私の転生物語 ~龍神として生きる~   作:夜刀神 闇

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第46話 紫の処遇と眠れない夜

「本当に……ごめんなさい!」

豊姫「貴女が謝ることではないでしょ……それに、私はもう気にしていませんし」

「あら……そう」

 

私は、紫のしたこと、ここで起こったことを全て聞いた。

それを聞いて、私はもうどうすればいいのか分からなくなってしまった。

申し訳ないやら、何やら……

まぁでも、起きてしまったことをグチグチ言っても仕方ないから良しとする。

 

豊姫「紫とやらに言っておいてくれるかしら?荒らさないなら月に来ても良いわよって」

「あら、そうなの?それじゃあ伝えておくけど……」

 

珍しいな。

月に戦争を仕掛けた張本人を自ら招くだなんて。

 

「じゃあ、そろそろ帰ろうかしらね?元々の目的が貴女たちの顔を見ることだったから……」

依姫「えぇ〜!もう帰っちゃうんですか?」

「また近い内に来るわよ。それまで待ってて頂戴ね」

依姫「……分かりました」

 

めちゃくちゃ残念そうな依姫の顔を見て、苦笑いをする。

寿命が無い私たちには、別れなんてほぼ無縁のようなものじゃない。いつでも会えるわ。

 

「それじゃ!」

 

私に手を振る依姫と豊姫に暫しの別れの挨拶を済ませると、私は、少し生まれていた寂しさを振り切って、スキマの中に飛び込んだ。

 

「はぁ〜、全く、紫ったら……」

 

トンッと境内に綺麗な着地音を弾ませると、息を思いっきり吸った。

あぁ〜、地球の空気は美味しいわぁ。

私は呼吸をしなくても生きていけるけれど、やっぱり大昔の地球の空気は格別。

これから汚染されていくと思うと……

 

「さて、何から始めようかしら……」

 

紫に説教するかどうか迷っている。

と、いうのも、紫は考えも無しに無闇な行動をする子じゃない。

それに何より、紫を厳しく叱るというのは可哀想だもの。

……決めた。

 

「このことに関して私は口出ししない!これで平和な解決かしらね?」

 

ほら、こんな広い青空を見てると、そんな悩みすらちっぽけに思えるでしょ?

……って、私は何を言ってるんだか。

 

「あっ、でも豊姫から紫に伝言を預かってるんだっけ……どうしよ……」

紫「あ!師匠!」

 

紫が私の元へ駆け寄ってくる。

はぁ、やっぱり伝えておくのが正解かしら?

 

「月に行ってきたんだけどね」

紫「えっ」

 

紫が、私が話し始めた瞬間に見事なまでに分かりやすい反応をする。

そんなに固まらなくても……。

 

「私としてはノーコメントよ。ただ、豊姫……お嬢様みたいな帽子を被った女の子がね、荒らさないなら月に来ても良いって言ってたわよ」

紫「分かりました……ごめんなさい、師匠」

「良いのよ。でも、次は気をつけないとね?」

紫「……はい!」

 

ぱあっと紫が笑顔になる。

全く、これだから弟子に甘い師匠はダメね……

さて、これからどうしようかしら。

 

「じゃあ、ご飯……作ってくれる?お風呂入ってる間に」

紫「ふふ、分かりました……」

 

私は、台所へ消えていった紫に手を振った。

さてと、私もそろそろお風呂入ろうかしら……

 

「……とっても空が綺麗だわ」

 

西の方角を見ると、既に太陽が半分位隠れていた。

それに伴い、夕焼けになって、空が鮮やかなオレンジ色に染め上げられている。

皆も見たことがないだろうか?オレンジ色に染まった夕焼けに、夜の暗い色が混ざった紫色に近い空を。

……絶景ではないだろうか。

 

「やっぱり地球って最高ね!」

 

私は、着替えの服を取りに神社の中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

❁❀✿✾

 

 

 

 

 

 

 

「う、んんっ……」

 

皆との夕食が終わり、チロルも紫も香織も皆寝静まった頃。

私は、珍しくこんな時間帯に起きてしまった。

 

「……寝れる気がしないわね、少し風に当たろうかしら」

 

目を瞑っても眠気が来ない。

一応コントロールは出来るけど、無理に力を使う必要は無いので、とりあえずそのままにしておく。

いつものブーツではなく、この時代にはないがとても履きやすいサンダルを履いて外に出る。

 

「凄く大きな心配事があるけど、それ以外には悩みなんて無いものね……」

 

まぁ……

 

「そんな時に限って、とんでもない爆弾を持ってくる奴がいたりするんだけど……」

?「ある意味正解だな」

「ッ!」

 

反応する間もなく手首を掴まれていた。

どこからか聞こえてきた忌々しいその声は、もう二度と聞きたくなかった声でもあった。

私は、抵抗なんて出来るわけも無く、あっという間に床へ押し倒されてしまった。

 

牛、鬼……

牛鬼「はは、そんなに俺のことを覚えていてくれていただなんて、嬉しい限りだぜ?ははははっ!」

 

忘れる訳ないだろう。

お前のせいでどれだけ悩んでいたか……!!!

