第62話 おてんば魔法使いと、ちょっとした探検譚
私が幻想郷に来て何日も経ったけど、案外普通の所だった。
妖怪がうようよいるって聞いてたけど、そんな怖くないじゃん!
魔理沙「よっ、みぃ!」
のどかな日々が続いていくのを感じていると、窓が突然ガラッと開いた。
邪魔するぜーって言って律儀に靴を脱いで勝手に入ってくる魔理沙は、失礼なのかそうじゃないのかたまに分からんくなる時がある……
そう、魔理沙はだいぶ元気のある魔法使いだ。
私が幻想郷に来て間もない頃、ていうか今もそんなに時間が経った訳じゃ無いけど、色々と幻想郷について教えてくれた子だ。
霊夢と同い年で、色々と騒がしいから迷惑だって言ってたけど……当の霊夢本人は満更でも無さそうだったな。
「いらっしゃい、今日はどうしたの?」
魔理沙「いやー、実はな?湖の方に変な建物ができたんだよ。突然だぜ?」
「異変、ってやつ?」
魔理沙「あ、いや、まだ何も起きてないからな?ちょーっと気になったからだぜ」
みぃも行くか?って聞いてきたけど、私は遠慮しておいた。
ここは外の世界じゃなくて、幻想郷だから。
力の無い私がホイホイ外に出てたら、多分簡単におっ死ぬ。
魔理沙「だからさぁ、ちいとばかし探検しに行こうか、ってところだ!」
ふふん、と魔理沙は自信ありげに語った。
まぁ良いんじゃない。気をつけてねーって言いながら毛布にくるまった。
エアコンガンガン付けまくってるからちょっと寒くなってきてね……(消せば良くね?)
そしたら魔理沙が、私のくるまっていた毛布を剥ぎ取ってきた。
なんか嫌な予感……_(:3」∠)_
魔理沙「何言ってんだ!みぃも行くんだぜ!」
「アー、ヨウカイコワイナー、ワタシナンカワンパンデヤラレチャウナー」
魔理沙「棒読みだから何言ってるか分かんないぞ!と・に・か・く!私の後ろにくっ付いてりゃ問題無いって!」
行くぞ!っと言い、靴やらなんやらをあっという間に履かせ、私を強引に箒の後ろに乗せたかと思うと、凄いスピードで発進した。
急発進急加速良くない!
「安全だっていう確証がどこにあるっていうんだよぉ〜〜〜!?」
魔理沙「そんなのひとつしか無いだろ!…………この魔理沙様が付いてるからだぜっ!」
「なんじゃそりゃあ!?」
私の頬を荒々しい風が横切っていく。
幻想郷も外の世界と同じく夏なので、暑いはずなんだけど、魔理沙が出すスピードのお陰でメッチャ涼しかった。
ただ、もうちょっとスピードを落として欲しい……((>_< ;))
そんなこんなであっという間に湖まで到着し、私たちは噂になっている建物を見つけた。
魔理沙は平気なのだろうか、私はその建物の"赤さ"に、思わず目が眩んだ。
「赤っ……何この建物……」
湖のほとりに住んでいる妖精たちは、突然現れた建物に興味津々のようで、群れて騒いでいた。
魔理沙と一緒に赤い建物を見ていると、薄い水色の髪の毛をした妖精が傍に来た。
そういえば、前、博麗神社で宴会した時にちょっと話したような……と思い出す。
「こんにちは、チルノ。貴女はあの赤い建物について何か知ってる?」
チルノ「こんにちはー!んー?アレのこと?」
と言って、チルノは赤い建物を指さした。
霧の湖と呼ばれている湖は確かに霧がかってはいるものの、それでも赤さが分かるくらいの赤色をしている。
チルノ「みぃたちはあそこに行くのかー?」
「私は誘われただけだよ」
魔理沙「なんだよ!つれないなぁ……ほら、さっさと行くぞ!」
私はチルノに別れを告げると、魔理沙に強引に連れられるまま赤い建物に向かった。
歩いたら湖に沿って歩かねばならないが、そこは魔理沙の箒で一瞬ですよねー。
まぁ、私はほぼ強制的に連れてかれたようなもんなんだけどねー。
そこまで時間はかからず、赤い建物のそばまで辿り着いた。
マトモに見たら目がチカチカしそうだけど、魔理沙はお構い無しに進んでいく。
門には門番らしき人はいなかった。
だけど、魔理沙は正面から入る気は無いようで、裏口?のようなところを見つけた。
魔理沙「こういうところにお宝があるんだなぁー♪」
魔理沙は、私の顔を見ると、とっても悪い顔をした。
まさか泥棒するつもりなのか!?……あ、魔理沙の性格上、それほど珍しいことでもなかったんだった。
「……」
魔理沙「……」ガチャガチャガチャガチャ
ドアノブを何度も回す音が虚しく響いている。
まさか、鍵がかかっているのか。
いや、他人ん家のドアをそもそも勝手に開けようとするな。なんて声がどっかしらから聞こえてきそうだが、魔理沙は諦めなかったようだった。
魔理沙「ふぅ……」
「……?」
魔理沙はじっとドアノブを見つめ、その次にドアの全体を見渡した。
開けられないので、別の入口を探すか諦めるのか。
なんて思っていると、その……なんだっけ、"ミニ八卦炉"なんて言うんだったか。白黒の物体を徐に取り出し、ドアに向けた。
……おい、まさか。
魔理沙「ちょっと離れてろ!」
やっぱそうですよねえええ!!?
