横島忠夫、〇〇〇〇と付き合ったらどうなる?   作:一日三食MEN

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 今回も長~~くなっちゃいました。中・後編に分けた方がよかったかな?でも、それだと今年中に出来ない!頑張って書き終えました!後、スイッチ版で出たサブストーリーも二つ出してます。

 では、最後までお楽しみください!


ベロニカと付き合ったら?後編

 余りにも辛いベロニカとの別れの一夜が去り、次の日。

 「皆さま。これからはお姉様の分までよろしくお願いします」

 美しい髪を切って短髪となったセーニャは、まるで姉の想いが彼女に宿ったかのようにベロニカの魔法が使えるようになった。それを聞いて、皆は彼女はセーニャの中で生きている。そう思えて元気になれた。

 そして、横島は・・・

 「何イイイイ!という事は、今セーニャちゃんをナンパするという事は元に戻ったベロニカをナンパするのと同じ・・・ああああ!ダメじゃ!ダメだ!純粋なセーニャちゃんにそれは無理じゃああああ!(ガンガンガンガン!!)という訳でマルティナさん!代わりになって下さあああいいい!!」

 「なるわけないでしょおおおお!(ばきどごべき!)」

 「のげほぎゃあああああ!!」

 いつも通りに戻った。

 『俺の中にもルシオラがいるんだ。セーニャちゃんの中にベロニカがいる。今はそれでいいじゃないか!』

 小さくても、彼女はとても大きな存在だった・・・そして、今は妹に彼女の気持ちがある。それが理解できたのだから、自分は自分らしく元に戻れた。

 

 

 悲しみを乗り越えて、ウルノーガを倒す旅が始まった一行。まずはラムダの長老に会い、今後の課題を聞いた。そこでかつて勇者の仲間の賢者セニカが使っていた横笛を託され、イレブンがそれを持つとまるで笛が釣り竿のようになり、

 

 「は、はああああ~~!!!そ、空飛ぶクジラああああ!!」

 

 今度はそのままそれで雲の中に先端を入れると、何と空飛ぶクジラ・ケトスが釣れた。元の世界で、いろんな妖怪・魔族・神族を見てきた横島でも、さすがにこれは絶句するくらいの驚きを見せた。

 笛が元に戻り、今度は吹くとイレブン達はケトスに乗っていて空の移動手段を手に入れた。だが、ウルノーガがいると思える天空魔城には入れなかったので、その近くにあった空飛ぶ島に向かったが、そこは魔王軍の襲撃を受けてかろうじて残った最後の島であることを最後の神の民から聞いた。

 残された島にある神殿に魔王を倒す手段があるため、入ると三つの苗木と聖なる種火が祭られていた。その苗木にイレブンが触れると勇者の剣を作る先代勇者達の姿がビジョンとして見えたので、その剣を作ることがウルノーガを倒すことだと分かり、剣の材料・剣を叩くハンマー・剣を叩く場所を探し出すことになった。剣の材料となるオリハルコンとサマディーでガイアのハンマーを手に入れたまではよかったが、

 「ヤヤクさ~~ん!この横しブベラ!」

 ホムラの里の長・ヤヤクを見て飛びかかったのをマルティナが蹴りで止めたが・・・

 「うう~~む、何か物足りない気が」

 「あら、もっと蹴られたいなら徹底的にやってやろうじゃない!」

 「ほんげぐげらああああ!(は~~、やっぱり引きずってんな~~俺)」

 やはり、もう一人のストッパーがいないことにボコボコにされながらも若干の寂しさを持っていた。

 

 その後、火竜騒ぎでいろいろあったが無事解決して、横島達は勇者の剣を作る場所にたどり着いた。

 「全く、マグマの下にあるなんて普通考えないよな」

 「だけどよ。おかげでウルノーガもこの場所を見逃したってことだ!」

 「火竜の事もあるが、だからこそホムラの里は奴の被害がなかったという事じゃな」

 「うんうん!さあ、作っちゃいましょう!私達の手で勇者の剣を!」

 「ええ!イレブン!さあ、やりましょう!」

 この時はまだウルノーガの正体を知らないからこそ、この会話が出来た。剣叩きが始まり、数分後にイレブンが一呼吸入れている時に、

 「イレブン、この剣は俺達の手で作るものだぜ」

 「そうよ!私達も手伝わせてもらうわ!」

 「うむ!我らの思いも勇者の剣に込めたい!」

 「お願いです。お手伝いをさせてください!」

 カミュ達も剣の叩きに参加した。皆がそれぞれ想いと信念を込めて剣を叩きだし、グレイグが終わった後に横島の番が来た。

 

 「俺は全世界の美女美少女を俺のモノっていうのは、今だけは無しにして・・・俺は誓う!俺らを助けてくれ、俺との約束を果たせなかった小さい手の彼女の願いを絶対に皆と果たすことを!」

 

 皆の誓いを聞いて、横島も身を引き締めてハンマーを剣に叩き込んだ。そして、ハンマーをセーニャに渡して横島は

 『だから、見ていてくれ。ベロニカ・・・・・・・・・ルシオラ』

 心の中にいる助けてくれた二人の想い人にそう言った。それから、再びイレブンが剣を叩き続け・・・ついに勇者の剣が完成した。その輝きに皆が喜び

 「よっしゃ!これであの天空魔城に攻め込めるな!」

 「ついに、決戦の時じゃ!」

 「ウルノーガ。かっくごなさい!」

 最終決戦前の気合が入る中、

 「その通り!という訳でマルティナさん!気合を入れる為にだきつかせてくださ~~~~い!」

 「な~~にが抱き着かせてよおおおお!」

 横島はいつも通りにマルティナにとびかかった・・・が、彼女はいつもの蹴りじゃなく、何と近くにあったガイアのハンマーを思わず手にして

 「こういう時くらいビシッとしなさい!!(ゴ~~~~~~ン)」

 「が、ご、ぐ、げ」

 横島のあの一番の急所を叩いてしまった・・・・・・実際、叩いた音は聞こえなかったが

 「「「(うわ・・・あれは辛い)」」」

 カミュ・ロウ・グレイグは確かにその音が聞こえたという。これがギャグマンガの世界なら、確実に三人の後頭部と背中にでっかい汗が出ていただろう。←イレブンはそもそも性欲があるか怪しいし、シルビアはもう乙女心なのでそっちへの意識は持ってない。

