Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結)   作:ursus

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駆け足となっていることをご了承ください


第十四話~翌日の調査~

 空は夕暮れではあるが時計は正確に時を刻んでいる。拠点としている廃れた病院の一室で一夏は目を覚ました。

 

一夏「(あれ?柔らかい?)…ッ!?」

 

 掌に感じた感触に違和感を覚えたのか目を開けると健やかに眠っているシャルロットの寝顔がそこにあった。感じた違和感は正体は彼女の決して小さくはない豊満な胸だった。

 

一夏「(そういえば、お互い睡魔に負けて一緒に寝たんだっけ?)」

 

 声を上げずに昨夜の事を思い出していた。

 これまでの特異点先での野宿とアサシン一人とバーサーカー二人で構成されている愛がやたらと重いトリオ(溶岩水泳部)のおかげで慣れてしまっているため異性と一緒に寝る事に対して全く抵抗感がない一夏。だが、傍から見ればけしからん光景で幼馴染達が知れば特攻してくるに違いない。

 尤も、今の一夏の実力なら全員がISを纏っていようが対処できるので大した問題でもない。

 

一夏「一人で抱え込むな…か」

 

 あの時とは対場が逆転している事に気づき、それがあまりにも可笑しくて思わず笑ってしまう。それと同時にシャルロットへの愛おしさや恋しい思いが込み上げてくる。

 やがてシャルロットが目を覚ました。

 

シャルロット「い、一夏!?おおお、おはよう」

 

一夏「おはよう」

 

 状況が読めずに慌てふためく自分に対して平然としている一夏に不満有り気な目で睨む。

 

シャルロット「どうして一夏は慣れているのかな?」

 

一夏「その通りだよ。毎度毎度夜這いを仕掛けてくるサーヴァントのせいで慣れたよ」

 

 返ってきたのは虚ろな目をした笑みだった。

 なんせ、彼女達は歴史に名を遺した英雄達だ。能力、精神、技能(スキル)、そして暴走力は無駄に超一流で常人を遥かに超えている。もし、下手を打とうものならその場で肉の一片も残らない一撃を受ける羽目になる。それらと比べれば箒達なんてまだ可愛い方だ。

 慣れと言うのは恐ろしいなと思いながら一夏は起き上って上着を羽織る。その際にシャルロットが彼の腕の皮膚が変色していることに気付いた。

 

シャルロット「一夏、それって火傷?」

 

一夏「あぁ。火傷の他に色々と傷が残っている、所謂男の勲章って奴かな?婦長の話じゃ深い物は痕が残るってさ」

 

 福音事件で負った傷もそうだが、それ以外の傷が目立つ。マスターとして指揮を執る際にはなるべく傷を負わないように回避しているがそれでも傷を負ってしまう。火傷や裂傷は彼が解決した特異点の苛烈さを物語っている。

 

シャルロット「大丈夫?」

 

一夏「若干麻痺をしているが大丈夫だ……どうしてお前は俺の心を暖かくさせるんだ?

 

シャルロット「へっ?」

 

一夏「何でもない。そろそろ行こうぜ」

 

 自分の中に込み上げてくる言葉に表せられない想い(・・)を一端心の奥底に閉まって契約しているサーヴァント達の元へ向かう。

 

 

 

****************

 

 

 

 一方で凰鈴音は千冬と一緒にIS学園だった人工島を訪れていた。今後の方針について女性利権団体の息がかかった軍の上層部と話している。もしもの時のために鈴は待機していた。

 護衛任務は待っている間は暇を持て余すものだが鈴だけは違っていた。

 

鈴「アンタって不思議よね。これだけの図体がデカいのに姿を簡単に消せるなんてびっくりしたわ」

 

呂布「■■■■■■■■■■――――――?」

 

 姿を見えなくしている話相手が傍にいたからだ。相変わらず何を言っているのか分からないがそこまで驚くことなのかと首を傾げている事だけは分かった。

 会議室にまで聞こえてしまう程の咆哮なのに姿を消している時は自分にしか聞こえていない。

 

鈴「(全く言う事を聞かないと思ったけど素直な奴で助かった)」

 

 あの後も何度か襲われたが呂布が全て薙ぎ払ってくれた。暴風と形容した方がしっくりくる暴れぶりにすぐに裏切るのかと思ったが杞憂に終わった。

 

鈴「(一難去ってまた一難は漫画ではよくあるけど起きて欲しくないな)」

 

