描く夢は異世界で卐   作:ルフト

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第三話 アラン・マート

少し前までゴブリンと死闘?を繰り広げていた俺は未だに森をさ迷っている。

この森は予想以上に深い様で全く抜け出せない。

丘の上から見た時はこんなに広く見えなかったが・・・

まぁ仕方ない。諦めて出口を探しますか。

でもまた何かと出会したら面倒だな。

ゴブリンを倒した事だし何か作れるかもしれない。

俺は鞄の中からタブレットを取り出して起動させた。

画面の右端に50と表示されている。

どうやらこれが経験値らしい。

俺は銃の項目をタップして作れる銃を探した。

暫く探していると、周りより少し明るくなっている項目があった。

銃の名前はKar98k。ナチス・ドイツで開発された銃だ。

現代銃と比べるとその性能は見劣りするが、この世界では問題無いだろう。

初めて作るには丁度いい。

必要とする経験値も周りの銃と比べると低いしな。

俺は項目をタップして銃を作った。

手元が光だし、暫くして光が消えると俺の手にはKar98kが握られていた。

俺はKar98kを構えてみる。元の世界では出来なかったこと。この世界に来て良かったと改めて思った。

 

その時再び背後の茂みが揺れた。

俺はその茂みに銃を構えた。

 

「誰だっ!」

 

俺は茂みに向かって声を上げた。

 

「それはこっちにセリフだ」

 

茂みから出て来たのは俺と同じ歳くらいの青年だった。

その姿は良くあるゲームの異世界人の格好だった。

オマケにイケメンである。

 

「ここは俺達が使っている狩場だ。俺達からしたらお前の方が怪しいぜ」

「何時もって、村の住人か?」

「ああ、そうだ」

 

俺は銃を降ろした。

 

「俺の名はアラン・マートだ。お前は?」

「俺は剣人。北川剣人だ。」

「剣人?珍しい名前だな。」

「それはお互い様だ」

「そうか?ここらじゃ普通の名前だけどな。」

「流石ファンタジー世界」

「え?ファ、何だって?」

「い、いや何でもない」

 

うっかり言ってしまったが問題無いか。アランは転生者に見えないし。もし転生者だったら面倒な事になってただろうし。

「そういえば何で剣人はこんな所にいたんだ?」

「ちょっと迷っちまってな」

「ああなるほど。確かにこの森は迷いやすい事で有名だ。始めてきた時は俺も迷ってたからな。取り敢えず村まで来るか?」

 

このままこの森にいても何も無いだろうし、ついて行った方がいいか。

 

「ああ、同行させてもらうよ」

「分かった。こっちだ!」

 

アランが歩き出し、俺もそのあとをついて行く。

 

 

 

 

暫くすると森を抜けるとそこには集落が広がっていた。

 

「ここがアランの住んでる村か?」

「ああ、狭い村だけどいいとこだぜ」

 

アランは狭い村だって言っていたけどそれなりに大きい村だった。

村の中心には教会のようなものや少し大きめな建物が目立っていた。

 

「あれが俺の家だ」

 

アランが指さす場所には一階建ての小さな家があった。

それでも一人で住むには丁度いい大きさだった。

そういえばアラン一人で住んでいるのだろうか。

 

「アランはあの家に一人で住んでいるのか?」

「いや、妹と二人で住んでる」

「親は?」

「…死んだよ」

 

え、

 

「俺らは元々隣の国ダリアン王国という国にいたんだ。でもギルガ帝国という強大な力を持った帝国と戦争を起こしちまってな、国中の人達が戦争に駆り出されたよ。俺らの親もな。でも結果は惨敗。今も戦争は続いているが滅亡寸前だ。だから俺らは完全に国が滅亡する前にここに来たって訳だ」

アランはアランで壮絶な人生を送ってきたようだな。

 

「なんか…すまん」

「別に良いさ、過去の事だし。取り敢えず入れよ」

 

そう言ってアランは家のドアを開け中に入っていった。

俺もアランに続き家に入った。

アランは自分が持っていた剣を壁に掛けていた。

 

「なあ、この近くにダンジョンみたいのは無いのか?」

 

俺は今後の経験値集めのためにダンジョンといった狩場はある程度把握したかった。

 

「あるにはあるが剣人じゃ無理だと思うぞ。見たところ武器は無いみたいだし」

「あるにはあるんだな?」

「まぁな」

「だったら問題ないな。俺にはこいつがあるしな」

 

そう言って俺は銃を少し持ち上げた。

 

「行くとしても今日はもう日暮れだから無理だぞ?」

俺は窓から外を見る。アランの言うとうり外はもう暗くなり始めていた。

そして俺はある事に気づいた。

そう言えば俺ってこちに来たばっかりだから寝るとこないじゃん。

もう一度窓のを見る。今の俺にはさっき以上に外が暗く見えた。

ど、どうしよう・・・さっきから冷や汗が止まらないんだけど。

 

「なあ、この村には宿屋みたいな物はないのか?」

「無い。この村には滅多に人が来ないからな。もしかして寝る場所が無いとか?」

「ああ…」

「なんなら泊まってけよ。部屋はまだ余ってるしな。」

「マジで?!」

 

取り敢えずこれで野宿の危機は去ったな。

俺が一安心していると、突然ドアが開いた。

 

「ただいま〜、兄さん帰ってる?」

 

どうやらアランの妹が帰ってきたらしい。

 

「もう帰ってるぞ。それと客人がいるんだ」

「兄さんが客人を連れてくるなんて珍しいね」

「まぁな」

アランの妹は予想道理美少女だった。

何だよ!この兄妹は!揃いも揃って美男美女ってか!

 

「始めまして、ソフィア・マートです。よろしく」

「あ、どうも。北川剣人です」

 

何か挨拶がぎこちなくなってしまった。

 

 

 

 

 

俺はその後アランに部屋を借り、床に就いた。

「明日はダンジョンか…まあ何とかなるか…」

 

俺はそんな事を考えながら瞼を閉じた。

 

 

 

 

 


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