私の転生物語 ~龍神として生きる~   作:夜刀神 闇

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第36話 終幕戦

スサノオ「姉上……本気の勝負は初めてですね。心の底から何か、湧き上がる様です」

「そう。それはそれは楽しみね……私も、"全力"で戦わせてね?」

 

本気は出さない。だけど、全力で戦う。

私は、空中に浮かびながら言った。

ふぅ……久々の戦いは腕が鳴るわね〜!

 

「ふふ、まずは手始めに……それっ!」

 

私が日傘を振るうと、それに伴い、突風と大量の神力弾が放たれる。

大量の神力弾は、やがて弾幕となり、たちまちスサノオの視界を埋め尽くす。

 

スサノオ「流石は姉上……しかし、その程度で倒れる私ではございません」

 

壁の様な弾幕を容易く飛び越えたスサノオは、大量の追尾型クナイを放つ。

どこにそんなものを隠していたのか……いや、それは私も言えないか。

 

「今回は肉弾戦は無しかしら?貴方が最も有利とする分野でしょう?」

 

私は、追いかけてくるクナイを難無く躱し、たまに日傘で振り落としながらスサノオに問う。

 

スサノオ「……その様なお召し物では、肉弾戦は不利では?」

「ほお、その様な言葉を選ぶか……良い度胸ね。気に入ったわよ!!!」

 

少しカチンときた。

何年この服で生きてきたと思っているの?いや、着替えるのは着替えるけど……

確かにこんな導師服では戦闘は不向きね。

だけれど……

 

「私はそんな不利なシーンを覆す程の経験をしてきたのよ?あまり舐めないで頂戴!」

 

私の日傘とスサノオの天叢雲剣が重なる音が響く。

……相変わらず、この日傘はどんな素材で出来ているのかしらね?←製作者

 

スサノオ「ぐっ……やはり、姉上の力は強大であらせられますね……」

「そう?ありがと」

 

私は、片手持ちの日傘で防いでみせる。

スサノオの力はまぁまぁあるといったところかしら?

でも、そんなんじゃ私には勝てないわね。

このまま終わらせられるけど……でも、それをしたらそこで見てる観客たちに、怒られちゃうからね。

 

「やっぱり、主役同士楽しまないと」

スサノオ「どういうことです?」

「何でもないわよ」

 

バトルロワイヤルの最後に待ち受けていた壁、それが私。

壁を打ち砕くべく、翻弄する。

それを拒むとする私。

……ふふ、楽しそうでしょう?

 

「ほら、避けてばかりじゃつまらないわよ!」

スサノオ「くっ!」

 

斬り合いを楽しんだ後、私は再び空中に戻り、弾幕を展開する。

まるで私がスサノオを弄んでいるように見えるが……面白いのよ。私の弾幕を必死に避けるスサノオの姿が。

ふふふふふ……

 

スサノオ「笑っていますよ」

「え?」

スサノオ「姉上が、です」

 

あら、気が付かなかったわ。

能力の自動発動化に伴って、自分の体のことに関して鈍くなっている気がするわね。

オートマチックよりマニュアルの方が良いのかしら。

 

「それだけ、貴方と戦えて楽しいのね。さぁ、最後まで着いてこられる?」

 

私の背後に魔法陣が展開される。

魔力を込めると、次々に細い光線が撃ち出される。

交差して、交差して、交差して……とても美しい風景が描かれる。

 

スサノオ「お美しい……」

「弾幕が?」

スサノオ「いえ、弾幕の中に佇む姉上に魅了されているのです。このまま死を迎えても悔いはありませんね」

「ちょっとちょっと、これは殺し合いじゃないのよ……?」

 

私は、困惑した表情を見せる。

スサノオは、かなり必死に神力を操作し、弾幕を作り出し、私の弾幕と相殺させている。

でも、もしかしたらそれも長くは続かないかも……

だって、スサノオの顔に疲れが見えてきたから。

だから、私は最後まで付き合ってあげるのよ。

それが……私の使命。

 

スサノオ「はぁ、やはり"弾幕"なるものは慣れませんね。扱い方が難しいというか……」

 

そう言いながらも、スサノオは変わらず弾幕を作り出す手を止めない。

神力が切れる前に終わらせないといけないわね。

 

「よっ……と。さぁ、貴方の得意分野で楽しみましょう?」

 

私は、地上に降り立ち、スサノオを誘い出す。

 

スサノオ「……どういったつもりです?」

「嫌なの?」

スサノオ「いいえ?」

 

私は弾幕戦も肉弾戦も使いこなす2刀流。

なので、スサノオの得意分野である肉弾戦で戦ってあげたくなってしまった。

 

「ほら、余所見してるわね?」

スサノオ「!……すみません」

「ふふ、謝れと言っている訳ではないわよ」

 

私は、地面を蹴って一瞬の内に拳を撃ち出す。

スサノオは片手でそれを掴み、防御した。

いつも爽やかな顔は、間近で見るとやっぱり疲れが見えた。

割と力を入れたはずなのに……よく受けられたわね?

