魔理沙「お前……妖怪だな?」
レミリア「あぁ、そうとも。こちらでは妖怪と呼ぶのかもしれないが、私は悪魔の王である"吸血鬼"。名はレミリア・スカーレットだ」
レミリアさんは、椅子に座ったまま、依然として物凄いプレッシャーをかけてきている。
魔理沙の顔が段々強ばっていってるし、何より、さっきから肌が凄いピリピリするんだよなぁ……
レミリア「ほぉ、人間?お前は中々度胸のある奴だ……」
私が放つ妖力の密度に耐えられた者はほぼいない、と言うレミリアさん。
何だろう、この感じ……今まで感じたことの無い雰囲気。
フランと同じ真っ赤な目を見ていると、何故だか視線だけで死んでしまいそうな……
レミリア「……まぁいいだろう。人間、フランをここまで連れてきてくれたこと、感謝する。後ほど褒美は与えよう」
「あ、いえ……お気になさらず」
レミリア「ははは、無欲な人間なんて聞いたことがないぞ?……さて、フランをこちらに渡して貰おうか」
フラン「!」
来た!フランのことを聞くチャンス!
フランは生まれてからずっと閉じ込められていたと聞いた。
何が原因で、フランを閉じ込めていたのか。
それなりの理由があったとしても、フランが自分の家をぶっ壊してしまうほど、フランにはストレスがたまっていたんだ。
「レミリアさんは、何故フランを閉じ込めていたのですか?」
レミリア「……何?」
「フランが壊した館、見ました。あれだけ暴れ回ってしまう程にストレスが溜まっていたんじゃないでしょうか?」
私がレミリアさんに質問を投げつけると、レミリアさんのかけるプレッシャーがめちゃくちゃ強くなったような気がした。
そりゃそうだ、家族の問題に他人が首を突っ込んできたんだから。
でも、関わりを持った人のことを方っておける程私は鬼じゃない。
「その、結果的に暴れ回るようなストレスを溜めてしまった原因は、長い期間閉じ込めておいたからですよね?」
レミリア「……確かに、フランにはこれまで、"495年"もの間、幽閉の命令を出している」
「なっ!?」
魔理沙「495年……!?」
私は耳を疑った。
こんなに幼い娘が、495年もの間閉じ込められていただと。
長い期間と聞いてはいたが、それほどまでだったとは知らなんだ。
そりゃ、フランも暴れ回りたくなるよな。
それに、フランが年齢相応の精神をしていないのにも頷ける。
495年もの間、外界と交流を絶ってしまっては、精神の成長も見込めないだろう。
「どうしてそこまで」
レミリア「そう……フランには、"全てのものを破壊する能力"がある」
「はっ、破壊……」
私は息を飲んだ。
そんなチート級の能力聞いたことがない。
アニメや漫画でも、そんな能力があってたまるか。
もしあったらインフレやばいぞ。
と思っていると、レミリアさんが続けた。
レミリア「そう、破壊する能力だ。危険なのは人間、お前も分かるだろう?」
「分かります……が、その……」
レミリア「そもそも、私たち姉妹の問題にお前のような人間が口を出すのが間違いなのだ」
私が瞬きをした瞬間、レミリアさんが椅子から私の目の前に移動していた。
私は驚いて1歩後ずさるが、レミリアさんは私の首から手を離さない。
レミリアさんが、グッと力を入れた瞬間、とてもじゃないけど生きていられなさそう。
レミリア「さぁどうする?このまま私たちに関わり続けて死ぬか?それとも今すぐ立ち去るか?選べ、人間!」
フラン「お姉様やめてッ!」
魔理沙「みぃ!おいレミリア、今すぐその手を離すんだぜ!さもないと……」
フランは涙目になりながら叫び、魔理沙は八卦炉を構え、今にもマスタースパークを放ちそうな勢いだ。
ここで私が関わり続けて命の保証はされないとしても、私は1度関わった人を見捨てることの出来ない性分でね。
レミリア「……待て」
「?」
レミリアさんが、魔理沙の言葉を聞いた途端、私の首にかけられていた手の力を緩めた。
そして、私の目を真っ直ぐに射抜くような目で、こう言った。
レミリア「お前は、例の外来人か?」
「例のって……まぁ、外から来ましたけど。それが?」
レミリアさんは少し考えるような仕草をした後、私の首から手を離し、スカートの裾を払いながら吐き捨てるように言った。
レミリア「どうやら、私にとってお前は、手を出すことが許されない人間らしい」
レミリアさんは、元いた椅子に座ると、私から目を逸らした。
何があったんだろう。私ってそんなに危険人物なのか?