 勇者の剣を二回も叩いたという由緒あるハンマーが、一瞬で横島の漢のいちもつを叩いたどっかのモッコリスナイパーの相方がそのスナイパーのお仕置きに使うハンマーと同レベルになってしまった。

 「全く、とてもつまらぬものを叩いてしまったわ」

 「あの、大丈夫でしょうか?」

 いまだに痛みに苦しむ横島を見て、どっかの斬鉄剣持ちのサムライなセリフを言うマルティナと横島を気遣うセーニャ。いつも通りの空気に戻って、最終決戦前の気合を入れ過ぎるという雰囲気はなくなった。じつに横島らしい空気の変え方である・・・犠牲は大きかったが。

 

 

 ついに天空魔城の結界も勇者の力と剣で壊して侵入した。門番・モンスターを倒し、上に登っていく。皆の思いはただ一つ・・・だが、ある場所で、

 

 「皆、お久しぶりね」

 

 何と、ベロニカがそこにいた。全員が驚く中彼女が嬉しそうにやってくるが、

 『・・・・・・違う。彼女じゃない』

 もちろん横島はすぐに・・・いや、全員が分かった。何故なら、

 

 「私は皆を助けた。けど、私だけが死んだ・・・辛い!苦しい!だから、皆も死んで!」

 

 彼女は仲間の死を望むことを、絶対に言わないからだ。

 「お姉様は決して後悔なんてしていない・・・消え去れ!悪しき幻影よ!」

 「ああああ!ぐああああああああ!!!」

 幻影の彼女へのとどめは、セーニャがやった。

 「こんなものを見せる奴は一人しかいない!姿を見せろ!ホメロス!」

 怒りに燃えるグレイグの叫びに

 「下らん。姉妹の愛か」

 ホメロスが姿を現した。戦いが始まり・・・苦戦したが、親友のグレイグの一撃で戦いが終わった。

 

 「俺は・・・グレイグ、お前のようになりたかったんだ」

 

 ホメロスは無念の一言と共に消え去り、残した一言に横島は少し共感できた。だが、今はウルノーガを倒すことだけを考えるため、振り払い先に進んだが、

 「馬鹿め!俺はまだ生きているぞ!」

 ホメロスはまだ死んでなかった。背後からイレブン以外の皆を魔力で拘束したが、

 「ホメロス。脅威となるのはイレブンだけだと思っていたかのか?仲間の俺達は、勇者の力を持ってないから脅威でもなんでもない・・・そう思っていたのか!」

 横島はそう叫び、

 「そうだ!俺らを舐めるんじゃねえぞ!」

 「ホメロス!お前は俺達を甘く見過ぎている!」

 「16年の間、どれだけこの時を待ち望んだか!」

 「イレブン様は、私達が守るんです!」

 「決して一人で行かせないわ!」

 「そうよ!皆が笑顔になる世界を作るんだから!」

 仲間の皆も共感して・・・魔力の拘束をイレブンを守るという強い意志を持って壊した。その拘束が最後の魔力だったのか、完全に力を無くしたホメロス。彼にグレイグが近寄り、

 

 「お前こそが、俺の光だったんだ」

 

 そう伝えた。そこに横島も寄った。

 「ホメロス・・・・・・ありがとな」

 「何?」

 何と出した言葉はありがとうだった。敵にお礼というやり方に、ホメロスも皆もえ?と思った。

 「俺は・・・あんな胸糞悪い幻影でも、もう一度ベロニカを見れてよかったと思っている。あいつの最後に願った想いを思い出せたんだからさ」

 これがお礼の理由だった。この時に、横島がベロニカに想いを持っていた事を皆は知った。そして、同時に確かに姿を少しの間でも見れたのは嬉しかったのか、皆は小さく頷いた。

 「お前は・・・あれを出した俺にそれを言えるのか」

 「これは、俺のお礼だ」

 『成』『仏』。この文珠を使って・・・安らかに眠らせてやる。これが、もう一度ベロニカを見せてくれたホメロスへの横島のお礼だった。

 「・・・横島。ありがとう」

 「あいつの気持ちも、少しわかるんだ。俺も前にいた職場では、影みたいな存在だったから・・・イケメンが好かないが、見てほしい・認められたいと思う気持ちは理解できるんだ」

 文珠から発する強い光の中で、今度こそ本当に散っていくホメロスを見るグレイグは闇のままじゃなく光の中で散らせてくれたことに礼を言った。

 美神という光と荷物使いという影の横島。誰もが美神を見て働きを認めて褒めるが、横島はそこには出てこれなかった。だけど、時間が経つにつれて自分を見てくれる人が傍にいることが分かり、どんどん実力を上げてたくさんの人や神族・魔族からも注目されるようになり、ついに美神も横島を認めるようになった。

 だが、ホメロスは王がウルノーガに乗っ取られていたために策略でわざと見られなく、やっと見られたと思いきや捨て駒扱い。いろんな部分は大きく違うが、気持ちは理解でき、最後まで自分の願いを叶えられないまま散っていったからこそ横島は成仏させたいと思ったのだ。

 「・・・行こう。ウルノーガを倒して、世界を平和にするんだ」

 最後に残ったホメロスの形見を手に取って、グレイグは皆に言った。

 

 

 

