Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結)   作:ursus

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またまたアンケートをとります。


第九話~束の間の日常~

 閑静な住宅地にある織斑家で鈴はテレビのワイドショーを見ていた。何故彼女がいるのか、それは千冬の身の回りの世話や家事炊事を鈴がやっているからだ。

 炊事や家事を一夏()に任せきりのため千冬は家事炊事は壊滅的だ。一夏がいない織斑家はゴミ屋敷一歩手前の状態になっている。

セシリアは千冬と同じくらい壊滅的でラウラはできるかどうかも怪しい。できそうな箒は精神的外傷によって外へ出たがらない。千冬の後輩の真耶は尊敬する人の家に入るのは恐れ多いと言って行かない。そこで鈴とシャルロットに白羽の矢が立ったのだ。最初は二人で始めたがIS学園が崩落してからシャルロットは行方不明でセシリア達はそれぞれの国に帰ったので鈴一人ですることになった。

 掃除も全部終わり、手持無沙汰を解消するためにテレビを見ていたのだが連日同じニュースしかやっていなかった。

 

『IS学園の崩壊はISの全盛期の終わりを告げる予兆かもしれませんね』

 

『何を馬鹿な事を言っているのかしら?そんな事、天地がひっくり返っても有り得ないわ』

 

『しかし―――――』

 

 テレビで無意味な言い争いをしている小太りな政治家と高慢ちきな女性権利団体に対して馬鹿馬鹿しいと思い、鈴はテレビの電源を切ってソファーに座る。

 

鈴「あの女の人、現実が見えていないのかしら?まぁ、私だって信じられないけど。ISの時代が終わるか…そうなるかもしれないわね…」

 

 ISには操縦者の保護機能が搭載されているがそれは絶対ではない事をISに携わる者なら誰でもよく知っている常識だ。

 しかし、それをちゃんと理解(・・)している者は一握りぐらいしかいない。あの事件が無ければ自分もテレビで喋っている虚栄心の塊のような連中になっていたかもしれない。

 

鈴「本当に馬鹿よね、私って」

 

 ISに乗っていれば大怪我はしても死ぬ事は無いと思っていた自分が恥ずかしくて仕方ない。もし、過去に戻れるなら過去の自分を一発殴って矯正してもバチは当たらない。

 

鈴「千冬さんは今日が退院の日か」

 

 千冬の体は徐々に回復している。骨折した両足の骨はくっ付き、利き腕は義手を装着すれば普段の生活は送れる。しかし、内臓が至る所を複雑に損傷して戦えない体になっていた。仮に戦闘ができたとしても一分か二分ぐらいしか持たない。これで実質的に千冬はISから手を引く事になるだろう。

 

鈴「私もどうすればいいのか考えなきゃいけないわね…」

 

 このまま中国の代表候補生を続けてもいいし、辞退してもいい。幸い、代表候補生としての蓄えもあるしこの際だから料理学校にでも通って調理師免許を取得してしがない中華料理屋を始めてもいいかもしれない。

 

鈴「あれやこれやと考えても仕方がないか」

 

 未来の事は誰にだって分からない。考えるのは嫌いではないがどうも性に合わない。今は自分ができることを全力で尽くすしかないのだ。

 

鈴「今日は退院祝いで豪勢にいきますか」

 

 美味しい物を食べれば少しは気持ちを切り替えることができる。鈴は財布を持って近くのデパートに向かう。

 

 

 

******

 

 

 

 カルデアのトレーニングルームではシャルロットとクー・フーリンが戦っている。

 

クー・フーリン「あらよっと」

 

 迫りくる朱い槍をシャルロットはなんとかかわしていく。

 

シャルロット「流石に…これは厳しい」

 

 ISを操縦していた時とは違い、自分の五感を研ぎ澄ませないと後ろからの不意打ちや奇襲は防げない。

 

一夏「させるかよ!」

 

 クー・フーリンと同じ槍を振り回し、一夏はシャルロットの援護に回る。クー・フーリンの一突きを弾くとそのまま攻撃に転じる。同じ槍ではあるがクー・フーリンの方が上だ。ジリ貧と思い、一夏はクー・フーリンに仕切り直しと言わんばかりに蹴りを喰らわせて距離を取った。

 

シャルロット「一夏、あれをやるからフォローお願い」

 

一夏「了解」

 

 槍兵は総じて機動力が高い。まず、それをどうにしかして止めないと仕留めることは不可能に近い。自分なら足止め用の宝具を投影して封じるがそれではシャルロットの訓練(・・)にならない。なら、取るべき行動は一つ。

 一夏はおもむろに槍を上空に蹴り上げると同じ高さまで跳躍した。今から行うのはクー・フーリンと同じケルトの大英雄の宝具の投影。

 

