闇side
藤原不比等との話し合いが終わった後、私は都を散策していた。
秋葉に交渉しに行く前にアリシアたちとは別れていたので、今どこにいるのか分からない。
まぁ、その内見つかるだろう。
「はぁ~あ、あの話終えた後は暇になるわね。あ、チロル?何か食べたい物とかあるかしら?」
チロル「んー、お団子食べたい!みたらし団子!」
「分かったわ、じゃあ行きましょうか」
チロルが団子を食べたいと言うので団子屋に行くことになった。
因みに、あの話の時チロルはどこにいたのか疑問に思った方もいるだろう。
チロルにこの話をするにはまだ早いと思ったので、輝夜のお爺さんとお婆さんに預かって貰っていたのだ。
「お、あそこ良さそうね」
私が指をさしたのは、非常に繁盛している甘味処。
団子も売っている所らしく、店の外の椅子で食べている人が多くいる。
「チロル、買ってくるからここに座っててね」
チロル「はーい!」
私は、チロルを外の椅子に座らせ、自分は店の中に入っていった。
中は古風なお店っていう感じで、中にもお客さんが沢山いる。
順番に並んでいたら、どうやら私の番が来たようだ。
「みたらし団子4本下さい」
おじさん「はいよ、お嬢ちゃん可愛いからお友達の分と2本サービスしとくな!」
「あら、ありがとう!」
店長らしきおじさんが、私に笑顔でそう言い、団子を6本渡してきた。
それにしても、可愛いからサービスするって……なんて平和な都なんだろうか。
私はお金を払い、店を出た。
「チロル!買ってきたわよ。後、店長の人が私たちに2本サービスしてくれたわ」
チロル「ホントに!?やったぁ♪」
チロルは、子供のように喜んだ。
私からしたらまだまだ子供だが、こんな子でも妖怪なのかと疑ってしまう程幼く可愛らしい。
チロル「頂きま~す……ん~美味しい~!」
「頂きます……ん、これは美味ね」
私は、団子を1つ頬張り、しっかりと味わってみる。
団子のもちっとした感触と、団子のたれがが上手く合わさってとても美味しい。
これは、今まで味わった経験が無い程の美味しさだ。
「とても美味しいわね、チロルはどう?」
チロル「うん!とっても美味しいよ!」
チロルは、とても美味しいといった笑顔で返してきた。
しかし……どうやって作っているのかしら、本当に美味しいわね。
あまりの美味しさに、手が止まらない。
転生してから美味しいものなんてあまり味わったことが無かったので、これは久しぶりの良い機会になったのではなかろうか。
10数分後……
「チロル、どうだった?あの甘味処のお団子」
チロル「とっても美味しかったよ!また食べに行きたいな~」
「ふふ、また今度……ね」
私は、チロルの頭を撫でながら答える。
輝夜を連れ戻しに来る月人が来るのは、約1ヶ月後。
それまでにはまだ時間はあるし、何回か連れて行ってやろうと思う。
?「やみぃ~!」
そう思っていると、後ろから声がかかった。
後ろを振り返ってみると、こちらに向かって走ってくるメリーと、それを追いかけるアリシアの姿があった。
「あら、メリーにアリシアじゃない。都はどうだったかし……ら?あら、メリーその服は……」
メリー「ふふーん、どう?都の服屋さんで買ったんだ~どう?似合ってる?」
いけない、メリーの服を見て少し驚いてしまった。
何せ、今のメリーの姿は前世で見ていた
私にも似た白を基調としたドレスを身に纏い、リボンの付いたナイトキャップを被っている。
「帽子も買ったのね。えぇ、よく似合ってるわよ!」
メリー「そう?良かった!」
ドレスを揺らして喜ぶメリーの姿を、未来の霊夢や魔理沙たちが見たら何と言うだろうか。
恐らく、目が点になり軽く引くだろう。
「それで、アリシア。最近何か変わったことは無かったかしら?」
アリシア「いえ、特に何も。言うならば、メリーの妖力が倍増された位でしょうか……」
「そう」
メリーの妖力が倍増……か。
メリーの妖力はいつにも増して増えている。
