横島忠夫、〇〇〇〇と付き合ったらどうなる?   作:一日三食MEN

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 真冬バージョンのエンドコミックの発売日に出したかったけど間に合わなかった。ならホワイトデーに・・・これも間に合わなかった。なら卒業式に・・・これも間に合わなかった。二度あることは三度あるになってしまったよ・・・ううう。
 この原作で好きな言葉があります。

 「一人だけど、独りじゃない」

 成幸のこの言葉がジーンとしました。立ち向かうのは一人だけど、皆も一緒だから独りじゃない。自分の解釈だけど、そういう意味だと思うといい言葉だ。

 では、お待たせしました!


桐須真冬と付き合ったら?(僕たちは勉強が出来ない)

 「静止、止まりなさい。廊下は走るところではないわ」

 「精子!せ、先生!何と言う言葉を言うんですか!」

 「困惑、止まる言葉に変な意味があるとでも?」

 「・・・ボケを真面目に返されるのは牽制球をフルスイングしたくらいに悲しい(しくしく)」

 「反省、今後は走らないようにしなさい」

 「は、はい・・・」

 学生・横島忠夫は、乳尻太ももがとってもいい女先生からおしかりを受けたが、下ネタを全然理解されないまま返されて結局そのまま注意されてしょんぼりした。背を向けて歩く女先生へのセクハラは愚か、彼女の後姿の動くスカートの動きに興奮することも忘れて。

 

 

 横島は今ある女子の家でお世話になっている。

 「ううう。聞いてよ忠夫君!唯我君がランジェリーショップで着ぐるみを着ていて私のシークレットを知っちゃったんだよ!」

 文系の成績が抜群にいいが理数系の成績が極端に悪い古橋文乃の家だ。かなりのお金持ちであり、父と二人で生活するには広すぎる上に使用人等を最低限しか雇ってなかった。その為、目に見えないところでホコリや汚れが溜まっていたところを原作主人公・唯我成幸の友人として一緒に行った際に、そういうところを指摘して一気に掃除してあげると住み込みで雇ってもらえることになった。←それまでは最初に会った成幸の母親の好意で一週間ほど唯我家にいたが、生活がかなりきつきつなのでこっちに移動した。

 今、彼女は昨日体重計に乗って悲鳴を上げて「ダイエットしなくちゃ!」と言ったのに、今日のランジェリーショップでの成幸とのやり取りですっかり忘れたのか買い込んだお菓子を食いまくっている。

 「まあまあ、成幸だって悪気があったわけじゃないし(つうか、何で下着売り場にいたんだ?バイトにしてはおかしいぞ?)」

 「私だってわかってるよ!必死に謝ってくれたし、クレープも奢ってくれたし!」←この間もお菓子を食べる口は止まらない

 「(帰ってくる前にも食ったんかい!)とりあえず、手と口を止めた方がいいぞ。この後大変なものを見ることになるから」

 「・・・・・・あああああああ!!」

 どんなに叫んでも後の祭り。数分後に脱衣所にある体重計の結果を見て更に叫んで、その日は自室に引きこもってベッドで泣き寝入りしたのは別の話。←そっちの方が太るのに・・・作者リアル体験。

 

 

 その後、古橋父とも出会って娘に近寄る怪しい男と見られたこともあったが(←横島も父親の風貌の怪しさに文乃を狙うストーカーと勘違いした)、ちゃんと和解して娘の学校への編入が許された。この時は父親と文乃の間に何かあるしか思ってなく、時間が解決すると思った。この心の距離が文乃は学校での生活を父親に報告してなかったので、横島が学校へ行けたのは娘の学生生活を報告する為でもある。

 編入して初日にいろんな女子にナンパに声掛け、偶然を装った出会いなどにいそしんだ・・・もちろん、この中に原作主人公・唯我成幸に想いを持つうるかと理珠がいたのは言うまでもない。何しろ横島は欲望満載な顔でナンパをするがしつこく付きまとうといったことはしない・・・それでも、迷惑に感じる女子も何人かはいる。そんな女子は当然教師に報告するので、その時に

 

 

 「捕獲、あなたが横島忠夫ね」

 

 

