私の転生物語 ~龍神として生きる~   作:夜刀神 闇

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今回はいつもより短め。
あと、1部はちょいとばかし攻めた内容もあります。
ダイレクトに言葉を言ってるわけじゃないですけど。
闇ちゃんがいなくなった世界で、この先はどうなっていくのかをしばらくは書こうと思います。
闇ちゃんは自分の中で最高の女の子だと思ってるので、形を変えてまた登場させます。


何かが欠けたこの世界で。
第51話 穴が空いた世界で ~とある記録者の戯言~


千奈side

 

闇が亡くなってから何年もの時が流れた。

闇のことを慕っていた者たちは、揃って涙を流し、最後に顔を見ておこうと神社に殺到した。

その光景から、闇がどれだけ尊敬されていたか、龍神としてどれだけの偉業を成し遂げたかが簡単に分かる。

え?淡々とし過ぎだろって?……こう見えて僕だって悲しいんだよ。

 

恐らく、1番闇のことを慕っていたであろう香織。

闇が亡くなって間も無い頃の香織は、目も当てられない程悲しみに暮れていた。

今でこそ周囲に悟られないように、気丈に振舞ってはいるけど、僕は知っている。

夜、誰にも見られないように、1人で泣いているのを……

 

後は……紫か。

元人間の妖怪らしく、人間らしさも残しつつ、妖怪としての迫力もあるような女性だ。

だからなのかは分からないけど、ある時……『師匠がいなくなって悲しいはずなのに、どんどん心までが妖怪化して、泣けなくなっていく自分が最早辛い』って言っていた。

 

 

「ハァ〜暇だなぁ」

神琉「あぁ。確かに暇そうだな」

「……僕は今日はオヤスミデーなのです」

 

 

そう。今日は僕の仕事……ボランティアはお休みなのである。

というか、龍神王が勝手に入ってきても全く驚かず、またかーって思うだけで済むなんて、僕もどこかどうにかなっちゃってる気がするけど。

 

 

「どうして君はいつも玄関から入ってこないんだろうねぇ」

神琉「そんなの簡単だ。面倒臭いから」

 

 

おい、それで良いのか龍神王よ……って1人ツッコミをしていた。当然心の中で。

まぁ、どうでも良いけど。慣れっこだしね。

なんて思っていたら、龍神王の手が僕の頬に……スリスリと。

 

 

ゾクッ……!!!

 

 

思わず、パシッと龍神王の手を払い除けてしまった。

 

 

「な、何してるの?」

神琉「……あぁ、何となく触ってみたかっただけだ」

「はぁ!?」

 

 

龍神王の口から出た、あまりにも無責任な言葉に心底引いた。

今まで、この手法で堕ちた女性が何人いたのだろうか。

生憎だが、僕は男性には微塵も興味など無いのだ。

きっと、闇にもそうしていたに違いない。きっとそうだ、そうなんだ……

 

 

「……闇にもこんなことしてたんでしょ」

神琉「あぁ。闇は俺が思うに1番触り心地が良い生き物だと思っている」

「辞めた方が良いよ、色んな人に嫌われるよ。闇以外にも手を出す無責任な奴だって言われちゃうよ」

 

 

僕は、この龍神王がきっと相当惚れ込んでいたであろう、闇のことを口に出す。

だって、恋愛感情なんて皆無の僕から見たって、龍神王と闇は物凄くお似合いのカップルにしか見えなかったんだもの。

それに、龍神王は闇に自ら作った指輪を、自ら左手薬指にはめてあげる位なんだよ?

てっきりもう婚約したのかなって思ったもん。

 

まぁ、闇は何の疑いもせず指輪をそのままはめてたっぽいけど。

闇にも同じように龍神王を愛する気持ちが無くたって、気持ちはちゃんと伝わってたんじゃないかな。

 

 

神琉「……言わなかったか?俺は闇に手を出したことが無い。勿論、他の女にもだ」

「えっ、そうだったの?てっきり僕もう……」

 

 

なるほど、龍神王は1番近くにいた闇にすら手を出したことの無いとんでもなく紳士的な男性……と。

って、僕は何を記録しているんだよ!こんな破廉恥なことは別に得にならないのに!

 

 

「ねぇ、龍神王?これは僕の予想なんだけどね……闇がいなくなる前に、ちゃんと想いを伝えておけば良かったって後悔してる?」

神琉「……」

 

 

龍神王が、少しばかり目を見開いて少しばかり口を開けて、こちらを見た。

はぁ、全世界の最高神なのに、こんな言葉で吃驚しちゃう位には人間らしさもあるんだね。

 

 

神琉「はははははっ!!!あぁ、あぁ、後悔しているさ。だが、その後悔はお前たち人間が思う程に綺麗な形をしていないのだよ。神の世界とはそういうものなのだぞ。それを踏まえて……どうしても……聞きたいか…………?」

「うっ……」

 

 

突然、僕に迫ってきた龍神王に、思わず腰を抜かしてしまった。

後悔……?綺麗な形をしていない……?

いつもの龍神王の顔ではなかった……とりあえず笑顔ではあったんだけど、仮面のような笑顔じゃない。正直、今までの龍神王が見せる表情の中で、1番迫力があったし、1番恐怖を感じた。

 

 

「い、いや……そこまでして聞きたくはないかな……」

神琉「……あぁ、そうか。それなら良いんだがな?」

 

 

僕が、龍神王のあまりにも凄い気迫に圧倒され、本音とは違う思いが口をついて出た。本当は聞きたかった。

だって、怖かったんだもん!あのままじゃどうなってたか。

僕の言葉を聞いた瞬間、龍神王は静かに僕から下がって元通りの仮面のような笑顔に戻った。

僕は、命だけは助かった者のように、ふぅ……と安心した。

 

 

神琉「あんまり長居するのもあれだから、そろそろ失礼させて頂くとしようか」

「え?あ、うん」

 

 

全然長居してないけどね……いつもなら1日中いる時もあるし。なんなら、僕が出かけてる時とか仕事中に勝手に家に入ってきて僕が帰るまで待ってたりするし。

本当、何がしたいんだ……

……なんて、思っていたら本当に消えてた。何の音も無く。

マジで最後まで神出鬼没だよ、まったく。

 

 

「さて、謎の多い男はどっか行ったし、そろそろお昼ご飯にしようかな〜?」

 

 

前世では、添加物がこれでもかという程入れられた食品を口にしてきたけど、こっちでは添加物っていう概念すらない。

本当に最高だし、香辛料自体は貴重だけどあるから、味なんて向こうの比じゃないくらい美味しい。

 

時代的には平安時代後期?中期?それとも鎌倉時代かな?数えてないから分からないって闇に言われちゃったけどどうでもいいよね。

 

僕は、未だに心に残る闇のことを考えながら、街に繰り出す為、出かける準備を始めた。

 




龍神王の気持ちは未だに分からず。
少しばかりダークサイドの龍神王を見れたのではないでしょうか。
ちなみに、作者の頭の中では、一応は怖くなった顔の龍神王をイメージ出来てはいるのですが、生憎様で作者の画力が乏しいので申し訳ないです(ノд-。)
画力を上げてまた投稿してみます〜(*´v`)

皆星 心七(夜刀神 闇)をホーム上から線路に突き落とした犯人についてのお話を書くか否か

  • 犯人についての話を書いてほしい
  • 別に犯人について書かなくていい

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