横島忠夫、〇〇〇〇と付き合ったらどうなる?   作:一日三食MEN

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 この話はできる事なら最終回の後に投稿したかった!かなり、内容はガチになって書きました。
  
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 真剣になって書いたので、抜作は出ません。
 横島が最初に会ったのは主人公ではありません。
 横島も組織に属しています。

 今回はかなり長いです。前編後編に分けようかとも思ったけど、一気に書きました!


トリッシュと付き合ったら?(ジョジョの奇妙な冒険・黄金の風)

 この世界に飛ばされた時、横島は辛い目に遭った。それは、

 「言葉が通じねええ!」

 イタリアという国に飛ばされたため、言葉が分からない事。

 「金がないいいい!」

 ずっと貧乏だったため、イタリアの通貨に変えられるだけの金を持ってなかったこと。だが、一番つらかったのは

 「・・・どう生きればいいんだ!」

 世界すら違っているから友人も伝手も知り合いもいないため、どう生きればいいかわからない状態だった。だから、恥を気にしないで必死にゴミ箱に入っているものを食べたり、落ちている金を少しずつ集めて辛うじて買って食べたりして命がけで生き延びていきながら移動を繰り返していくうちにネアポリスに入って・・・そこで、出会った。

 「・・・・・・!!」

 この時はまだ何を言っているかわからないが、自分と同じように路地裏にあるごみ箱で食べ物をあさっているその姿は、明らかに今の自分と同じ境遇の辛い立場の人間だと理解した。移動中に少しだけイタリア語を学んだ横島は挨拶をした。本格的な会話は言葉が通じないのをジェスチャーで辛うじて

 

 「ピアチェーレ」←日本語訳・よろしく

 

 仲良くなることだけはできた。原作で香港に行った時に香港の言葉を速攻でマスターしてナンパできたのは余裕があったからであり、明日どうやって生きるか?レベルで余裕がなかったのですぐにマスターは出来なかった。

 そして、お互い名前を教え合い目に病気があるため眼帯をつけていた彼・・・ナランチャと二人で行動するようになり、必死になって生き延びていく中である一人の男が二人をあるレストランに連れていき、待ち合わせをしていた男に

 「こいつらに何か食わせてやりたいですが、いいですよね!」

 待っていた男・・・ブチャラティと出会った。二人は出されたスパゲティを食べた後、話をしようとしたが流石にイタリア語を挨拶程度しか覚えられなかった横島にそれが出来なかった。

 でも、ブチャラティはとても頭がよく状況判断もすぐにできる者だったため、すぐに別の国の人間と分かってくれて連れてきてくれた男・フーゴが日本語の翻訳がそれなりに出来たことが幸いだった。ナランチャを病院で治療してやり、横島にはイタリア語を勉強をさせてくれた。←ここでは、フーゴは大学在学時に語学を学んだからできたという設定。

 そして、二人は恩義を果たすために彼の力になりたいと思い、ギャング・パッショーネのブチャラティのチームに入団するために、ポルポの試験に合格して組織に入った。その試験で横島もスタンドを手に入れることができたが、それがあの最愛の彼女であるルシオラと同じ姿をしていた。その姿を見て、思わず横島は号泣して・・・抱きしめた。そして、同時にスタンドの意味もブチャラティ達から聞いた。

 ここでようやく余裕を手に入れられたので、いつもの横島をチームに入ってからようやく出すことができた。月日も経って、イタリア語も持ち前のナンパしたい気持ちでマスターをして、

 

 「ミ キアーモ ヨコシマ!コメ ティ キアーミ!」←日本語訳・僕横島!君の名前は何!

 

 てな感じでイタリア女性達をナンパしまくって、振られまくった。

 「うぐぐぐぐ~~~!!!」

 そして、ブチャラティのチームがよく集まるレストランで

 「ヨコシマ!今日は何人に振られたんだ?」

 「・・・六人」

 「よし!一桁ってことはアパッキオ!賭けは俺の勝ちだ!デザートのケーキは頂くな!」

 「っち!ヨコシマ。せめて十人にフラれてこい」

 「俺のガラスのハートを更に粉々にしろと!」

 「全く・・・騒ぐな、ヨコシマ」

 「なあ、フーゴ。せめてもうちょっとわかりやすく教えてくれよ」

 「教えてるだろ!これ以上下げると五歳児レベルだぞ!」

 更にチームに加わったアバッキオとミスタの六人で食事をするようになった。ナランチャの目も完治して、フーゴから勉強を教わっているが・・・苦手なのか余りちゃんと覚えてないようだ。

 『・・・楽しいな。ナランチャもだいぶ明るくなって何よりだ』

 だが、女にフラれ記録を作りながらもこうして人並みの食事ができ、共に行動していたナランチャもこのチームの皆に心を許す姿を見た横島は居心地の良さから、本当にギャングなのか?と疑問を思うくらいにこの六人でいることに喜びを感じていた。

 『できる事なら、このままでいたいものだ』

 マルゲリータのピザを頬張りながら、そう思った。

 

 

 そこから更に月日も経ち、新たに加入したジョルノ・ジョバァーナと共にこのチームが少しずつ大きい存在になっていくことになった。彼が参入してすぐにブチャラティの上司であるポルポが死んだことを知り、彼の遺産を組織の上納金にするために管理していたブチャラティを狙う者を倒すことになった・・・が、その戦いに横島は入らなかった。その理由が、

 「横島には別任務として、資金を受け取る手はずになっている幹部の護衛を頼みたい」

 ブチャラティからこの命令を受けたためである。金のありかを知るブチャラティ達を囮に横島はその幹部を守るために動いていたのだ。無事、その幹部ペリーコロとあと一名を会って襲ってきた連中を倒したブチャラティ達のところに行き、彼に上納金を納めることに成功してブチャラティは幹部への昇進が出来た。

 そして、そのままボス直々の任務として・・・

 

 「じゃあ、確かに渡したぞ」

 

 一緒に行動していた一名・・・変装していたが話の中に出てきたボスの娘・トリッシュの護衛を受けた。この子が変装していた時から横島は女だと気づいていたが、

 「か、か、かわええええええ!」

 変装を解いた姿を見ると、思わず母国の日本語で言うくらい美人だった・・・が(ここからはイタリア語で言っている)、

 「だが、何故だ!すっげえ好みなのに何故俺の理性がストッパーをかける!」

 「ほっほっほ、彼女はまだ15歳だぞ」

 「何!だったら高校生になっている歳・・・だが!ナンパするにはもうちょっと!のごおおおおおお!!俺の本能と理性がぶつかり合うううう!!」

 『『『『『何やってるんだ?こいつ?』』』』』

 彼女の年を聞いて狂ったように頭を振り続けたり、地面にのたうち回ったりとその行動を見てペリーコロは笑いながら楽しそうに、チームの皆一同がキチガイを見る目で横島を見た。

