イカの惑星   作:り け ん

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前回と比べると短い? 前回ハッスルしすぎただけです。ハイ。
なお、今回は二話更新となっています。


新武器 性能 初戦開始

その刃が晒された瞬間、口の無いクラゲ族であるはずのハナガサから、ほうというため息が漏れた。鈍い光が部屋の光に反射され、どことなく妖めかしい雰囲気が漂っている。

 

「刀身の材質に関しては、『パブロ』の筆毛部分に加えて、最近巷で流行していた新素材を加えて硬質化してメッキを施したでし!しかし、元の素材自体が非常に柔軟性を持っているため、これでイカの体が物理的に傷つくことはないでし! 体を傷つけない柔らかさと『刀』という体系に極限まで近づけるバランスの試行錯誤は非常に難しく、それでいてやりがいがあったでし!」

 

その言葉を受けて、ソウは軽く刀を振ってみる。それで刀身が柔らかく揺れることで、それ自身はまるでゴムのようで、殺傷力がないことはよくわかる。しかし静止しているその様はまるで触れただけで紙を切り裂けそうなほど鋭さを感じられる『武器』を模した『ブキ』に感じられる。これはメッキの塗装技術にもブキチのブキ造りの才能が垣間見える。

 

 

「まだまだ製作については話し足りない部分はあるでしが、ここは敢えて割愛し、今回のメインとなる『ブキの性能』について説明したいと思うでし!」

 

 

その言葉を機に、ソウは背中部分を重役達に向ける。

隻腕の町長、イリグは背中のインクタンクの隣についていた長方形のそれを見て軽く目を見開く。クマサンの像の背後に控えてるスーツ姿のガールが、懐からメモ帳とボールペンを取り出して構えた。

 

 

「これは『ブースター』れっきとしたブキの一部でし!外見の親和性を考慮した結果、ブキに直接接合する形ではなく後付けの接続形式という形を取ったでし!」

 

 

刀をしまったソウは、鞘部分を外してみる。パキンという音を立てて、鞘の後方部分にあるブースターとの接合部分が明らかになる。ソウがカチン、という音で再びブースターと鞘を接続させたところで、ブキチの説明が再開する。

 

「このブースターの起動と同時に鞘と刃に圧縮されたインクが解放されるでし! こうすることで、ブースターで体が前進すると同時に刀が鞘から飛び出すでし! 無論、飛んでいかないようしっかりと柄を握って振り抜くことで、広範囲の一確攻撃が可能になるでし!」

 

その言葉が終わると、天井から唸るような機械音が聞こえてきたと思うや否や、大きなスクリーンがゆっくりと降りてきた。

 

 

「それでは続いて、実際の塗り跡を見てもらうでし! これが試験インクを用いて行った『イカネサダ・心』の攻撃範囲でし!」

「また、参考までに標準的なシューターである『スプラシューター』と、チャージャー中最短射程である『スクイックリン』も列挙して比べて見るでし!」

 

スクリーンの画面が三分割され、三つの画像が映し出された。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

重役達は、画面を食い入るように見つめたまま、動かない。耳をすませば、クマサンの後ろに控えているガールがメモを取る音しか聞こえない。

 

「さらに、より分かりやすく塗り範囲と有効射程を表した図も、こちらに乗せておくでし! 青が有効射程。緑が塗り射程と思ってくれればいいでし!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

大きく映し出された射程比較図を前に、ブキチが説明を再開する。

 

 

「図を見て一目瞭然なように、このブキ一番の特徴は『広範囲一確攻撃』でし! 一確攻撃と言えば、ローラーやブラスター…そしてチャージャーの十八番というのが今まで常識でし! しかしこのブキは自力で接近する必要があるローラーと違い、スプラシューターの射程ほど先にいる相手にも、背中のブースターで距離を詰め、一瞬で確定攻撃を繰り出せるようになったでし!」

 

「その上、眼を見張るべきその攻撃範囲の広さ! これがチャージャーにない利点でし! 命中させるのに一定の習熟度が必要だったチャージャーと違い、このブキは手軽に一撃撃破の快感が味わえる、ある意味チャージャー初級者の入門編と位置づけることもできるブキとなっているでし! …ゼー…ハー」

 

 

ここまで一人で朗々と演説し続けたブキチも、流石に息が切れたらしい。一分ほど息を整えていると、重役達の方から声があがった。

 

 

「ブキチ課長、そのブキの利点についてはよく分かりました。…次は、逆の点に関して、説明を始めてください」

 

