第29話 宴会への道と戦闘狂とやみぃの使者と
 ̄ ̄異空間の間にて
へカ「やみぃ〜!こんなもんでどうかな?」
「あら、いいじゃない…あ、でももうちょっと砂糖を入れた方がいいかもね」
私は、皆と別れた後、異空間の間を訪れていた。
そんな簡単に異空間に行けるのかよ、と思った人もいるだろう。
生憎様、私は龍神なので能力でチャチャッと行けちゃうんです!
まぁ、そんな話は置いといて…何故、私は異空間の間に来てるか疑問になってると思うのですが。
実は、ヘカことへカーティア・ラピスラズリという人物は、お菓子作りが大得意。
へカの作るケーキとかクッキーとか格別に美味しい。
なので、宴会に持っていくデザート的なものを作りに来たのだ。
ちなみに、私は蒸しパン作りをしてます。
「んー、いい匂い…我ながら上手く出来た気がするわぁ!」
私は、お鍋の蓋を開けてそう言った。
使った材料は卵、ホットケーキミックス、砂糖、牛乳、サラダ油だ。
ちなみに、今回は宴会用なので、沢山蒸しパンを作らなくちゃならない。
従って、カップを並べる鍋が1つしかなかったり、小さかったりすると物凄く時間がかかる。
私の目の前には、10~20個位の鍋が並んである。
異空間の間の工房には魔力で動くコンロが沢山あるので、人が沢山集まるところでも沢山作れて効率が良い。
「は〜!終わった終わった、さてと、これを袋に詰めたら…ヘカ〜、ドーナツは作り終わった?」
ヘカ「うん!これ、どうかな?」
そう言ってヘカが見せてきたのは、色とりどりに飾り付けられた沢山のドーナツ。とても美味しそう。
砂糖がまぶされたもの、ココナッツパウダーがまぶされたもの、チョコを贅沢に使っているものまでもある。
私は、ヘカに試食してみていいか許可をとり、それを口に運ぶ。
「あらっ、とっても美味しい...貴女、何処かでお菓子作りでも習ったの?」
ヘカ「いや?全部独学だけど?」
「天才ね...」
まあ、納得の事実だ。
ヘカの様に、私と同じ位長生きしてるなら、お菓子作りを上手くなる位訳無いのだろう。
「さて、そろそろ
ヘカ「うん!またね~」
私は、作ったお菓子を包みに入れ、スキマを作ってあっと言う間に異空間の間を後にする。
ヘカ、見ない間に随分と大人になっていたわね。あの調子じゃあ、私の力を凌駕するのも時間の問題かしらね?ふふっ...
「さてっと...これを先ずは蔵に入れようかしらね」
私は、地上に降り立ち、持っていた荷物を蔵へ運ぼうと歩き始めた時、後ろから私を呼ぶ声がした。
アリシア「お帰りなさいませ、御先祖様」
「只今帰ったわ。其方の準備はバッチリかしら?」
アリシア「はい、御先祖様の御命令通りに。メリーとチロル様にも率先して手伝って頂けたお陰で、予定より早く準備が終わりました」
アリシアだ。
準備がもう終わったか...全く、どうしてこの娘はこんなにも優秀なのかしら。千年に一度の逸材ね、こりゃあ...
「ありがとうね、アリシア。適度に休憩をとってね」
アリシア「勿体無いお言葉」
私は、蔵に荷物を入れ、その場を後にしたのだった。
✿✾❀❁
結花side
「さぁ、これ位で大丈夫だろう…出発するぞー!」
アタシ達山に住む妖怪は、少し遠くの所で宴会をするという噂を聞きつけ、出かける準備をしていた。
主催者は、なんと……やみぃだったんだ!
久しぶりにやみぃと会える!その事実は、アタシの心をざわつかせた。
「種族は選ばない。大妖怪が数名出席!戦いが好きな者は集まれ!バトルロワイヤルも開きます!」
…って書いてある紙を下っ端鬼が持ってきたんだ。開催場所は5里ほど離れた山。
鬼子母神であるアタシが行かない訳にはいかないだろこれ!
アタシの力の腕試しになるし!酒もタダで呑めるし!
