横島忠夫、〇〇〇〇と付き合ったらどうなる? 作:一日三食MEN
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彼女の要塞で働いています。
当然、ヒロインが横島に意識などしていません!
今回は恋愛な話ではないですので、デレは期待しないでください。
おおよそは原作に沿った話にしています。
では、どうぞ!
横島は今・・・
「ざ、ざ、ざむい。こ、こんな時は歌でも歌って気を紛らそう・・・やあっと見づげだ露天風呂の事を~。オ~リヴィエざんにづ~だえた~~、彼女の裸(ヘブン)を求め、こっぞりのぞ~ぐと、男どもの裸(ゴートゥヘル)だっ~だよ・・・ぐおおおおお!忘れろ忘れろ忘れろおおおおお!」←彼の実話。
とある場所で気温がゼロ℃を下回り雪が降る中除雪しているが、気晴らしに歌った歌でその時を思い出し苦しみ叫んだ・・・彼のいる場所というのが、
「よう、タダオ。お疲れさん」
「ううう、バッカリアさん。どないして俺がたった一人で除雪しないといけないんじゃああああ!」
「そりゃ、要塞(うち)の司令官の裸見たからじゃないか?」
ブリッグス要塞と呼ばれるアメストリスと呼ばれる国の軍の基地の内の一つだった。このブリッグス要塞は国の北の位置にあり、そこは雪が降る地域で横島はそこの除雪をこのバッカリアと呼ばれた男に頼まれて・・・いや、ここのボスともいえる女司令官の裸を見た罰と言ってもいいだろう。←露天風呂とは別件で見た。
「男なら、命を懸けて見るもんじゃろうが!」
「・・・その意気込みだけは大したもんだと言えるな。というか、氷の女王をよく女扱いできるものだな。俺はもちろん、他の兵達だってそれができないくらいとんでもないっていうのに」
「何を言う!あの美女を女扱いしないなんて、裸を覗かないなんて、俺の煩悩が許さん!」
「ほう~女扱いと裸を見たいなら、まずは私より強くなるんだな」
「おうよ!絶対にオリヴィエしゃんを押し倒してあれなことやエロなことを・・・」
モヒカンが特徴のかなり巨漢・バッカリアと話していたが・・・いつの間にか、二人の話題にしていた本人が加わっていた。彼女の整った美を持つ顔を見る横島は軍服でもわかるかなりいいスタイルに目を離さないまま
「お、お、オリヴィエ、し、司令キャン?」
口調がおかしくなりながら汗をだらだら流す。何気にバッカリアも汗を流していたので、
「・・・じゃ、俺は監視の続きがあるから、後はお二人で」
「に、逃げるなあああああ!」
逃亡するのであった・・・剣に手をかけていたのだ、無理もない。
「さて、私を女扱いするにふさわしい強さかどうか、試させてもらうか」
「のおおおおお!い、いやあああ!ご、ご勘弁をおおお!」
「泣き言を言わずにさっさと来い!私に勝てたらさっきの二つを許そう(ずるずるずる)」
逃亡者に文句を言う横島だが、既に剣を抜きながら彼の襟首をつかんで引きずるその女性。その光景はもしこの場におキヌがいたらこう言っただろう。
『美神さんに引きずられているみたい』
実際横島もそんな感覚にとらわれていたので、
「のおおお!伊達に女王と呼ばれるだけあって、美神さんレベルで話が通じいい~~ん!!」
美神の名前を出した。
「そういえば、獲物を殺した返り血を浴びた後のシャワーを覗いた罰もまだだったな。別にどうってことないんだが一応やっておくか。ちょうどいいサンドバック、ではなく試し切りのカカシができたからな」
「俺をカカシ扱い!しかも最初はサンドバッグ!のおおお!どうってことないって言ったのに、試し切りなんてごめんじゃああ!お助けええええ!」
逃げたバッカリアに怨嗟の叫びをしながら、女司令官のオリヴィエ・ミラ・アームストロング通称ブリッグスの北壁に引きずられていった・・・果たして横島は生き残れるだろうか?