 今回のヒロイン・学校の教師である桐須真冬と出会った。そんな出会いから今では

 「呆然、これで何度目?」

 「ナンパが成功するまで続けます!」

 「頭痛、その執念を勉学に使いなさい」

 「先生が俺と個人授業をしてくれるなら!」

 このやり取りも既に何度目かである。廊下でやっている説教も既に流す生徒もいる。そして、

 「(ぎん!)いい加減にしなさい」

 「は、はいいいいい!(この眼光が何か美神さんを思い出すううう!)」

 背筋をピンとするくらいのこの怒りの視線で横島がビシッとするのもおなじみである。その視線が自分の上司を思い出して懐かしい気持ちになったのは横島だけの秘密。

 「さっさと、行きなさい」

 「分かりました!」

 やれやれと表情を出す真冬だけど、横島に違和感を持っていた。

 「(妙ね。横島にナンパされて困るという声は減らないけど増えもしない。あれだけ女にだらしない性格なら、もっと増えて停学レベルまで行くと思っていたけど?)」

 自分にも何度もアタックしたり、目の前で女子にナンパする姿を毎日目にするからこそ横島の行動が妙だと思った。だけど、その時チャイムが鳴ったため

 「切替、授業に行かないと」

 この日はそこで意識を変えた。

 

 

 

 

         読者の皆さんへ、ここからは真冬さん視点に変えます。

 

 

 「疑問、最近の横島忠夫はおかしい」

 思わずそんな言葉を出してしまう私。これは私だけの考えではなく一部の女子も同じ考えで、実際は一部の女子達の話を聞いてやっと気づいたこと。それまではあの三人に勉強を教えている唯我君の方に意識がいっていた。私の部屋の片づけをしたり、彼の言う一言に思わずドキっとなったり・・・あの人を思い出させたりして、横島君の事はただの問題児としての意識で片付けていた。

 その一部の女子達の話はこうだった。

 

 『ねえ、また横島にナンパされたけど・・・他のナンパ野郎と違う気がしない?』

 『確かにね~~、下校の時に違うナンパ野郎に声をかけられた時はしつこかったけど』

 『あいつの場合は、断ったらすぐにターゲットを変えるよね』

 『そうそう、何か断られること前提でナンパしているような気がするよな~?』

 『俺は最低野郎だから近寄るな!的な?そう言えば、ナンパされない女子もそれなりにいるみたいだよ。その子達もあいつからすればターゲットのはずなのに』

 『ナンパが失敗したら普通に話して別れるし、何でだろうね?(まあ、私はあいつがいるから絶対に断るんだけど///)』

 『ま、うるかは中学時代からの本命がいるから』

 『絶対に断るよね~~』

 『ちょ!も~~そんなんじゃないんだから!!(うううう!恥ずかしいいい!///)』

 

 その女子達があの水泳部の三人であるのは言うまでもない。この話を聞いてただの問題児ではないという認識になった。

 「私には顔を合わす度にナンパするのに、されない女子もいる?」

 毎回ナンパされるが、されない女子がいることにそのナンパには意味があるのでは?と思い始めた。そして、少し観察することにしたら・・・

 

 『おおお!何と美しいあなた!俺と一緒に「断ります」全部言い終わってないのいいい!・・・ううう、じゃあ、そっちの「いや!」顔を向けただけで拒否!くううう!では「怒りますよ」り、理珠ちゃん!す、すいませんした!』

 『(二人ほど横島を見ておどおどした女子がいたが通り過ぎた)あ!何か視線を感じると思ったら何と桐須先生が!もしかして俺を「拒否、勘違いしないように」は、はい・・・』

 『あ、大丈夫かい?「ひ!よ、横島!」いや、そう怖がられると困るけど・・・とりあえず、この荷物職員室までかい?持っていってあげるよ「え?」。どうしたの?ほら行こう「う、うん」』

 

 気づかれてナンパされそうになったこともあったが、確かに違和感はあった。本当に軽いだけでナンパする男なら、どんな女子に声をかけるはずなのにそれをしない。横島忠夫の噂で怖がったりする女子にはスルーして、荷物を持っていた女子に声をかけて手伝う・・・最初はおしゃべりして警戒を緩めると思ったのに、職員室まで無言で荷物を届けたら一人で出ていった。

 「推測、断れない感じの女子にはナンパをしない?」

 そう考えると、少し違和感に納得ができる・・・もう少し様子を見てみましょう。

 

 数日後。やはり

 「結論、あの話は本当だった」

 横島忠夫は断れる女子や私にしかナンパをしていない。後、断れない女子にもナンパをするけど傍に止められる女子がいる時にしかしてないわ。確かにあの話の言う通り、自分に女性が近づかないようにナンパし続ける軽い男を演じているように見えたわ。そうなると新たな疑問が出てくる。

