「はぁ、はぁ、はぁ……」
月明かりが灯る夜、その光すら微弱な程の暗闇を、少女は駆けていた。
「ここまで来れば大丈夫……キャッ!?」
少女は、不運にも木の根に足を掛けてしまった。
悪夢は、もう直ぐ其処までやってきている。
悪夢は、少女を喰い殺さんとばかりにその大口を開ける。
「……ッ!」
少女は、これから来る痛みに目を閉じ待つ。
「……?」
しかし、痛みは来なかった。
恐る恐る少女が見たものは ̄ ̄
 ̄ ̄とても、美しい銀の
「あ……あ……」
ドラゴンは、追ってきていた妖怪たちをいとも簡単に踏み潰し、絶命させていた。
少女は、目の前に起きている物事を理解できないまま、腰を抜かしていた。
ドラゴンは語った。
『汝、我に跨るがよい』
……?
少女の頭の中は、?マークだらけだった。
そうこうしているうちに、少女の体は宙に浮いていて……
『……汝、しっかり捕まっているように』
いつの間にか、ドラゴンの体に乗っていた。
「えっ……きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」
少女を乗せたドラゴンは、その森を抜け、天空へと飛び立っていくのであった。
❁❀✿✾
?side
……ついさっき、非現実的な現象が起きた。
伝説とされていた、銀のドラゴンが現れたのだ。
そして、私のことを連れ去った。
神隠しか?と私は思った。
だが、私はそれを否定したくてしようがない。
なぜかって?それは……
 ̄ ̄その連れ去ったドラゴンが、私と同世代の少女の姿をしていたからだった。
だから、私には神隠しだとは到底思えない。
?「さてっと……とりあえず、大丈夫?」
「あ、はい……大丈夫です。助けて頂いてありがとうございます!」
少女が、クスリと笑う。
その笑顔は、とても華麗で、とても魅力のある笑みだった。
少女の外見は、中華風のドレスに身を包み、私と背は頭一つ分ないかくらいで、一つ違和感を感じるところがあるとすれば……
「……角?獣耳?」
なんと、その少女には天を突くように伸びた角、龍を思わせるピンと生えた獣耳が生えていた。
?「あら……そんなに私が珍しく見えるのかしら?もしかして、貴女はこういった身なりの者を見たことがないかしら?」
ジロジロと見ていたのが、バレたようだ。
私は、さっと目線を外し慌てて誤魔化すが……
?「あら、そんなに焦らなくても大丈夫よ?」
少女が、諭すように手をこちらに向けてくる。
?「さてと……私は、
さらっとドラゴンと名乗った少女に対し、「いや、普通じゃないでしょ!」と心の中でツッコミを入れておく。
「……マエリベリー」
?「……ん?」
「マエリベリー・ハーン」
私は、現代での名前を名乗っておく。
明らかにここは、現代社会ではない。
先程、友人とはぐれ、一人歩いているところを妖怪に襲われ、そして目の前の少女に助けられ……というところだ。
闇「っ!……そう、マエリベリー・ハーンね……」
闇と名乗る少女は、少し驚いた後、懐かしむ様な表情で笑っていた。
闇「じゃあ、マエリベリー……だったかしら?」
「はい……読みにくいので、皆からはメリーと呼ばれてるんです」
闇「じゃあメリー。貴女……能力を持っているわね?」
私は、物凄く驚いた様な顔をする。
実はこの私、マエリベリー・ハーンには、一つ能力がある。
それは『結界の境目が視える程度の能力』だ。
この能力は、結界を視ることが出来る能力。
今まで、自分が能力を持っていると当てられたことがなかったので、物凄く戸惑った。
「……どうして分かったの?」
闇「まぁ、私は能力を持っている者を腐る程見てきたからねぇ……今更貴女に会って、分からないなんてことは無いわよ」
「そうなんだ……」
私は、若干驚きながらも納得した様に頷く。
まぁ、彼女……ドラゴン程にもなれば、そんなことは容易いのかもしれない。
それにしても……
「(小さいなぁ)」
彼女は、凄く身長が小さく見える。
大体私の身長が、160cmとちょっとなので、闇はたぶん140cm台なのだろう。……ちび。
闇「貴女……今、とっても失礼なこと考えなかった?」
「あぁっ!?い、いやいやいや!そんなわけ~」
闇「そう?ならいいけど……」
今一瞬、私の葬式の場面が見えた気がした。……このドラゴン、見た目に反して怖い。
そうして、このあと私は闇に連れていかれるはめになった。……まぁ、可愛いからいっか!