 その後、ウルノーガを倒してイレブン達は世界を平和にした。しばらく皆は休み、落ち着きを取り戻して・・・数日後にラムダでの祝宴に参加した。皆が笑顔で喜ぶ中、横島を含む仲間全員はやはりあの少女がいないことに若干残念な想いを持ちながらも祝宴を楽しんだ。

 イシの村のデルカダール王やイレブンの育ての親や幼馴染の再会や、元ユグノア城の墓に眠るイレブンの両親への報告に仲間達の家族の様子を見に行ったりして、皆が平和をかみしめていたことにホッとした。この時、横島はムウレアやクレイモランの城には寄らなかった。仲間の親族を優先させたためであり、横島もその辺はしっかり気を使っていて後でも遅くないという考えだった。

 一通りの様子見も終わろうとした時にカミュが気になる場所があるという事で、その場所と思える謎の遺跡にたどり着いた。探索すると神の民の里と同じ遺跡があり、横島はウルノーガの部下達に襲われたのがここに落ちたのでは?と思った。先に大きな壁画を見ていたイレブンとセーニャに追いつくと、ロウが神の民が書いたの書物を取り出した。解読するとある一つの文に全員の興味が引いた。

 

  悠久の彼方に失われたものが、大いなる復活を果たさん

 

 この言葉に皆の中にある一人の少女の存在が思い浮かんだ。まだ推測段階だが、もし本当ならまた会うことが出来る!皆もセーニャも横島もこの後、どうするべきかその書物を解読を急いだ。すると、忘れられた塔の存在をイレブンとカミュは思い出し、ここで手に入れた神秘の歯車を持って向かった。サクサク進むことが出来、塔に着くと門に歯車をはめる穴があったのではめると入り口が開いた。どんどん進んでいき、最上階に着くと

 『なんだありゃ?まるで幽霊が何人も集まったみたいだぞ』

 時の番人と呼ばれる幽霊みたいな存在と出会った。その番人にベロニカの復活を望むことを伝えると『時のオーブ』を壊して世界ごと過去に巻き戻せば、彼女が死ぬ前に巻き戻されるので会うことが出来る。それは同時にウルノーガの野望を果たす前に巻き戻ることを意味するので、もしかしたら止められるのでは?というロウの考えに全員がそれなら!と思った・・・が横島はそんな都合のいい話があるわけないと思ったので、

 「全員が行けるわけじゃないだろ?」

 確認して皆がえ?と横島を見た時に、番人が答えた。オーブを壊して過去に戻れるのは勇者の力を持つイレブンだけであり、もし失敗すると時のはざまを永遠に彷徨うことになる。皆が言葉を失う中、決意したイレブンはオーブに向かって歩き出したが

 

 「止めさせてもらうぜ・・・イレブン」

 

 カミュ達が立ちふさがった。失敗の代償がでかく、自分達の前からもういなくなるということに恐れを持った皆は行かせたくなかった。だが、横島だけは

 「さっさと行って来い。どうせ、また会えるんだからよ」

 止めずに、イレブンの気持ちに賛同した。彼が仲間一人一人を説得して・・・最後のセーニャも通り抜けた。その説得の間に番人に近寄った横島は、一つ確認してそれなら大丈夫だと分かり、すぐにあるモノを作った。

 仲間達を抜けて横島と番人の傍まで来たイレブン。その彼に

 「イレブン、これを戻った過去の俺に渡してくれ。使い方はそいつが知っているから大丈夫だ」

 あるモノ・・・文珠を一個渡して、横島も仲間達のところに戻った。確認というのは、最終決戦で手に入れた魔王の剣を持って行けるなら他のものも持って行けるか?で、答えはYESだった。

 「覚悟は決めたのですね・・・さあ、今こそ過ぎさりし時へ!」

 番人の言葉に頷き、ついにイレブンが勇者の剣を犠牲にしてオーブを壊した。

 

 

    (ここからは過去の横島視点でお送りします)

 

 

 「あれ?おいおい!イレブンがいねえぞ!」

 「え?本当だわ!さっきまで一緒にいたのに!」

 「オーブを六つ揃えて後は命の大樹に向かう時に何ということじゃ!」

 「まあまあ、皆さん。ラムダからは出ていませんから皆で探しましょう」

 「セーニャちゃんの言う通りじゃ!さあ、探しに行くぞ!」

 これから命の大樹に行って大イベントが始まるっていう時に、イレブンがいなくなっちまった!皆でばらけて探すことになったが、いつもならマルティナさんの乳尻太ももを見ながら護衛(ストーカー)の如く後を追いかけるが、この時だけはその気になれなかった。霊感というかそういうものがビンビンに働いて、すたすたとその感に従って進んだところにイレブンがいた・・・が、何か違和感を持った。いつものこいつなら絶対に持たないごっつく妖しい力が漂う剣を持っていた。理由を聞こうとしたら、いきなり俺にあるモノを渡された・・・何でこいつがこの文珠を?しかもこれって、

     『記・憶』

 二文字文珠!いったい何・・・も、文珠が!←この時、文珠に込められた未来横島の記憶が過去横島に全部流れた。そのおかげで全てを理解した。

 「イレブン、ベロニカは・・・いなくなったのか?」

 この一言でイレブンも理解したのか、躊躇いがちに頷いた・・・これから先で、ベロニカが!い、嫌だ。絶対に、嫌だ!俺は・・・守り抜く!←文珠は消えないで、ポケットにしまった。

 「・・・守ろうな。絶対に」

 「(こくり)」

 未来の俺の文珠で先を知った俺と直接来たイレブン・・・ベロニカ。絶対に守ってやるからな!←未来横島は亡くなってからベロニカに想いを持っていたことに気付いたが、過去横島はこの記憶を見て気持ちに気付いた。

 とにかく、イレブンが見つかったから皆のところに行くためにラムダの大聖堂に入ると、

 

