紫さんと会ってから何日か経って、たまに連絡を取り合う仲になった。
私は、傘を返したい気持ちを伝えたんだけど、断られてしまった……というのも
紫「プレゼントとして受け取って下さい♪晴れの日も雨の日も兼用できる傘ですのよ♡」
と言われたから。
めちゃくちゃ綺麗な傘でめちゃくちゃ高そうなのに……
飾る用として取っとこうと決めた私だった。
「……なーんか、最近めっちゃ空が黒いなぁ」
そう、黒いんだよ。
真っ黒に染め尽くされてるって訳でもないけど。
ほら、雲って、普通は灰色でしょ?それが異常に黒くなってる感じ。
私は、ベランダに出て洗濯物を取り込みながら考えてた。
洗濯物が乾かなくなる、って独り言を呟きながら。
「まー、朝方だけでも日差しが強いしそこまで支障は無いし大丈夫かな」
支障が出るとすれば、傘を持ってない時にあの真っ黒い雲が現れること。
真っ黒い雲が現れた後は、決まって紫さんと会った日みたいな大雨が降るから。
政府も、続く異常気象に警戒するよう国民に呼びかけている。
「折りたたみ傘を持ち歩く癖が付いちゃったよー……」
考えごとをしている間にいつの間にか洗濯物を片付け終わっていた。
今は、お昼時。ご飯を食べる時間なので、ご飯の用意をする……前に、やることがある。
「腹いっぱい食べるんだぞー♪」
私の相棒のミシシッピアカミミガメ2匹に、餌をやる。
私が水槽……2匹の大きさが結構あるので、トロ船を使っているんだけど。
私が近づくと、"早く飯を寄越せ"と言わんばかりにバシャバシャと寄ってくる。可愛いもんだ。
ちなみに、2匹ももうお迎えして8年経つ。早いね。
気になる名前なんだけど……結構笑われてしまうことが多い。
その名前を付けた私もそれはそれで変人なのかな?笑
「君たちはいつも美味しそうに食べてくれるねぇ。ねっ。"アポロ"、"チロル"?」
そう、チョコレート菓子の名前で統一したのです。
愛らしくて甘そうな名前とは裏腹に、チロルの方はめちゃくちゃ凶暴に育ってしまいましたが(>< )꜆꜄
でも、私にとってはめちゃくちゃ可愛くて幸せなんです(*´ ³ `)ノ
「よし、そろそろご飯食べてバイト行くか!」
私は、冷凍ご飯を温めて、卵を割って混ぜてかき込む。
それで昼ご飯を食べ終えた。
30秒で。……早いでしょ?(*´꒳`*)
「じゃ、行ってきまーす♪」
誰もいないのに、行ってきますと言うのが日課になっている。
何でか分からないけど、一人暮らしを始めた時からずっとそうだ。
そして、帰ってこない返事を待つことなく家を出るんだけど、何故か。
今日は、何故か。
『行ってらっしゃい』
……と、声が聞こえた気がした。
◇◇◇◇◆◆◆◆◇◇◇◇◆◆◆◆◇◇◇◇
紫side
「ふぅ……」
藍「紫様、外の世界はいかがでしたか?」
「いつも通り、"元気にしていらっしゃった"わ」
藍「左様でございますか……では、紫様が外の世界にいらっしゃる間に溜まりに溜まったお仕事を片付けて頂きましょうか?」(´ω`╬ )ゴゴゴゴゴゴォ
紫「Σ(・ω・;)ギクッ あ、思い出したことがあるから失礼するわね〜」
藍「あっ、紫様!……もう、あのお方は自由すぎる」
不満そうにする藍……私の式を置いて、私は空へと逃げた。
だーーって、今は暑いんだもの!仕方ないでしょ!
仕事も投げ出したくなるわよ!
多分、これを見てる閲覧者の方々もきっと共感してくれるわ!
「閲覧者って誰よ?まぁ、良いわ」
私が外に行っていた理由は、とある人間を観察する為。
それも、ただの人間でもない。特別なひとだ。
私が気にかけているひとのことを知っているのは極わずか。
「龍神王様と龍神様から仰せつかっているのだもの。断れる訳ないわ」
それに、私自身が気になるから。
ただの人間だったら全く気にも留めてなかっただろうな。
私が尊敬していたひとだもの。それはそれは丁寧に扱わないと。
「もう一度、強制的にこちらの世界に引き込めないのかと龍神王様に言ってみたけど……もう少し時間がかかるみたいね」
まぁ、仕方ない。いくら龍神王様の力を持ってしても、以前使っていたような力を取り戻すのは、どうしても時間がかかるんだって。全く役に立たn……えー、まぁ、待つしかないわよね。
"師匠"が築いてきた150億年は、取り戻せないんだろう……
ふつーの人間として、転生させる程には。
「記憶を、無くされてるものね……」
師匠がお亡くなりになった後、龍神王様の権限で、勝手に生まれた時代に魂ごと飛ばしやがっ……じゃなくて、えー、飛ばしたらしいのだ。
それに伴って、こちらで過ごした殆どの記憶は消えてしまうようで。
長い時を過ごすことで、前世の記憶を取り戻す場合もあるらしいけど……
今度は、師匠がもう二度と苦しまない、幸せな人生を送れるように私がなんとかしなくちゃ。
「あんまり干渉しすぎると良くないらしいけど……これくらいなら良いよね」
魂の成長がうんたらかんたら……とかって言ってたけど
関係なくない!?まぁ、素直に従うけど。
私は、気休め程度にしかならないかもしれないけど、師匠の運気をほんの少し上げておいた。
例えるなら、赤信号で引っかからなくなるとか、一生タンスの角に小指をぶつけなくなるとか。
「師匠をこの"幻想郷"に招くことが出来る頃には、記憶もいくらか戻っていると良いのだけどね……」
私は、いつになるか分からない師匠と以前のような会話が出来る日が来ることを願っていた。
そして、自分の世界を持つことが出来たと……報告するのだ。そして、褒めて貰うんだ。
?「……いきなりウチの神社に来ておいて、1人笑いだなんてね。何か良いことでもあったの?」
私は、ハッとして顔を上げた。
いつの間にか、こんな所まで来ていたようね。
私のことを怪訝そうな顔で見つめるこの少女は、幻想郷中から愛される楽園の素敵な巫女。
「そりゃあ、ここは居心地が最高に良いんですもの〜、来たくなるのも仕方ないですわよ?」
霊夢「相変わらず胡散臭いのね。まぁいいわ、お茶でも出すから上がったら?」
「あら、ありがとう。お邪魔しま〜す」
私は、遠慮なく博麗神社に上がらせてもらって、霊夢の入れるお茶を待った。
その後ろ姿を眺めながら、師匠が帰ってきたらこの子をどう紹介しよう……仲良くしてくれると良いんだけどなぁ……なんてことを考えていた。
いつか来るその日のために。
師匠が、もう苦しい思いをしなくて済むように。
いつも読んでくださりありがとうございます(_ _)