魔理沙&主人公VSパチュリーの前に、紫たちの間で何が起こってたかだけすこーしですが 書きます。
紫side
「えっ?師匠が……?」
霊夢「そーなのよ。あの人が1人でどこかへ行っちゃうなんて、万が一にも有り得ないと思うわ。前世が龍神様だったとはいえ、あの人はまだ何の力も取り戻していないような人、云わば一般人よ?急いで探した方が良いと思うわ」
私はかなり焦っていた。いや、だいぶ。本当に。
私がこんな風に焦るなんて師匠が外の世界で電車に跳ね飛ばされそうになった時くらい……かしら?
いや、そんなことよりも師匠のことだ。
師匠の家には、師匠に害を与えようとする意思のある者が入れない結界を張ってあるはずなのに。
私は、師匠が幻想郷に来てからも献身的なサポートを続けていた。
食料やお小遣いは渡していたし、生活には何ら困らないようにしていた。
だから、今日も顔を出しに来た……はずだった。
のに、いない。失礼しまーす、と言って入らせてもらって、家中探してもいなかった。
争った後も無ければ、血痕も無い。
妖怪特有の、妖力の跡も無い。
これで、妖怪に連れ去られたという可能性は無くなった。
人間でも、害を与えようとすれば結界によって跳ね返されるので、人間の犯行である説も消えた。
「人里にいるのかもしれない」
霊夢「え?この距離を1人で行ったの?悪いけど、お世辞にも体力有りそうに見えないみぃさんが?」
「結構ズバッと言っちゃうのね、貴女……でもまぁ、可能性がありそうなのは人里でしょう。霊夢、空からみぃさんを探して」
霊夢「これでただ単にトイレ行ってただけ……とかだったら笑えるわね。はーい、気をつけてね」
私は、空から探すように霊夢に言い、自分は人里に移動した。勿論スキマで一瞬。
私の心配を他所に、人里は今日も賑わっていた。
まぁ、さっきも霊夢が言ってた通り、人里から博麗神社、師匠の家までは結構かかる。
山登りに慣れている人でさえ、冗談抜きで2時間はかかるだろう。
飛んだら一瞬だけど、師匠はまだ力を持っていない非力な人間だ。
幽香「紫、久し振りね」
私は、肩をトントンとされたので振り返ると、幽香がいた。
人里には、人間に対して友好的な妖怪ならば入ることが出来る。
ので、幽香が人里にいても何ら不思議では無いのだけど……今はそんなこと言ってる暇は無い。
「幽香、突然で悪いのだけど、師匠を知らないかしら?」
幽香「あぁ、あの子ね。闇……いえ、今は"みぃちゃん"だったかしら」
「そう。師匠が行方不明でね。家に行ってもいないし、博麗神社にも来てなかったの。だから、今の所1番確率が高そうな人里に来ているという訳なのよ」
幽香は、私の言葉を聞くと、ふぅ〜ん……と言いながら、日傘をくるくると回して何かを考えていた。
そして、辺りを見渡すと、少し残念そうな顔をして言った。
幽香「私は結構長い時間人里に来てるけど、みぃちゃんらしき人間は見てないわね」
「そう……」
私は、少しどころか、かなり焦りを覚えていた。
このまま見つからなかったらどうするのか。
人里にいないとなると、どこにいると言うのか。
魔理沙の家に行ったか?……いや、現実的に考えてそれは有り得ない。
人間の足で、無事に辿り着けるような場所にある訳じゃあない。
幽香「ま、あの子と戦うのが私の夢でもあるから、私にとってもあの子に死なれるのは嫌だしね。なんとなく探しておくわ」
「うん……ありがとう、幽香」
幽香はそう言うと、どこかへ行ってしまった。
私が知っている限りの妖怪には、師匠のことは紹介しているので、喰われる心配は無いんだけど。
私は、はぁ……と溜息をつき、師匠がいそうなところを虱潰しに探すことにした。