一夏「蹴り穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク・オルタナティブ)!」

 

 オーバーヘッドキックで放たれた槍は三十の赤い(やじり)となってクー・フーリンに襲い掛かってきた。

 

クー・フーリン「ほぉ、師匠の宝具を出してきたか。だが――――」

 

 面制圧は理に適っているが歴戦の戦士であるクー・フーリンには届かない。愛用している槍で弾き、避ける。

投影しているだけあってオリジナルには威力も精度も下である。

 

クー・フーリン「まだまだだな」

 

一夏「どうかな?」

 

シャルロット「そこ!」

 

 オリジナルとはまだまだ届かないのは一夏自身も理解している。しかし、意味が無いと言えば嘘になる。

 クー・フーリンが立っていた場所を囲う様に土の壁が出現し、閉じ込めた。

 

クー・フーリン「この程度で捕えられると思うなよ」

 

シャルロット「いや、これで終わりだよ」

 

 足元に転がっている石にはあるルーンが彫られていた。その意味を知っているクー・フーリンは焦ったがもう遅い。石から溢れだした炎がクー・フーリンを包み込み、そのまま大爆発を起こした。

 

クー・フーリン「面白い使い方すんじゃねぇか」

 

 煙が晴れると多少焼け焦げたクー・フーリンがいた。ダメージを負わせることができたが仕留めることはできなかった。

 クー・フーリンもクー・フーリンで驚いている。彼自身もルーン魔術を使用するがシャルロットのような使い方は初めて見た。魔術師(キャスター)の自分が思いつくかどうか微妙な所だ。

 

シャルロット「行けると思ったんだけど仕留め切れなかった」

 

一夏「俺も詰めが甘かったな」

 

???「二人とも見事だ」

 

 それぞれ反省すべき点を述べていると赤みがかかった紫を強調させる髪に濃い紫の全身タイツを着た女性が会話に入ってきた。このサーヴァントはケルト・アルスター伝説の戦士にして女王、異境・魔境『影の国』の女王にして門番、クー・フーリンの師匠である『スカサハ』である。

 

スカサハ「シャルロットはルーンの使い方が様になっているな。これからも精進するが良い」

 

シャルロット「分かりました」

 

一夏「良かったな。俺も精度を高めないとどのクラスのサーヴァントもそうだけど三騎士相手じゃさらに厳しいか」

 

クー・フーリン「気にすんなって。師匠の宝具を投影できるなんざ大したもんだよ」

 

 ケルトの大英雄二人に褒められるのは悪い気はしない。

 

クー・フーリン「しっかし、年増のばあさんのくせによくあんな動きができるな」

 

 しかし、何気ない一言のせいでトレーニングルーム内にまるで割れた硝子の音が響き、穏やかな雰囲気に終わりを告げた。

 

スカサハ「んーそうか、そうかんー、死ぬか。ここで死ぬな?セタンタ?」

 

 一夏とシャルロットは周囲の温度が急激に下がった気がする。その原因は間違いなくスカサハである。

 顔は笑っているが目が一切笑っていない。スカサハが容姿端麗なだけあってその恐怖は倍増されている。

 

スカサハ「一夏、先程の一撃は見事だがまだ遠いな」

 

一夏「ソウデスネ。因果逆転ガマダ再現デキテイマセン」

 

 涼しい顔のスカサハに対して顔面蒼白で片言で喋る一夏。シャルロットに至っては涙目で一夏の後ろに隠れている。

 

スカサハ「私が手本を見せてやろう、セタンタを実験台にして」

 

クー・フーリン「え゛っ!?そ、それは……」

 

 漸く自分が地雷を踏んだ事に気が付いたがもう遅い。止めてくれとマスター二人に頼もうとするが視線を合わせてくれない。スカサハは有無を言わせないオーラ―を出しながら槍を構えた。

 

スカサハ「私だって若いしまだイケる。蹴り穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク・オルタナティブ)!」

 

クー・フーリン「イケるわけがああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 スカサハが放った槍は一夏が放った物とは比べ物にならない威力と速度で次々に刺さっていく。

 

一夏「クー・フーリン(ランサー)が死んだな」

 

シャルロット「この人でなし!」

 

 死翔の槍だらけになって倒れているクー・フーリンを見てお決まりの台詞を一夏が言ってシャルロットがツッコミを入れる。

 

スカサハ「さて、今度は私が相手をしよう。心して挑むが良い」

 

 先程の反省を踏まえて一夏とシャルロットは再度身構えるが警報が鳴った。

 

シャルロット「警報!?」

 

一夏「マジか…スカサハ師匠、すみませんが訓練はまたの機会にお願いします」

 

スカサハ「分かっている。行って来い」

 

 一夏とシャルロットはお互いを顔を見合わせて頷き、中央管制室に急いだ。

 

 

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