結果は案の定、敗北した。でも、敗北しただけまだましだろう・・・ここでは弱肉強食であり、彼女は兵を殺すようなことは決してしないが弱ければ容赦なく要塞から叩きだすのだから。
「それにしても、お前よく諦めないな」
ボロ雑巾になった横島に話しかけるマイルズと呼ばれる、本来この国では処刑されたイシュヴァール人の血を引いているが特例で免れた男が話しかけた。
「ふふふ、オリヴィエさんと同じくらいとんでもない女王様を知っとるからな!」
「あの司令官と同等か・・・なら納得だな」
「おおよ!オリヴィエさんは叩きのめすだけまだましだ!俺の上司だったあの人は、金にならないとわかると見捨てるからな!俺なんて何回盾にされてそのまま放っておかれたことか!しかも、儲けが少なかったらそのイライラを俺にぶつけるし!」
「・・・それ以上はいい」
「・・・誰か来るんすか?」
横島のやられ自慢話に呆れるマイルズだが、真剣な顔になって話を切り上げたあたり何かあるとわかり訪ねた。
「ついさっきだがな、鋼の錬金術師と弟が来た」
「へ?あの中央で話題の最年少錬金術師がですか?へ~、ちょいと興味があったんですよね(人体錬成した奴らしいからな。もしかすると・・・できるかもしれないし)」
興味を持つ理由、それはもちろん人体錬成で恋人復活の可能性があると思っているからだ。錬金術の知識が全然ない横島は、彼らならもしかしたら。という考えがあった。
「ああ、お前の文珠を借りることになる」
「分かりました。意図を知りたいんすね」
話題の人物が、わざわざ雪が降るこの北の地にやってきた意図を知るために、横島の文珠の力が必要らしい。
ここで横島の文珠を知っているのはオリヴィエ・バッカリア・マイルズの三人だけだ。一度だけ、この世界にやってきた時に要塞の防衛ラインを突破していて、スパイと間違われバッカリアに襲われた時に思わず『盾』の文珠を使ってしまい知られてしまった。その後、バッカリアの後ろにいたオリヴィエが見えナンパしようと横島独自のスキルである『美女のところへ一瞬で行く』が発動して、彼女の目の前に姿を現したが軍人の本能が働きナンパする前に彼女に叩きのめされてしまった。
その後、横島を尋問・・・訂正、半拷問したがスパイじゃなく、しかも話の半分以上が通じないため地理や歴史すらも知らない人物であることが分かった。一応弱肉強食のこの要塞にいてもいいかテストとしてバッカリアと戦い横島流ゴキブリ戦法で上手く戦ったがパワーで負けた。でも、結果は引き分けだったため合格ラインを突破してここにいられることになった。
今回のように客が来るときにはスパイかどうかを見極めるために呼び出されることもたまにある。何故なら、文珠のことを説明した際に彼女らがいろいろと(無理やり)聞いたためだ。そして、文珠の事は知られたら確実に利用価値として見られて中央の上層部達にいいようにされる恐れもあるため、三人は口外しないことを誓ってくれた。その点だけは横島も感謝した。
話を戻し、鋼の錬金術師である右腕と左脚が鋼のオートメイルの兄エドワード・エルリックと鎧に魂が宿った弟アルフォンス・エルリックの兄弟と会った時
「へ~、こいつが鋼の錬金術師か~。つうか、体そのものが鎧の鋼だからそう呼ばれているのか?」
「い、いや・・・僕は弟でこっちの兄さんがそう呼ばれているんだけど」
「え!このチビが兄でお前が弟!!あ、ありえねえ!」
「ふざけるなあああ!俺はチビじゃねええええ!」
「がははは!そんなこと言ってもこれだけの差があれば説得力ないぞ!弟の倍低いじゃないか!っは!もしや、見かけはチビで頭脳は大人!その名はハガレン探偵エドナンと呼ばれているのでは!」
「うがああああ!このやろおおおお!絶対に今すっげえチビとして見ただろ!俺はチビじゃねええええ!」
「兄さん落ち着いて!確かに説得力ないけど!後、二回言ってるよ!」
そんなやり取りを見事にした横島であった。しかし、これは演技であり
『助けてほしい』
この心を文珠『覗』で見た。その心には彼が敵対しているホムンクルスに関わることも少しあったので見ることはができたが、
「・・・マイルズさん」