 当面の安全面は確保できたが一体彼は何者で自分の左手にある刺青はなんのか、そして何が起きているのか等の疑問が未だに山積みだ。

 しかし、鈴はそれらの疑問よりも今後の方針でかなり揉めている千冬の方が気掛かりだ。

 

女性A「ですから貴方を指揮官として編成すれば勝てます」

 

千冬「お前たちは現場を見ていないから言えるのだ。現に私を始め多くの教師は心身共に深手を負っている。それでもなお、戦い続けろと言うのか」

 

鈴「(現場にいた誰もが信じたくない気持ちなのにこの人達は何を言っているのかしら?)」

 

 議論が全く進んでいない。ヨーロッパで『会議は踊る、されど進まず』と言う言葉があったがなるほど、こういう状態の事を指すのかと納得していた。ISは兵器としては最強だが、人の範疇の中であってそれを超えた存在には勝てないのだ。

 結局、何の進展もせずに会議が終わった。次々に人が出てくる中、一人の人物が鈴に声をかけてきた。その人物はIS学園生徒会長の更識楯無、その人であった。

 

楯無「鈴ちゃん、護衛お疲れ様」

 

鈴「そちらこそ会議は全く進みませんでしたね」

 

楯無「全く、やんなっちゃうわ。向こうは今の地位を失いたくないのよ。それで織斑先生や他の人達に戦えって命令しているのよ」

 

 今までISという絶対的存在に守られて甘い汁を吸い続けたためそれがなくなるのが嫌だから何が何でも阻止しようとしているのだ、それが無意味だと分からずに。

 

楯無「貴方はこれからどうするの?少なくとも帰還命令は出ているはずだけど」

 

鈴「私は千冬さ――――織斑先生の身の回りの世話を続けます。そして戦闘に関しても私が引き継ぎます」

 

 千冬を一人にしておけばIS委員会や女性利権団体によって無理矢理戦わされるかもしれない。そうしないためにも自分ができることを全力でやるつもりだ。

 

楯無「そう……私はある人物を追うわ」

 

鈴「ある人物?」

 

楯無「鈴ちゃんは会った事が無いかもしれないけど、学園が襲われた時に彼らの事を知っている人物がいたのよ」

 

 敵か味方かその判断はまだできないが少なくとも何かしらの情報を持っているかもしれない。あの時は油断して手酷くやられたが今回はそうはいかない。

 

鈴「どんな奴なんですか?」

 

楯無「顔はフードで分からなかったけど、赤いコートを着た少年だったわ」

 

 フード付きの赤いコートの少年と聞いた瞬間、鈴は眼を丸くした。その少年は昨日会ったばかりだった。戦闘にはならなかったため謎多き人物であるのは間違いない。もしかしたら、呂布(バーサーカー)の正体が分かるかもしれない。

 

鈴「こいつ、昨日会いましたよ」

 

楯無「へっ?嘘っ!?」

 

鈴「まぁ、すぐに向こうが逃げちゃいましたから詳しい事は知りませんけど」

 

 何か拙い事でもあったのか分からないが彼は仲間と一緒に姿を消した。楯無としてはもう少し彼らの情報が欲しかったが仲間がいると分かっただけども僥倖と言った所だろう。

 

楯無「分かった。貴重な情報をありがとう」

 

 脱兎のごとくその場から立ち去る楯無を見て鈴は生徒会長も大変だなと何処か他人事のように見えていた。

 

鈴「(にしても……初めて会った気がしないのよね)」

 

 一瞬の出来事だったがためにその人物が自分の知り合い(・・・・・・・)であることに鈴は気付かなかった。

 

 

 

*****************

 

 

 

一夏「フェックション!」

 

 鈴が護衛任務に就いている間、一夏とランスロット(セイバー)は敵と遭遇し、交戦していた。

 突然訪れた大きなくしゃみの反動で運よく回避することができた。次の攻撃が来る前に一夏は魔力で強化した蹴りで破壊した。

 

ランスロット「風邪ですか?」

 

一夏「一応、暖かくしてから寝たから問題は無いと思うが…噂か?」

 

 特異点で風邪なんて引いたら婦長のアグレッシブな治療を受ける羽目になるので健康管理はちゃんとしている。

 

ランスロット「このような面妖な敵と遭遇するとは……」

 

一夏「気張れよ、セイバー。こいつはそんじょそこいらの奴とは違う」

 

 彼らを囲む人形の群れを睨みつけて一夏は干将・莫耶を投影する。

 如何に有能なランスロット(セイバー)であっても数の暴力と言うのは中々侮れない。それゆえに一夏は剣を取った。

 

一夏「全力で行け」

 

ランスロット「分かりました」

 

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