妖怪になりたいと言ったその時から数えれば、とんでもない量の妖力が増えた。
……いつか、世界の一片を纏めることになる日もそう遠くないかもしれない。
「私たちからの連絡。近々、かぐや姫を連れ戻しに月人がここに来る。私はそれを手伝おうと思うの。協力してくれるかしら?」
全員『了解(です)』
全員が、快く私の意見に承諾してくれた。
「ありがとう。……それで、夢源郷のことなんだけど」
私がそう話すと、全員が私に注目した。
「私が一応全体の管理はするし、住居も置こうと思うの。だけど、それじゃ"夢源郷の本当の意味"が無くなっちゃうのよね」
私が作る、夢源郷の本当の意味。存在する価値。
それは、夢の源を作ること。
夢を忘れてしまった人が、最後に救われる場所というものなのだ。
私が存在するための土台の管理はするが、中身は是非誰かにやってもらいたいもの。
決してメンドクサイという訳ではない。
夢の源を、自分で作って欲しいのだ。
「だから、仮の統括者を作ろうと思うの。候補はもうあるんだけど……」
メリー「あの、闇?」
「何かしら」
メリーが手を挙げる。
質問だろうか……それにしては少し不安そうな顔をしているが。
メリー「私、それ、やってみたいな」
「……」
まさか。
そんなことを言うとは思ってもみなかった。
あんなに内気だったメリーが、自ら進んで立候補するとは。
ここ何年かで、メリーは大きく変わった。それは褒めるべきことだと思う。
……だけど。
「ごめんなさいメリー、貴女には任せられないわ」
メリー「っ!!!……そうだよね、こんな弱っちい私になんか、世界の統括者なんか任せられないよね……」
「違うわよメリー。最後まで聞きなさい」
私は、メリーの肩にそっと手を置いて話す。
力は十分だ。まぁ、少し足りてないところはあるが……
だけど、メリーはそれを受けるべきでない。
何故なら、メリーには他にやるべきことがあるからだ。
「貴女には貴女の夢があるでしょう?……それを、叶えなさい」
メリー「私の……夢」
メリーが、何やら思い込んでいるような顔をする。
後の八雲 紫になる者とは思えない程臆病だったのに、この娘は本当に成長したなぁと思う。
……幻想郷。
幻の想いの郷を創るのは貴女よ、
メリー「うん、分かった。私には私の夢がある。それを叶えて、いつかやみぃと肩を並べられる位にまで強くなる!」
「ふふ、それは良かったわ。私はいつまでも、待ってるからね?」
私が笑顔を見せると、つられてメリーも笑顔を見せる。
いつしか、アリシアもチロルも全員が笑顔の華で包まれていた。
チロル「今のメリーちゃん、凄く可愛かった!」
メリー「なっ、そ、そんなことないよ~……えへへ」
「あら貴女、喜びが隠せてないわよ」
アリシア「そうだぞ、メリー。お前は喜怒哀楽が激しいな」
そんなやり取りを続けていると、いつしか辺りは暗くなり始めていた。
チロル「あれ、もう暗くなってきたよ?」
「あらそうね、そろそろ私たちの家に帰りましょうか」
メリー「そうね!」
アリシア「そろそろ夕飯の支度をしないといけませんね」
都を見渡してみると、電気……じゃなくて松明に火が点々と灯っている。
そういえばもう晩御飯の時間だったわね。
晩御飯についてはアリシアがいつも作ってくれているが、たまには私1人で作ってみようか。
「アリシア、今日は私1人で晩御飯を作っても良いかしら?」
アリシア「えっ?あ、はい。構いませんが……」
アリシアが作る料理はいつも美味しい。
従者が料理出来て主が出来ないっていうのは恥だしね。
私だって料理が出来ることを証明してやりましょう。
チロル「闇ちゃん、料理出来るんだ~!楽しみ~!」
メリー「へぇ、今日はやみぃが作ってくれるんだ。楽しみだなぁ~」
アリシア「何か、申し訳ありません……お手を使わせてしまって」
「良いのよ、私が好きでやってることだし!」
皆が私の料理を楽しみにしている……これは、失敗出来ないな。
そう思った私は、みんなを連れて家に帰るのだった……