Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結)   作:ursus

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楯無さんフルボッコなのでファンの方は閲覧注意です。


第十六話~転生する白~

 女性は走る。一度も振り返る事もなく、今頃犠牲になっている仲間の事を気にせず、ひたすら走る。

 彼女は日本の代表候補であり、IS委員会から直属の部隊の指揮を任された所謂エリートだったが今は見る影もない。

 彼女達はIS委員会からの命令で怪奇現象の調査、そして原因の排除を依頼された。その中心であるレゾナンスに向ったのが悪夢の始まりだった。

 最初は下っ端の男性が夥しい量の血を流して殺された。直ちにISを纏ったが意味をなさなかった。ISを纏っていたにも関わらず一人、またひとりと殺された。目の前に起こっている不可解な出来事に自分の愚かさを呪ったが後の祭りだった。

 

女性「なによ、何のよ。一体何がどうなっているの!?」

 

 初めは狩る側だったのに狩られる側となったことへの恐怖と絶望に思考が全く定まらない。

 死にたくない。その思いでひたすら逃げた。

 

???「――――!」

 

 聞こえてくる遠吠えに女性は速度を上げていく。あの声が近くに聞こえたらまずもって助からない。

 できだけ遠くに逃げようとするが急に重くなった。

 

女性「こんな時に…」

 

 ISのエネルギーが有限である以上、活動には限界がある。全速力で動かし続けたのだから減る時間が早くなる。無理矢理動かそうにも重くてちょっとずつでしか進めない。そして終わりの時間がやってきた。

 女性が最期に見たのは鎌のような得物を手にしている首のない騎士と爛々と輝く目で睨む獣だった。

 

 

 

************

 

 

 

 一夏とランスロット(セイバー)坂田金時(ライダー)は戦線を離脱できたのを確認するとベアー号を止めた。

 

一夏「バイクで三人乗りは流石にきついか」

 

金時「仕方ないっちゃしかたないんじゃねぇの?」

 

 前にベアー号を運転する坂田金時(ライダー)、その後ろにランスロット(セイバー)ランスロット(セイバー)に支えられる形で立って乗る一夏。緊急とはいえ、明らかに定員オーバーで走ってしまった。なるべく目立たないようにしていたがこれでは珍走団ではないか。尤も、ちゃんと魔術による隠蔽工作を行っているので早々に怪しまれることは無い。

 因みに普通の人ならすぐにバランスを崩して転落するくらいの速度のはずなのに此処まで一夏は転落せずにベアー号に乗っているあたり、地味に人間離れしている。伊達に特異点を巡ってきたわけではなかった。

 

ランスロット「どうしますか?」

 

一夏「一匹無傷で捕獲しても解析できるかどうか分からんしな…」

 

 魔術による解析は一夏の得意分野ではあるがその魔術が効くかどうか分からないためあえて使わなかった。

 あれやこれやと逡巡していると気配を感じた。

 

一夏「……セイバー、ライダー、霊体化してくれ。どうやら招かれざる客(・・・・・・)が来ちまったようだ」

 

 招かれざる客とは魔術師でもなければサーヴァントでもない三者。つまり、ISに携わっている人物を意味していた。一夏の言葉の意味を理解している二人は姿を消した。一夏は物陰に隠れている人物に睨みながら出て来いの旨を伝える。

 

楯無「お久しぶりね」

 

 その相手とは以前戦った更識楯無だった。

 

楯無「会うのは二度目かしら」

 

一夏「俺としては二度と会いたくもないよ」

 

 扇子で口元を隠す楯無に対して面倒だと溜息を吐く一夏。最初に会った時は油断してくれたおかげで勝てたが今回は手古摺りそうだ。

 しかし、何の策も講じていないわけではない。

 

一夏「(こうも早くお披露目になるとはね…)」

 

 どのみちやるしかないのだから予想していたより早いか遅いかだけの話。

 覚悟は既にできている。

 