「どうだ?」
「助けを求めている。でも、詳しいことは本人に直接聞いた方がいい」
「・・・そうか」
ここでは余り聞かない事ばかりだ。ましてや、中央のセントラルがどうなっているかの情報もここでは余り入らない状態だ。それも踏まえて場を作って本人から聞くべきと報告した。マイルズもその報告を聞き、二人を見下して話をしているオリヴィエに伝えた。
その後、ホムンクルスの一人・スロウスがブリッグズ要塞にやってきたが環境を利用した氷漬けにして、スロウスを知っている二人をスパイ容疑で捕まえて、尋問を名目に情報収集するために誰にも話を聞かれないように地下の洞窟の奥深くに入った。二人の他に横島と同じ下っ端生活をしているエドワードの知り合いのヴァトー・ファルマンも含めた三人の話で、この国ができた理由や今後のアメストリスの危機などを聞くことができた。その際に、自分の要塞に騒動を持ち込もうとすることにオリヴィエはご立腹だった。
話が終わると、レイブンという中将がやってきてスロウスを元に戻して活動を再開させたが、その後の話術でホムンクルスの事などを簡単に漏らしてきて協力要請をしたが、
「くだらん!」
この一蹴と共にオリヴィエは彼を斬り捨てた。その行為には横島だけでなくブリッグズ兵全員がざまあみろ!と思った。何故なら、洞窟にいる兵を生き埋めにする命令をさせたためその仇が取れたからだ。横島だけはセクハラまがいなことをオリヴィエにしたから喜んでいたが。
時が経ち、レイブンを斬り殺したということでセントラルに呼ばれたオリヴィエ。その頃、ブリッグズの兵や横島達もこっそり彼女の実家のあるアームストロングの家にいた。そこにいた彼女の妹をナンパしたが、
「ううう、どないしてあのマッチョが好みなんだあああ!」
「というか、兄が好みのタイプだと思うのだが?ずっとあの兄がお前みたいな男から守ってくれたから自然と兄を好きになったんじゃないか?」
「あなたなら、兄に似ているのでいいのですけど・・・」
「へ?俺が?」
「このモヒカンがいいのか!うわあああ!」
マッチョな兄のアレックス・ルイ・アームストロングが好みと断られ、その兄の写真を見てがっかりする横島を慰めたバッカリアだが、まさかその彼がいいとオリヴィエの妹は手を繋ぎ横島は悲しみに暮れた。
何故北にいた横島達がこの家にいるのかというと、全てはホムンクルス達が忠誠を誓っている「お父様」と呼ばれる国全部を巻き込む野望を阻止する決戦の日である「約束の日」に備えるためだ。マイルズは別動隊として違う場所に向かっているため中央にはいなかった。大切な仲間であるヒューズを奴らに殺されたマスタングとのやり取りで、その日が近いことを知っていた。そして、それにはこの国に住む多くの人達の命や軍上層部の半分以上が関わっていたことも分かっていた。
その日がついに来たが・・・
「よおおおし!頑張って見つけるぞおおお!」
オリヴィエはおろかバッカリアとも別行動で、横島は一人だけ別の指令を受けていた。それは、
『イシュヴァール人のスカーを生きた状態で確保しろ』
だった。何故これをオリヴィエが命令したのかというと、今回のこの中央司令部のホムンクルスとの戦いでは彼らの力も必要だからだ。かつて、錬金術師殺しという復讐に燃えていた彼との対話を部下のマイルズにさせることが狙いである。因みに顔は錬金術師殺しの時の手配書があったため、それを持って行った。
これだけなら横島はここまでやる気が起きないが、
『今回の任務を無事に達成したら、私を女として見る許可を出そう』
横島の扱いをしっかり学んでいた彼女はそう言って動かしたのだ。もちろん、この時は本当に許可を出すつもりはなく、終わってもいつも通りにするつもりだった。
横島はスカーを探しに行こうとしなかった。何故なら、この「約束の日」に必ずこのセントラルにやってくると踏んでいたのでと、網を張り巡らせていればいいのだが・・・
「おっじょおおおさあああああん!俺と一緒にで~~~~としませんかあああ!」
全然女のいないブリッグズにいたため、タガが外れてしまったのかその事を一時的に忘れてしまい、いろんなところに行きナンパをしまくっていた。当然、全滅しまくってがっかりしながらとぼとぼ全然前と周りを見ないで歩いていると、