 その後、トリッシュは自分の父がギャングのボスであることを知らないことや、自分の立場すらも理解してない普通の女の子であることが分かり、彼女を人質にボスの命を狙うかつて同じ組織にいた暗殺者チームから守りながらボスのところに連れていくことが命令だった。

 ナランチャが買い物に行った時にそのうちの一人に襲われ匿っていることがばれ、次はフーゴ・アバッキオ・ジョルノが次の指令を受けた任務を果たすときにまた襲われた。どっちも何とか撃退することができ、フーゴ達が手に入れた鍵でボスからもらった亀に装着させることでスタンド能力を発動させて中に避難させることができるようにでき、しかもあと数人を入れることも出来るので移動も最小限に出来るいいものを手に入れた・・・が、既に中にいたペリーコロが秘密保持の為に自害した。

 

 彼女をその亀に入れて、次のフィレンツェへ行く列車で二人組の暗殺者に襲われた。そのうちの一人のスタンド能力が徐々に皆を老化させていくという悪質なもので、しかもそのスタンドを持つ人間も目的のためなら周りがどうなってもいいという残忍な人間だ。そして、関係のない乗客もチームの皆も徐々に老化を始めていく中

 「なるほど、氷が生命線か!」

 「それにしても、お前のこの力は一体・・・」

 そのスタンドの老化を遅くするには氷のような冷たいものを持っておくことを知り、この時初めてブチャラティの前で文珠の力を見せた。他の皆の分はさすがに作れなかったので、スタンドの持ち主を叩く為自分と彼の二人分だけにした。口が堅いブチャラティに文殊の存在は仲間にも言わないでほしいと約束した後、『氷』をポケットの中に入れて二人を倒しに向かった。

 そして、そのスタンドの持ち主との戦いを始めたが、

 「いいのか?俺に触れても老化するんだぜ?」

 「へ!その割には動きがおせえな?これだけのことをしたんだ。力も相当使ってるんじゃないのか?」

 「なるほど、確かにこの列車全部に老化のガスをやるなら本体も相当力を失っているはずだ」

 相手の暗殺者・プロシュートは触れただけでも老化するのは事実だ。しかも、

 「ほう~、目玉だけ妖怪みたいなやつだな!」

 「『氷』が俺達の老化を止めている間に倒さないと!」

 文殊『氷』の効果ももうすぐきれそうでもある。しかし、その短い間に倒す手段が思いつかない・・・が、

 「なあ、ブチャラティ・・・もう一人を頼んでいいか?こいつは、俺が倒す!」

 「お前、何を考えている?」

 横島がそう言ってきたことにブチャラティは疑問を持った時に、

 「頼んだぞ!」

 「ふん。いいのか?ザ・グレイトフル・デッド!こいつを老化しろ!氷を持っていても解ければどうってことない!」

 プロシュートに向かって走り出して、彼をつかんだ。

 「おい!無謀だぞ!」

 「さあ、おいぼれになれ!」

 「へ!いいか、ひとつ言っておく!」

 同時に、プロシュートとスタンドのザ・グレイトフル・デッドが横島を掴み老化させていく中横島は叫んだ。

 

 「爺になることはな・・・もう経験済みだあああああ!」

 

 文殊『爆』を使って扉を破壊して、

 「き、貴様!まさか!」

 「さあ、一緒に降りようぜ!」

 「ば、ばか!ヨコシマ!お前!」

 「へ!ここで死ぬわけないだろ!死ぬのはこいつだけだああああ!」

 「く!ペッシ!俺を助けろ!列車から落とされそうになってる!」

 プロシュートとスタンドを掴んだまま外に向かって飛び降りようとしたが・・・もう一人の暗殺者のスタンドを掴んで助かろうとした。だが、横島は

 「ブチャラティ!お前が掴め!いいな!」

 「ヨコシマ!」

 「もう一度言う!死ぬのはこいつだけだ!俺はお前のところに戻る!俺らのリーダーなら信じろ!」

 「・・・わかった!スティッキー・フィンガーズ!」

 そのスタンドの糸をブチャラティに掴ませ、彼には掴ませなかった・・・結果、

 「貴様!ここから落ちたら、お前も死ぬんだぞ!」

 「へ!俺はな・・・」

 二人は列車から体が離れ落ちそうになる中、

 

 「俺はビルの屋上から落ちても!飛行機から落ちても!バックドラフトを食らっても生き延びたんだ!」

 

 自分の過去のマジの経験を叫びながら

 「くたばれええええ!」

 高速で動く列車の車輪めがけてプロシュートとスタンドを投げて致命傷を負わすことが出来た。一方、横島は

 「着地!ははは!どうじゃい!」

 文殊『柔』を使って、自分の落ちる範囲の地面を柔らかくして無事だった・・・と思いきや、

 「貴様・・・だけ、でも!」

 「ち!伊達に暗殺者やってないな!」

 何と全身が血まみれになりながらも、プロシュートが立ち上がった・・・ペッシが列車からその姿を見て、変貌したのを横島は知らなかった。

 

 「・・・行くぞ。ルシオラ!」

 

 ここまで粘るとは思わなかった・・・ついに、横島のスタンド・ルシオラを出した。←姿は魔族の格好のまま。

 『こいつを倒すのね?』

 「ああ、こいつを倒して・・・仲間を助ける!」

 『わかったわ。やってやるわ!』

 彼女は横島の思いを受け止め、

 

 『イリュージョン・ダンス!』

 

 彼女の能力を発動した。蛍の化身である彼女の力は、まず全体に強い光を放ち目をくらませる。

 「こんな目くらまし程度・・・な!」

 『『『『『さあ、あなたは私達がわかるかしら?』』』』』

 一瞬でも目を覆ったり閉じたりすればいい。その瞬間に光の幻惑で横島とルシオラは何人も出てくるのだ。何よりこの能力で一番厄介なのは実体は一つだが、

 「この、野郎がああああ!!な、何だ・・・体が!!」

 「じゃあな・・・ま、最後の立ち上がりは格好良かったぜ!」

 『これで、終わりよ』

 ルシオラ本体とその幻惑は麻酔を空気上に散布させるのだ。つまり、プロシュートのスタンドと似たやり方であり、今までこいつが相手にやってきたことを逆にやり返したという事だ。その事を知らないまま幻惑に攻撃している内に体の自由がどんどん効かなくなり、スタンドの方にもその効果は効くので無造作に出していた老化ガスを出す量が段々弱くなっていく。

