私の転生物語 ~龍神として生きる~   作:夜刀神 闇

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第53話 不思議な人

『うにゃ』

紫「あらあら、可愛い猫ちゃんですこと」

 

 

紫と名乗った女性は、足元にいたラグドールを抱き上げて、優しく撫でた。

まぁまぁ目の保養になる光景である。

ずっと見てたいわぁ………………………じゃなくてぇ!!!

 

 

「や、や、"八雲 紫"って言った……?」

 

 

私がその名にビビり倒してる最中で、一方のシグは人には見せられない顔をしながらペルシャやロシアンブルーを撫でまくっていた。

なんか、心做しか猫ちゃんたちの表情がウザそうな感じするんだけど……気の所為?

 

 

紫「如何にも、ですわ。それがどうか致しましたか?」

「八雲 紫って……」

 

 

"東方Project"の、キャラクター。

東方ファンである私は、名前を聞いて固まってしまった。

私と同じ東方ファンであるはずのシグも普通は驚くはずなんだけどなぁ……

ありゃ、猫たちに夢中で聞いてねーな。( ˘・з・)

 

 

「東方の……キャラクターの名前でしょ?」

紫「はて……東方、とは?」

「あ、やっぱ良いです(--;)聞かなかったことにして下さい」

紫「ふむ、分かりましたわ」

 

 

その言葉を聞いて、考えることを辞めた。

普通に日本人で、たまたま名前が同じで、たまたま不思議な雰囲気を持つ女性だったというだけで……

うん、もういいや。考えるのが面倒臭くなってきた。

 

 

「綺麗ですね」

紫「あら、貴女も貴女のご友人も中々だと思いますけれど?」

 

 

うふふ、と笑って私とシグを交互に見る。

私は、思わずおぉぅふ……なんていう、よく分からない声を発した。

いや、嬉しいけど!嬉しいんだけど!なんだこの状況は!?

 

 

「いや、まぁ……へへ」

『にゃおん』

 

 

私までニヤついた顔になってきてしまっている……いっけねぇ。

そんな私の足元にいる、アメショがコテッとした顔で一鳴きした。

いやん、可愛い。"(∩>ω<∩)"

 

 

紫「そういえば、もしお2人がよろしければなのですが……連絡先を交換しませんこと?何かのご縁ですし」

「あー、まぁ、私は良いですけど」

 

 

シグがどうか、と聞こうとするとシグはまだペルシャとロシアンブルーを撫でていた。

ダメだ、聞けそうにない。

すみません、とりあえず私だけと連絡先を交換して貰った。

現代にしては珍しい口調の女性だなぁと思いながらも、やっぱりめっちゃ綺麗な人だなぁと思う。

 

 

それから1時間が経った頃だろうか。

紫さんと色々お話をして、シグも紫さんと連絡先を交換して。

猫カフェを出て、私たちは紫さんと別れた。

私たちも、アニメショップなどに寄りながら、帰路に着いた。

シグとは最寄り駅で別れ、私は晩御飯をどこかで食べようかなぁと考えていた頃……

 

 

「えっ……?今日、雨の予報だったっけ?」

 

 

晩御飯のことで頭がいっぱいだった私は、すっかり天気のことなんて気にしてなかった。

だって、今日は晴天の予報だって……言ってたよね?

めちゃくちゃ…………

 

 

黒い……???

 

 

家まで近いけど、でも、家なんもないし……外出るのダルいし?