 「セニカ様、いよいよあたし達の使命を果たすべき時がやってきました」

 「どんな災難が起きたって、あたしのこの手が守ってみせます!」

 「だから、無事に使命が果たせるよう見守っていてくださいね!セニカ様!」

 

 ・・・何でだ。俺はさっきまで一緒にいたんだぞ。さっさと行ってきなさい!と言われたんだぞ。そう、いるのが当たり前だった・・・それなのに、すごく、すごく、すご・・・く、

 「あ~~~!イレブンあんたどこにいたのよ!あ!横島、あんたが見つけてきたの!というか、まさか今の見て・・・え?」

 文句を言う姿を見るだけで・・・

 「ちょっと二人とも、何泣きそうになっているのよ?調子狂うじゃない」

 こんなに、涙が出そうになるんだよ。う、く・・・我慢だ。これ以上変に思われたらダメだ。その時にちょうど皆が戻ってきたから、誤魔化すためにマルティナさんにとびかかったら蹴りと背後から魔法をくらって黒焦げになっちまった・・・このやり取り、何か不思議と懐かしい気がする。

 集合したから大仕事をするために出発して山で一休みをした後、ついに命の大樹までやってきた。目的地にある勇者の剣を前に、俺は文珠を二個作ったが、

 「はああ!」

 イレブンに全部いいところをとられちまった。あいつはこれを変える為に過去にやってきたんだ。勇者なんだし・・・しょうがないか。俺は、

 「あ!あんたはホメロス!」

 この守るべき少女を守ることに専念しよう!その後、倒されたホメロスが後からやってきたデルカダール王にだが助けを求めた。ホメロスの倒れている姿にぎょっとでもしたのか?顔色は変わってないが、確実に驚いていることが分かる。ホメロスが王に助けを求めようとしたら、

 「!!」

 一緒にいたグレイグが驚いたのも無理はない・・・斬りやがった!その瞬間だった。

 

 『俺は・・・グレイグ、お前のようになりたかったんだ』

 

 魔族みたいな怪物になったホメロスの姿が辛そうにグレイグに言う姿が頭に浮かんだのは・・・っち!イケメンを助けるのは正直好きじゃねえが・・・でも、今治すのはまずい!この王がまだだからな!←未来横島の記憶でまだ乗っ取られていることを知っている。

 ここは、勇者の剣を手に入れたイレブンに注目している間に『延』『命』して生き延ばすしか方法がない!

 

 

 その後、俺はこっそり何とか生き延びたホメロスを上手く匿うことに成功した。宴が開かれたから、注意と興味は皆イレブンと仲間達に行っている。その間にばれないようにこいつの部屋に運んで『治』で王(ウルノーガ)に斬られた傷を治してやった。それと同時にこいつの意識も戻った。

 「よ!助かったな!」

 「な!お、お前は!」

 起きたホメロスは俺に戦闘態勢をとろうとしたが、鎧も剣も重かったから外させてもらったぜ!ふははは!と、いい気にはなれないな。

 「ま、話し合うぜ。お互い、影の者同士な」

 「影の・・・者?そんなことより、何故俺を生かした?俺は・・・俺は、王がウルノーガに乗っ取られていることを知っているんだぞ!」

 「それが何か?(イレブンも知っているからな。多分、俺がいなくても上手くやるだろう)」

 「お前は・・・何が目的だ!」

 目的・・・か。ま、そう聞くのが妥当だな。←この時にウルノーガが姿を現して、イレブン達と戦っていることを横島は知らない。

 

 「お前には借りがあるからな・・・それだけだ」

 

 未来の俺の借りを返すためにやった・・・そういう意味の言葉を返したが、わかるはずがねえよな。

 「お前さ、グレイグに勝ちたいんだろ?」

 「!!」

 グレイグの名は、やはりかなり衝撃みたいだな。よし、誤魔化せる。

 「だったらさ、本人と一対一で戦えばいいじゃねえか」

 「は?」

 「戦えよ。お前の持っている全てを込めて・・・俺は以前それをやって、認められたことがある」

 「グレイグと・・・一対一で、戦う?」

 思いつかなかったのか?この事に?・・・ん?部屋の外が騒がしいな。

 

 「勇者と仲間の皆様が、王様から出た肌白の男を倒したぞおおおお!」

 

 大方追い詰められて姿を現したやつを、イレブン達が倒したという事か・・・じゃ、ちょうどいい。

 「ホメロス。ちょっとしたサプライズをしないか?」

 「な、何だ、何をするつもりだ!」

 「ははは、大丈夫だ。グレイグと戦うチャンスがあるかもしれないぞ」

 「・・・話を聞こう」

 ホメロスは俺の提案を聞くことにした。

 

 次の日に本物のデルカダール王が玉座の間に皆を呼び、今までウルノーガに乗っ取られた自分の行いを聞き、イレブンを勇者として認める発言をした。この発言に国の民や兵達から歓喜の声が上がる中、

 「皆と、この場にいることが(ぐす)、とても幸せな気がして(ぽろぽろ)」

 ベロニカが涙を流した。そんなベロニカを抱きしめたくて仕方なかった横島は、

 「何を言ってるんだ。元に戻ったお前をナンパするまで、その感動の涙は「あんたはこんな時までそんなことを言うの!(ちゅど~ん)」うげほぎゃあああ!」

 目の前で頭を撫でながらそう言って、いつも通り吹っ飛ばされた。ははは、やっぱりこうでなくっちゃ!