 「いいか。お前らがどんなに止めようとしても俺らはそれをぶち壊して前に進む!」

 ついに、老化ガスが出なくなったのを確認して、幻惑をやめて実体だけに戻した。

 「そう・・・俺らを止めることなど!」

 ルシオラに目を配り・・・彼女は拳を握って、

 

 「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」

 

 横島が無理と言った瞬間、彼女の拳がラッシュを始めた。その拳にも麻酔の効力があるので、一発殴られる度にどんどん麻酔薬を抽入されるようなものだ。そんなものをラッシュで受け続けると万全の状態でも体の機能や生命力が低下していく。しかも、プロシュートは列車にはねられたので重傷で出血も続いている。つまり

 「う、あ、く・・・あ・・・」

 どんどん追加していく麻酔のせいで体を動かせなくなっていき、血もどんどん出て行き、最後はそのまま眠るように死んでいった。横たわる彼に向かって、

 

 「アッテンツィオーネ」←日本語訳・気をつけていってらっしゃい。本来は友人や家族が外出する時に言う言葉でこんなことに使う言葉ではないが、いってらっしゃいを逝ってらっしゃいにわざと意味を変えてそう言った。

 

 こう言ってこの戦いの幕を閉じた。その後、無事ペッシを倒したブチャラティと合流した。どうやら、文珠を使って助かったことに気付いたようで

 「お前ほどしぶとい男が敵でなくてよかった」

 と称賛を受けた。ただ、

 

 「あなた達!いったい何を知ってるの!答えなさいよ!」

 

 今までの襲撃でトリッシュは流石におかしいことに気付いたようで、亀から出てブチャラティに質問をしていた。スタンドとは無縁の普通の生活をしていた彼女からすれば尚更だ。

 その後、ブチャラティはボスのところに連れていけば全て終わることを告げて、彼女を再び亀に入れて移動を始め・・・そしてボスのいるベネツィアに向かった。ただ、エンジン付きのボートで移動する時は乗れる人数が限られるので横島も亀の中に入った。その際に、

 「私は・・・どうなるの?」

 不安しかない顔でそう呟くトリッシュ。こういう時こそ横島らしいセクハラやバカをやって気を紛らすが、いくら何でもまだ十五の彼女がそれをやって気分がまぎれるわけがない。だからこそ、

 「なあ、トリッシュちゃん。もしだよ・・・もし、会うのが不安ならこのまま俺と一緒に逃げるか?」

 「え?」

 真面目に思ったことを告げた。

 「別にお母さんが頼れと言ったからそれを守らなくていいんだよ。君は自分で答えを出すんだ」

 「・・・・・・会うわ。実際、どんな男が父親か知りたいし」

 「俺の親父ってさ、滅茶苦茶女遊びしていたバカだけど・・・それでも、一応おふくろや俺をちゃんと大切にしていたんだ。父っていうのは子を大切にするもんなんだよ」

 「・・・ありがと」

 守らなくてもいい。恐らく内心会わなくてもいいのでは?と思ってもいたのだろう。そんな自分の気持ちを肯定してくれたことや背中を後押ししてくれたことがこっそり嬉しかったのか、父親に会う決心を持った。

 ついにベネツィアに着いて、ボスのいる屋敷にトリッシュを連れていくのは幹部のブチャラティだけで自分達はボートの上で待つことになった。その際にジョルノのテントウムシのアクセサリーと

 「じゃ!トリッシュちゃんの父親がどんなやつか、しっかり見て来いよ!」

 「・・・ああ、わかった」

 横島から仲間達にばれないように彼に文殊を一個渡した。そして、フーゴがまたこれからもこのメンバーで仕事をしたい。そう告げると彼は当たり前だ。と言ってトリッシュを連れて行った。

 

 

 だが・・・事態は急変した。

 「お、おかしい!」

 「ああ、確実に!」

 ノートパソコンを開いて内部の状況を見ているジョルノと、トリッシュの事を心配していた横島は状況の変化に気付いた。フーゴにペットボトルを取ってほしいと言われたジョルノだが、手を着けてもいないはずなのに次の瞬間フーゴがそのペットボトルの水を飲んでいて、ナランチャからチョコの箱をとったミスタだが同じ瞬間中身が空っぽになった箱と文句を言うナランチャの口の中にチョコがあった。この現状に不安を持った二人は思わずボートを下りようとした。

 「おい!何降りようとしている!」

 怒鳴ったアバッキオが二人の肩を掴もうとした瞬間だった・・・二人だけでなくアパッキオすら降りてしかも何歩か歩いた後の場所に立っていた・・・だが、三人ともボートを下りてなければそこまで歩いていない。これには、さすがに二人だけでなくアバッキオ達もおかしいと気付いた。

 「と、とんでもないことが起こっている!ブチャラティが危ない!」

 「何だよ!これって、まるであれみたいじゃねえか!!トリッシュちゃんが危険だ!」←あれは原作の月でメドーサとの戦いに使った一瞬で移動ができる超加速のこと。

 すぐにあの屋敷でとんでもないことが起こっていることに気付いた二人は、

 「ブチャラティイイ!」

 「トリッシュちゃあああんん!」

 救出するために走り出した。途中でブチャラティがジョルノの携帯に連絡してきて、ジョルノが報告と警告をしたが携帯を切られた。

 「一体、何がどうなっているんだ!」

 「確実に言えるのは、これがボスのスタンド能力という事じゃないのか?」

 「ボスがスタンドを使う、という事は!」

 「ああ・・・そういう事だ!」

 ボスがスタンドを使う。の言葉で二人は最悪の事態が頭によぎった。でも、それを考えないようにして入り口に向かって走り、中に入った。そして、

 「な!ブチャラティ!」

 「どういうことだ?トリッシュちゃんの腕にチャックが?」

 重傷のブチャラティと腕にチャックの着いたトリッシュが倒れていた。慌ててジョルノがスタンドで彼を治すが反応がない。

 「ここにはボス以外はいないはず・・・という事は、二人をこうしたのはボスか!」

 「傷口はもうふさいだ!起きてください!ブチャラティ!」

 この状況に二人は気づかなかった・・・彼に渡した文珠がポケットで光っていたことに。それに書かれていた文字は『魂』。そして、トリッシュの腕にあったチャックが壊れ、その文珠が粉々になった瞬間

 