 「何故そんなことをする必要があるのかしら?」

 余り思い出したくないけど、私がやっていたフィギュアスケートはいかに氷上で高い点をとれる演技をすると同時に、流れてくるBGMにあった表情に変化させるのも重要なポイント。観客の意識をいかに自分を強く印象付けて目を向けさせるには、演技だけじゃなく表情の変化もまた大切。あのナンパと同じにするのはちょっとだけど、あの醜態(ナンパ)も悔しそうにする顔も演技だと思うと理解できる。

 「・・・ちょっと確認してみましょう」

 確認の為に他の人達から話を聞きましょうか。

 

 

 

 (今思えば、この気付きが彼を意識をする始まりだったのかもしれない)

 

 

 

 大半の男子はお調子者や軽い男、楽しい奴という回答だったけど、

 

 「横島の事ですか?すごく我慢強い男だと思いますよ?」

 

 唯我君だけは全く違う回答だった。

 「父が亡くなってかなり貧乏になって母が頑張っているんですけど、あいつも貧乏を経験したことがあるみたいでその話がきっかけで結構仲良くなれたからいろいろ聞けたんですよ」

 どうやら、ちゃんとした情報を聞けるみたいだからこのまま話を続けさせましょう。←他の男子は桐須の表情に恐れて答えるとすぐに去った。

 「以前バイトに入ったところが凄いブラックで、時給250円だったみたいですよ」

 そもそも、そんなバイトをする気になったことが疑問だけど。

 「そこの上司が本人曰く、桐須先生と同じくらい美人でいい体をしていたからだと。この話をした時も空に向かってその人の名前と・・・乳尻太もも~~!!って叫んでましたよ」←言いながら真冬のスタイルに意識したのか、ちょっと顔を赤くして言った。

 ・・・続きを。←でも、話の内容に納得と想像ができたことに成幸の表情に気付くことなく頭を抑える真冬。

 「話の内容はいろいろ脚色してましたけど、かなり命がけだったらしいです」

 命がけ・・・まあ、ブラック企業なら扱いも大変でしょうし、それでも続けたから我慢強いという事かしら?←その上司から過酷な労働を受け続けて死にかけたという解釈になった。成幸も同じ解釈・・・うん、確かに間違ってない。

 「それもありますけど・・・もう一つ」

 もう一つ?

 

 

 「すごく傷つきやすい人間にも見えるんですよ」

 

 

 傷つきやすい?あれだけナンパしている彼が?

 「傷つきやすいというより、その傷を必死に我慢しているけど誰にもばれないように頑張っているように見えたから、横島は我慢強いという印象を受けたんですよ」

 どういう事?

 「一回だけ一緒に下校したことがあったんですけど、いきなり泣いたんですよ」

 泣いた?ナンパで失敗したことに?

 「違うと思います・・・とても痛々しい顔だったから何も聞けなかったですね。まるで、すごく大切な人を亡くしたような感じでした。その時の泣いた顔が父の葬式の時の母の顔に少し似ていたからそう思いました・・・我慢していたけど、何かを思い出すきっかけを見て思わず泣いたんじゃないかと?」

 大切な人を亡くした・・・横島君が?

 

 

 

 (私が横島君を段々意識し始めたのは、多分この時だったのかもしれない)

 

 

 

 それから数日後、横島君を迷惑がっていた女子がだんだんいなくなった。その理由はナンパはされ続けているけど挨拶程度ですぐに離れるから、むしろそれが面白くなったらしい。でも本人は

 「美女・美少女の乳尻太ももがある限り、彼女達にナンパするのが俺の使命!」

 って言い続けているけど、本当に唯我君の話を聞いた後だったらその欲望だらけの顔が仮面にしか見えない。ナンパで軽そうな自分、欲望を丸出しにする自分、むなしい姿を見せる自分。

 それが痛々しく見えるのは、やはり私も下校時に確認で車からだけどこっそり泣き出した顔を見てしまったから。何か口も動かしていたけど何を言ったの?唯我君の時は隣に彼がいたから聞かれたくなくて飲み込んだのかしら?

 いったい何を言っていたのか確認するために今度は上手く減速して窓を開けたら、

 

 

 『ルシ・・ラ。・・ない』

 

 

 風もあったら全部は聞き取れなかったけど、最初は女性の名前かしら?次の「ない」は「いない」と読み取れるから、その女性がいなくなった・・・やはり唯我君の言った通り大切な人が亡くなったと考えていいのかしら?