「あ~~~!お前!」
「ん?」
「誰だ、こいつは?」
何と、ハガレン探偵・・・もとい、エドワードと会った。ナンパ全滅でダークモードになり、何も考えずに歩いていたら地下に入って彼と会ったのだ。他にも男が二人いたのだが、横島からすればどうでもよかった。
因みにルシオラを生き返らせる人体錬成の件だが、何十人もの人の命が原料となる賢者の石がないとできない。なくてもできないことはないが、必ず代価が必要でありもしかしたら命が無くなるかもしれない。その話をブリッグズで聞き悔しい思いもあったが、横島は諦めることにした。何十人も殺してできた賢者の石を使うことや自分を代価にルシオラを生き返らせることはできないし、何より彼女が絶対にそれは許さないと思ったからだ。
スカーと会うために行動していることを伝え、しばらく一緒に歩いていたら広い場所に出てそこでようやくスカーに会えた。更に
「鋼の?」
「スカーもいます!」
炎の錬金術師のロイ・マスタングと部下のリザ・ホークアイもやってきて、
「い、痛いです」
「ああん?随分そろってんな」
天井から他国からやってきた少女であり(理想の)アルフォンスに恋をするメイと、ホムンクルスのエンビィーが落ちてきた。役者が少しずつそろってきた時にエンヴィーは自分がヒューズを殺したと彼の妻の姿になって笑いながら喋ると、マスタングが怒りに燃えて全員を先に行かせた・・・が、
「鋼の・・・そいつをよこせ!」
「・・・断る!」
仲間を殺された怒りと復讐に燃えるマスタングが見るに堪えなくなり、エドワードとかつての自分に見えたスカーと彼をオリヴィエに会わせるための横島も戻った。そこにはエンヴィーの本体に止めを刺そうとしたマスタングがいたので、エドワードがそれを阻止して鋼の右手でそれを持った。その時見せた顔は
「渡さないと、お前ごと焼くぞ!」
「上等だ!相手になってやる!だが、今の顔を鏡で見てみろよ!この国のトップに立とうとする人間の顔かどうかをな!大佐が目指している未来はそんな顔をしていい未来じゃないだろう!」
エドワードの言う通り、トップに立とうとする顔ではなかった。炎と鋼、二人の錬金術師が火花を散らす中、
「なあ、こいつが殺したヒューズってさ、メガネをかけて、あごひげ生やして、しまいには軍服の内ポケットには娘の写真を持っているようなやつか?」
横島が空気を読まない言葉を出した・・・が、スカー以外はその内容は聞き捨てできなかった。
「お、おい、会ったことあるのか?」
「いや、ないぞ。俺ずっと北のブリッグズにいたし。そもそも、中央にそんな人がいたなんて知らなかったし」
会ったことない横島がヒューズの特徴を言い当てたからだ。
「じゃ、じゃあ、何で知っているの!」
「だって・・・」
エドワードとリザの質問に
「マスタングって奴の隣にいるから」
あっけらかんと返した。全員が思わずそっちに視線を向けるが誰もいない。
「俺さ、幽霊が見えるんだ。それで、そんな特徴の男があんたの隣にいて・・・肩を掴んで、やめろ!と必死に言っているんだよ」
「な・・・に?」
マスタングは炎を出す指を震わせた。ホムンクルスや錬金術などはまだ目に見えるが、霊は見ることができないので胡散臭さを感じていた彼だが、無視できない言葉だった。
「まあ、初対面の俺の言葉なんて信用できないよな。だから・・・」
マスタング・・・いや、ヒューズに歩み寄り、
「本人と直接話せば納得するだろ」
彼の腕を掴むと、横島だけでなく他の皆にも彼の姿が見えるようになった。霊能力でうっすらとではあるが視認できるくらいに、彼の霊の波動を強くしたのだ。その姿はマスタングと同じ軍服を着ていた・・・ただ、ちらっとではあるが娘と妻の写真も見えた。
「「「「「!!!」」」」」
これには三人だけでなく、スカーとエンヴィーも驚いてヒューズを見る。しかも、
『お!俺が見えるのか!』
「ああ、しっかり話してやれ。そして・・・納得させてやれ」
『ありがてえ!ありがとな!』
声まで聞こえる。お膳立てをしてくれた横島に礼を言って、