 『二人とも!アバッキオ達を呼べ!』

 

 そんな声が確かに聞こえた。そして、次に

 「アバッキオ達を・・・呼ぶんだ!」

 彼が目を覚まし、体を起こした。

 

 

 その後、言われた通りアバッキオ達を呼びトリッシュも連れてボートまで戻った時にブチャラティは全てを話した。自分がボスを裏切ったこと、ボスがトリッシュをここまで護衛させたのは自分の手で娘を殺すためだったこと、ブチャラティは何も知らない彼女をそんな無慈悲に殺すボスが許せなかったから裏切った。

 「いいか。ここからはお前らで決めろ。組織に残るか、俺と共に組織を敵に回してボスを倒すか。お前らが決めるんだ!そして、着いてくると決めたら・・・このボートに乗るんだ」

 最後にそう言った。まず

 「僕は、組織がないと、生きていけないんだ」

 フーゴが辞退して、ボートから距離をとった。そのすぐ後に、

 「俺が一番落ち着けるのは、ブチャラティ・・・あんたの傍だけだ」

 アバッキオがボートに乗った。

 「もし、ボスを倒したらさ~、次の幹部って俺ってことだよな」

 ミスタも乗り、

 「僕の夢はギャングスターだ。ボスを倒せば、その夢が大きく近づく」

 ジョルノも乗った。

 「な、なあ、ヨコシマ。お、おれ、どうしたいいんだ?」

 「ブチャラティも言っただろナランチャ・・・自分で選べと。今回ばかりは俺やブチャラティの言葉に従うんじゃない。お前が決めるんだ」

 そう言いながら、

 「トリッシュちゃんに会わせる気持ちにしたのは俺だ。なら俺は彼女を守らなければならない。何より・・・美女を殺そうなんて俺が許せん!」

 横島もボートに乗った。その後、震えるナランチャと背を向けるフーゴを残して出発したら、

 

 「嫌だあああ!おいてかないでえええ!俺に来るなって命令しないでえええ!!」

 

 ナランチャが泳いでボートを追いかけてきた。彼を引き上げて、トリッシュの腕の傷は自分の傷でもある。だから、必ず彼女を守り皆と共にボスを倒す。そう宣言した。

 

 

 こうして、フーゴ以外の皆がパッショーネを裏切って敵対することになった。ただ・・・横島はブチャラティに違和感を持っていた。霊視が出来るからこそ、彼のおかしいことに気付いた。

 『魂が肉体と一体になってない?ただあるだけにみたいになっている?』

 人間が生きるには肉体・命・魂の三つがあり、特に肉体と魂が一体となっている状態で命を動かすことで初めて生きていると言え霊視をすれば魂もまた肉体の形となって見えるはずなのに・・・ブチャラティの魂は手のひらに収まるくらいの光の玉なのだ。それが心臓の位置にあるだけであり、気になって体をそっと触ってみると

 『・・・人間の体温じゃねえぞ。これ!』

 人間の体温を下回っていた。つまり、彼はもう・・・

 「な、何故言ってくれなかったのですか!」

 「ああ、ブチャラティ。お前」

 「そうか。俺の体は・・・言うな、いいな二人とも」

 彼を治療したジョルノもおかしいと気づいた。だが、ブチャラティはその先を言うのを制止して二人とも言葉が止まった。だが、確かに言わない方がいい・・・ボスの手先が襲い掛かる中、リーダーであるブチャラティは既に死んでいる状態なんて言ったらチームが崩壊しかねない。二人とも頷いて、普段通りで接することにした。

 そして、ボスの親衛隊である最初の敵がナランチャに襲い掛かった。

 『な、何で!何で俺の言葉が逆の言葉になるんだ!』

 ただし、直接攻撃するのではなく言いたいことを逆に言うスタンドが彼の舌にとりついたのだ。しかも、もう一つの魚のスタンドも襲い掛かってきた。ナランチャは何とか皆に敵が襲い掛かってきていることを伝えたいがどうしても逆に言わされてしまい、中々伝えることが出来ない。そんな中、ジョルノが襲われてしまい重体になって攫われてしまった。一人でどうしようと思っている時に、

 「ナランチャ、スタンドを狙うな。本体を叩くぞ」

 返事はするな。頷くだけにしろ。という紙を見せながら言った。横島はちゃんと見ていた・・・敵の存在を伝える時に言葉とは真逆の位置に指を示していたことに。ナランチャは自分の身に起こったことを理解した横島に嬉しくなり、力強く頷いた。

 ナランチャの呼吸を探知できるレーダーを頼りにスタンドの持ち主を探す際に、敢えて見つけたというように言えと言った。何故なら、例え嘘でも見つかったと思えてしまうからであり、そうなるともう一人が必ず抑えようとその場に止まる・・・つまり、言葉を出すのは連中を動かさないためでもあった。だが、いくら魚のスタンドを持つ敵にダメージを与えて呼吸を荒くても、そんな呼吸をしている者は街中に数多くいる。だから・・・

 『おい!見ろ!あいつ・・・自分の舌を斬って!』

 『ば、バカな!舌を斬って喋れるはずが!いや、生きているはずが!』

 ナイフを持たせて、斬ったスタンド付きの舌を見せる様にした。そうなると、

 「よし!見つけた!あの二人だ!」

 「く!し、しまった!」

 「ま。まさか、私の方をターゲットにしていたとは!」

 スタンドの持ち主は強く動揺して呼吸を急に強く荒げる。ただ、あの横島がナランチャの舌を斬らせるか?という疑問だが、

 『ほ、本当に俺が舌を切ったように見えていたんだな』

 実は口の中にいるスタンドの形を見て、ナイフに『幻』の文珠を着けて見えるようにしていたのだ。二人はそれに引っかかってしまい、実際はナランチャはナイフを持って歩いていただけであり、危ない人間に見えそうだが横島がガードして、

 「今まで随分と引っ掻き回してくれたな!ナランチャ!」

 「(こくん!)エアロスミス!」

 ここまでたどり着いた。エアロスミスで二人を狙い撃ちしたが、一人・ティッツァーノが命がけで守ってもう一人・スクアーロをかばった。その男が崩れ落ちた瞬間、

 「あ!スタンドが落ちた!」

 ナランチャの口からスタンドが落ちて、ティッツァーノと共に死んだ。だが、ただでやられたわけじゃなく

 「クラッシュ!ヨコシマの、喉を食い破れ!」

 「ぐ!げぼ!」

 スクアーロが自分の為にスタンド・クラッシュを出せるようにした命がけの行為に答えるためにも、ナランチャをかばい血が付いた横島に攻撃をしたが、

 

 「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!!」

 

 ナランチャがスクアーロに止めを刺した。

 

 「ボラーレ・ヴィーア!」←日本語訳・飛んでいきな!