 「結論、あの人みたいに死んでしまった悲しみを抱え続けているということ?」

 唯我君のご家族は、お互い支え合ったから立ち直れたけど、横島君は誰もいなかったからまだ立ち直れてない・・・でも、それをばれたくないからああやって離れるように演技をしていたという事?

 「一対一で話し合う必要がありそうね」

 でも、かなりデリケートの話だから話し合うなら学校では無理。誰にも聞かれない場所となると私が住んでいる部屋が一ば・・・・・・その前に部屋を片付けないと。←帰宅後片づけをしたが、結局成幸が掃除した時の四分の一くらいしか片付けられなかった。

 

 

 

 (話をするだけじゃない・・・あの泣き顔に強く心を打たれてしまったから。絶対に何とかしてあげないといけないと思ってしまったから、二人きりになれる部屋に招待してしまった)

 

 

 

 ついに部屋に呼んだのだけど

 「おおお!先生って(原作の)俺の部屋といい勝負っすね!」←古橋家にお世話になっているので、原作よりはちゃんと掃除はしている。因みに綺麗にした四分の一がなくなり、結局元に戻った。

 「閉口、絶対に他の人には言わない事!(ゴゴゴゴゴ)」

 「りょ、了解です!」

 今度、本格的に業者に掃除を頼もうかしら?あれ(ゴキブリ)も出ていたし・・・それに、横島君の部屋といい勝負って見たことないけどなんかショックだわ。←これがアニメ第二期第二話につなが・・・るわけないだろ!

 「そ、それで、何で俺を先生の部屋に?は!まさか」

 「確認、それだけよ。あなたの頭の中のことは一切ないわ」

 「先に釘を刺された!は、はあ・・・でもまずは、片付けません?」

 「これでも片付けたんだけど」←結局戻ったやんけ!

 ははは、まあ一人だとこうですよね!と言いながらゴミをゴミ袋に入れていく横島君。唯我君からも注意されていたけど・・・やはり掃除を頼みましょう。

 二十分後に掃除が終わって、唯我君が掃除した後と同じくらい綺麗になったわ。横島君も結構掃除がうまかったのは意外ね・・・さて、話を始めましょうか。←伊達に古橋家で雇われてない。

 「質問、あなたは何故女性から避けられるようにしているのかしら?」

 「は?何の事です?」

 「私やいつもナンパされている女子からの疑問よ。まるで断られることを前提で、あんなに欲望だらけの事を言ってナンパをしてフラれているって」

 「いやいや!それはないですって!俺は親父譲りの女好き・・・って言っても親父の性格は好きになれないんだけど!くっそおおおお!西条だけじゃなく親父の浮気癖も」

 「修正、話を変な方向に向けない」

 「あ、はい。俺も思いだしたくないので、すいませんした!」

 なるほど、ナンパするのは血筋なのね・・・父親が浮気癖って、横島君のお母様は大変でしょうね。←あのグレートマザーを知らない彼女は、父親の方が大変だとは夢にも思わない。

 「継続、質問に答えなさい」

 顔が泣きそう・・・やはり、恋人の死を引きずっているのが原因みたいね。正直、生徒を傷つけるやり方だけど、彼の本質を見ない事には今後の接し方も考えないといけないし。

 「先生は大切なものを失ったことがありますか?」

 彼だけに辛い過去を話させるのはフェアじゃないわね・・・私も見せないと。

 「家族じゃないけど恩師が一人亡くなってしまったわ。必死に私を励ましてくれたのに・・・(唯我君は覚えてないでしょうね。一度会ったことがあるなんて)」

 

 

 

 「俺は、二人失いました」

 

 

 

 ぼそっと言う言葉。この一言がどれだけ重かったか、私はすぐにわかった。

 「一人はずっと俺の傍にいてくれた女性です。実際は離れたと言った方が正解ですね・・・何とか再会できましたけど、助けられなかったと思った時は大きな悔しさがありました。いつもそばにいてくれた彼女がいなくなると知った時にどれほど俺の心の支えになってくれたのかに気付きました。その女性の為に必死に頑張ったのに・・・」←まだ幽霊時代のおキヌが人間になる前の事件の事。あの時もかなり悔しい思いがあった。

 再会したけど失った。と表現するのは、それくらいの喪失感があったということね。この女性でもこれだけの辛い気持ちになったという事は

 「もう一人は・・・初めて相思相愛になった恋人です。今はもう他界しています」

 これしかない。もちろん、予想できたから覚悟していたけど、

 「守りたかった。ずっとそばに居たかった」

 これは、聞く方も辛いけど、私は大人であり教師である以上、

 「でも、居なくなった」

 「吐露、全てを吐き出しなさい。抱え込むのはよくないわ・・・私みたいに」

 「・・・・・・」

 生徒であるこの子(がば!)な!な!←横島に抱き締められた。真っ赤になる。

 「何を!」

 「お願いします。しばらくこのままで・・・ああ、あああああああ!!」

 ・・・落ち着きなさい。横島君はあくまで私を女としてでなく教師としてお願いしただけ!しかし、どうしてこんなに私の胸の中はドキドキが止まらないの!