 

 『何故かな。今の言葉が嬉しく思えたのは?』

 

 だが、ベロニカはこの時一つの疑問を胸に持った。

 

 

 その嬉しい時の最中に、何と勇者の星が落ちてきたって報告がきやがった。俺達は落ちた場所に行くことになり、グレイグが仲間になった・・・よし、ころ合いだな。

 「王様、グレイグが抜けるという事は・・・兵を指揮する者が抜けるってことだよな?」

 「ん?代理のものを用意する予定だが」

 「じゃあさ、俺が推薦してもいいか?そいつを?」

 「ちょっと!誰にするつもりなの!」

 「横島。どういう意味だ?」

 「まあまあ・・・すぐに連れてきますんで!」

 よっしょ!キョトンとしている。さ~~て、

 

 「・・・王よ。私でいいでしょうか?」

 

 皆の前にホメロスが姿を見せた。グレイグも、イレブン達も皆驚いた。よっしゃ!サプライズ成功!グレイグは未来で必ずイレブンの盾になる!と言った記憶があったから、ここでも絶対に仲間になると踏んだ。だから、その代わりとしてホメロスを出した・・・殺されたと思っていたこいつをな!

 「な、何故こいつが!」

 「俺がこっそり助けた。今まで言わなかったのは、あの場でそれがばれたらまずいからな」

 「「「はあああああ!!!」」」

 そう、皆にも言わなかったのはウルノーガの野郎が俺とホメロスがグルと言い出す危険があったからだ。まだ王の中にいる野郎が、そこから関連付けてイレブンをまた悪魔の子と言いかねない。サプライズと言っても、こうした理由もちゃんとあったんだよな。皆も俺の言い分に理解したが、納得はできないようだな。そりゃ、俺だってあの『記・憶』の文珠で見てなかったら同じ気持ちだろうし。

 それはそうとホメロスの奴、今まで敵の立場だったからやっぱり不安そうだな。

 「グレイグ、ホメロスと戦え」

 「何?」

 「別に不思議じゃないだろ?自分がいない間の王や国の守りを任せられるのは、こいつほどの実力がないとできないと思うが?」

 「・・・ホメロス。やるぞ」

 「・・・ああ、俺の今の全てを見せてやる!」

 よし、戦わせる流れに出来たな。言葉じゃなく実力で示せ。こいつらにはこれが一番だしな・・・は~~、俺はこういう汗臭いのは好きじゃないんだよな。よかった~、当事者じゃなくて。

 その後、場所を移動して二人の一対一の戦いは一時間にも及んだ。その間にも、

 「お前が光り輝くほど、俺はどんどん影になっていった」

 「グレイグ・・・何故、お前は俺の先を行く」

 ホメロスはいろんな不満や辛さを

 「・・・いつも俺はこうだ。気づくのが遅すぎる」

 「お前ともっと早く話していれば・・・お前の辛い思いに気付いていれば」

 グレイグも後悔と無念を言葉に出しながら戦った。そして、

 「俺を、今でも・・・友と呼んでくれるか?」

 「・・・もちろんだ、わが友よ」

 最後に剣をぶつけあった瞬間に

 

 「今度こそ、お前と本当の友になれた気がしたよ」

 「俺もだ・・・長かったなグレイグ」

 

 両者は笑顔になった・・・雪之丞の奴、元気にしてるかな?思えば、あいつと仲良くなれたのもあのGS試験の戦いがあったからだしな。その後、剣をしまった二人のもとに王が直に向かい

 「ホメロスよ。すまなかったな・・・今までお前を見なくて」

 何と謝罪をした。これは俺も、マルティナさんや他の皆も驚いた。

 「そ、そんな!むしろ私が謝る方です!王に奴がいることを知っていながら!」

 「いいのだ。ホメロス・・・私もお前も、共に間違った道に進んでいたのだ」

 ウルノーガがいたから。という言い訳をしないのが凄いな。全ては王としての心構えと責任という事か。

 

 「だから、私とお前。共に今までの過ちを償っていこう・・・国にも民にもな」

 

 自分にはお前が必要だ。その想いを込めた言葉をホメロスに言った。

 

 「・・・(ぼろぼろ)王よ!このホメロス!必ずやグレイグ以上の働きをしてみせます!」

 

 その言葉の意味を理解して、跪きボロボロに泣いている顔でデルカダール王に自分の誓いを言った・・・これでいいよな。西条だったらここで下半身すっぽんぽんにして大恥かかすが、あれほど辛い未来(思い)を見るとそれが出来ないから仕方ないか。

 「横島・・・ありがとう」

 グレイグからのありがとうって、前にも聞いた記憶があるが・・・その前とは意味が違う気がするな。

 

 

 ホメロスの件が片付き、やっと出発して空に浮かぶ勇者の星と呼ばれた真っ黒の星を見たが・・・セーニャちゃん曰くとても邪悪でとても聖なるものではないとの事。

 う~~んと悩んでいると、皆の背後に一人の人間が現れたのだが、

 「「「「な!ウルノーガ!」」」」

 俺含む全員がそいつの登場にぎょっとすると、その人間が預言者の姿となった。するとケトスに乗って天空の民に会えと予言を出して姿を消した。ベロニカが持っていたセニカの笛をイレブンが吹くと、ケトスが姿を現した。記憶でも見たけどすげえな~、空飛ぶクジラのインパクトは。

 天空の民が住む里で説明されたのは、ニズゼルファと呼ばれる邪神と勇者が戦った伝説が残っていて、全てを知るには世界に散らばる三つの大樹の苗木の記憶を見る事だという長老の言葉に従って、三つの記憶を夢の世界で見ていった。勇者の剣を作り、セニカの笛でケトスを呼んでパワーアップさせ、邪神に挑む。

 ここまで見たが、これだとまだ勇者の星から黒い太陽となったあの謎は解けない。そこに預言者が再び現れ、ベロニカに首飾りをかけさせると・・・

 

 「え?え・・・え?べ、べ、ベロ、ニカ?」

 

 う、う、嘘だろ?べ、ベロニカが幼女から女性の姿に戻った!あ、ああ、あああ!お、落ち着け、落ち着くんだ!まだするべき時じゃない!す~~は~~、ナンパは終わってから・・・ナンパにしてもいいのか?俺は?やっと生き続けられた彼女にナンパで終わらせて・・・いいわけない!