 

 すぐに横島のところに行ったナランチャだが、ジョルノの心配もするよう伝えて何とか生きていることを確認してホッとした。この時、横島はわざとルシオラを出さなかったのは、ナランチャに自信をつけさせるためだ。

 「ナランチャ、お前凄いな。二人ともやっつけたじゃねえか」

 「何を言うんだ!ヨコシマが言ってくれたから」

 「ははは、とりあえず今はジョルノだ。担いで皆のところに戻るぞ」

 「ああ!・・・・・・本当、頼れる兄ちゃんみたいでいてくれて嬉しいよ」

 文殊『治』で喉を治してジョルノを担いで笑顔で話をした。ただ、最後はぼそっとこっそり呟いたナランチャである。でも、横島には聞こえていて

 

 『俺もだよナランチャ・・・弟を持つ兄ってこんなに守ってやりたい気持ちなんだな』

 

 自分も一緒にいれて嬉しいことを心で答えた。

 

 

 だが、いいことばかりじゃなかった。何とかベネツィアを脱出してボスの手がかりがあるサルディニア島に行った時に、横島は亀の中でトリッシュと一緒にいた。ずっと独りでいるのはかわいそうなので、話し相手になって少しでも気を紛らすためだ。

 「詳しい月日を思い出せないのか?」

 「ええ、十五年前しか母さんも覚えてなかった」

 「そうか・・・それにしても、とんでもない父親だな。保身の為に君を殺そうとするなんて」

 「・・・もう、あいつは父親じゃない。倒すべき敵よ」

 「おおよ!トリッシュちゃんがそう決めたなら俺は必ず君を守る!」

 「・・・何でそんな私を守ろうとしてくれるの?」

 「君が美少女だからだ!何より・・・」

 「何より?」

 「・・・将来俺と結婚を約束をさせるためじゃああああ「は?」・・・・ああ!しし、しまった!つい、口が開いちまったあああ!」

 「(間が少し長かった気がするけど?)あなたと結婚?は~~、冗談はやめてよ(でも、少し気が紛れたかな?ありがとう、ヨコシマ)」

 「ぐおおおお!冗談で済まされてしまった!(少しルシオラと似ていた。と言うところだったな。危なかった)」

 こんな会話をして、徐々にトリッシュのショックを受けた心を立ち直らせている時だ。

 

 「ア、ア、アバッキオオオオ!!!」

 

 ムーディブルースでボスの正体を探っていたアバッキオが死んでいたのだ。既に魂が肉体から抜けて完全に死んでいたので、ジョルノのスタンドでも不可能だった。ブチャラティやミスタが悔しさを顔に出し、ナランチャが号泣する中、ジョルノが手掛かりを見つけ・・・ボスの顔を残したデスマスクを発見した。それを手に入れて、アバッキオの遺志を受け継ぐためにも彼をそこで弔い前に進んだ。

 その後、デスマスクから正体を探ろうとしたが・・・情報操作は完璧にされていたため、犯罪者・死亡情報をさぐっても手掛かりが出なかった。どうしようか悩んでいると、

 

 「私は、ボスの正体を知っている!」

 

 ハッキングされ、電源を切ろうとしたときにハッキングしてきた者がそう言ってきた。トリッシュがこの言葉を言って生きているのなら信用していいと言ったため、そのまま話を聞くことにしてボスを倒す手段を持っていると言ってきた。それを手に入れる為に彼がいるローマのコロッセオに行くことになった。

 ただ、ボスも当然すぐにはいかせない。切り札の二人を出してきたが・・・ジョルノとブチャラティの二人がそれぞれ倒した。その時の横島は、ナランチャと共にそのうちの一人のスタンド能力にやられて亀の中で退散していた。その時は文珠を切らしていたため、そのカビを取り除く為に作ることに集中していた。すると、突然眠気がやってきてやっと二個作れたが、そのまま眠りに着いた。実はその二個でこっそり発現したルシオラが横島を守るために使ったのだ。入った文字は『無』『効』。

 そして、その事に気付かないまま目を覚ますと

 「な、な・・・こ、これは!」

 「どうしたんだナランチャ?」

 ナランチャが驚いていて、ヨコシマが訊ねたが聞こえてなかった。そして、上を向いたら、

 

 『俺とジョルノ!ミスタとトリッシュの精神が入れ替わったのかよおおお!』

 

 ジョルノの中にいるナランチャがそう叫んだ。ナランチャ(ジョルノ)と共に外に出ると、既にコロッセオに到着していた。

 「どうしてヨコシマはそのままなんだよ!」

 「いや、俺も知らないんだ!」

 横島だけが変わってない事に四人は不思議そうな目で見た。でも、横島から見たらジョルノ(ナランチャ)は無邪気な声を出し、ナランチャ(ジョルノ)は冷静に物事を見ていて、ミスタ(トリッシュ)は内股で立って女口調になっていて、トリッシュ(ミスタ)は銃を持って唾を吐いたり股間を触ったりする・・・そんな彼らの方が不思議なので同じ目で四人を見た。

 

 『確か文殊を二個作って『除』『菌』で俺とナランチャのカビを取ろうとした途端に眠気が来て起きたらなくなっていて、この状況だ。多分、ルシオラが何かを察知して、文珠で俺には効かないようにしたんだろうな』

 

 確信ではないが、ルシオラが自分を守ってくれたと気づいていた。ただ、それを説明するには文殊の存在をばらさないといけない。ブチャラティ以外にはできるだけ話したくないので、

 「それよりミスタ!何でてめえがトリッシュちゃんなんだ!そこは俺がトリッシュちゃんになって女体のあんなところやこんなところを見るっていうのが筋ってもんだろうが!」

 「ちょ!ヨコシマ!何を言っているのよ!」

 「知るか!つうか、そんなことをして何になるっていうんだ!」

 「てめえ!女の神秘に興味がないって「スパイス・ガール!(どごごごごごごご)」のぎぇぎゃあああ!」

 「全く・・・自業自得だ。それより今のを見て分かったが、魂と共にスタンドも入れ替わっているみたいだな」

 「・・・なあ、ヨコシマ。女の神秘って何だ?」

 トリッシュと入れ替わりたかった!と本気で思っていたを口に出した事で誤魔化すことに成功した。ジョルノ(ナランチャ)が純粋な目でそう言ってくる姿がやっぱり不思議だと横島はボコボコにされながら思った。