 

 

 

 (今思えば、この時から私は横島君だけを見る様になってしまった)

 

 

 

 この日泣き崩れてそのまま私の太ももで泣き寝入りした横島君は夜に起きた後、謝罪して少しスッキリしたと言って帰ったけど・・・←この間、真冬は真っ赤になっていた。

 「まだ、ね」

 私は隠していたフィギュアスケート時代の思い出の物を見た。教師になっても、私はまだこの時の気持ちが残っているように・・・まだまだ亡くなった恋人の事を引きずり続けているのが分かる。どんなに割り切ったと頭で思い込んでも・・・心は何年たっても割り切れるものではない。

 「救済、私は彼を救って見せる」

 それが私の役目・・・そう、絶対に心を救ってみせる。

 

 

 そう決めてからは彼を呼びつけて用事を押し付けるのが建前で、二人だけになれる様にセッティングして話を聞くようにした。正直、私が出来ることはこれぐらいしかない。心の傷は時間をかけて少しずつ癒していくしか方法がないから・・・。

 幸いだったのが、周りから見れば問題児の彼がまた何かやらかしたため私からお仕置きを受けている。と見られたようだったので変な噂は流れなかった。その話の中身が結構煩悩じみたものが多かった時は叱ったけど、悲しい表情で徐々に語る亡き恋人の時は何度か泣きながら抱き着いてきたけど私は受け入れた・・・これは彼を助けるための行動だから。時々、本気でドキドキしたのは気のせい、そう気のせい。

 そんな日が続いている内に、学園祭の時期になった。さすがにこの時期・・・いや、これから先は進路のこともあるから、こうした呼び出しは出来なくなる。

 「・・・疑問、何故落ち込んだのかしら?」

 おかしいわね?私は、何で彼といれないことに落ち込んだのかしら?私は教師で彼は生徒。それだけ・・・それだけ?・・・それだけ、そう、それだけ!それに、彼が卒業したら進むべき進路に行くために離れ離れになる。

 

 

 

 (今ならわかる。この時から私は横島君を意識していた。でも、立場の違いから気持ちを割り切らないといけない。その考えで一杯だったけど・・・)

 

 

 

 学園祭当日。何やら準備期間中に

 『後夜祭で一番最初の花火が上がった時に触れあっていると、その男女は結ばれる』

 そんな噂を聞いたけど、私は教師としての行動をやらないといけないので別に気にならない・・・してはならない。一通り見回った後は用意された衣装を着て私の出し物をやるはずだったんだけど、

 「桐須先生!すっげえ可愛いですよ!ああああ、そんな先生に教師と生徒の垣根を超えてぼかああああもおおおおお!!」

 「やめないかああああ!今は真面目に考えろ!」

 水泳部のフルキュア衣装を間違って着てしまって、しかもサイズがピチピチだったために脱ごうとすると破れてしまいそう。私のその姿を見た横島君が飛んできたけど、何とか川瀬さんが止めてくれた。私は下手に行動すると確実に私の半裸を見せることになるのだから・・・。←少し照れていたのは真冬だけの秘密。

 その後、唯我君の機転で何とかライブを乗り越えることが出来た・・・ただ、彼のせいで私は

 

 

 「が、が、ぐは・・・我、悔い、な、し(どくどくどくどく)」

 

 

 横島君に下着姿を見せる羽目になったのはいただけない・・・でも、どうして今までみたいに飛び込んでこないのかしら?鼻血の池を作って意識不明になっているわ。とにかく、早く着替えて私の出し物の時間も押してきているから行かないと。←結局横島は一応保健室に連れていくとそのまま後夜祭までほったらかしにされた。桐須先生、あなたも横島のギャグ体質に慣れてきましたね?