 

重厚な声の主は、ハイカラスクエア町長のイリグ。ブキチは息を整え頭を持ち直して答える。

 

 

「ハァー…無論、そのつもりでし!このブキにも他のブキと同じく、欠点を持ち合わせているでし!」

 

「第1の問題点は、『チャージ時間による隙』でし! このブキのチャージ時間は0.5秒。『14式竹筒銃』は0.25秒、『スクイックリン』は0.75秒。でしからちょうどその二つの中間ということでしね!」

 

「これは決して短くないチャージ時間でし! しかも通常のチャージャーであれば、長射程だからこそ敵の攻撃が届かない安全な場所でチャージするというコンセプトのもと成り立ってるでしが、セイバーはブースターがあるとはいえ、チャージしながらスプラシューター並みの射程距離まで近づかないといけないのはかなり危険でし! 特に自分より射程の長い相手には上手く立ち回らないといい的になってしまうでし!」

 

「…なら、チャージキープはどう?」

 

 

続いて鈴を転がしたような声で疑問点を挟んだのは、ナワバリバトル総本部長であるリサである。ブキチは即座に対応する。

 

 

「チャージキープについては、ソイチューバー系列以外のチャージャーと同じく、1.25秒確保してあるでし! ただし、イカ状態からヒト状態に移行する際にかかるブースターの再起動ラグを鑑みると、チャージキープ射撃時の前隙は全チャージャー中で最も大きくなってしまっているでし…。しかし、このブキを上手く扱うにはチャージキープは他のチャージャーよりも重要になってくると見てるでし!」

 

「…なるほどね」

 

 

相変わらず自分のゲソを指で弄りながら、リサは納得したように頷いた。そしてその後は、視線が一点に固定された。…それはブキチのでもスクリーンにでもなく、ソウにである。この時点では、というかしばらくはソウはここで立っているだけでいい、とのことだったか、偉いイカ一人からやたら見つめられていることに気づいてからは、汗だくである。しかし当然ブキチはそんなことには気付かず、説明を続ける。

 

 

「そしてもう一つ、とても大きな欠点があるでし! それは『高台への対処の困難さ』でし!」

 

「…ソレハ、ドウイウコトデス?」

 

 

バトルシステム管理課の課長補佐 オワンが片言のイカ語で首を傾げる 。(見かけ的には頭を傾げると言った方が正しそうだ)

 

 

「その理由は、このブースターにあるでし! 実は前述したブースターにおける移動距離は、あくまでセイバーを『真正面』に向かって放った時だけでし! 上に角度をつけて放とうとすると、その分ブースターの移動インクが減るため、移動距離が減少するでし!」

 

「90度、つまり真上に向かって放とうとすれば移動距離はゼロになるでし! 45度の角度で放てば真正面…つまり0度の時と比べ移動距離は半分になる…と考えてもらえばいいでし!」

 

 

ブキチの説明に、今度はバトルレギュレーション調整課のナタが補足を行う。

 

 

「まっ、これがチャージャーと別カテゴリ扱いにした一番の理由なんだよねー。イカに角度をつけようと射程や威力が一切減少しないチャージャーと違って、セイバーは寧ろ高台は大の苦手。高いところ狙おうとすると射程が極端に短くなっちゃうんだもん。セイバーが得意なのは、寧ろ本来チャージャーが苦手とする平地での真っ向勝負。ここまで運用の仕方がはっきり分かれている以上、キチンとチャージャーとは区分を分けた方がいいと、うちの課も判断したんだよ」

 

 

相変わらずお気楽な様子のナタ課長は、補足を終えるとニコニコしながらソウを見つめる。ソウの汗が倍になる。

 

 

「ふむ…そういえば、フルチャージの時の正確なダメージと、ノーチャージ、半チャージの時のデータについても、説明が欲しいところだね」

 

 

通信機から聞こえてくるようなざらついた低い声に、ソウはギョッとした。その時ようやく初めて、あの机に乗っていたのはクマの置物を模した通信機だということに気がついた。

 

 

「おっと、そうでしね! 大事なことを忘れてたでし! フルチャージの時のダメージは180! 『リッター4K』及び『ソイチューバー』と同等のダメージでし!」

 

「そしてノンチャージの場合、角度の有無に関わらず、ブースターによる移動距離は0での発射。そして半チャージ時はチャージの割合に応じて、ブースターの移動距離が変動するでし! 無論ダメージに関しても大幅に落ち、フルチャージでない限り、ダメージ割合は40〜80の間で上下するでし!」

