私の転生物語 ~龍神として生きる~   作:夜刀神 闇

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第56話 九死に一生

心七side

 

 

「あれ……?」

 

 

私は、おかしいな……と思っていた。

寝坊したので慌てて用意して、バイトに向かったら店長がシフト組むのミスってて、人が多すぎるから帰ってくれって言われちゃった。

ふざけんなよーって思って、オープンするまでお店の用意だけして、帰ってきたところだったんだけど、何も予定が無くなってしまったんだ。

 

ネットサーフィンでもしてダラダラ過ごしてやろうかって思って、何気なく見てたんだけど……

あれ、何かがおかしい。

何回調べようとしても……ひっかからない。

 

 

「八雲 紫……がひっかからない。というか、東方project自体がそもそも無い……?」

 

 

東方は、ネットの中でもめちゃくちゃ有名だし、二次創作も沢山作られているコンテンツだ。

事実、私もめちゃくちゃ好きで、幻想郷に行きたいって何回思ったことか。

 

この前に会った、"紫さん"を思い出したから何となく調べてみただけだったんだけどね。

それで、調べてみたらコレだ。何故……?

そこで、気になり過ぎる私はとある人物に電話をかけることにした。

 

 

プルルルル……

「……あ、シグ?ちょっといい?」

千奈『ん?どうしたの?』

 

 

同じく、東方ファンであるシグに。

昔から、東方のことについて話し合った仲だった。

だから、シグならこの異変について気づいてくれるだろう……そう思った。だけど。

 

 

「……え?ごめん今なんて?」

千奈『だから、東方なんて知らないよ?』

 

 

東方なんて、知らないよ……???

知らない。しらない。シラナイ。……はぁ?

どういうことだって言おうとしたけど、シグも忙しかったらしく、電話を切られてしまった。

 

私、今、思わぬ返答に混乱してるんですけど!!?

あんだけ、何回も東方の話とかしてきたじゃん?忘れるわけない……あれが夢だって?

 

……いや、そもそも。

あの、シグと2人で出かけた日に、私たちは"紫さん"と出会っている。

その時に、シグは紫さんを見て、何も言わなかった。

普通、少しくらい疑問に思ってもいいはずだった。

この人八雲 紫に似てない?って言われるかと思ったけど全く無かったから、不思議に思ってたんだ。

同姓同名で、しかも見た目までソックリなんだもん。

 

 

「えぇ……いや、嘘だろ……?」

 

 

実は、東方なんて存在しなくて、全てただの夢だった……というのか?

マジか。そんなことってあるんだ。いや、それしかないよな。

ほら、たまにさ、あるじゃん?めちゃくちゃ壮大な夢を見ていて、それを忘れられないっていうの……そういうのかな?

 

 

「へぇ、本当にそういう経験をするなんて思わなかったなぁ。だとしたら、めちゃくちゃ面白い夢を見たな〜」

 

 

やばいな、夢と現実を混同するところだった……今のは未遂だよね?何も事件なんて起こしてないもんな?

我ながら、ポジティヴシンキングだなーなんて思いながら、テレビを何となく付けた。

 

 

「んー、やっぱり大雨で大変なことになってるんだなぁ……突然降って突然止むから対応のしょうがないのかぁ」

 

 

私の住んでいる地方でも起きていることが、全国的に頻発している。

街の人へのインタビュー映像みたいなのが映されていて、人々は、しつこい異常気象に悩まされているようだった。

『洗濯物が乾かない』『子供が簡単に川で遊べなくなった』など……

 

 

「ふーん、困ってるんだなぁ……」

 

 

まっ、私にはあんまり関係無いけど。

洗濯物は乾燥機があるし、室内干しでも扇風機で事足りてるし。

未だに犠牲者は出てないんだからそんなに騒ぐことでもない気が……

 

 

ヴーッ

「あれっ、紫さん……」

 

 

色々考え事をしていると、紫さんからLINEが入った。

今日暇だから遊びに行かない?だって。

もちろんですよって送って急いで用意を始めた。

紫さんからお誘いがあるなんて。

 

 

「紫さんも暇なんだなぁ〜、ていうか、あの人って何してる人なんだろ?めっちゃ綺麗だし、モデルしか思い浮かばないけど、どうなんかな?背高いしなぁ〜」

 

 

大人の女性的な魅力が溢れてる紫さん。

カフェに行った時、自分が食べ終わった後もスマホを弄るんじゃなく、ご飯を食べる私たちを微笑みながら見守る感じの目でじっと見つめてたし。

正に、"お姉さん"みたいな表現が似合う感じだった。

 

私は、出かける用意をし終わったので、駅に向かった。

紫さんに貰った傘を持っていくか悩んだけど、結局持っていくことにした。

ほら、自分があげたものを実際に使ってくれてるところを見たら、嬉しい!ってなるでしょ?