 

 

 

 その後は私の出し物も終えて学園祭の時間も終わったので、各クラスの出し物の片づけとギリギリまで待ってあげた緒方さんのうどん屋も完売した後で片づけをさせて、後夜祭が始まった。

 「やっと落ち着いたぜ。いや~~、ライブではいい」

 「それ以上言うなら死を選ぶわ」

 「いい・・・後夜祭になるといいですね!」

 「肯定、花火もしっかり見れそうね」

 「(間違いなく本気で言ってた!あっぶねえええ!話を変えないと!)あ!そう言えば、最初の花火を見た時に男女が触れ合っているとそのカップルは結ばれるって噂、桐須先生も聞きましたか?」

 私の隣の横島君が次に何を言うのかもう分かってしまう。

 「ええ、嫌でも聞くからね」

 「先生!本当かどうか俺とどうです!」

 いつもなら否定するけど、不思議と軽い男のお誘いに聞こえるその言葉は

 

 『先生、俺に関わるのはやめた方がいいですよ!』

 

 そんな風に聞こえてならない・・・唯我君の言う通り、横島君は本当に我慢強いけど傷つきやすい人だわ。ますます離れてはいけない、彼は誰かがそばに居てあげないと・・・本当に危険な選択をとってしまう可能性がある。だからこそ、私が彼の傍にいてあげないとダメだわ。

 「・・・え?」

 「あれ?先生どうしたんですか?」

 「何でもないわ、小美浪さん」

 危なかったわ。逆にいる小美浪さんに気付かれるわけにはいかない。一瞬だけど・・・二人きりで一緒に暮らす想像が出てしまった。←もちろん、自分が稼ぎで横島が主夫の図。その想像の部屋は横島が片付けているため綺麗。

 違う違う、そうじゃ、そうじゃない。私はそんなのを←この時彼女は気づいてなかった。花火があげられそうになっていることに。

 

 

 

 「「「「うわあああ、ああああ~~~!!」」」」

 

 

 

 「「え?」」

 な、何事!唯我君達が来

 「危ない先生!(ぐい!)」←横島が真冬の手を握って自分の腕の中に持ってきた。

 きゃ!よ、横島君!

 「あいたたた。いったい何がどうなって?」

 「おいおい後輩。その気なら時と場所と人数を」←あずみは成幸に意識がいったので、真冬のこの状況に気付かなかった。

 「すいません、花火失敗しました。もうしばらくお待ちください」

 「「「「ええええええ!もうしばらく!!」」」」

 「(ゴゴゴゴゴ)ねえ三人共、いったいどういうつもり?」

 「関城さん、いきなりこんなことするなんて嫌いです」

 「「「い、いやあのその!これには深いわけが!!!」」」

 「ひいいいい!こ、これはああああ!!」

 「ちょっと二人とも!いきなり押さないでよ!」

 「「何言ってるの。チャンスは掴まないとダメでしょ!」」

 唯我君達の方はいろいろ騒いでいるけど、

 「あれ?花火、失敗したみたいですね」

 「え、ええ。そうね」

 私の方は正直今彼らに関わっている状態ではない・・・だって、今の私って手をつないだままで!しかも、抱き締められているこの状態って、まるで私と横島君が恋人に見える!平成・・・ではないわ!平静を保ちなさい私!まずは、離れないと!

 「花火、か・・・あいつの最後は」

 は、な、れ、な、い、と。

 「今から打ちあがる花火と同じくらい」

 ・・・出来ない。やれない。私は今、せつなそうに改めてうちあがった花火をせつなそうに見る横島君と、こうしていることに

 

 

 

 (この最初の花火が終わるまで、私は彼に身を委ねてしまっていた・・・横島君の弱いところを知れば知るほど、セクハラまがいなことをして嫌われるようにしながらも悲しませないようにする彼の演技を理解すればするほど、唯我君の話でどれだけ自分自身に我慢を強いている横島君を見れば見るほど)

 

 

 

 内心喜んでいるのだから。←ここで花火があがり、空に満開の花を咲かせた。

 「綺麗だったのかな?・・・あ!(っば!)す、すいませんでした!」

 「反省、すぐに離すように///」

 「本当にすんませんしたあああ!!」←ふつくしい土下座をする横島。

 「別にそこまでしなくてもいいわ///」←顔は横を向いている。

 はあ、はあ、はあ・・・ばれなかったかしら?今の私が、すごく顔が赤いことに。

 

 

 

 (彼を支え続けたい。彼の傍にいたい気持ちになっていた・・・でも、この時はまだその気持ちが教師として、という考えの方が強かったかもしれないけど)

 

 