一夏「Anfang(セット)。来い、ホワイト・リンカーネーション」

 

 そう呟いた瞬間、赤いコートから一転し、白い鎧姿となった。顔に鎧の一部が集まると鷹を模した兜となった。

 

楯無「IS……何処の国から奪ったのかしら?」

 

一夏「答えてやる義理は無い」

 

 腰にマウントしてある白と黒の日本刀を抜いて構える。

 静寂は一瞬。先に動いたのは一夏だった。狙いは特殊武装であるアクアクリスタル。彼女もそれが分かっているからこそ対策を練っていたが実行に移すよりも早く破壊された。

 

楯無「そ…んな」

 

一夏「うん、反応もバッチリ。流石、元祖万能の天才だ」

 

 有り得ない光景を見て固まる彼女に対し。切り捨てた本人は機体の性能に満足していた。学園に来た初めの頃だったらホワイト・リンカーネーションを纏っても勝てなかっただろう。

 特異点での経験があったからこそ性能を活かせたのだと一夏はそう結論付けた。

 

楯無「っ!まだよ!」

 

 ランスや蛇腹剣で攻撃を繰り出すが二振りの刀によって裁かれ、いなされ、かわされる。

 これだけ攻めても一向に決まらない楯無は次第に焦りを感じていた。ロシアの代表でIS学園最強と言う肩書きに自負もあるし、そうなるように努力していた。 しかし、目の前の相手にはそれらを真っ向から潰されていく。

 彼女の動きに段々粗が見え始めた事に一夏の目は見逃さなかった。

 

一夏「(余裕がなくなってきたな。ここで倒してもまた現れて手を出されると厄介だな。……潰すか)」

 

 わずか数秒の思考で結論に至った一夏の顔は兜で隠れているが冷徹な物になっていた。

 楯無を蹴り飛ばすと左手をピストルに見立てて構えるとそこから電磁波を放った。

 ホワイト・リンカーネーションの手甲には初級呪術である『ガンド』を放つ要領で電磁波を放てるようになっている。出力次第でISの動きを一定時間止める事も―――――――

 

楯無「嘘…これって霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)の…コア?」

 

 ISのコアを強制的に引っ張り出せる事もできるのだ。落下していく楯無は一夏が次にどうのような行動を取るのか理解できた。

 そうならないために必死に手を伸ばす。

 

一夏「セイッ!」

 

 しかし、無情にもコアは一夏の斬撃によって砕かれた。

 コアはISにとってとても重要な部分だ。人体で言うならIS本体が肉体でコアは心臓だ。それを破壊されると言う事は死と同義なのだ。

 コアを失い、鉄の拘束具と成り果てた霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)は楯無の動きを制限する。

 楯無は落下の衝撃で全身を強く打ちつけられたがそんなことはどうでもいいくらいに絶望した。矜持や肩書きを潰されただけならまだいい。それを糧に立ち上がることができる。けれど、立ち上がれなくなるくらいに自分が持っている全てを否定された。

 

一夏「呆然としている所悪いが俺と俺の仲間を追うのは止めろ。でないと……死ぬぞ」

 

 嘘でもはったりでもない事実を口にする一夏であったが楯無の耳には入っていない。

 今の楯無にあるのは先の見えない絶望だった。

 

 

 

*******

 

 

 

 一夏と楯無が戦っている時、某所ではそれを観察している者がいた。画面では二刀を駆使し、攻撃をいなす一夏が映っている。

 

???「いっくんだよね?白式じゃないけどコアの反応がそれだし」

 

 長い髪にエプロンドレスを着た女性は首を傾げている。学者の自分でも彼の動きが一年やそこらで身に着けられる代物でないくらい理解できている。

 だからこそ不思議なのだ。

 

???「一体なにがあったのかな?」

 

 

.




ホワイト・リンカーネーションはカルデア戦闘服にISの翼や装甲を付け加えたような感じです。
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