 

 

 漫才も終わり傍で倒れているブチャラティを注意深く見ていると、

 

 「く、苦しい・・・て、敵は・・・あくまで、ディアボロ、だ」

 

 柱に上った亀がそう言って、語った。自分の名はジャン・ピエール・ポルナレフであり、彼こそがハッキングしてここで会う約束をしていた男だったが、先に現れてボス・ディアボロに殺されてしまったこと。その際にディアボロのキングクリムゾンを倒す唯一の方法である矢の力を奴に取られないために自分のスタンドに刺したことで横島以外の皆の精神が入れ替わってしまい、自分も亀の魂と代わったこと。そして、その矢を自分のスタンドのチャリオッツ・レクイエムが持っており暴走している事を話した。

 その矢を手に入れてスタンドに刺し矢の力を使いこなすことがキングクリムゾンを倒す方法だと、ポルナレフから聞いた。話の最後にボスは二人組でディアボロと小僧がいた事に横島達は疑問を投げかけたがポルナレフ自身も分からない事だったのでここで話が終わった・・・そのすぐ後に、そのディアボロがコロッセオに入ってきた。すぐに物陰に隠れて迎撃態勢に入ったが、すぐ傍にチャリオッツ・レクイエムもいてディアボロが立ち向かい矢を奪おうとしたが、

 

 「あ、あのスタンドは!」

 「スティッキーフィンガーズ!」

 

 そのディアボロから出たスタンドはスティッキーフィンガーズだった。この男の中に入っていた魂はブチャラティだった。ボスの体だがブチャラティが無事なことに皆が喜び、横島だけが本人のままなのもすぐに文殊で助かったことも理解して、後は切り取ったチャリオッツ・レクイエムの手に握られた矢を取るだけだったが・・・とろうとした瞬間、スティッキーフィンガーズがディアボロ(ブチャラティ)に攻撃しようとした。トリッシュ(ミスタ)のセックス・ピストルズも様子がおかしくなっており、これがレクイエムの能力だと亀(ポルナレフ)が言った。

 チャリオッツ・レクイエムが矢を拾いどこか行こうとしたところに、ずっと倒れていたブチャラティの体が起き始めたのでディアボロ(ブチャラティ)は射殺するようミスタに言い、怪我はナランチャ(ジョルノ)が治せばいいということで言う通りにした。だが・・・彼の体はもう死んでいる状態なので治せない。その事が分かっているディアボロ(ブチャラティ)もナランチャ(ジョルノ)も

 

 『ブチャラティ・・・その覚悟なら何も言わねえよ』

 

 そして、横島もまた覚悟を決めた。

 

 

 後はチャリオッツ・レクイエムを倒して矢を拾い、誰かのスタンドに刺して矢の力を使いこなし、ボスを見つけて倒すだけ。そう、それだけだ。それだけ・・・だった。それ・・・だ、け。だっ、た。

 

 「ナ、ナ・・・ナランチャアアアアアーー!!!!」

 

 念には念を入れて動けないブチャラティの体を監視していた時だった・・・鉄柵にジョルノ(ナランチャ)が刺されてしまったのは。

 『・・・え?』

 横島は唖然として刺さっている彼を見た。何が起こっているのか分からなかった。何故刺されている?何故?どうして?そればかりが頭の中にあり、混乱していた。

 呆然としている横島をそのままにナランチャ(ジョルノ)がスタンドで体を治したが、

 

 「もう、いないんだ。空洞なんだ。逝ってしまった・・・間に合わなかった・・・僕の魂が、行き来できるくらい・・・この体の中は・・・空洞、なん、だ」

 

 彼の魂がもう体の中になかった。霊視で確認することすら忘れるくらい、

 「そ、そん、な・・・」

 横島の頭は真っ白になった。トリッシュ(ミスタ)がミスタ(トリッシュ)が体に戻ったジョルノが悲しみに涙を流し、ディアボロ(ブチャラティ)が悔しさに唇をかみしめている中、

 

 「う、う、うおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 ただただ、横島は感情のままに叫んだ。共にあのごみ漁りをしていた苦しい日々を過ごしたナランチャが・・・弟のように守りたいと思ったナランチャが・・・・・・死んだ。ルシオラがまだ横島の中に入っている状態だったら二文字入れられる文殊を作り出して『蘇生』で生き返させられることが出来たかもしれなかったが、彼女がスタンドとして分離してしまったためそれも出来なかった。アバッキオの時もこの文殊を出せなかったのはそれが理由である。

 その後、亀(ポルナレフ)はボスは体は一つだが、精神が二つあると気づいた。ブチャラティの体に入っているのは小僧の精神であり、ディアボロの精神・キングクリムゾンが別の誰かに入ったとわかった。ディアボロを倒すためにも、どこかに行ったチャリオッツ・レクイエムを追いかけて矢を取る必要があることを話し追いかけることにした。

 だが、それはブチャラティの体と

 「君は、ここに置いていく。もう誰も、君を傷つけない」

 「ああ、だが安心しろ。お前は、ちゃんと故郷に連れて帰る。約束するから」

 ナランチャを置いていくことになる。悔しさを胸に、チャリオッツ・レクイエムを追いかけた。

 

 

 だが、追いついてもスタンド能力で矢がとれない。どうすればいいか分からないでいると、ジョルノが仲間達が少し距離をとった状態で動くなと言った。その理由はここまで来た状況証拠と物的証拠を見てキングクリムゾンが自分達の誰かにとりついていると見抜いたからだ。それを聞いて、

 『絶対に・・・見つけてやる!』

 怒りを必死に抑えながらすぐに霊視を始めた横島。すると、ある一人に不純物がついていることに気付いた。その不純物がキングクリムゾンと気づいて、この時初めてディアボロに殺意すら持ったが、

 

 『ダメよヨコシマ。あなたはあなたらしくしないと、あの子だって悲しむわ』

 『・・・ああ、そうだった。ありがとう、ルシオラ』

 

 彼女が抑えてくれて、落ち着くことが出来た。だからこそ、自分らしいやり方でこいつを暴こうと決めた。

 「ジョルノ、俺が見つけてやるよ。キングクリムゾンが誰にいるのか」

 「な!ヨコシマ。見つけたと言うのか?」

 「ああ、バッチリだ。じゃあ、やらせてもらうぞ」

 それはもちろん

 

 「トリッシュちゃあああああ~~~~ん!!調べる為に、その乳揉ませてくれえええええ!」

 

