Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結) 作:ursus
シャルロットと合流しようと不法投棄された車を拝借しようとした時、五反田弾に出くわしてしまった。喜ぶ弾に対して一夏は分が悪そうな顔をしていた。
弾「やっぱり、一夏なんだな………良かった」
行方不明と聞いた時、目の前が真っ暗になりそうなくらい絶望した。怒りのあまり我を忘れ、周囲の制止を振り切って一夏の姉である千冬を何度も殴った。
自分の行いが自己満足であることも、一夏が死んで一番悲しんでいたのは千冬である事も分かっていた。けど、子供の自分より力も権利も上である大人の千冬が指をくわえて見ていた事が弾にとって我慢ならなかった。
胸に大きな穴を開けて当てもなく歩いていた時に世間では死んだ事になっている
一夏「……すまないな、弾」
今まで黙っていた一夏が漸く口にしたのは謝罪の言の葉だった。
人理が修復され、魔神柱がこの世界に来なければ素直に喜んでいただろう。しかし、そんな
一夏「お前は俺に会っていない。お前は俺に会っていない…」
弾の額に指を当ててそう呟いた瞬間、弾は虚ろな目でまるで幽鬼のような足取りで元来た道に戻った。
ランスロット[本当に良かったのですか?]
親友である弾に暗示をかけてまで自分の存在を隠す一夏に
一夏「多分、これで良かったんだと思う。もちろん、弾にまた会えたことは嬉しいが、あいつを俺達のいざこざに巻き込みたくないんだ。他にも上手くやれる方法があったかのかもしれない。けど、これしか思いつかなかった」
久しく見ていない親友が元気でやっている事に安堵している反面、怖くもあった。ゲームをしたり、馬鹿げた話で笑いあったりもしたあの頃とは違う。本当に命が掛かっている状況に巻き込みたくはないのだ。
弾のことだから口に出せば力になろうと必ず戦場に顔を突っ込んでくる。美徳ではあるが同時に欠点でもある。
一夏「………急ごう。遅れると何を言われるか分かったもんじゃないからな」
後悔はないと言えば嘘になる。しかし、此処で立ち止まってもいられないのも嘘ではない。
どうにかしてバンの扉を開けようと試みている一夏の姿を
ランスロット[(マスター……分かっていますか?話していた時のあなたの顔は泣きそうでしたよ)]
かつてブリテンのために己の人間性と私情を封印した騎士王と似ていた。本当は色々と話したいことがあるのに魔術を扱う者として打ち明けられないその葛藤が一夏の中に存在していた。
ランスロット[(この場合はシャルロット殿の協力が必要だ)]
崩壊した円卓の二の舞にはさせたくないが
しかし、今回はマスターがもう一人いる。魔術を使う者では新米ではあるものの自分では知らない彼をよく知っている彼女ならば解決の糸口を見つけられるかもしれない。
一夏「準備できたぞ」
逡巡しているうちに一夏はバンのドアを開けたらしい。手にしている道具を見るとどうやらピッキングでこじ開けたようだ。
ランスロット[……マスター、何処でそのような技術を?]