 

 それから月日が経って、学園長の頼みでフィギュア選手だった私が今どうしているのか?というテレビに出ることになったが、その時に選手として復帰する。という推論が流れた。妹の美春から「待っていたよ!」と電話が来た。←作者はアニメしか見てないので、原作の真冬先生の展開の進み方が違っているかもしれないのでご了承ください。

 教師か選手か・・・いったいどっちを選択すればいいのか分からない。しかも、成り行きでフィギュアの衣装を着てスケートリンクに立つことになった。そんな私は

 「・・・・・・」

 横島君を呼んだ。

 

 

 

 (私の今後を決めないといけないこの問題で、傍にいてほしい人として真っ先に思い浮かんだのが彼だった。親でも美春でもなく・・・生徒の彼だった。多分、ここで女としての想いを自覚し始めたのかもしれない。彼の言葉一つ一つが)

 

 

 

 そんな彼は衣装を着た私を見て呆然としていた。てっきり、飛びかかると思っていたけど

 「す、スゴイ綺麗・・・フィギュアの女スケーターって氷上の妖精って呼ばれる理由がよくわかった」

 ちょ!そんなことを言わないで!

 「煩悩まみれなオレですらこんなにドキドキしているんですから間違いないですって!」

 だ、ダメ・・・何かとても嬉しくて、頬が緩んでいく!

 「先生。ありきたりなことを言っちまいますが、先生は教師としての自分とフィギュア選手としての自分をどちらかとらないといけないと思っているみたいですが・・・どっちでもないただの桐須真冬が道を選ばないといけません」

 ただの、私?

 「そうです。二つの肩書がない、ただのあなたが決めないといけません」

 ・・・何もない私が決める。

 

 

 

 (私の心に浸透して、迷った時に進む道を作ってくれるのに)

 

 

 

 「肩書きを持ったまま選ぶと確実に後悔しますよ。以前俺に恋人がいたけど他界したと言いましたよね。その他界した原因は俺のせいなんですよ・・・肩書きを持った俺の」←世界を救う男という肩書。

 ・・・そんなの今まで聞いてなかったわ。でも、言えるわけないわよね。

 「死にかけた俺を恋人が助けてくれたのに、今度は彼女が瀕死になって助けられる手段があったのに、それを壊さないといけなかった。壊さないと・・・全てが終わる。そんな状況だった」

 全てが終わる?どういうこと?理解不能だけど、横島君は真剣に話しているから聞き続けましょう。

 「恋人は壊してくれ。と言った・・・そして、後悔するならそれを壊してからにした。恋人の言う通りにして・・・そのまま死んでいった。結果俺は全てを救ったけど、恋人は救えなかった。いろんな人はその恋人は縛られた生き方から解放されて幸せだったと言ったけど、今だに俺はその後悔をし続けています。皆には、もう大丈夫と騙しながら・・・」

 俯いているけどわかる・・・涙をボロボロに出している。

 「先生もそれなりの後悔と挫折と決意をして教師の道を選び、今ここにいることはわかります。でも、肩書を持ったままで人生の決断をするときは忘れてください・・・俺から言えるのはそれだけです」

 あ・・・よ、こ、島く、ん。出ていく彼を私は追いかけることが出来なかった。だけど、その時に見た彼の背中が、とても大きな傷があるように見えた。そう、彼の心と同じくらい大きな傷が。

 

 

 

 (自分をないがしろにしながらも、必死にそれを隠して周りに気を使う)

 

 

 

 その後、事情を聞いた唯我君が卒業生の日野さんと連絡をとって、彼女とのテレビ電話で喝を貰った。彼女が元気にやっているのを知って安心した。自慢の先生・・・そんな風に心から言ってくれる人がいるならと、教師を続ける決意をした。あの時は本当にただの真冬として彼女と話したからこそ、決めることが出来た・・・もし、肩書を考えていたらまだ困惑していたかもしれない。横島君からのアドバイスがあったからこそ、決断をすることが出来た。

 しかも、この時のアドバイスがその時だけじゃなく

 

 

 「おめでとう・・・そして、今までごめんなさい」

 

 

 ここでも生かすことが出来た。受験に合格した古橋さんと緒方さんにずっと自分の教育理論を押し付けて苦しめてしまった謝罪が出来た。あの時は感極まって、心の中でずっと謝りたかった気持ちを教師の顔を忘れて出すことが出来た。今までの私だったら、それが出来なかった・・・本当に、横島君にはどんなに感謝してもしきれない・・・のに、