 

牛鬼「流石龍神、奴らへの配慮は万全なんだな、クックック……!!!」

 

私の視界に、美しくも酷く恐ろしい妖怪の笑顔が写る。

血の色に染まった目、メラニンが欠乏している白い肌、漆黒に塗り潰された髪……

美しすぎて誰も寄ってこなそうな顔である。

 

「……当たり前だ。今、ここで、私とお前が全力で戦ったとしよう。そうすれば、ここにいる皆どころか、地球上の生命は死に絶えるだろうな」

 

まだ、死ぬのには早い。

私はここにいる皆の命を背負っていると言っても過言ではない……

 

牛鬼「……へぇ」

 

牛鬼は、私の左手に注目すると、口を三日月形に歪めて笑った。

片方の手が、私の頬へと上がってくる。

つぅ、と指先で頬をなぞると、嬉しそうな声を発した。

 

牛鬼「もう()()()()()とやらのモノになったのか?」

「元々、私は主様……基龍神王様のモノだ。何を今更」

牛鬼「そういうことじゃない。龍神王は、もうお前のことを抱いたのかと聞いている」

「はっ、はぁ……!?」

 

……あぁ、そういうことか。

なるほど。今まで全く気にもしてなかったけど、"そういうこと"が有り得てもおかしくないものね。

 

「肉体関係になったことは一切無い」

牛鬼「成程。では、龍神王は傍にいる女も手に入れられない負け犬ということだな?」

「ちがっ……!」

 

否定しようとすると、牛鬼の指が口の中に入れられてこれ以上は反論を許されなかった。

美しい顔に反して、体は案外大柄であり、3本の指で私の口が塞がってしまう程。

 

牛鬼「ふん、最高神が2匹共々弱々しいとはな……このまま続けてしまっても面白そうだが、もっと面白いことを見つけた」

 

悪戯に笑う牛鬼を見て、無念で仕方がなかった。

こんなにも近くにいるのに、滅殺できないとは……!

この妖怪の言う通り、私は弱くて力無いのかもしれない。

いや、力無いだろう……悔しいが。

 

牛鬼「龍神王ではなく、俺に着いてくる気は無いか?そうすればお前を俺の妃に召し上げてやる」

「うぅうっ……!!!」

 

戯言を!

そう叫びたかったが、指を口いっぱいに入れられているのでそれは叶わなかった。

……反吐が出そうだ。

 

牛鬼「冗談だ」

「むぐ……ぷ、はぁっ……はぁ、はぁ」

 

牛鬼は、私の口の中に入れていた指を抜いた。

私は、思わず息を吸い込んでしまってむせる。

 

牛鬼「近々、面白いことになるかもしれないなぁ……」

「は?」

牛鬼「まぁお前次第だが、ゆっくりのんびり待っていると良い。また、会いに来てやるから」

 

それだけ言い残すと、牛鬼は私の上から飛び起きて一瞬にしてその姿を消した。

消えた所には、牛鬼のその濃縮された妖力が僅かに残っているだけだったが、本当に反吐が出そうな時間だった。

流石に、もう二度とあんなことはされたくない……あぁ、ゾッとするわ。

 

「気持ち悪い……はぁ、もう。安らかな時間になるはずだったのに、何でこうも邪魔が入るのかしら?」

 

安眠を妨げられることがこんなにも苦痛なのか。

いや、相手が相手だったからか?まぁ、もうどうでもいいわ。

あぁ、早く眠りについて良い夢を……見られればいいけど。

私は、足早にその場を後にした。




牛鬼の特徴

艶のある黒髪(長髪ではないが襟足が長く、肩より少し下くらいまで伸びてる)
赤くて切れ長の目
夜刀神 神琉と同じくらいか少し高いくらいの身長
妖怪の恐ろしさと強さ、そして悪の要素を濃縮したようなキャラ
豪華な和服みたいなやつ?(説明が難しい……)を着てる
ワンチャン闇ちゃんのことを手に入れようとしている?
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