いや、なんとなく分かってたよ!?
魔理沙の性格上、諦めるってことはしなさそうだなーなんて思ってたよ!?
予想の10°くらい斜め上の回答ありがとうございます!!!
「ちょ、ちょ、ちょ、魔理沙!流石にマズイって!怒られるよ!?」
魔理沙「大丈夫だって!何かあったら守ってやるから!…………マスタースパーク!!!」
私の制止も虚しく、魔理沙のミニ八卦炉から極太の光線が放たれた。
凄い爆音が響き、壁は破片となって崩れていった。
私は、こっちにまで広がってきた砂埃に思わず目を瞑った。
咳が出るレベルの砂埃、ヤバくない?建物内の広範囲に被害及んでない?
「はー……魔理沙?やり過ぎ……」
魔理沙「いや、わりぃ。力加減が」
てへぺろ、といって魔理沙は笑って見せた。
そうやってるうちは可愛いのに……( ≖_≖)
ていうか、何がてへぺろ、だ。他人の家壊しといて。
魔理沙「ほー……図書館か!」
魔理沙の後ろで怯えながら進んでいると、何やら本が沢山ある、だだっ広い空間に辿り着いた。
図書館って言っていい広さじゃないよなー……なんて思ってたら、魔理沙が本棚に敷き詰められてる本のうちの1つを手にした。
「……魔理沙?」
魔理沙「……:(´◉ᾥ◉`):ウグッ」
懐に本を忍ばせようとしている魔理沙の肩に手を置き、制止した。
私の家から色々盗むのは百歩譲っていいとして、他人の家から盗るのは本当にダメだぞ。
魔理沙「わーかったんだぜ……」
しょぼーんとしながら本を本棚に戻す魔理沙を見て、今度は周りを見渡した。
こんだけ本があったら、マジで1冊くらい盗ってもバレないんじゃね、とか思ったが。
ところで、感覚をよくよく研ぎ澄ましてみると、辺り1面からなんだか不思議な力が放たれているのを感じる。
私にもあるらしいが、魔力というものなんだろうか。
?「あら、随分と騒がしいと思ったらネズミが入り込んでいたのね」
魔理沙「おっ?」
なんだか綺麗な声がするな、と振り返ったそこには、紫色のゆったりした服を着ている女性がいた。
この図書館の主だろうか、この館の住民だろうか、と考えていると、その女性はため息をつき、こちらに近づいてきた。
?「
魔理沙「誰なんだぜ、お前は?」
いや、名前を聞けるような立場じゃねぇだろ。と私は思った。
今、私たちはめっちゃ失礼なことをしてるって理解しような?
親切にも、その女性は名乗ってくれた…………既に戦闘状態に入っているようだったが。
パチュリー「私はパチュリー・ノーレッジ。この"ヴワル魔法図書館"の主よ……はぁ、もう。貴女たちのせいで修繕費がバカにならないわ!!!」
パチュリーと名乗った女性は、ブワッ、と魔力のようなものを放出しながら、空中に浮いた。
うん、やっぱり、壁を壊したことバレてましたね。
というか、バレない方がおかしいよね。
そして、私の命の危険が迫っていますねーーー!!?
「魔理沙!?私まだ死にたくないんだけど!!!」
魔理沙「分かってる!連れてきた手前、怪我なんてさせられるかなんだぜ!!!」
魔理沙は、サッと私を抱え、箒の後ろに私を乗っけた。
魔理沙が強いのは分かるけど、私を抱えながら、激おこプンプン丸な相手を鎮めることが出来るのか。
言っとくけど、私何も出来んからな!?
紫さんに私の前世のこととか、能力のこととか聞いたけど、今は力無き普通の人間なんでね!?期待しないでね!?
パチュリー「あら、後ろの人間は弱そうね……それから、金髪の人間、貴女だけは絶対許さないわよ。覚悟なさい!」
魔理沙「やーやー、すまんかった!入口が分からなかっただけなんだよー。お前も魔法使いなんだろ?同じ魔法使い同士、仲良くしようぜ?」
パチュリー「館を壊して入ってくるような人間とは仲良くなんて出来る訳ないでしょ!!!」
……うん、ごめん。魔理沙。私はパチュリーさんと同意見です。
といえども、魔理沙に着いていかなかったら私の命の保証は無い訳で。
パチュリー「それに、人間がちょいと齧った程度の魔法で私に敵おうだなんて、聞いて呆れるわね。今から本当の魔法を見せてあげるから、冥土の土産話にでもすると良いわ!」
パチュリーさんは、魔導書?のようなものを開き、詠唱を始めた。
私からしたら魔理沙でも充分強いが、このパチュリーとかいう魔法使いは、もっと強いのであろうことが素人でも分かるくらい、存在感がハンパない。
「魔理沙、お願いだから負けないでよ!!!」
魔理沙「分かってるんだぜ!」
魔理沙は、パチュリーさんと同じくらいの高さに浮かぶと、魔力を放出した。
これから本当に戦闘が始まるんだ……と、私は思わず身構えた。
いや、私が戦う訳じゃないけどね?
お願いだから、魔理沙、負けないでくれよ……私たちの命がかかってるんだよ、と魔理沙の腰につかまる腕の力が強くなった。