 女性版ベロニカとセーニャちゃんが共に祈ると導きの木と呼ばれるものになって、その木の記憶で見たものはニズゼルファをあと一歩のところでイレブンの先祖・ローシュが仲間の魔法使い・ウラノスに殺されて、邪神の力が彼に宿ったことだった。

 木はまだ残っていたので再度見ると、天空の民達とセニカが力を合わせて邪神を封印して空高く飛ばしたシーンと、セニカは愛するローシュに会いたいが為にあの忘れられた塔の時のオーブを壊そうとしたが失敗して、倒れて後番人の姿になったシーンだった。勇者の星は封印された邪神だったことに衝撃を持った中、セーニャちゃんとベロニカが元に戻り預言者が姿を現した。その姿は過去のシーンにも出てきた魔法使い・ウラノスだった。邪神の力で悪に染まった姿がウルノーガで、その中でもわずかに善の心がありそれが預言者となり、最後の予言を皆に告げて消えていった。

 

 

 そして、現実に戻るとベロニカの胸元にはあの首飾りはあったままだった。そこで

 「なあ、ベロニカ。それでいつでも大人に戻れるのか?」

 「う~~ん、ちょっとやってみるわね。あの時だけかもしれないし」

 「もう一度元に戻ったお姉様を見たいです!」

 元に戻れるかどうか確認すると・・・ちゃんと女性に戻れた。うん、よし!

 

 「・・・ベロニカ。お、俺と、俺と・・・付き合ってください!」

 

 いつものセクハラナンパをしないで、手を握り真剣な想いを込めた一言を言った。未来横島の悲惨な失恋と自分自身のルシオラとの涙の別れ・・・その記憶がそうさせたといってもいい。そんな俺のマジの告白に

 「え、え、え・・・?」

 ナンパを超えてマジ告白なんてさすがに想定外だっただろうな。戸惑って、オロオロして、横島の姿にドキドキしながら、←仲間の皆はとてもワクワク。

 

 「じゃ、邪神を倒したらね!」

 

 気持ちの整理をしたいのか、それとも平和になったら本気で受け入れる気なのか。とりあえず、保留にしてくれた。実際、倒してからでないと付き合えないのは確かだしな・・・これでいいか。←期待した顔で頷いた。

 『ま、全く!い、今まで、恋なんて考えたことなかったわ・・・でも、あの横島がそんなに私を想っていたのね・・・何故だろう?あの時と嬉しい気持ちになれたのは?そりゃ、女の立場からすれば嬉しいけど、何か違うのよね。普通の嬉しさとは違うというか・・・まるでやっと、ずっと待ち望んだ嬉しさというか?そんな感じがする嬉しさなのよね。こいつに告白されることにそこまで嬉しくなれるなんて・・・どうしてだろう?』

 横島にナンパされることに嬉しいと思った時と同じ嬉しさを持ったベロニカ。だが、その嬉しさが普通のとは違うことに気付いていたが、さすがにその理由は気づけないだろう・・・まさか、別の未来で死に別れてできなかったなんて。

 

 

 天空の民の里に戻って長老に報告した後、今だ忘れられた塔で番人として生きているセニカに会いに行ったが、自分が何者か忘れてしまっていた。ベロニカが彼女の笛を出すと、かすかに覚えていて力を与えた。

 

 「「時は来たれり」」

 

 ベロニカとセーニャが演奏を始めた。すると、イレブンが光り輝く勇者の剣を掲げるとそれがケトスに当たり、夢の世界で見た完全体ケトスとなった。

 最終決戦に向かう前に準備をするべきだとケトスに言われて、まず地方で力を鍛えることにした。他にも黄金像のままのマヤちゃんの救出や、ロウ爺さんの師匠の試練に(←もちろん彼女を見て飛びかかってお仕置きを受けた横島)、別の地域に残っている邪神の力に反応して封印されていたモンスターの討伐などして、着実に俺達は強さを手に入れていった。

 その中の一つに夢で女性が助けを求める声がするとの話を聞き、夢に出てくる男がユグノアの鎧を着ていたことが分かりユグノア城に入り地下に行くと、そこには一人の男が巨大なモンスターに苦しめられていた。その男が

 「イレブン、あの男はお前の父親・・・アーウィンじゃ」

 何とイレブンの父親・アーウィンだった・・・強敵だったが、モンスターを討伐すると闇に覆われて見えなかった顔が見えるようになった。そして、

 

 「まさか・・・我が息子か」

 

 十六年ぶりにようやく父と子の再会を果たし、頷くイレブンに肩を掴むアーウィン。その時、とても俺好みの女性の霊が二人の傍に立ったのを見て、この人が母親だろうとすぐにわかった。だが、霊を見ることは俺以外出来ないので、

 「ロウ爺さんにマルティナさん。一つ頼みがあるけどいいか?」

 「何じゃ?」

 「何?感動の再会を」

 「その感動の再会に、もう一人加えたいんだ」

 「「「「「「は?」」」」」」

 この言葉に全員がきょとんとする中、ロウ爺さんとマルティナさんに一つの文珠を渡した。その文珠に書かれていた文字は『体』だ。再会には体がないとできないしな。

 「イレブンのお袋さんを強くイメージできるのは二人しかいないからな。うまくいけば、親子再会が出来るかもしれない。これを強く握って願ってくれ」

 「親子、再会・・・じゃと?」

 「・・・信じるわよ、横島」

 ロウ爺さんにとっても親子再会だったな・・・でも、これって正直賭けなんだよな。イメージだけで文珠で体が出来るかどうかなんてわからないからな~、一度もやったことないし。

 「「・・・エレノア(様)」」←二人の祈りの後に文珠が光って皆が目を閉じ、開けるとエレノアがいた。

 おおお!うまくいった!なななななな!何て美人なんだ!くっそ~~!こんなに美しいなんて・・・あのアーウィンって奴が羨ましい!ついでにイレブンも羨ましい!