「ほ、本当に、ヒューズ、な、なの、か?」
「ひゅ、ヒューズ、さん?」
「う、嘘、だろ」
マスタングの前に立ったヒューズ。まだ驚きが顔に出ている三人だが、
『ああ、そうだぜ。なあ、ロイ・・・イシュヴァール殲滅戦の後に、多くの兵が犠牲になったあの戦いの後に言ったじゃねえか。いつか自分が国を変えてみせる・・・と。あの時に言ったあの言葉とあの顔が気に入ったからこそ、お前さんなら本当に変えられると信じたからこそ、その理想に手を貸したいと思ったんだ』
生前の変わらない笑顔を見せながら、会話を始める。
「ヒュー、ズ」
『でも、今のあんたの顔は・・・見たくないぜ。そんな顔で、本当に、国を変えられるのか?』
「・・・・・」
『後ろにいるリザちゃんだって、どんな思いで銃口を向けていると思っているんだ。目の前のエドだって、あんたにそんな顔をしてほしくないから止めてるんだぜ』
「だが!そいつは、お前を苦しめながら殺したんだ!」
「ふん、畜生の道(こっち)に来たいというなら、別に止めはせん。だが、その男が言うように国のトップに立とうという人間がそんな畜生になるというなら、これから先一体どんな顔をしてどんな人の皮をかぶって世を成すかのか見ものだな」
「・・・く、く、うううおおおお!」
ヒューズとの会話にスカーも入ってきた。彼はイシュヴァール殲滅戦の被害者で実際にその道を経験をした人間だ。だからこそ、重みのある言葉だった。それが指を動かしたが・・・
「中尉・・・私は、まだ道を外してないか?」
「・・・はい。ですので、引きません」
誰もいない方向に向けて炎を出した。リザにした約束・・・道を踏み外したら殺せ。マスタングはこれを破ってないので、彼女は引き金を引かずに銃口も下に向けた。
「目の前に・・・仇が、いるのに!」
『でも、やめてくれよ。俺はお前さんがお前さんのままで、国を変えてほしいと思っているんだ。だから、畜生になってほしくないんだ』
「・・・わかった」
その場で膝をつき顔を俯かせる。そのマスタングに右肩にヒューズが、左肩にリザが手を乗せた。
「よ、よかった」
「ふん。俺からすれば他人事だから、別に構わんがな」
「はは、素直じゃないな・・・一応言っておくか。あんたの後ろにメガネをかけたあんたと同じ肌の色をした右腕がない好青年そうな顔をした霊がいて、さっきのあんたの行動を嬉しそうにしているぞ」
「・・・何?」
マスタングがヒューズの説得に応じてくれてホッとするエドワード。他人事の顔をしていたスカーは横島の言葉に顔色を変えた。どう考えても、今言った霊の特徴は思い当たる人物がいるからだ。
「い、いるのか?あ、兄者が!」
「兄なのか?全然似てないな~。左腕に刺青をしているぞ」
左腕に刺青が決定的だった。イシュヴァール人でそれをしていたのは、自分の兄だけだからだ。
「・・・そうか、ずっと一緒だったか」
右腕を失って死にかけたスカーに、彼の兄は自分の右腕を移して助けた。思わず自分の・・・いや二人の右腕に手を置いたスカー。兄が傍にいる嬉しさに、少しだけ口の両端が上がった。
その後、エドワードに捕まっていたエンヴィーは自分の中の賢者の石を壊して自ら死を選び、マスタングは畜生に行かなくて済んだ。
『安心したよ・・・ありがとな、あんた』
「俺はイケメンの味方じゃないが、困っている幽霊(ひと)の味方だ」
『へへ、そうか。じゃ、ロイ頑張れよ!リザ、こいつを頼んだぜ!エド、お前とアルの体が元に戻るといいな!』
そう言うと、だんだん薄れてきたヒューズ。
「ま、待て!」
『安心しろ。ず~~っと、あんたの変えていく国の姿を見るまでは離れねえからよ!』
マスタングが手を伸ばすが、そう言い残してヒューズは・・・消えていった。でも、見えなくなっただけで横島の眼にはマスタングの傍にいたのが見えた。
「それまで、さぼらないよう私を監視するつもりか・・・・・・ふっ、卑怯者め!」
彼のいた場所に向かって、そう言い放った。ただ、その顔はすっきりしたいい顔だった。
「よかった・・・本当に、よかった」
ヒューズとマスタング。二人が救われた形になったので、リザはこの時目から雫を一粒出した。
