私の転生物語 ~龍神として生きる~   作:夜刀神 闇

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ピソ……ピソ……


第68話 〜失われたはずの存在は幻想郷の地にて〜

……時代は1000年以上前に遡る。

それは、西行寺幽々子が亡霊になり、冥界の管理者になって間もない頃の話。

 

 

 

 

 

…………そして、龍神が現世で力を失い、命を落として間もない頃の話。

 

 

幽々子「…………貴女が何故ここに?」

 

『…………』

 

 

龍神は、答えなかった。

 

……否、龍神と言える存在なのかも定かではない。

 

美しい銀色だったはずの髪は黒く、長かった髪は背中まで短くなっていたから。

 

しかし、幽々子は変わり果てた()の者の正体が分かっていた。

 

何故なら、それの肉体は無く、魂だけの状態……幽霊のような存在になっていたから。

 

 

幽々子「私、亡霊になったから貴女が誰だか分かるの。人間であった頃なら分からなかったでしょうね。でも、今ならわかるのよ。何故なら…………貴女は、もう死んでいるから」

 

 

幽々子は、背中に手を伸ばし、触れようとした。

……しかし、予想した通り、すり抜けてしまい、触れられなかったのである。

 

 

幽々子「貴女は今、実体の無い幽霊になっているわ…………何故?力のある貴女は負けるはずが無いと思っていたのに。何故、貴女が幽霊になっているの?」

 

『……私は』

 

 

龍神……いや、その幽霊は口を開いた。

 

 

『私は、力を失いすぎた。死ぬと分かっていたのに、主様に全力回復させて頂くことも出来たのに…………私は拒否した』

 

幽々子「……それは、どうして」

 

『生きろと命令されなかったから。命令されていたら生きていたわ。でも、でも……あのお方は………………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"お願い"をしてきたのよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◆◆◆◆◇◇◇◇◆◆◆◆◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はっ!!!??」

 

 

私は、ベッドからガバッと起き上がった。

今はもう冬だというのに、とんでもない量の汗が滲んでおり、とても不快な気分だ。嫌な夢を見ていた気分だ。内容が思い出せない。額から吹き出す汗を拭い、洗面所に向かった。

 

 

「……ひどい顔ね」

 

 

目の下にクマが出来ており、睡眠を取れているとはとてもじゃないが言い難いだろう。私はいつも8時間は寝る。コンディションが悪くなるから……

と言いつつ、私は少し違和感を感じていた。起きた時から感じていた、あの違和感だ。いつもと違う。何が違うか聞かれたら分からないが、とにかく違和感なんだ。

 

 

「これじゃあ人前に出られないじゃない………………あら?私ってこんな口調だった……?」

 

 

余りにも自然に出た女性的な口調に、自分で驚いていた。

いつもなら霊夢とかと話す時は普通の口調なのに、どうして……

そんなことを考えていると、頭の中にとんでもない量の情報が入りこみ、激痛が走った。

 

 

「ぐっ!?…………」

 

 

声も出せないほどの激痛だった。

私は思わず床に突っ伏してしまい、床と激突した時の痛みなど気にならないほど、のたうち回った。

意識を失ってしまいそうな位の激痛だったが、長くは続かず、1分ほどで収まった。しかし、私には何時間も続いた感覚だった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………私は、何かを思い出したかのように目を見開き、寝起きと同じように突然起き上がり、鏡を見た。

 

 

「……そうだ、私は!」

 

 

どうして忘れていたんだろう。

私の名前は、私の正体は、私は……………………

 

 

皆星 心七(かいせい みな)ではない……いや、違う。私は皆星 心七であって、皆星 心七ではないのか」

 

 

私の前々世の名前も皆星 心七だ。何故思い出せなかったのか。そう、生まれ変わる前に記憶を消されていた。消されたはずの記憶が何故か戻ってきている。

 

 

「私の、私の前世の…………夜刀神 闇(やとがみ やみ)としての記憶が…………ここに…………………………」

 

 