「ふふっ…楽しみだなぁ。どんな妖怪が集まるんだろうなぁ!」
?「ユウ…貴方もうちょっと自重しなさいよ。急に笑いだしたら、気持ち悪いわよ?」
?「辞めてやれよ、ルーミア。ユウは戦い好きなんだよ。無論、私や勇儀もなんだがな〜」
?「ハハッ、そうだよ!私ら鬼は宴会って聞いて駆けつけない訳にゃいかないからね〜」
アタシは、宴会に友人のルーミア達を連れていくことにしたのだ。
ルーミアは傍観者として、勇儀と萃香は酒と戦い目的でアタシに着いてきている。
戦いといえばそういや、最近本気を出した覚えが無かった。
本気を出してしまったら、面白くないから。
「本気で戦ったのは、''アイツ''と
アタシが最後に本気を出したのは、龍神のやみぃと戦った時だ。アイツと戦う以外は、本気を出したことが無いのである。
アイツは、ホンモノの熟練者。幾つもの修羅場を駆け抜けてきた、かなりのツワモノ。
勇儀「龍神と殺りあって勝つ奴なんか普通いないぞ?」
萃香「ユウは本物なんだよな!鬼の四天王である私らでも勝てないし」
「はっはっは…ん?」
勇儀と萃香との掛け合いを見て、笑っていたアタシは、前方に何かが見えるのを確認した。
ルーミア「......あら、ユウ。どうしたの?」
「いや、なんか......すっごく強いオーラを感じてだな……多分、妖怪の類だ」
ルーミア「妖怪?」
アタシは、一応身構えておいた。
どんな奴が出てくるか分かんないからだ。
アタシが負ける気等しないが、やみぃが言っていた。いつでも謙虚であれよと。
そう思っていると、いきなり、アタシらの目の前に降ってきたヤツがいた。
?「我が名は
煌めいた紺の髪と、紅と金の目をした彼女は、やみぃの使者だとか。
……やみぃも、随分と顔の整ったヤツを連れてるな。そもそもやみぃが美少女だし。
「それで?沙織サマはアタシらに何の用だ?」
沙織「む……私はそのような名で呼ばれる身ではない。貴女は御先祖様の御友人なのだろう?私のことは気軽に沙織とでも呼ぶがいい」
沙織と名乗る女性は、軽く礼をした。
他の皆は、少し顔が強張っている。あの戦い好きな勇儀でさえも苦笑いをしている。
ツワモノだ。かなりの。アタシも、気を抜けない......
沙織「実は、御先祖様から私が貴女の腕前を調べろ、とのお達しがあったのだ。従って、私は貴女と戦わせてもらう」
「はぁ!?」
そう言った沙織とかいう奴は、勝手に戦闘モードに入った。
なんか、やみぃから感じるモノと同じ感じ……ってことは!?
「アンタは神なのか?やみぃと同じような力をアンタから感じるんだが……アタシは、神は相手にしないようにしているんだが。アタシは妖怪だぞ?勝てる訳がないだろ」
沙織「ふっ……はっはっはっ!!!戯れ言を抜かすでない。貴女は御先祖様に勝利したと聞いた。そのような者が私如き、倒せない訳がないだろう!」
そう言うと、沙織は何かを唱え始めた。
ふっ……確かに、やみぃに勝てて、やみぃの従者に勝てない訳ないよな。だが、やみぃと戦ってた時に苦戦したのは事実なんだよ。
それだけは分かってくれ……
沙織「 ̄ ̄!!!」
「?……ちっ、そう来たか!勇儀、萃香、ルーミア、隠れてろ!」
勇儀&萃香&ルーミア「「あいあいさー(分かったわ)!!!」」
アタシは、途端に地面から飛んだ。
……沙織が何かを唱え終えた瞬間、地面が黒く染まっていき、たちまちそこらじゅう埋め尽くされたのだ。
「うっ!?何だよ、コレ……!?危ねぇ!」
沙織「ふふっ。御先祖様直々に教えて下さった技だ。……精々その鋏に切り裂かれるんだな」
黒く染まった地面から、アタシなど簡単に切り裂いてしまいそうな鋏が大量に出現しては消えていったのだ。
「やみぃったらどんな危ない技を教えてんだ!?下手したら死ぬぞ!?」
沙織「おや、貴女はその技を生んだ方に勝利したのだろう?」
「それとこれとは別だよ!!!」
アタシは、沙織が放つ弾を避けながら、下から襲い来る鋏からも避けている。……鬼畜じゃないか!?
やみぃと戦っていた時も、結構鬼畜だったが、それ以上に鬼畜だよコレは!
「おらぁ!」
沙織「……やるな、この技を避けた者は貴女が初めてだ」
沙織は、そう言うと攻撃を辞めた。
今度は何が来るのかと身構えていたら、沙織は言った。
沙織「あぁ、安心するがいい。この技を避けれたら合格と仰っていたのだ。これにて、試験は終了だ」
「何の試験だよ……じゃあ、もう行っていいかい?」
沙織「あぁ、私は貴女の試験の結果を報告しなければならないので、これにて失礼する。先の宴会、私も歓迎致しますぞ」
沙織は、空気の狭間を出現させ、その中に消えていった。
……全く、
ていうか、本当に強かったな。沙織って奴。
勇儀「お〜い、大丈夫か?」
1人でため息をついていると、勇儀と萃香とルーミアが木の上から飛び降りてきた。
「いやぁ、強かったよ。アイツ……アタシでも苦戦する。あのまま戦っていれば負けていたかも」
萃香「そ、そんなに!?……見てたけど、私も戦ってみたかったなぁ!!!」
勇儀「あぁ、私も手合わせしたかった。あのバカ強い結花が苦戦してたんだ、相当強いからな!」
ルーミア「貴女たち大概にしなさいよ……」
いや、アンタら見てたんなら戦いたいとか普通に思うわけないからな!?
ルーミアももっと言ってやれよ!戦闘狂と謳われたアタシでも引きそうだ……
沙織であれだけ強かったんだ、やみぃは相当に強くなったんだろうな……元々強いのに。
アタシは、勇儀と萃香とルーミアと共に、宴会会場へ向かうべく、歩き出すのであった……