そして、五人は進んでいき(リザにナンパしようとしたが、マスタングに燃やされて失敗)、国の中心ともいえる場所に到着した。そこで何とエドワードが黒い触手に捕まり姿を消した。更にキングブラッドレイの成れの果てと言う集団と金歯の医者と戦うことになり、その途中で仲間も着実に来たが
「マスタング大佐、あなたには人柱になってもらいます」
「君の意思などどうでもいい」
敵の方も集まってきた。ここに来る前にブリッグズ兵とバッカリアにホムンクルス・グリードと戦い傷ついた大総統ブラッドレイことラースに、彼の息子・セリムとしての肩書を持つプライドという二人のホムンクルスがやってきた。プライドの作った人体錬成の錬成陣でマスタングもまたいなくなってしまった。
その後、金歯が書いた錬成陣が中心だとわかったスカーが右腕の錬成陣『分解』を使って地面を一部壊し、
「くらえ!」
横島も文珠『光』で目を眩ます。その隙に、皆がそれぞれ別々の場所に行き
「貴様も残るのか?」
「俺はお前を女王様のところに連れて行かないといけないんだ。だから、死なれると困るんだよ」
スカーと横島が残りブラッドレイと戦うことになった。プライドはいつも間にか姿を消した。
だが、二対一という状況でも、
「く!速い!」
「これがボロボロの動きかよ!」
ブラッドレイは強く、その速さと剣さばきに横島は文珠を使う暇もなく、必死に避けることで精いっぱいだ。まず最初に動きが厄介な横島を殺そうとしたのか、
「ぐ!」
「邪魔だから死んで「ふん!」(だだだ)な!」
横島の間合いに入った瞬間、傍にいたスカーが左手を地面に叩いた。すると、地面から何本ものツララみたいな針が出てきた。その石のツララの奇襲に飛んで離れた。
「完全にノーマークだったという顔だな。ああ・・・俺も、こんな考えを持つなんて思わなかった」
上着を脱いて、見せた左腕には
「その刺青って、お前の兄の左腕と同じ!」
「ああそうだ。兄が作り出した、再構築の錬成陣だ!」
スカーの後方にいる彼の兄の霊と同じ左腕の刺青があった・・・そして、横島はそれを見て
「・・・スカー、お前を真似させてもらうぞ!」
「何?」
文珠を取り出し、自分に使った。その文字は『模』であり、いわばコピーである。
「き、貴様!それは」
「何と・・・」
横島はスカーをコピーして、首から下が全部スカーになった。つまり、両腕にある錬成陣もまた
「行くぜ!」
左手を地面に叩いて、さっきのスカーと同じ攻撃をした。同じ能力を持っているということだ。
「っふ、お前達人間は、どこまでもあがきよる」
それを避けて襲い掛かってくるブラッドレイに、今度はスカーがやり遠ざけた。
「その力はなんだ?」
「全部終わってから話す。それまでは倒すことに集中しろ!」
だが、再びやってきたブラッドレイに構えた二人。
その後、二人とも再構築の力を使いながら、横島は文珠で『剣』を出し応戦してスカーは肉体で戦った。しかし、それでもブラッドレイはひるまなかった。スカーと横島は、傷つきながら戦った。しかも、横島に至っては『模』の効果でスカーが受けたダメージは自分にも来る。
「神を捨てたのか!(ざしゅ)」
「「ぐう!」」
肩を斬られ苦しむ二人。何とか再構築を地面にうち、離すも避けながら近づいてくる。
「神とは、その程度のものだったのか!」
「おら!」
「否!」
サイキックソーサーで止めようとしたが、それを斬って襲い掛かるブラッドレイ。斬った際のサイキックソーサーの爆発で逆に二人の眼に彼が見えなくなり、それをものともしないで来たブラッドレイが二人を踏み倒した。踏み倒された勢いで横島が文珠の剣を手放してしまった。
「お前らも絶望を味わった時思ったはずだ・・・神など、存在しないと!」
ブラッドレイはスカーの事はわかるが、横島の事はわからない。だが、戦ううちに少しだけわかったのだろう。横島もまた絶望を味わったものだと。
止めを刺そうとした時だった・・・月光が剣に当たり強烈な光を放ってブラッドレイの眼を眩ませたのは。
「「う、うおおおおおお!」」