それに、今日は日差しもきついし日傘として持っていこうと思ってね。

と、思っていると、肩を叩かれる感覚がしたので、私は後ろを向く。

 

 

紫「みぃさん、こんにちは(^^)」

「あ、紫さん」

 

 

私たちは、お互いに会釈をしてホームに向かった。

そういえば、今日の紫さんの服装……凄いオシャレな気がする……

歩くのも上品だし、スタイルめっちゃ良いし、髪の毛もふわっふわで柔らかそう……絶対モテるだろーなー。

 

電車が近づいてきたメロディが流れる。丁度だったみたいだ。

ホームのベンチに座っていた人々も、次々に立ち上がり、電車がホームに入ってくるのを待っていた。

それで、私はたまたま、ベンチに座っていた男性と目が合った。

私は気にもとめず、電車が来るのを待った。

 

 

紫「みぃさん、またあの子たちに会えるのね……楽しみだわ♪ところで、お昼ご飯は何が食べたいですか?(^^)」

「紫さんがよければサイ〇リヤに行きませんか?私、あそこのエスカルゴが大好きで……」

紫「みぃさんのオススメならどこでも美味しそうですもんね(◍>ᴗ<◍)勿論、OKです♪」

 

 

あのエスカルゴ美味しいんだよな、とか思ってたら電車がすぐそこまで来ていた。

なんかいつもよりメロディが聞こえてから、電車が来るのが遅かったなーとか考えていた。

 

 

 

 

 

と、思っていると、突然、背中にドンッという衝撃が走り、体が前に押し出されていた。

 

 

「きゃっ……!?」

紫「みぃさんっ!!!」

 

 

予想外のことに、というか何が起こったんだ……?という感想しか湧いてこなかった。

 

ただ、左から聞こえてくるキィーーーという金属音と、さっきの目が合った男性と紫さんと周囲の人たちの視線しか感じられなかった。

 

何もかもがスローに見えてくる。自分の髪の毛が視線の端で靡く様も、鳥が飛んでいるのも、紫さんが焦った表情でこちらに向かって手を伸ばしている姿も。

 

私がゆっくり左を向くと、いつも乗っている電車が今度は正面から見えていた。

私が瞬時に思ったのは、意外にも、死ぬのが悲しいだとか、皆を置いて死ねないだとか、そんな複雑なことじゃなかった。

 

 

「あっ、これ、終わりだ」

 

 

……ってことくらい。

意外にもあっけないなぁ。そんなもんか、人生って。

私はゆっくり目を閉じ、迫り来る死を待った。

 

 

「………………ん?」

 

 

……何秒待った?

5秒?10秒?分からないけど、いくら目を瞑って待っていても、待てど暮らせど衝撃は来ない。

長くないか、走馬灯。

 

 

「遅くね?」

 

 

いや、ほんとに。ドMじゃないよ?

あー、もしかして、電車にぶつかってはいるんだけど、衝撃なんて感じられないくらい一瞬で死んじゃったとか?

ありえるなぁ、それ。でもそれだったら有難い。

人身事故とかのニュース見てると、痛そうだなぁっとか思ってたけどそんなもんなのか?

 

でもなぁ、目開けるの怖いなぁ……なんて思ってたら、聴覚の方が覚醒してきて、さっきまで聞こえなかった音が聞こえるようになってきた。

周りで何か騒がしい。誰かが呼んでるのか?

だとしたら、もしかして、私って死んだけど早速幽霊になっちゃって、まだあの現場の音を聞いてるとか?

 

 

『ーーーーー!!!』

 

 

あー、もう、誰だか知らんけどうるさいな!

そう思ってると、段々と周りの感触が戻ってきた気がした。

あのまま落ちたとすると、線路の上に寝ているはず……だが、私に感じられるのは何かの布?布団か、これは?

ていうか、いやに涼しい……胸元が開いてる気がする……私、服着てない?破れちゃったのかな?

 

 

『少女の意識が戻りました!!!』

 

 

私が恐る恐る目を開けると、私をのぞき込む女性の姿が。

辺りを見渡すと、同じ服を着ている人たちが何人かいる。

中には、医者らしき服を着た人もいるようだった。

ということは、ここは病院か?私は運ばれたんだろうか?