と、その時。上空から私を呼ぶ声がしたのでそちらを向くと、霊夢が焦ったような表情をしていて 、瞬く間に私の前に降り立った。
霊夢「紫、大変よ!」
「どうしたの!?師匠は!?」
霊夢が息を整え、落ち着いて聞いてねと私に言った。
もしかして、師匠が見つかったのだろうか。
もしそうなら、早く行かなければ……と思ったが、私は、次の霊夢の言葉に耳を疑った。
霊夢「みぃさんは、魔理沙と一緒に、霧の湖の方にいるらしいわ」
「ハァ!?」
私は、とりあえずは見つかって良かったという安心と、魔理沙と一緒にいるという心強さと、何故魔理沙は霧の湖の方に師匠を連れていったんだという困惑で、頭の中がこんがらがっていた。
霊夢「氷の妖精に聞いたのよ。霧の湖の方でみぃさんを見たって。後、そこにある赤い館の方に向かったって」
「赤い、館……」
私は、なんだ、紅魔館のことか、と瞬時に理解出来た。
だって、紅魔館の主である吸血鬼に、幻想郷に来ないかという打診をしたのも私なんだから。
それにしても、何故館の方へ……?と考えていた。
霊夢「……で、どうする?連れ戻す?どうせ魔理沙のことだから、興味本位で連れていったに違いないわ。魔理沙の実力でみぃさんを守り切れるか心配だから、私は連れ戻す方が良いと思うんだけど」
「当たり前でしょ。連れ戻すわよ」
私は即座に、紅魔館から師匠を連れ戻す為、霊夢と共に紅魔館へ向かおうとした。
だけど、そこで想定外のことが起きてしまった。
人里にいる人間が、空を見上げて騒いでいる。
何事か……と私も空を見上げると、空の端からこちら側までジワジワと侵食してきている、"真っ赤な霧"があった。
霊夢「こ、これは!?」
「赤い、霧……方角的には、霧の湖の方だわ!」
雲の流れと共に幻想郷上空を侵し始めている赤い霧は、紅魔館のある湖から流れてきているようだった。
吸血鬼が起こした異変だろう、と私は思ったけど、それなら私が介入する訳にはいかない。
外の世界で居場所を無くした吸血鬼たちを誘ったのは私だ。
そして、幻想郷での地位、知名度が欲しいなら、異変を起こして巫女を倒すのが1番手っ取り早い……と教えたのも私だ。
だから、直接介入する訳にはいかない。
私としては、"博麗の巫女が、異変の首謀者を倒し、異変を解決する"
といった形で、人間と妖怪のバランスを保ちたい……なので。
「……霊夢、今回の件、やっぱり貴女にお任せするわね」
霊夢「え!あんなに師匠、師匠ってウルサいくらいに言ってたあんたが?」
「私だって、師匠が危ないならそこに飛んでいきたいわよ?でも、これは異変。巫女の仕事よ」
霊夢は、私の言葉を聞いて、ハァ……と額に手を当てて溜息をついた。
しかし、諦めがついたかのように、背筋を伸ばし、シャンシャンと大幣を振るった。
霊夢「……まぁ、良いわ。そもそも、普段からあんたは、妖怪は自己中で自分勝手なんだから、今に始まった話じゃないわよね。それじゃあ行ってくるから、終わった後の宴会の準備しておきなさいよ!」
一瞬で飛び立った霊夢は、赤い霧の発生源の方へと向かっていった。
ごめんなさい、霊夢……異変には手を出さないのが私のスタンスなのよ。
でも、そうね……一言だけ言えるなら。
「……あそこは骨が折れる現場よ」
そもそも、貴女の制定した"スペルカードルール"は、相手を殺しちゃあいけないルール。
もしも殺してしまえば、私からキツイ仕置が待っていること、それをあの吸血鬼が破るはずも無いと考えると、護衛は魔理沙と霊夢だけでも充分なのよね。
「霊夢、信じているわよ」
私はただ、この異変に関わる全員の無事を祈るのだった……