 煩悩である。トリッシュ(ミスタ)に飛びつき・・・胸に顔をうずめたり、乳を揉みだした。もちろんそんなことをされては、

 「な、な、ヨコシマああああ!!!」

 ミスタ(トリッシュ)が黙っていられない。唖然とする中彼女の悲鳴が響く。そして、

 「いい加減にしなさいイイイイ!スパイスガール!!」

 スタンドを出しながら自分に向かってくる・・・これが狙いだった。そして、彼女の体を触って揉んだおかげで煩悩を高めて文珠を一個作ることが出来た。

 「オラ!お前だあああああ!」

 文殊に込めた文字は『剥』。それを・・・スタンドを出したミスタ(トリッシュ)に向けて投げた。すると、

 

 『な!何だと!何故我が追い出された!それに、その玉は何だ!』

 

 ディアボロの魂は似た性質の娘のトリッシュの魂にとりついていた。だが、『剥』で剥がして彼女から引きはがして表に出した。剥がされたディアボロも含む全員が本当に見つけ出したことに驚きながらもスタンドを出したが・・・

 「こうなっては無理やりにでも!キングクリムゾン!」

 すぐに我に返ったディアボロが能力を発動させてしまい、とり憑いていたミスタ(トリッシュ)ごとチャリオッツ・レクイエムの場所まで行き、このスタンドの攻略法を見つけていてそれを実行して矢を奪おうとした。そのせいでトリッシュの魂とミスタの体も傷ついて危うく彼女が天に召されようとしたが、

 

 「ボス、お前が見つけてくれたんだ。こいつの倒し方を」

 

 この状態を維持するためにわざとチャリオッツ・レクイエムを完全に倒さなかったが、ブチャラティが完全に倒したせいで、

 「くっそおおおお!この帝王が!キングたる私が!こんなゴミのようなやつらにいいい!!!」

 皆の魂が元の体に戻っていくようになったので、彼女は死なずに済んだ。だが、それは・・・・・・戻る肉体が既に死人のブチャラティの魂が召されると言う事でもある。

 「ぶ、ブチャラティ!あ、あなたのあの体は!」

 「お前、このままだと!」

 体に戻ったミスタは気づいてなかったが、ジョルノと横島は黄金に輝く彼の魂がどんどん天に昇っていくのが見えた。思わず手を伸ばそうとした二人だが、

 「いいんだ。これで・・・あるべき場所に、元通りになる。それだけだ」

 ブチャラティはそれを受け入れた。

 

 「ジョルノ、ヨコシマ、お前達のおかげだ。あの時死んだ俺がここまで生きてこられたのは、お前達のおかげだ。ジョルノ、後は任せたぞ。ヨコシマ、トリッシュをずっと守ってくれよ」

 

 最後にそう言って・・・彼はついに召されてしまった。二人は手を伸ばし、ヨコシマはその手を握りしめて力強く頷き、ジョルノの手にはあの矢が握られていた。

 

 

 ついに決着の時が来た。ジョルノは今での仲間達の想いがこもったこの矢を自分のゴールド・エクスペリエンスに刺して、ディアボロは彼に立ち向かおうとしたが、

 「な、何だと!」

 矢の力を掌握したジョルノのスタンドはレクイエムの力を手に入れ、その力によりキングクリムゾンの能力を無効化にした。だがそれを知っているのはゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(以下GER)とその力をくらったディアボロだけだ。

 『何が起こったか知らないが!今がチャンスだ!』

 横島やトリッシュ達は二人の間でそのようなことが起こったことをまるで知らない。ただ、ディアボロが立ち尽くしているようにしか見えなかった。だが、驚いて隙だらけのディアボロに横島とジョルノが駆け出した。

 「ディアボロ・・・お前は自分が帝王だと言ったな」

 ルシオラを発現させた。

 「俺は前にお前と同じような組織のトップを倒したことがある。最初は、そいつは娘三人を使い捨てにするような非常なやつだと思っていた」

 ルシオラの拳が握られた。

 「だが、違った・・・本当は一人でいることが寂しかった。自分はそんな組織にいて、しかもトップだからこそその顔を見せてはいけなかったが為にその顔をしていた。三人いるうちの二人が離れて、ただ一人そいつのために残った部下にその事を呟いた・・・しまいには倒されたいとすら思っていたらしい」

 横島は怒りの顔でディアボロを見た。

 「てめえは明らかにそれ以下!娘が頼って、父の愛を信じてやってきたのに・・・自分の存在を隠したいがためだけに無慈悲に殺そうとした!何も知らないトリッシュちゃんを亡き者にしようとした!そんなてめえが帝王になれるわけない!」

 ルシオラとGERの間合いにディアボロが入った。そして・・・

 「無理に決まっている!!無理だあああ!無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!」

 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

 二人のスタンドの大ラッシュが始まった。GERとルシオラの拳がディアボロとキングクリムゾンをどんどん殴っていく。GERの前に立っているディアボロには真実にたどり着くことが不可能となっていて、ルシオラの『イリュージョン・ダンス』の能力で死ぬという真実すら無にされるが、今回はボコボコにしたい事だけが目的なので問題なかった。

 「よっしゃああ!やっちまえ二人とも!」

 ミスタが二人の攻撃に喜ぶ中。

 「これで終わり・・・え?」

 トリッシュはあることに気付いた。

 『ヨコシマ・・・泣いてる?』

 横島が泣きながらスタンドに攻撃させていることに気付いた。泣きながら攻撃している理由は、

 

 『俺!ネアポリスに帰ったら学校に行くよ!』

 

 大きなことをやり遂げようと成し遂げる手前まで来たことで自信を持ったのか、ネアポリスに戻ったら学校へ行こうと決意した気持ちを持った

 

 『アツアツのピッツァも食いてえ!ナラの木の薪で焼いた故郷の本物のマルガリータだ!』

 

 かつてのあの生活。あの何気ない日常に帰れることに嬉しさを持った

 

 『そして、もしフーゴの奴にまた会えたら・・・あいつにまた頭悪いってバカにされるのも、悪くないかもな』

 

 一度は別れた仲間との再会を望み、再び一緒に行動する喜びを持った

 「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」

 あの輝かしい笑顔を見せたナランチャの言葉を思い出したからだ。弟のような存在で、守ってやりたいと思った彼の黄金に輝くであろう未来が・・・ディアボロの残虐かつ無慈悲な一撃で無くなった。

 「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無・・・・・・」

 途中から言葉が出なくなった横島。言うのに疲れたのではなく

 

 『あんなにボロボロに泣いて・・・本当はずっと我慢していたの?あの時から』

 

