の間にか皿は空になっていた。
偵察序でに客層も見ておく。休日午後ということもあって席はほぼ埋まっている。下は未就学児上は高齢者か。うち十代と三十代ぐらいが極大に見える。此れが平日だとさらに変わるんだろうな、などと予想していると、接客をしている十香が見えた。少し前までは全てを敵と認識していた彼女も此処まで成長した、何か感慨深いものがあるな……とふと回想に入っていたが、又別のことに気づく。男だ、大凡二十代から三十代といった男性二名が注文するでもなしに彼女を見つめている。彼女は女の私でも惚れるほどの美貌を持っている、別に惚れたのなら言うことはないが何だろう、不審な様子が見える。念の為体全体が写るようにして取っておくとした。と、不自然に金髪の男が足を出す。気づいた十香は其れを避けるようにして歩くのだが、
「おい、何してくれてんだよ!」
男がカップを落とし、紅茶が掛かる。
「あっちい……今紅茶がかかったんだけど。」
「そうか、気をつけろよ。」
「いくら何でもそれはないだろ。ゴメンナサイも言えないわけ。」
「自分で溢しただけだろうが。」
「う、うるせー!とにかくお前のせいで火傷しちまったじゃねえか!」
「そういわれてもだな……」
十香は男二人に責められ、非常に不利な形だ。と、其処へ先の店主がやってきて、平謝りに謝っている。男達は散々悪態を吐き、席を立とうとする。
……嘘だ、確実に嘘だ。少なくとも彼のフライングソーサーに比べれば真っ赤な嘘だ。私の記憶を辿っても、動画をスロー再生、逆再生、其の他色々したが態とらしい落とし方をした其の男には十香は寸分たりとも触れてはいなかった。其処で彼等を追跡している訳だが、何故こうも悪い予想というのは当たるのだろうか、向かい側の店に入っていった。十中八九スパイですね此れは。此処までしてなお集客率に影響がないのはまた凄いかもしれないが私に目をつけられたのが一巻の終わりだ。私は携帯を開き、とある番号を打つ。
「ああ、士織です。ちょっと一つ頼まれてくれませんか……報酬は……三万でどうですか? おk。其れじゃあ色々と物を送りますんで御願いします。」
其れから二週間が経った。結局アレ目な友人達は琴里が女の為帰ったようだが、琴里がずっと尻の方に注意を向けるので一種のトラウマ程度はなったかもしれない。私は其の日駅前に用事があった帰りに私はふと様子を見てみた。ラ・ピュセルの方はいつも通り繁盛している。一方向かいの喫茶は……既に空きテナントとなっていた。
経過だけ話しておこう。其の後何日か通い、位置を特定されないように動画を撮っていた。其の間人は違えど同じようなことが毎日あり、中には丸で素人のする手品のように滑稽にすら思えるものもあった。続いて、バイト店員である一人称単数に宣伝をする。そして仕上げにとある人物に協力して貰った。
「という訳で前原さん、有難う御座いました。此れが報酬の三万円です。」
前原淳、
「其れで、其の十香って子に此の髪留めを買ってもらったの。」
「へえ、よく似合ってるじゃないか。」
「其れじゃあ私は帰りま「ちょっと待て。」
えっと、何でしょうか。
「一人で打ってたんだがどうもつまらない。ちょっと相手になってくれないか。」
「いや、私チェス弱いし……」
「なんて言いつつ食い下がっていたのは何処の何奴だ。」
「ちょ、志藤さん……人に押し付けないでくださいよ。」
「士織ィ、少し相手してやんなよ。」
「はぁ……何でこうなったんだろ。」
筆者「ねえ。」
士道「どうした。」
筆者「彼の八番の双子居るじゃん。」
士道「おう。」
筆者「友人に矢の方が好きって言ったら、相手は弓推しだった。」
四糸乃「私は弓推しですよ?」
筆者「やっぱり少数派なのか……」
よしのん『ところでデレマスの推しは?』
筆者「渋谷、安部、神崎、一ノ瀬……か。」
よしのん『ほら三番目、流石だね中二病さん。」
筆者「ぐぬぬ……分かりましたよ、どうせ洋楽聴いて大人気取ってる厨二ですよ。」
よしのん『全くもってよしのんの予想通りだったね。まあ大体想像つくけど。』
四糸乃「あの、筆者さんが聴いてる曲を具体的に教えていただければ。」
士道「俺も聞きたいな。」
筆者「ケッ。PTOLEMY、Beat70、quarter5、JUVES、Flash、I_was_born_to_love_you、Farmers_Trust、Radio_Gaga、Gospel_of_the_Throttle、Märchen_debut、あたりか。」
士道「また評価のしにくいモン選んできたな。というか半分が邦楽とか、妙に其れっぽい。」
筆者「曲名知らずに聴いてるし。という訳で評価してくれる人は感想欄に! あと次回から遂に四糸乃回、乞うご期待!」