 

「ほう…今の説明を聞く限りでは、塗り面積はどうやらフルチャージの時と大差ないようだね」

 

 

クマサンの的を射た発言に、ブキチは嬉しそうだ。

 

 

「そう! よく気づいたでしね! チャージの有無で変わるのはあくまで『ブースターでの移動距離』と『ダメージ』の二点のみでし! 刀を振るった場合に発生する塗り範囲はノーチャージでもフルチャージでも変わらないでし!」

 

「つまりは、塗りを行う際はノーチャージが遥かに効率がいいでし! 無論、他の塗りブキに比べば塗り効率は劣るでしが、塗りを補助する意味では、必ず覚えておきたいことでし!」

 

「ふむ…なるほどね…」

 

 

クマサンは納得の意を示したようだ。ただし後方に控えているガールのメモは止まらない。ちなみにボーイの方はあいも変わらず石像のように動かぬままだ。

 

 

「うんうん、ブキチ課長ありがとうねー。新ブキの説明はこのくらいでいいっしょー。後ちょっとだけ、こっちの説明の時間くれる?」

 

「おっと、分かったでし! それではナタ君、お願いでし!」

 

「はいはーいっと」

 

 

ブキチから譲られて今度立ち上がったナタ課長は、辺りを一瞥して、話し始める。

 

 

「それで、最初に言った通りこのブキにつけるサブウェポンは『カーリングボム』そしてスペシャルは『バブルランチャー』に決定したんだー」

 

「今回このコンセプトとしては新ブキであるセイバーの『短所を補う』のではなく『長所を伸ばす』形を目指したんだー。もし、『短所を補う』形なら、一番苦手な高台対策用に『スプラッシュボム』や『キューバンボム』もしくは『ハイパープレッサー』とかをつけるんだけどねー」

 

「このブキの長所はさっきも言ったけど『平地での真っ向勝負』 よって平地での高速移動を補助する目的で『カーリングボム』を付属することに決定、さらに『バブルランチャー』に関してはね…さっき長所を伸ばすとか言っちゃっておいてあれなんだけど…それとはちょっと違う実装意図があってね」

 

「ほら、『バブルランチャー』が実装されてるブキってさ、今はほとんど遠距離ブキじゃない? 強いて言うなら『ロングブラスターカスタム』や『ボトルカイザーフォイル』は中射程…と言っていいかもしれないけどね」

 

「だからさ、今回はもうちょっと前線に赴いてバブルを展開する立ち回りをして欲しいなって思って、この前線向けブキにつけたんだよねー。カーリングボムで前線に急行して、バブルを使ってインクの攻撃から味方を守る思いやりの『心』ってねー…うーん、いいドラマ…」

 

 

ナタ課長は何かうっとりしている。見た目によらずロマンチストだなあとソウはぼんやり感じた。

 

 

「…なるほど。よく分かりました。皆さんは、他に質問はありますか?」

 

 

ここで、町長のイリグがまとめに入る。周辺の人物を一望して、反応がないことを確認する。

 

 

「…よろしい、それでは採決をとります」

 

「新ブキ『セイバー』種、『イカネサダ・心』の実装について。賛成の者は挙手を」

 

 

その瞬間、ソウの心臓は一瞬キュンッとなった。一番不安に思っていた瞬間なのだが、それは所詮杞憂にすぎなかった。町長以外の7人全員が、手を挙げていた。(ちなみにクマサンの方は後ろに控えているガールが賛成の挙手をしていた)あの一番無関心そうにしていたウニの人でさえ、手を挙げている。ソウは心身に染み渡る安心感を噛みしめた。

 

 

「よろしい…では、『イカネサダ・心』の実装をここに決定します」

 

 

その言葉と同時に、パチパチと軽い拍手が沸き起こる。人数が少ないため控えめではあるが、やはりソウは嬉しかった。この自分が認められた感じは、凄く心地いい。実際に皆がどう思っているかは置いといて。

 

 

「資料によれば、このブキはまだ仮デザインとのことなので…バトルデザイン設計課は、今回の性能説明を元に最終デザインの確定を行ってください」

 

「ハイ! 承知しましタ!」

 

「実装日に関しては、次回の実装で四つのブキと一緒に発表するか、それとも次々回の四つの枠に組み込むか…その点は総本部とレギュレーション調整課で競技の上、決定してください」

 

「ええ、了解」

 

「はいはーい、お任せ!」

 

 

数名から確認を取った後、町長は最後に締めの宣言を行う。

 

