見渡す限りの大自然、元の世界では見られなかった光景。
紛れも無くここは異世界だった。
俺が今いる所はどうやら丘の上らしい。
遠くの方に村が見える。とりあえずはあの村を目指そう。
おっと、その前にこのタブレットを調べないと。
俺は鞄の中からタブレットを取り出した。
電源ボタンを押して起動させた。
画面が明るくなり始め、画面には沢山の項目が並んでいた。
取り敢えず俺は銃の項目をタップして、作れそうな銃を探した。
しかしどれも経験値とゆうものを必要とするらしく今はまだ作れそうになかった。
俺はタブレットを鞄にしまって、遠くに見える村に向かって歩き始めた。
歩き始めて何分経っただろうか。今俺は森にいる。方向は合っている筈なのに、一向に辿り着けなかった。
どうやら迷ってしまったらしい。
どうしよう、こんなにも深い森だ。熊にでも襲われたら一溜りもない。
取り敢えず森を抜けよう。俺は辺りを見回した。
すると近くの茂みが、ガサッ!と、音を立てて揺れた。
何かが出て来ると思った俺は急いで茂みに隠れた。
茂みから出てきたのは緑色の体をしたゴブリンだった。
何でゴブリンが?もしかしてこの世界はそういうファンタジー系のものまでいるのか?
そうだとしたら厄介だな。俺の力は自分自身を強くするものじゃないし、今はまだ何も作れない。
取り敢えず逃げよう。
俺は静かに音を立てないように離れようとした。
しかし地面に落ちていた子枝を踏んでしまい、ペキッ!という音がなってしまった。
その音が聴こえたのか、コブリンはこっちに振り向いた。
「ギィィ!?ギィィ!!」
コブリンは驚いたような雄叫びを上げてこっちに向かってきた。
コブリンは剣のようなものを取り出して振り回している。
アレを何とか奪えないものか、俺は走り回りながら何か武器になる様なものを探した。
だがそんな都合のいい物など無く、俺は諦めて走るのに集中した。
暫く走って俺は背後を見た。まだコブリンは執念深く俺のことを追いかけていた。アレからもう数分は立っているだろうか。
クソッ!いつまで追いかけてくるんだこのコブリンは!
俺の体力は既に限界を迎えていた。それはコブリンも同じようで、明らかに走る速度が遅くなっている。
やがて岩場の様な場所に出た。
目の前には断崖絶壁が立ち塞がっていてとても登れそうにない。
「ギィィ・・・・・」
ゴブリンはまるで追い詰めたと言わんばかりに唸っていた。
だが此処なら武器になりそうな石がたくさん転がっている。
この石をうまく当てれば気絶させることができるかもしれない。
手頃な石を拾って俺は全力で投げた。が、俺のコントロールはお粗末なもので目標のゴブリンには当たらず、大きくそれてゴブリンの後ろの方へとんでいった。
「クソっ!全然当たらない!」
俺は愚痴を漏らしつつもゴブリンに向かって石を投げ続ける。
しかし石は一向に当たらず逸れるばかりだった。
「当たれっー!!」
コブリンが数メートルという距離に迫った時俺はゴブリンの頭に狙いを定め、最大限の力を込めて投げた。
「ギャッ!」
コブリンは小さなうめき声を上げて後ずさりをしながらよろめき、そのまま倒れた。
「気絶したのか?」
俺はゴブリンに近寄り剣を取り上げた。
「経験値を得るにはつまり、このゴブリンを殺さなきゃならないんだよな?」
俺は剣をゴブリンの胸に突き立ててそのまま剣を突き刺した。
妙に生々しい感触を感じて俺は顔を顰める。
これだから近接武器は嫌なんだ。本当に早く銃を作りたい。
俺は心からそう思うのだった。