 

「さぁ、貴方から来ても良いのよ?」

スサノオ「では……!」

 

私は、スサノオから幾分か距離を取ると、スサノオに攻撃の余地を与える。

スサノオは、待っていたと言わんばかりの速さで、私に近づく。

スサノオからの怒涛の肉体攻撃に圧倒されつつも、私は余裕の表情でそれを受けていく。

そして、私は気づいたのだ。

……スサノオが、唯一狙わない体の部位を。

 

「さっきから胴体ばかり狙っているわね。どうして?」

スサノオ「姉上の美しいお顔を……!」

「アマテラスの時もそれだったわよね?貴方、今誰と戦っているか分かっているの?貴方が手加減出来る相手なのかしら!?」

 

私は、スサノオの胸ぐらを掴んで凄む。

スサノオが、若干驚いた様な表情を見せる。

今のはちょっと……

……この子ったら、本当に本当に本っ当ーーーーーーーに女性に甘いんだから。

 

スサノオ「……申し訳ございません、今までの態度は姉上とアマテラスに失礼でしたね」

 

スサノオが、申し訳無さそうに詫びる。

 

スサノオ「それでは今から……私も容赦しません」

 

今まで見せたこともない様な表情をするスサノオ。

そう、それよそれ。

戦う時はそうでなくちゃ……

 

「……うぐっ!」

 

少し油断していた私は、スサノオからの足蹴りを腹に受けてしまう。

ふふ、さっきまでとは大違いの威力……これからが凄く楽しみよ!

そんなことを、地面に叩きつけられながら考える。

 

「本当に成長したのね、スサノオ……」

 

砂で汚れた口元を拭きながら立ち上がる。

他者から見た私はどんな風に映っているかしら?

戦いを楽しむ少女?

戦闘狂?

龍と化した人間?

……どうでも良いわ。

 

スサノオ「お褒め頂き光栄でございます」

 

笑顔で告げられる。

私は、それに笑顔で返し立ち上がり、前傾姿勢になる。

次の瞬間、私の目の前にスサノオの拳が見えた……

 

「ふっ……!」

 

……が、それに当たる私ではない。

瞬時に顔を横に逸らし、体を捻って攻撃から逃れる。

 

スサノオ「さすが姉上、いつでも注意力は緩みませんね」

「ありがとう、貴方もね?」

 

そう言いながら、私は次の攻撃に備える。

 

スサノオ「姉上は、攻撃なさらないのですか?」

「まずは様子見よ、様子見」

スサノオ「相変わらず、余裕の表情を見せて下さいますね……!」

 

私の背丈はスサノオの胸位までしかない為、攻撃する位置を計算しなければ当てるのは難しいはず。

なのに、スサノオは的確に、的確に当ててくる。

痛くはないけれど、衝撃が物凄い。

 

「……そろそろ良いかしら?」

スサノオ「何っ…………ぐぁ……っ!!?」

 

私は、瞬間的に掌を突き出し、スサノオの顎にクリーンヒットさせる。

やられてばかりじゃ駄目だもの……漸く反撃の開始よ。

 

「鱗が交じった私の手は痛かった?後で感想を聞かせて……ねっ!」

 

突き出しで浮かせたスサノオの体に、次々と拳を打ち込んでいく。

主に腹、胸、肩……

最後に、体を捻って威力の増した足蹴りを食らわせてお終い。

 

スサノオ「ぐっ……が……、これが姉上の全力……身に染みますよ……っ!」

「あらそう、じゃあこれからも存分に味わわせてあげるわ?」

 

私は、意地悪な笑みを浮かべ、スサノオをからかう。

当の本人は、何だか恐ろしそうな顔を浮かべていた。

 

「まだ終わりじゃないわよね?」

スサノオ「当たり前です……っ」

 

スサノオが、立ち際によろめく。

神力を使いすぎたのかしら?さっきの弾幕戦で……

……無理させちゃったかしらね、やっぱり早く終わらせましょう。

 

「……前言撤回するわ」

スサノオ「えっ……?」

「貴方、本気で言ってるの?」

 

そのままだと消えるかもしれないわね。

少し可哀想だけど、本当に危ないから……

一歩間違えたら、消滅の危機もある。

決して、スサノオの神力が少ない訳では無い。

弾幕戦に慣れておらず、神力の出力を見誤ってしまっていたから。

 

「降参しなさい」

スサノオ「なっ……!?そんなことを言われて降参する者がいますか!」

「なら、気絶してもらうわ!」

 