 

「それでは、これにて新ブキ登録の採決を終了します」

 

 

ソウは、大きく安堵の息を吐いた。

 

 

 

なんかこういう偉い人たちより早く帰っちゃうのは失礼じゃないかなと心の中でソウが迷っている矢先、まっさきにウニの人がスマホをいじりながら立ち上がって退出する。なんか、学校でもこういうクラスメイトいるなあとぼんやり思うソウ。続いて、ブキチがソウの腰を叩いて(おそらく肩を叩くのは身長的に難しいのだろう)サムズアップを示すや否やそそくさと退出した。恐らくは店の業務の方に早く戻りたいのだろうとソウは推測した。さらにクマの置物(型の通信機)を持ったガールと、それに追随するボーイという形で二人が退出する。と、それを見ていたら、今度はナタ課長が満面の笑みで近づいてきた。

 

 

「お疲れ様、ソウ君! やー、わざわざ来てくれて本当ありがとうね! 君のブキについては、僕も頑張って一刻も早く実装できるよう、調整するからねっ!」

 

「は、はい、ありがとうございます」

 

 

あいも変わらずウィンクまでするこのテンションの高さにはちょっと辟易しがちだが、正直自分のブキのために尽力してくれると言ってくれるのは悪い気がしない、というか非常にありがたく思える。なんだかんだ言って、悪いイカではないのは確かなのだから。

 

 

「いやー、この後『ソウ君ブキ実装記念パーティ』でも開こうかと思ったんだけど、この後僕は仕事が山積みでさー…ん?」

 

「…あ」

 

 

ナタのソウに対する上機嫌の語りが中断したわけは、彼の真後ろにいつの間にか静かに立っていたイカに気づいたからだ。隻眼の瞳でじっとソウを見つめているのは、先ほどからずっとだ。それは、ナワバリバトル総本部長であるリサ。ソウにとっては今日が初対面であるはずであった。

 

 

「あ、あの…俺に、何か?」

 

 

ソウはいささか不安感を覚えながら尋ねるが、リサはそれには答えない。しかしその代わり、すっとソウの真横に歩み寄ったかと思うと、驚きで固まっているソウの耳へ、あの綺麗な声で小さく呟いた。

 

 

「…どうか、お爺様と、仲良くしてね」

 

「…え」

 

 

それについてソウが問い返す暇もなく、彼女はスッと出口の向こうへ消えていった。

間抜けに口を開けたまま固まるソウを見て、先ほどの言葉が聞こえていなかったナタは、首を傾げて呟いた。

 

 

「なーに? まさか、リサちゃんもソウ君に惚れちゃったのかな?」

 

 

 

 

*

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*

 

 

 

 

「ほっほっほ、その通り。リサはのう、わしの孫娘じゃよ」

 

「そ、そうなんですか」

 

「へえー、あんた立派な孫娘を持っているのねえ」

 

「………」

 

 

スイトから驚きの事実を聞き、ソウはううむと唸る。一方ユイは呑気な感想を漏らして目の前の分割ピザをモグモグと食べている。クロは二切れ食べただけでまさかのギブアップなのか、さっきから水だけしか飲んでいない。

 

 

「リサは総本部長として忙しくてのう…わしとは時々メールのやりとりをするだけしか時間が取れておらなんだが…相変わらず心配性じゃなあ。心配せずとも、ソウ君はわしには勿体無いくらい、掛け替えのない友だと思っておるよ」

 

「きょ、恐縮でございます…」

 

「全くよ。ソウ君はお爺さんには勿体無いくらいなんだから、仲良くしなさいよ」

 

「…なんでお前が上から目線なんだ」

 

 

そんな四人がたわいもない会話をしているここは、イタリアという国が既にないはずなのにやたらイタリアン風のファミレスである。実はブキのお披露目会を終えて一旦店によってスイトにその報告をしたら、なんとさっきナタが漏らした『ソウ君ブキ実装記念パーティ』をマジでやろうとスイトが言い出したのだ。わしが全部奢るから君の友達も連れて来なさい、と言われて、今この状況に至る。

それにしてもこの世界でもピザが生きているとは思わなかった。羊も山羊もいない世界でチーズをどうしているのか甚だ謎だが、あとで知った限りではこのピザに乗っているものはチーズに限りなく似せた『チーズに似た何か』らしい。(イカ語の発音を見る限りではこれを『チーズ』としているらしいが)しかし実際本物のチーズと見分けのつかないレベルに美味しい。ユイといえば、奢りなのをいいことにドンドンに平らげている。