晩御飯食べるついでに雨宿りでも、と思ってたら。

途端に雨がポツポツ降り出し、しまいにはバケツをひっくり返したみたいな大雨になってしまった。

 

 

「やっ、ばーーーい!!!雨じゃんんん!!?」

 

 

道行く人も、突然降り出した大雨に驚いているようで、カバンを頭の上で持って走り出す人がちらほら。

私もその例に漏れず、近くのファミレスに駆け込んだ。

雨宿りついでに何か食べていこうと思ったんよね。

 

 

「はぁー……帰るまでに止んでたら良いんだけど……?」

 

 

ていうか、さっきまで一緒にいたシグは大丈夫なのかよ、と心配し始めた。

流石に、大雨でわざわざ外に出てくる人はいないのか、人はほとんどいなかった。

シグも傘持ってなかったよな……?って心配になりながら、席に案内されて、出された水を飲みながら何食べようかなってメニュー表を見てると、見覚えのある顔が2人入店してきた。

 

 

店員「2名様ですか?」

『えぇ、そうね……あぁ、あそこに座っている方と同じ席でお願いします』

店員「お連れ様ですね。どうぞ、ごゆっくりおくつろぎ下さいませ」

 

 

髪を少し濡らしたシグと、傘を"3本"持った紫さんだった。

あれ、白い傘って日傘だけじゃなく雨傘も兼用できるんだ……なんてことを思ってたら、私の席に2人が座った。

 

 

シグ「さっきぶりだね、みぃ?雨降られて最悪だーってなってたけど、紫さんとまさかの帰り道で出会って助けられたんよ!ホント良かったあぁぁ……ε- (´ー`*)」

紫「えぇ、本当にね。さっきぶりですね、みぃさん?……あ、みぃさんの分の傘もありますから。どうぞ♪」

 

 

あぁ、それで傘も3本なのかって納得がいった。

ありがとうございます、と言って遠慮なく受け取らせてもらった。

 

 

紫「お2人共、災難でしたね?私が偶然近くにいて良かった……さて、何か食べましょ♪」

 

 

そう言って、店員さんが新たに持ってきたメニュー表をシグと2人でルンルンで見始めた。

あの2人、いつの間に仲良くなったんだ……?と思いながらも、私もメニュー表を見る。

まぁ、ほとんど決まってたのであんまり時間がかからなかった。

2人に許可を取り、店員さんを呼んで注文した。

 

 

「なんか、もうステーキやらハンバーグとかのお肉が食べたい気分なんでね……( *´꒳`*)」

シグ「でもやっぱり1番好きなのは生魚でしょ?」

「まぁね。でも、ガッツリ、ステーキも食べたいんだよねぇ……」

 

 

紫さんは、晩御飯は食べてきたらしく、ちょっとしたスイーツを頼んでいた。私も後で頼もうかな。

談笑しながら、結構早くに届いた料理を食べ終え、またまた話に花を咲かせた。

 

 

「へぇ、紫さんは〇〇に住んでるの」

紫「そうよ♪貴女たちも、いつか遊びにいらっしゃいね(*o̶̶̷ᴗo̶̶̷ )ノ」

 

 

ここからはめちゃくちゃ遠くはないところだったので、いつでも会える距離ではあった。

私たちは快諾し、ファミレスを出てそれぞれは家に帰っていった。

いつの間にか雨は止んでおり、傘をさす必要も無くなっていた。

ただ、少し気になることが…………私は、家へと向かいながら紫さんから貰った傘を見つめながら考えていた。

 

 

「紫さんは傘を持って帰って良いって言ってくれたけど……でも、そもそも、なんでこんな綺麗な傘を持っていたのかな?」

 

 

まるで、雨が降ることを分かっていて、私たちが急に降り出した雨によって困っていることを分かっていたかのように……

それに、〇〇に住んでいるのであれば、どんなに急いでも30分はかかるはず。遠くはない、と言っても。

だから、私たちの為に傘を2本用意してくるなど不可能なはず。

しかも、何処にも売ってないようなめちゃくちゃ高価そうな傘。

 

 

「……なんか、不思議な人だったなぁ」

 

 

だけど、私はそれを"不思議な人だった"で片付けることにした。

だって、せっかくくれた厚意を無下にする訳にはいかないもんね!

私は、傘をくれた紫さんに感謝しながら家に帰っていった。

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