「どういうことです?私は、危険なんでしょうか?」
レミリア「ふふ、人間単体なんて私の敵ではないわ。どちらかと言うと、貴女のバックにいる者よ」
「へ、へー……」
いきなり口調を変えたレミリアさんに驚きつつ、私のバックにいる者と聞き、頭にハテナが浮かんだ。
誰だ、知らんぞと思いつつレミリアさんに尋ねる。
「それって誰ですかね?レミリアさん強そうなのにそんなに怖がるなんて、その人はさぞお強い ̄ ̄ ̄」
レミリア「八雲 紫が幻想郷中に根回ししてるのよ。手を出した場合の制裁なんかも決められてる。貴女、当事者なのに何も知らないワケ?」
なんですとー!?と言いたくなったが、よくよく考えてみればそうとしか思えんよな。
この幻想郷で最も力を持つ人が私を守ってくれてる、と考えて良いのかな?
レミリア「……この会話も盗み聞きしてるんでしょうけど」
「え?」
レミリア「何でもないわ……さて、みぃ。フランのことだけど」
先程とは打って変わって、少し表情が柔らかくなった気がする。
私は、いつの間にか用意されていた椅子に腰掛けるよう言われ、レミリアさんの正面に来るように座る。
レミリア「私の妹、フランはとても危険な能力を持っている。だけど、ただ単純に危険だから、怖いからといった理由で閉じ込めている訳じゃないの」
レミリアさんは、私とフランに目線をやると、昔を思い出すように話し始めた。
フランを閉じ込めたのはレミリアさん自身じゃなく、2人の両親であること。
両親はもう亡くなっており、2人でずっと暮らしてきたこと。
……幽閉した本当の理由は、フランが自分で大切なものを壊してしまわないように、悲しまないようにしたこと。
レミリア「でも、だからと言って、貴女に嫌な思いをさせたのは事実。……ほんとに、ごめんなさい」
フラン「お姉様!?」
レミリアさんは、フランに向き直ると、そっと抱き締めた。
フランも少しびっくりしていたものの、少ししたらレミリアさんを抱き締め返し、泣いていた。
私は、レミリアさんの隠れた愛情を心底素敵だなと思った。
それを見て安心していると、魔理沙に肩を叩かれた。
魔理沙「……事情は分かったんだが、この赤い霧はどうするんだよ?」
「いや、知らんし……霊夢の仕事でしょ?それは……」
魔理沙「いや、そうなんだが」
霊夢「えぇ、そうよ。私の仕事よ」
なんか聞き覚えのある声がしたなー、と思ったら霊夢がそこにいた。
すっごく面倒くさそうな顔で、すっごく面倒くさそうな態度で、大幣を弄っていた。
霊夢「アンタ、みぃさんを返しなさい。あとあの赤い霧!なんなのあれは!」
レミリア「別に良いわよ?この人間に用は無いもの。いや、むしろ関わりたくない部類ね。それで、霧のことだけど」
貴女が博麗の巫女ね?と言い、カツ、カツ、カツと霊夢に近づくと、不敵な笑みを浮かべてこう言った。
レミリア「幻想郷を賭けて、勝負しない?」