 「ははは!文乃ちゃん!これからもよろしくな!」

 「お父さんの世話、しっかり頼んだよ!」

 古橋家に住み込みバイトから、本格的に警備員として雇われることが決まった横島君の顔は今だ悲しみを隠す笑顔の演技のまま・・・うん、決めたわ。私の背中を押してくれたのなら、今度は私が彼の背中を押す番よ。←因みに、いばらの会の三人が進学・就職後も古橋家に時々来て二人が親密になってないか確認しに来る。だが、猪森が同じ霊能力者という事で時々こっち方面の事件を一緒に解決することもある。

 

 

 

 (そんな忠夫君を)

 

 

 

 卒業式の日に、私は

 「横島君、4月になったら私とデートしましょう」

 「え・・・ええええええ!!」

 彼とデートの約束をした。3月中は卒業してもまだ学園の生徒という扱いのため、彼とのデートが万が一見られたら危ないから4月にした。春休み中は私も休める日があるから仕事を気にしなくてもいいし、教師と生徒の関係が無くなればただの桐須真冬として話すことが出来るのも4月にした理由。←これはリアルでもマジなため、今年卒業した読者様はまだ今月中は学校の生徒であることをお忘れなく!酒を飲むとかは4月からの方がいいぞ!←飲酒は二十歳になってからだろ!間違った情報も入れるなバカ作者!

 

 

 

 (心から)

 

 

 

 ここまでのデート中に横島君との今までをいろいろ思い返したけど、最後に向かったのは東京タワーだった。ここは横島君のリクエストであり恋人が亡くなったのがこの東京タワーだったとの事。そんな悲しい思い出の場所に私を連れてきた・・・まさか。

 「せんせ・・・いえ、桐須さん。学園にいる間、本当にありがとうございました。ずっと誰にも話せなかった過去。話したくなかった過去・・・でも、あなたに話すと少しずつ気持ちが落ち着いてきました。隠してずっと苦しんで、隠してずっと偽って、隠して・・・ずっと悲しんでいた自分を立ち直らせてくれました」

 まさ、か、

 「散ってしまう姿を思い描いてしまうからずっと避けてきたこの場所でしたが、桐須さんと一緒なら大丈夫です。そして、何より・・・報告もしないといけませんし」

 やっぱり

 「・・・ルシオラ。やっと立ち直れたよ。すまなかった、時間かけちゃって。でも、もう安心してくれ。俺は、もう大丈夫だから」←もちろん横島はこの世界の東京タワーじゃないと理解しているが、それでもここしかない。と心で思っているからこそこの場所で報告した。

 ルシオラ、初めて名前を聞いたわ。彼女との別れと報告を言うために(ぎゅ!)え?て、手を握ってきた。

 

 

 「桐須さん、学園生活で俺を支えてくれたあなたを好きになりました。どうか・・・どうか、俺と、付き合ってください。恋人として・・・出来る事なら、あなたと結婚をしたいです」

 

 

 ・・・頭が真っ白になった。そして、同時に

 「はあ」

 思わずため息を出してしまった。そのため息に横島君は一瞬キョトンとした。全く・・・

 「横島く、いいえ、忠夫君。私も同じ気持ちよ。私もあなたの事を」

 それは、私が・・・

 

 

 

 「(愛しているわ)」

 

 

 

 先に言おうとしていた事なんだから。でも、いいわ・・・忠夫君、あなたが正式なプロポーズするその時まで・・・待ち続けるわ。だから、

 「結婚、待っているわ」←この時横島の腕を抱き締めた。

 「は、は、はいいいいい!!絶対に幸せにします!!」

 今は、ルシオラさんが羨むくらいの幸せを彼女に見せましょう。

 「・・・忠夫君」

 「・・・真冬」

 見物、しっかり見ていなさいルシオラさん・・・私達の愛を。

 




 今回は回想中の心の声を出して、最後に結ばれるという設定にしてみました。実際、真冬さんは今月発売巻でも過去を思い出して、いつから好きだったのか?と思っていたシーンがあったみたいですし。

 いや~~、教師と生徒の恋愛話って初めてだったから難しかったです。高橋律子さんの時は横島は宿直員だし。


 次回は異世界カルテットが好きだったので、その世界観でオーバーロードの女体化マーレといこうかな?ギャスパーレベルで女だと思っていたし。←R18でガチで女体化していたことを忘れてギャスパーの話を出したら、性転換タグを出してないと運営から警告を受けた作者である。
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