私の手が、信じられないほど震える。これは嬉しさか、戸惑いか、悲しさか、恐ろしさか………………様々な感情が入り交じり、片方の手で抑えようとするも、どうしても収まらないのだ。

 

 

「私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は………………ふふっ…………あっはははははははははははははは!!!!!!!」

 

 

幻想郷に、失われたはずの高貴な存在が舞い降りる音がした。

……いや、そんな綺麗な言葉で表せるものではない。なぜなら、"それ"は今、突然戻った自らの情報を受け付けられないでいるからだ。傍から見れば、"狂っている"と思われても仕方がないくらいに……

 

おもむろに立ち上がると、リビングまでドタドタと走り抜け、窓を全開にすると、ベランダの縁に飛び乗った。体が軽い。冬の寒さなんて感じない。私は、この宇宙を纏める ̄ ̄ ̄ ̄龍神なのだ。

 

 

「何も怖く…………な……い」

 

 

私の体は宙に浮いており、以前のように空を駆けようとした……しかし。今の私は人間である。

記憶を戻すより先に、能力の方を戻すべきだった。

ハッとするより前に、私の体は地面に吸い込まれるように落ちていった。

 

 

「ッ……」

 

 

私は、為す術もなく空中を掴むが何も変わらない。

 

落ちる ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

……と思っていたのだけど、衝撃は来なかった。代わりに、とても良い香りがする。なんだこれは。

 

 

?「……大丈夫ですか、心七様!?それに、この髪は……!」

「え……?」

 

 

目の前に、見覚えのある顔が現れる。

白い帽子に白と青の導師服、そして9本の尻尾……間違いない。

 

 

「……藍?」

藍「そ、そうでございますが……なぜ飛び降りたのです!?」

 

 

まだ、心臓がバクバクと鳴り続けている。

先程まで自分を抑えられなかったのだけど、少し落ち着いたか。

宴会などで会ったことがある。紫の後ろをいつもついて回ってる九尾だ。

……いや、戻ってきた記憶に入っているから、思い出せたんだろう。

 

 

東方Projectの、記憶が。

 

 

「藍、貴女の主の師匠として、お願いがあるの」

藍「……はい」

「紫が起きたら…………記憶が戻ったと、伝えてくれる?」

藍「!!?」

 

 

お寝坊さんの賢者に、教えてあげなくちゃね。

どんな顔するかしら?喜ぶ?怒る?

 

私は、藍の腕から降り、地面の冷たさに身を震わせた。そうだ、冬なの忘れてたわ。

 

 

「何はともあれ……助けてくれてありがとう。このまま落ちていたら、大怪我だったわね」

藍「偶然私がいて良かったです、本当に……しかし、いつ記憶が戻られたのです?」

「ついさっきよ。頭に激痛が走ったと思ったら、記憶が戻っていたの」

 

 

藍は、驚いて私の心配をしてくるが、大丈夫だと言って宥めた。だってもう痛くないものね。

 

 

「だけど、さっきも見た通り……能力は戻っていないから、生活は変わりないかもね」

藍「私が、下にいて本当に良かったです。紫様がお目覚めになられましたら、直ぐにお伝えしますね」

「えぇ、よろしく頼むわ」

 

 

紫のことだし、雪が溶けるまで起きないんだろなぁ。

そう思うと、少し笑えてしまった。……そう、また皆で笑いあえたら、きっと楽しい。

 

私を待っている人が沢山いる。

幻想郷の賢者、大親友の鬼子母神……それに……

 

 

「……香織、私の代わりはきちんと出来たかしら?」

 

 

再会出来たら、そんなことを聞こうと、胸に留めおいておくのだった。




ちなみに、私が好きなピソはアーモンド味です。

記憶はちょっとずつ戻すか迷ったのですが、一気に戻しました。
情報量大杉て目眩することありますよね?それが究極に酷くなった感じです。想像したくもありませんね。

リアルでクーラーデビューしましたぁ!暑すぎィ!!!最高気温32℃とかどうかしてるで!?
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