 トリッシュの目にも涙が浮かんだ。横島のどんどん出す涙に、悲しみに・・・一緒に生きられない辛さに言葉が出せなくなったのだ。彼女はこの悲しさを全身で出す横島を包み込んであげたいと思った。

 でも、

 

          「無駄あああ!」

          「無理いいい!」

 

 最後の一撃だけは何とか出した。ディアボロを渾身の一撃でティベレ川まで殴り飛ばして・・・全て終わった。

 

 

 その後、ギャング組織・パッショーネはボスのディアボロが本当なまだ生きているが、所在地不明の為死亡扱いされて彼を倒したジョルノが新ボスとして君臨することになった。そして、ミスタも協力して新たなパッショーネを作り始めた。

 そんな中・・・トリッシュと横島は、

 「本当にいいの?ジョルノ達と一緒にいなくて」

 「いいんだ!いいんだ!俺は地位や金より女を選ぶ!」

 「そうね、そういう男だったわね」

 「何より、まだトリッシュちゃんを狙うディアボロの部下だっている可能性があるんだ!彼氏である俺が傍にいないといけないのは当然だろう!」

 二人はトリッシュが母と住んでいたカラブリアのある墓地にいた。目の前には母が眠る墓石があり、花を供えた。

 「そうね。よろしくね、彼氏さん」

 「(あれ?肯定した?)お、おうよ!で、でもよ、どうしてここに来たんだ?」

 「母に全て終わったことの報告と・・・」

 彼氏を肯定した彼女に驚きながらも横島は聞いた。その問いにトリッシュは

 

 「私に結婚相手が出来た報告よ」

 

 横島の手を繋いで、母の墓石に向かってそう答えた。

 

 

 

 数年が経過した。

 「ほら、待たせたな」

 この日はブチャラティ達がよく集まったあのレストランで食事をしている。横島とトリッシュは組織を抜けてあのままカラブリアにしばらく暮らしていたが、ある一つの理由でネアポリスに戻ってきたのだ。そして、久しぶりに皆で食事をしようということになりこのレストランに来たのだ。

 座っている場所はもちろんあの六人用のテーブル席であり、

 「久しぶりだな。それにしても・・・変わったな」

 ブチャラティの座っていた椅子にはボスとなった風格を持ったジョルノが座り、

 「ははは!いや~~、お前らがそこまでやるとは!」

 ミスタは前から変わらない自分の席に座り

 「別にいいだろ?俺はずっとこのままでいくぜ!」

 横島もまた自分の席に座り

 「騒がしいわよ、タダオ。でも、それが頼もしいわね♪」

 アバッキオの席に女性らしさを持ったトリッシュが座った。残ったフーゴとナランチャの席はどうなっているのかというと。

 「それにしてもいいのか?仕事中だろ?」

 「いいんだ、どのみち休憩に入るからな」

 フーゴの席は・・・変わらず彼が座っていた。ただし、いつもの服ではなくコックの服を着ていた。フーゴもまた組織を脱退して、何とこのレストランのコックになったのだ。

 

 そうなった理由は、ディアボロとの戦いの後に皆でネアポリスに戻ってきた時だ。あのレストランで久しぶりに食べたいというミスタの提案で行ったときに再会したのだ。

 『そんな!ブチャラティと、アパッキオと・・・な、ナランチャが!』

 レストランで食事をしながら話をした。ボスを倒したことにとても驚いたが、その後に伝えた三人が亡くなった報告をしたときはとても悲しんだ。

 そんな中、横島が言った。

 『なあ、フーゴ。もしかしたら、お前はブチャラティの命令をしっかり守っていたのかもしれないぞ?』

 『命令?』

 『ああ、帰る場所を守るという命令だ・・・何しろ組織を裏切った俺らって本来なら帰る場所がなくなるのと同じことをしたんだ。だけど、お前がこのレストランにいたから・・・帰ってこられたんだ』

 『・・・・・・』

 もちろんそんな命令は言ってない・・・でも、もしブチャラティが生きていて共に戻ってきていたら確かにそう言いそうだ。フーゴはそうやって自分達のために頑張っていたんだ。お前はずっと俺達の仲間だ。と。ブチャラティと最初に出会い、付き合いが一番長いフーゴは、そんな横島の言葉を深く考えた。

 

 それを信じたか信じないかはともかく、その後フーゴは組織をやめて料理学校に行きコックの資格を取り・・・そして、このレストランで働きだした。自分達の集まるこのレストランを守り続けるにはそうするのが一番と思ったのだろう。

 そして、残ったナランチャの席には・・・

 

 「別に勉強なんてしなくたっていいだろ~~!」

 

 五、六歳の小さな子供がいた。これが横島とトリッシュが戻ってきた理由である。

 「まったく誰に似たんだか・・・いっつもバカなことばかりするんだよ」

 「タダオ。間違いなくあなたでしょ?鏡見・・・ても、わからないわね。やれやれよ」

 「「「うんうん」」」

 「ちょ!トリッシュだけじゃなくお前らも肯定かよ!」

 早い話、二人の間にできたこの子供が父の横島に似てしまったので、何とかしたいと思ったトリッシュが

 

 「フーゴ、仕事で忙しいのは承知してるけど・・・この子の勉強を見てやってくれない?」

 

 フーゴに家庭教師をお願いするためである。ネアポリス内も新パッショーネでかなり良くなったので、二人が来ても大丈夫だとミスタからの連絡もあり、じゃあと彼女が決めたのだ。すっかり母親の貫禄が出来たトリッシュはフーゴに申し出た。

 その頼みに驚いたが、二人の子を見て、

 

 『ははは。バカの面倒は、いつも俺が見ることになるんだな』

 

 笑顔がこぼれた。

 「任せておけ。しっかり教育してやる!」

 「よろしくお願いね」

 「ちょっとお母さん!」

 「じゃ、今日からみっちり面倒みるから覚悟しろよ!」

 文句を言う子供の頭にフーゴは手を置いて髪をくしゃくしゃにしてそう言う。そんな光景をジョルノ・ミスタ・横島は懐かしんで見ていた。そして、

 「仕事が終わったら今後の計画を立てるから、家に行くからな」

 「え~~~~~!!」

 その子の名前を・・・皆の心にある男の名前を言った。

 

 

 

                 ナランチャ

 

 

 




 約20000字の本文を読んでいただきありがとうございました。これが、僕の望むエンディングです。前回かなりはっちゃけて書いたので、今回は大マジで書きました。

 次回こそ、ゆらぎ荘の幽奈さんにします!

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