スサノオは、それはさせまいと言う様にこちらに向かってくる。

あの馬鹿……起きたら説教よ。

 

「無駄よ……お眠りなさい」

 

手刀を繰り出し、スサノオの首筋に当てる。

首が切れない様にするのは大変なんだから。

スサノオの体は、糸が切れた人形の様に地面に崩れ落ちていく。

 

「……勝者は、夜刀神 闇!!!」

 

神社の中にいる皆に聞こえるよう叫ぶ。

突然のことに、少しの間ざわめいていたが、直ぐにその場は拍手喝采で満たされた。

結花も、輝夜も、永琳も、勇儀も、萃香も、ルーミアも、他の皆も。

……主様も。

秋葉に関しては、はいはいといった様子で拍手をしていたけれどね。

私は、結界を解除し、戦闘で荒れた地面を元の神社の姿へ戻した。

直後、数名が私の元へ駆け寄る。

 

結花「凄かったよ闇!……アタシは残念なことになったけど」

輝夜「本当に凄かったわね、闇!」

永琳「姫様も興奮しながら見てたのよ?」

 

興奮しながら駆け寄ってきた3人……永琳に関しては落ち着いて……が、色々な話を聞かせてくれる。

あっ、そっか……結花は1回戦敗退だっけ……神々の戦いが素晴らし過ぎて、完全に見失ってたわ。

……キャッキャキャッキャしている私たちの元へ、誰かが静かに近寄ってくる。

 

結花「初めてあった時は驚き過ぎて言葉も出なかったけどさ〜!強いんだろ!?アンタ!」

 

……他でもない、主様。

私は、慌てて結花を宥める。

 

「ちょっ……結花!?静まりなさい、主様の御前よ!」

神琉「良いんだ、闇。お疲れ様だ。それよりも……良い余興を見させてもらったぞ、ありがとうな」

 

主様は、私の頭を優しく撫でる。

……今度は驚かないわよ。

だって、主様にお姫様抱っこされたばかりだもの。

 

結花「ひゅーひゅー」

「ちょっ、結花!?」

輝夜「仲が良いのね、羨ましいわよ〜?」

永琳「私たちは応援するから、頑張ってね!」

 

だ、駄目だー!!!

まともな奴はここにはいない!

あっ……危ない、キャラ崩壊する所だったわ。

 

「主従関係であるから、そういう関係じゃないわよ」

結花「またまたぁ〜」

「本当よ!」

 

私は、少し食い気味で話す。

だって、本当だもの。

少し会ってなかったからって、結花は調子に乗っちゃって……

 

神琉「……ここには、面白い者が山ほどいるんだな。楽しませてもらったよ」

結花「じゃあ何で闇と一緒にいてやらないんだよ?主だろ?」

神琉「神の頂点というものも、中々大変なのだ……」

 

結花が、へぇ〜といった感じで納得した様子を見せる。

神の世界というものは案外楽じゃないわよ?結花。

 

「さて、これで宴会はお開きよ。皆好き好きにしていいわよ!!!」

 

私は、縁側に向かって叫ぶ。

妖怪たちは散り散りになってそこには何も……いえ、散らかった部屋が残されていた。

……はぁ、これは片付けるの面倒臭いやつね。

 

輝夜「後は任せたわよ〜」

「えぇ、ゆっくりお休みなさい」

永琳「お休み、闇」

結花「お休みー!」

 

皆は、神社の中に消えていった。

……さて、まだやることが残っているわね。

 

「よく頑張ったわね、スサノオ」

 

私は、すやすやと眠るスサノオの頭を撫でる。

その寝顔は安らかであり、全てを解き放ったといった感じだった。

 

神琉「この後はどうするんだ?」

「神界へ戻り、神界の仕事へ戻ります。遅くなり、申し訳ございませんでした……これからは、神界にも顔を出します故、お許し下さい」

 

深く頭を下げると、私はスサノオを抱き上げ、スキマで神社の中へと繋ぐ……スサノオへ神力を分けることも忘れずに。

靴を脱がせると、布団へとゆっくり寝かせた。

 

「ふぅ……これで、ひと段落ね。私も次の仕事に取り掛かろうかしら?」

 

神社の片付けをしてから……疎かにしていた神界へ戻る。

全ての神が集う神界に……宇宙界最高神が戻る。

それだけで神々の間ではニュースになるのでしょうね。

何で戻ってこなかった、と罵られるかしら?

 

「地球で色々あったのよ……」

 

人間という生物を見ていた、と言えば良いかしら?

13歳だった人間が、何億年もの時を過ごして神になっているだなんて、笑い話も良い所よね。

 

「さぁ、体を綺麗にしてから戻ろうかしら!」

 

私は、神社に備え付けられているお風呂場……基温泉へと足を運ぶのだった……

 

 

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