Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結) 作:ursus
序章~其は…~
海上。
???1「――――!奴らは犯罪者だ、構うな!」
赤い機械の鎧を纏った少女が怒鳴り声を上げるのに対して白い機械の鎧を着た少年は横に首を振るう。
???2「確かにあいつらは犯罪者だ。けど、見殺しにはできない」
少女の言うように銀色の機体を倒すように命じられて交戦している。そんな中で一隻の船が迷い込んでしまった。この船は密漁船で少女が言うように犯罪者なのだが、少年はその船を護った。
少女が作った隙を犠牲に。
???1「馬鹿者!犯罪者など庇って……そんな奴らなど放っておけばいいだろう!」
???2「―――、お前は力を持った途端に周りが見えなくなったんだ。そんなのお前らしくないぜ」
少年の言葉に少女は狼狽してしまう。これを好機と言わんばかりに銀色の機体が少女に狙いを定めて光弾をばら撒いた。気が動転していた少女は漸く自分が狙われている事に気付いたが防御する事も避ける事も出来ない。先程まで感じた事のない恐怖を感じて少女は目を瞑る。
しかし、何も起こらなかった。
???1「へっ…」
衝撃が来ないと分かった少女は目を開けるとそこには傷らだけの少年が自分の前に立っていた。
装甲が砕かれ、そこから血を流す姿を見て自分を庇ったのだと漸く気付く。
???2「良かった…」
少年は少女の無事に安堵した瞬間、全てのエネルギーを使いきったのか鎧が光の粒子となって消えていく。この高さから落ちれば命はないのに妙に落ち着いている。
???2「(『________』、ゴメンな。約束…守れそうにないや)」
他人事のようにぼんやり思いながら少年は意識を闇に、体は海底に落ちた。
***
とある場所。
まだ高校一年生くらいの少年が廊下にある窓一面に広がる銀世界を眺めながら物思いに耽っている。
???「何をボーっとしている、『一夏』」
一夏「エミヤ…」
エミヤと呼ばれた白髪に褐色の肌、赤い外套を纏った男性に声をかけられたので意識を思考の海から浮上させた。
エミヤ「マシュが呼んでいたので声をかけたのだが何を考えていた?」
一夏「カルデアに来る前の事を思い出していたんだ。」
脳裏に浮かぶのは傷だらけの自分と治療してくれた人物。自分の素性に関して何も疑いもせずに受け入れた。そしてある適性があった事を語ってくれた。
エミヤ「確かに最初の頃の君は『魔術師』はおろか『戦士』としても素人だったからな」
一夏「右も左も分からない状態で戦えって言われて何とか生き延びて、弱い自分が嫌で戦った。そのおかげで色々な物を見たし触れて世界が広がった」
様々な出会いもあったしそれと同じくらい別れもあった。その経験が自分の価値観が壊れていくたびに改修されていく。自分の視界がいかに狭かったのか思い知らされた。
一夏「人理史の焼却を行おうとしたゲーティアの気持ちがちょっとだけ分かった気がする。あいつはあいつなりに人類のためにより良くしようと動いたんだ」
黒幕である『ゲーティア』がしようとしたことはとても許される事ではない。けれど、それだけ人類の事が好きだったのだ。
エミヤ「君はこれからどうするつもりだ?人理は修復された今、元の世界に帰っても問題はないだろう」
一夏「元の世界に帰りたくないって言うと嘘になる。けど、方法が見つからないんだよな…」
自分はこの世界では異分子であるため元の世界に帰る必要がある。しかし、肝心のその方法がまだ見つかっていない。
一夏「見つかるまでは食堂の手伝いか素材集めに没頭するよ」
エミヤ「方法は気長に模索するとして、素材集めの時はハイライトの消えた目をするのを止めろ。モードレッドやジャンヌ・オルタが部屋の隅で震えるくらい酷い顔になっているぞ」
普段から物怖じしない彼女が恐怖するのだから相当なものだろう。
一夏「…善処する」
そういえば、蛮神の心臓とか混沌の爪が少なくなってきているからそろそろ補充しなければならない。善処するとは言ってみたのはいいが果たしてできるのだろうか。
マシュ「先輩、探しまたよ。今日は素材集めをするって自分から言ってたのに…」
一夏「あぁ、ごめん…今行くよ」
彼の名前は織斑一夏。カルデア所属の魔術使いで“元の世界”にて世界初のIS男性操縦者である。
一夏「心臓おいてけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!爪もおいてけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
マシュ「せ、先輩!?リヨぐだ化しないでください!モードレッドさんが泡を吹いて倒れましたよ!!」
エミヤ「やれやれ…またか」
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では!