 「な、な・・・エレノア!」

 「エレノア様!」

 まだ体だけで、魂が入ってない・・・そこで、

 「エレノアさんですか?これに入れば夫を、息子を抱きしめられますよ」

 『私が見えるの?・・・夫を、息子を、抱きしめられる?』

 よし!声が届いた。

 「は?お前何言ってるんだ?」

 「まさか・・・そこにいるの?」

 「・・・エレノア様が」

 後はエレノアさんの霊を誘導するだけだ。何もない空間にいきなり話しかけたから、俺を怪しげにカミュ達が見ている中、エレノアさんの霊が文珠で作った体に入る。すると、

 

 「・・・・あ、あ」

 

 エレノアさんの体が動いた。よし!これでいいが、

 「入れる時間は短いですので、その間にお願いします」

 「十分です。ありがとうございます」

 うわ~~、目の前で見ても滅茶美人!しかもスタイル抜群!といつもの俺なら浮かれるが、文珠で作った体が長く持つはずがない。しかも初めてだし・・・よくて五分だろうな。だから、悔しいけど我慢だ。

 「え、え、エレノ、ア?」

 「エレノア、様?」

 ロウ爺さんとマルティナさんはもう震えて涙を浮かべている。そりゃ、十六年ぶりに出来るはずがない再会ができたんだ。

 「はい、お父様・・・エレノアです。それと大きくなったわね、マルティナちゃん」

 「お、おおお、エ、エ、エレノア(ぼろぼろ)」

 「エレノア様。私、私(ぼろぼろ)」

 「ありがとう。イレブンを守ってくれて・・・お父様、私達にいつも花を添えてくれてありがとうございます」

 ついに二人とも泣きながら彼女の手を握った。ずっと握っていたい気持ちも分かるけど、

 「さ、行って来い。もう十分じゃ」

 「エレノア様。あちらへ」

 涙を止めて、二人はアーウィンとイレブンのいる方へ誘導した。メインはあっちだからな。

 「あなた、よかった。苦しみから解放されて」

 「え、エレノア・・・ほ、本当に君なのか?」

 「それと・・・イレブン。ああ、あああ!私の子、私のイレブン!」

 「三人で会える時が来るとは!ううう、エレノア!イレブン!」

 ・・・・・・何も言えねえな。アーウィンは十六年前から妻が死に子のイレブンだって死んだと思いずっと苦しんで、エレノアさんもまた多分その時から旦那を心配して成仏しないでずっと魂だけでそばにいたんだ。どっちも苦しみ続けた・・・が、やっと二人とも解放されるんだな。三人がしっかりがっしり抱きしめあうが、エレノアさんの体が光りだした。多分、文珠の効果が切れそうになっているんだ。

 

 「私の可愛い坊やを見れた。抱きしめられた。そして・・・少しの間でも家族として一緒にいられた・・・今やっとできた」

 「・・・逝こう、エレノア。最後の最後で、こんなに立派になった息子が私達を救ってくれた。こんなに嬉しいことは他にない」

 「これで私達・・・安心して旅立てるわね」

 「ああ・・・そうだな。エレノア」

 

 いや、アーウィンの方も光っている。二人とも成仏するんだな。

 

 「息子よ・・・これから先は多くの困難があるが、お前はまっすぐに進むんだ。希望の光を持てば、導いてくれるはずだ」

 「父と母は、いつもあなたを見守っているわ・・・さようなら、可愛い坊や。私達はずっとあなたの事が大好きよ」

 

 ・・・昇っていったな。おとんとおかん、今どうしてるかな?

 「これで、本当にお別れじゃな・・・アーウィン、エレノア」

 「これからもイレブンを守り続けます。見守っていてください、エレノア様」

 よかったな。イレブンも、ロウ爺さんも、マルティナさんも・・・な。

 「横島、どうしてあんなことが出来たの?というか、あん・・・(な、何、とても寂しそうな顔をして)」

 「元気だと、いいな(ぼそ)」

 会いたいな・・・あんなおとんでも、強すぎるおかんでも、大切な親だからな。

 「・・・(もう会えない人を想っているみたいな顔をしてる。こいつも、辛いことがあったのね)」

 この時横島は気づかなかったが、ベロニカは『記・憶』の文珠が入っているポケットを掴んだ。その時に、

 『!!!な、何よこれ。これが、こいつの・・・過去なの?』

 横島が見た記憶とは違う・・・前の世界にいた横島の記憶が彼女の頭の中に流れた。未来横島が作ったこの文珠は自分の想いを全部込めて作ったものであるため、横島の経験した前の世界の過去も全部込められていた。←ただ、ベロニカには未来横島の経験した異変後の世界の記憶が入ってこなかった。記憶にはないが前の世界で未来の自分と会った横島ならともかく、未来は本来知ってはいけないので世界の修正力が働いたのだろう。

 「・・・・・・」

 「お姉様?どうしました?」

 「何でもないわ!」

 この記憶に戸惑っているとセーニャが不思議そうに尋ねたため、我に返った。

 『横島、あんた・・・失った苦しみを持っているのね。特に、もう二度と会えない恋人との別れはどんなに辛かったことか・・・この前の告白といい、何故か見えたこいつの過去といい、ここまで見ちゃうと』

 「さ、行くわよ!皆!」

 偶然知った横島の過去とこの前にされた告白が

 

 『横島ともっといたいって、気持ちが強くなっちゃうじゃない』

 

 ベロニカの気持ちを恋にさせていた。これが、愛になったのは・・・もう少し先である。

 そして、最終段階としてネルセンの迷宮でばっちり実力も着けたことで・・・ケトスに乗り邪神・ニズゼルファとの戦いに挑んだ。もちろん、生半可な強さじゃなく各自たくさんの魔法やコンボ技をやってもなかなか倒れなかったが、