 

 

「そんなことよりさ! ソウ君のブキってランクいくつで解放されるんだろうね?」

 

「え、どうなん…でしょう?」

 

「ふむう、恐らくこれはこれから決まる段階じゃろうな…わしの拙い予想だと、ランク一桁台に盛り込んでくるのではないかと考えてはおる。シューター、ローラー、マニューバー、スピナー、チャージャー、シェルターは全て一桁のランクで一種類は手に入るからのう。『イカネサダ・心』が『セイバー』という新しいカテゴリとして実装されるなら、その一番目も一桁台のどれかの段階だとわしは思うのう」

 

「なーるほど! だったらソウ君! 実装されてすぐブキが手に入れられるようにさ、ランク10までをとりあえず目標として上げておこうよ!」

 

「え、あ、バトル…ですよね」

 

「やっぱり不安かのう?」

 

 

首を傾げたスイトに、ソウは正直に心のうちを吐露する。

 

 

「…まあ、正直。スイトさんに色々教えてもらっても…やっぱりいざ実戦ってなると、上手くできるのかなってのは…」

 

「…大丈夫だ。前にも言ったがナワバリバトルは所詮、『遊び』と思えばいい。上手くできなかったところで、笑うやつはいないし、恥にもならない」

 

「ほっほっほ。その通りじゃよ。わしも最初のうちはボロ負け続きじゃった。でも、何十回も負けて行くうちに、本当に自然に勝てるようになるんじゃ。何も考えなくてもな。無意識に体が勝ちにいこうとするのじゃよ。まずは、何も考えず挑戦してみるといい」

 

「…そう、ですね」

 

 

みんなの暖かい言葉は、ソウの心の微かな不安を少しずつ消していくようであった。それに付随して、スイトから教わったバトルに関する多くの自信が、ソウの自信を裏づけていく。昔は正直分からないことだらけだと不安が強かったが、『知っている』ってだけでこうもやる気が違うものだと、ソウは今まさに実感していた。

 

 

「よし、じゃこのあと早速バトル行こう! ソウ君の初陣だよ!」

 

「はいっ! …あの、バトルする時ってひょっとして…?」

 

「あ、そうなんだよねー…多分ユイたちはソウくんとランクが違いすぎるから、多分マッチングしないんだよね…」

 

「そ、そうですよねー…」

 

「だ、大丈夫! ユイ達見守ってるから! ずっとソウ君の側にいるから! 何かあったらすぐ駆けつけるから!」

 

「ありがとう、ございます…」

 

 

 

ちょっとだけ、不安が復活してしまった。

 

 

 

 

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ワープの感覚は、あの日以来二回目である。

当然ながら、ソウには慣れていないはずであったが、『スーパージャンプ』の感覚と非常に似ていた。スーパージャンプであれば、試し打ち場にジャンプビーコンを置いて何度も体験した。正直、最初は吐きそうになった。ていうか吐いた。しかしそれも最初の話。

 

 

イカ状態から、ヒト状態へ。

眼下に広がるのは、起伏のある道。ガラス張りの建物。自動車に橋。都会の緑化対策のように中途半端気味に植えられた木々。奥の方にはさらに広大なビルや建物が立ち並んでいるが、そこまでは入れないことは、ソウは予習で知っていた。あくまで勝負するのは、バトルデザイン設計課が定めたステージの塗り範囲でのみ。

 

ソウは手元の「わかばシューター」を強く握りしめ、深呼吸した。サブの出し方も、スペシャルの出し方も教わった。スーパージャンプもOK。マップを見る方法は…うん、知ってる。シグナルの出し方…は、この時ソウはまだ知らなかった。

 

 

 

R E A D Y ?

 

 

 

 

「よろしく、お願いしまーす!」

 

「よろしくっ! 頑張ろうぜ!」

 

「OK! よろしくっ!」

 

ソウにとって、同チーム元気一杯のイカ達のテンションは少々圧倒された。

しかし、挨拶を返すのは礼儀だと、人間の頃からも、きっちり教わっている。

息を吸い、ソウは元気な声で他のチームメイトに挨拶を返す。

 

 

 

「…よし! よろしく、お願いしますっ!」

 

 

 

 

 

 

 

G O !

 




リサ

性別:女
ゲソの色:小豆色
持ちブキ:?????????????
名前の由来:???????
包帯について:カッコいい巻き方が知りたい
お爺様について:自分よりも綺麗な太ももしてる

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