一夏「この前、キリツグに教えて貰った。最近の車は電気で動く物が多いから
魔術師が最も嫌う現代兵器を駆使して戦うあの守護者ならピッキング等の技術を持っていても不思議ではない。平行世界でサーヴァントではなくマスターとして聖杯戦争に参加した彼はホテルのフロア一つ貸し切って作った魔術工房をビルごと破壊したのだ。『魔術師殺し』は伊達ではないのだ。
結局、
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私服から鎧に着替えた
裏路地を走ってから数分が経過すると急に立ち止まった。
ジャンヌ「マスターは此処にいてください」
シャルロット「は、はい。でも、僕も一緒にいた方が……」
自分も戦った方が良いと言いかけたがジャンヌはそれを否定した。
ジャンヌ「マスターは自分の身を守る事に徹してください。サーヴァントが相手では分が悪すぎます」
エネミーなら今のシャルロットの実力でも十分対処はできるが、サーヴァントが相手ではシャルロットに勝ち目はない。
シャルロット「でも、ルーラー一人じゃ危ないですよ」
彼女の身を案じて進言したが聞き入れる様子が無い。そこは
ジャンヌ「そうですか……なら、私の援護と言う形で参戦するならいいですよ」
直接戦う事はできないが援護としてなら問題は無い。サーヴァントと言えど、得手不得手があるためそれを補う形で戦いに臨むことは多々ある。
シャルロットは有名なジャンヌ・ダルクと一緒に戦える事を嬉しく思ったが次にジャンヌが放った言葉で霧散した。
ジャンヌ「来ます」
鋭い一言で気を引き締めてマンホールの蓋が微かに動いた。
シャルロット「(鈴!?)」
彼女が驚くのも無理はない。マンホールから出てきたのが自分の友人だとは誰が予想したのだろうか。きっと誰も予想などしていない。
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鈴と簪は聞こえてくる助けてほしい声に耳を傾けず、振り返らずにひたすら逃げた。ISもなければ武器もないこの身では自分の身を守るので手一杯だった。
そして見つけたマンホール、助かる方法はもうこれしかなかった。一縷の望みを託して鈴と簪はその穴に身を投げた。
明かりもなく真っ暗の中を彷徨いながら歩き回って漸く地上まで出れた。
生きている実感を感じる前に旗槍を持った
竜牙兵やゴーストとは存在感が全く違う。見ただけで自分達では歯が立たないと理解できてしまった。
ジャンヌ「大丈夫ですか?」
諦念していた二人が聞こえてきたのは労う声。
顔を上げると柔和な笑みを浮かべる
簪「えっと…」
ジャンヌ「私はルーラー、この異変を解決するために参りました。御怪我はありませんか?」
ルーラーと名乗った女性は敵ではないと知ると今まで溜まっていた疲労が一気に押し寄せてきてその場で腰を抜かしてしまった。
漸く逃げ果せた事に安堵することができた。それがまだ早いとも知らずに。
シャルロット「アンサズ」
何処かで聞いたことのある声と共に飛んできた火球。それが鈴と簪の横を通り過ぎるとさっきまでいなかった竜牙兵が焼き払われた。
次に姿を現したのはローブに付いているフードで顔を隠した
シャルロット「気を付けて、敵はまだ近くにいる!」
彼女の言葉が聞こえるや否や大量の竜牙兵が上からやってきた。
ジャンヌ「此処は私達が引き受けます。貴方達は速く逃げてください」
鈴「そうは言っても…」
先程緊張の糸が切れたため体が言う事を聞かない。万事休すかに思われた時、鈴の足元に魔法陣が現れた。
シャルロット「これって僕がパールヴァティーを召喚した時と同じ物だ」
ジャンヌ「そうです。サーヴァントが召喚されます」
視界が光で覆われた瞬間、大きな影が暴風を呼び起こした。光が収まると竜牙兵が全ていなくなった。
山のようにいた竜牙兵を倒したのは中華風の鎧に身を包み、人間要塞との比喩がしっくりくる巨躯の武人。
???「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」
耳を塞ぎたくなるような咆哮が路地裏に轟いた。
鈴「何何何!?」
簪「魔法陣から人が……」
いきなり現れて頭が混乱している鈴と簪に対して既にサーヴァントの存在を知っているシャルロットは別の意味で驚いている。
唯一驚いていないのは『真名看破』のスキルを持つ
シャルロット「あれって…サーヴァント!?」
ジャンヌ「えぇ……真名は
その者は中国の後漢末期に登場する同時代最強の武将だった。
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二人の格好は軽く説明します。
一夏:魔術礼装・カルデア+フード付きコート(赤)
シャルロット:魔術礼装・カルデア+ローブ(黒)+杖
コートもローブもDランクの魔術を弾き返し、それ以上のランクの魔術を抑制できます。
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