二人の右腕の分解の力が、片方ずつブラッドレイの腕を壊した・・・が、腕を失ってもなお口で刃を加え、スカーの腹に刺した。
「「ぐふううう!」」
スカーの傷は横島にも来る。その刺された痛みと出血が横島を襲った。その後、忍装束を纏った女性がやってきてブラッドレイに止めを刺そうとしたが、結局刺せないままブラッドレイは死んでいった。横島は出血が止まらないまま文珠『模』の効果が切れて元の姿に戻った。
「はあ、はあ・・・」
文珠『治』を使って何とか傷口はふさがった。しかし、出た血が多かったのか動けないまま意識を失った。その頃、ブラッドレイが持っていた賢者の石を手に入れた女性は、スカーに頼まれて国の中心である錬成陣のところまで運んだ。そして、スカーは錬成陣に手を置こうとした。それは、国全体を覆う結界のような役割をしている地面に埋まっている賢者の石を逆転の錬成陣で無くすためだ。
『いろんなものを失った俺は・・・これからどこへ行くのだろうか?』
そんな思いを持っていると、
「!!」
再構築の錬成陣の刺青がある左腕が、自分の両手の上に見えたような錯覚がした。瞬きをしてもう一度見たら、今度は自分の両手だけだった。
『そうだ。いろいろ失ったけど、手に入ったものだってあった。無くしたのなら、また別の何かを手に入れればいい。そうか、この左腕はそのためのものだったんだな・・・兄者』
だが、後押しはしてくれた。
『行くぞ、兄者!』
『ああ、イシュヴァールのためにも!』
そんな声が聞こえた気がしたスカーは、錬成陣に手を置き逆転の錬成陣を放った。
そして、そこから少しずつ逆転の一手となり戦いは人間側に傾き始めた。だが、横島はもう動けないためエドワード達が戦いに行く中、スロウスとの戦いでかなりの痛手を負ったオリヴィエがこの場所にやってきた。
「タダオ。おい!」
「大丈夫だ、生きて、いる・・・く!」
共にいたスカーが安否を伝えた。少しだけホッとした彼女が周りを見るとブラッドレイの亡骸を見た。
「これは、お前が倒したのか?」
「ああ。だが、ここに来た時から既に満身創痍だった。それでも俺一人だけでは無理だった・・・こいつがいなかったら俺は殺されていただろう」
「・・・・・・そうか」
それを聞いて、倒れている横島に笑みを浮かべた。
『ふふ、どうやら・・・約束は守らないといけないようだな』
スカーは生きている。しかも、ブラッドレイを倒すという大役までやったのだ。そう思いながら、ブラッドレイに向かって
「どうだブラッドレイ。私の兵は強かっただろ・・・後、タダオも、私の男も、強かっただろ」
そう言った。
その後、ホムンクルスとの戦いは終わった。スカーもオリヴィエに渡すことができた。今は彼女の実家でスカーと横島は療養中だ。スカーとマイルズを二人だけにさせて今後のイシュヴァールをどうするか話し合いをさせて、オリヴィエは、
「よく・・・頑張ったな」
別室で寝ている横島の部屋に行き、心からの笑顔を彼の寝顔に送った。その顔を見ながら、戦いの中で会ったエドワードとアルフォンスの師匠であるイズミから言われた言葉を思い出した。それは子を産める幸せが無くなったイズミに軍人として生きる自分にはそのような幸せは無用だと言った時だ。
『なるほど・・・でも、あなたも女性として産まれたのならいつか欲しいと思う時が来るわ。あなたを女性として大切な人として見る人と必ず会う時が来るわ。これだけは覚えておいた方がいいわよ』
それを思い出し、一番の候補である横島が
「果たしてこいつがその男になるのか・・・っふ、楽しみだな」
自分をそう思わせる人物になるか。それを楽しみにしながら、その部屋を出た。
今回のヒロインは、美神に近いタイプの女王様なので時間をかけて少しずつ意識させるという感じなので、終わりがこれからそれが始まるという感じになりました。というか、それ以外に想像ができない・・・デレた今回のヒロインが。
次回がストリートファイターズの春麗ですが、どうやればいいかさっぱり?一応原作通りにしてみようかな?その次ですが前々からやってみようかな?と思っていたハヤテのごとく!で行こうかと思います!ヒロインは、瀬川泉か水連寺ルカあたりを考えています。