あのまま電車に轢かれていたら、到底助かるとは思えないんだけどな。

 

 

『おぉ、よかった!!!君、聞こえる!?』

 

 

はい、と返事をすると周りの人たちは安堵の表情を浮かべていた。

もう話せるんだね、というお医者さんの声に反応して、声を出せるか試してみたところ、意外にもすぐに声を出すことが出来た。

 

ちなみに、一時的に心肺停止の状態になってしまっていたらしい。

少しでも救急への通報が遅れていれば、本当に帰らぬ人になっていた可能性が非常に高かったんだとか。

あの時、服がはだけていたのは除細動器使ってたからなのか……

 

その後、色々検査を受けたが、内臓や脳に異常はなかったとのこと。

だから、結構直ぐに普通の病室に移ることが出来た。

全身の打撲程度で済むなんて、電車に轢かれた人の体験とは思えないけどねーって感想を貰ってしまった。

確かに……、何で電車に轢かれて打撲で済んだんだろ?

 

 

『今日1日入院したら、明日にはもう帰れるからね』

「色々、ありがとうございました……本当に……」

『うん、こちらこそ。でもね、その言葉は……あの人に言ってあげなさい』

 

 

お医者さんが病室から出たと同時に、紫さんが入ってきた。

そうか……紫さんが通報とかしてくれたんだ。感謝しなくちゃ。

 

 

「紫さん、ありがっ、て……!?」

 

 

私は、紫さんに対して色々言おうとしていたら、紫さんが頭の後ろに手を回してぎゅっと抱き締めてきた。

よく聞いてみると、めちゃくちゃ泣いてるっぽくて声にならない声をあげていた。

あ、あれ?紫さんってこんなキャラだっけ?(==;)

 

 

紫「みぃさん……!!!よかったぁぁぁ……」

「紫さん!?大丈夫ですか……、って何で泣いてるんですか!?」

紫「当たり前でしょう!死ぬところだったのよ!」

 

 

泣いている紫さんをなだめていると、病室に、またまた見知った顔が入ってきた。

 

 

千奈「みぃ!!!……って、あれ?結構元気そうだね?」

「そうだよ〜。結構ケロッとしちゃってる感じ!心臓が止まってたなんて信じられないや……」

千奈「なぁーんだ、良かったよ〜」

 

 

私には分かる、めちゃくちゃあっさりした反応をしているけど、凄く心配してくれてるってこと。

本当は凄く優しくて、良い子なんだよ。

だって、今も私を見る目が凄く穏やかだもんね。

 

それはそうと、私の持ち物はどうなったのかと聞いてみたんだけど、貴重品は紫さんが管理してくれていたらしい。

そのことを聞いた時に、その時に持っていた持ち物を全部見せてくれ、無事であることが分かった。

全身の打撲で済んだとはいえ、身体中が少し痛むので、痛みが治まるまで仕事は休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日。

私は病院の人にお礼を言って、入院費を支払おうとしたが、断られてしまった。

いくらなんでも、と思ったが、そうじゃないらしい。

なんでも、金髪の女性が突然現れて、入院費を全て支払ってくれたのだそう。

 

 

「いや、ダメですって!流石に!」

紫「うふふふ、何のことかしら?」

 

 

私の家のことを手伝いに来てくれた紫さんに、私は入院費を払おうとしていた。

いやいやいや、いくらなんでも申し訳なさ過ぎる!

安くもない入院費を支払ってくれるだなんて……どんだけ良い人なんだよ!

と、私が払おうとしても頑なに受け取ろうとしない。

 

 

「うぅ〜、どうすれば……このままじゃ申し訳なさでどうにかなっちゃいそう……」

紫「そんなこと思う必要はありませんわ♪…………あ、でも。もしみぃさんがよろしければ、私と一緒に来て欲しいところがありますの」

「はい!!!なんでもします!!!」

紫「え、えぇ……ありがとうございます。でも、お体の痛みはもう大丈夫なのですか?」

 

 

若干驚いたような反応で聞かれたが、私に出来ることなら何でもします!と答えた。

だって、本来ならば入院費を払わせて欲しいものなのだけど……でも、紫さんの頼みならばなんでも聞ける。

なんでも、は言い過ぎかもしれないが大抵は聞けるはずだ。

 

 

紫「では、1週間後、空いてますか?少し、着いてきてほしいところがありまして」

「えぇ、勿論です!」

 

 

どこへ行くのかと聞くことも無く、その日は終わった。

結局、夜までいた紫さんと夜ご飯を食べて、紫さんは自分の家まで帰って行った。

今まで、不思議な人だなーってことくらいしか印象がなかったけど、今回のことで大きく見方が変わった。

元々いい人だったけど……紫さんってめちゃくちゃ良い人じゃん。

私は、少し痛む腕を擦りながら、眠りについた。




突き落とした犯人についてはまた書きます。
新成人の方々、おめでとうございます。
私は来年成人式ですね。ꉂ( ˊᗜ‪`⸝⸝)
やっぱり振袖着て出た方がいいんかねぇ……Ҩ(´-ω-`)

思った。私、主人公殺しすぎ?笑
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