 「おおおおおおお~~~!!!」

 最後の勇者の剣で最後の一振りをしたイレブンの一撃でついに倒すことに成功した。これで本当に世界が平和になったことに喜ぶ中、皆にはある一つの気がかりがあった。

 それは、忘れられた塔のセニカ・・・彼女の願いを叶える為に塔へ行き、番人の姿から勇者の力で彼女本来の姿に戻した。そして、イレブンは彼女の願いを叶える為に勇者の力を譲った。セニカはとても美人でスタイルもなかなかのモノ・・・横島なら黙っていられないが、

 

 「ベロニカもあれくらいのスタイルだったらな(ぼそ)」

 「(我慢よ我慢・・・セニカ様の為にここで怒ってはいけない!)」

 

 この彼女の生まれ変わりであるはずなのに、スタイルが負けていたベロニカの怒りに触れる言葉を言っていた。ボソッと言ったはずなのに見事に聞こえたベロニカだが、敬愛するセニカがまさにイレブンから勇者の剣を受け取り、時のオーブを壊そうとしているので必死に我慢した。

 そんな裏事情の結末は少し先に延ばして・・・ついに、セニカがオーブを壊して過去へ向かった。残されたのは勇者の剣のみ。

 

  ありがとう、勇気ある者達よ。

 

 そんな言葉が聞こえた。マルティナが会えるといいわねと言い、カミュが似たようなことがあった気が?と思い他の皆も確かに・・・と思う中、

 

 「悪かったわねええええ!小さい胸でえええええ!」

 「ちょおおおおお!き、聞こえてたのおおおお!」

 

 魔法を撃ちまくるベロニカと食らいまくる横島。もはや、その光景は日常の一つとなっているのでセーニャですらスルーして、二人を残して塔から出ていった。この騒動のおかげで疑問も皆からすぐになくなった・・・十分後くらいにズダボロ黒焦げの横島を引きずってくるベロニカが出てきた。

 忘れられた塔が少し傾いたように見えるのは気のせいである。

 

 

 

 

 

 ここまではベロニカは恋の段階であり、愛に変わったのは・・・ライバルの登場が愛の段階にさせた。そのライバルというのが、

 「横島は私に告白したのよ!」

 「あら?でも、私もあつ~~いプロポーズをしてくれたのよ♥」

 氷の魔女・リーズレットと

 「私はずっと守ってくれる。と行ってくれましたわ♥」

 人魚の女王・セレンだった。この三人はムウレア王国で火花を散らしている。世界が平和になったので、皆それぞれの戻るべき場所に行き平和に暮らすことになった。横島はイレブンと同じイシの村に行き、イレブンと幼馴染エマの結婚式を見て悔しがった。

 セーニャ・ベロニカと一緒にラムダに行って見事邪神を倒し、ベロニカは交際を認めそれを二人の両親に報告したのだが・・・二人を天使と見る父親が交際を猛反対。同じく天使と見る母親も横島の所業は耳に届いていたので大反対。一緒にいることが許されなくて、結局イシの村で暮らすことになったのだ。

 その後、二人が村に来てイレブンと共に勇者の剣を命の大樹に戻すことにした。その際、久しぶりに会えたベロニカと一緒にいたい気持ちが強くなって横島も・・・更にその命の大樹に行ってみたいという妻のエマも一緒に行くことになった。勇者の剣を戻した後、いろんな国を旅したから自分も行ってみたい!というエマの望みを叶えるために、そのままルーラでとんだが・・・クレイモランに行った際に、手を繋いでいる横島とベロニカを見て嫉妬したリーズレットも反対の手を繋いで同行・・・ムウレアでこうなったという事だ。

 「いい加減に離れなさいよ!横島は私のモノよ!」

 「それはこっちのセリフよ、小娘。横島は私と結婚するのよ」

 「私はこの人と子供も作るつもりですよ・・・ふふふ、準備はいいです」

 しかも、あの『記・憶』の文珠で横島の過去も見たため、想いが未来の時と同じくらいの強さを持っていた。←ここでこの文珠も効果が無くなり崩れてなくなった。

 この二人の情熱的なせまりと結婚や子供の言葉すら出す・・・とられることに焦りをうみ、

 

 「わ、私だって!こいつと結婚して子供産むんだからあああ!」

 

 首飾りの魔力を解放させて、女性ベロニカに戻り・・・そこから

 「ふふん!力づくなら負けないわよ!」

 「ムウレアの女王の強さ、見せてあげましょう!」

 力比べが始まった。その戦い、三人の攻撃を一番くらっていたのはもちろん横島であり、(鼻)血を一番流したのも横島であることはわかり切ったことである。

 三人の決着は・・・少なくとも母親の喜びが無くなるまではつかないだろう。

 

 

 

 

 

 

 因みにイレブンとエマとセーニャは既にルーラで移動していたが

 「セーニャさん。私のイレブンにくっつきすぎでは?」

 「・・・私分かったんです。お姉様が横島さんを探し出したのなら、私もイレブンさんを探し出すって!待つだけじゃダメだって、私も前に進むことにしました!」

 「「むむむむむ!」」

 「(・・・どうしよう)」」

 セーニャはベロニカの影響を受けやすい・・・我慢し続けてきたイレブンへの想いを、ベロニカの行動を見て負けられない!という気持ちになったようだ。どうやらこちらも平穏無事とはいかないようだ。

 




 ホメロスは本当に自分も彼の立場が何か共感できたため、助けたいと思い助けました。アーウィン・エレノアさんは息子を抱きしめたい親を書きたかったので無理やりだけど、ああしました。

 最後の横島と彼女ら三人はともかく、あのイレブン達の今後は読者様の妄想にお任せします。

 次回は、魔法科高校の劣等生第二期おめでとう!として深雪ちゃん続編として四葉真夜さんで行きたいと思います。多分・・・かなりキャラ崩壊させると思うので覚悟してください。

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