Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結) 作:ursus
鈴は夢を見ているのではないかと錯覚している。自分が今立っている場所はアスファルトで舗装された道ではなく果てのない荒野。建物は一切なく、その代わりに地面に突き立つ一本一本数えるのが馬鹿らしくなるくらい無数の剣が青白い月光を浴びて悲しく光る。
鈴「な、何よ、これ…」
簪「世界が変わった…」
世に出ている物理法則では解読できない現象にただ驚くしかなかった。
一夏「いくぞ、これが最後の戦いだ」
混乱している自分達を他所に、この世界に引き寄せた本人は双剣を構え、憎悪に染まった獣に戦いを挑む。
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時間は少し遡ること数十分前。一夏が所持していた通信機から突然連絡が入った。端末を起動すると画面から出てきたのはマシュではなくパイプを咥えている英国風の紳士だった。
???『やぁ、お困りのようだね』
一夏「えっ?ホームズ?」
シャルロット「ホームズってあの『シャーロック・ホームズ』!?」
また有名なサーヴァントにシャルロットは目を丸くするしかなかった。
ホームズ『そちらのレディは新たにやって来た新米魔術師かな?』
一夏「相変わらず耳が早いな。ところでホームズに頼みがあるんだけどいいか?」
先ほど戦ったサーヴァントの真名がヘシアン・ロボである事、戦った印象としてアヴェンジャーではないかと言う事、二体一組で狼が主導権を握っている事を話した。
ホームズ『ふむ……二人は幻霊と言う言葉を知っているかい?』
幻霊。一夏もシャルロットもその意味を知っている。民間の伝承や物語と言った架空に近い存在や実在しているが英雄と呼ばれるには武勲や活躍に乏しい者たち。歴史、信仰と言った知名度、存在感などの霊基数値が不足しているため英雄にも反英雄にもなれず朽ちて消えるだけの存在。本来であれば幻霊はサーヴァントとして呼び出すことができず、例え召喚できたとしてもサーヴァントの中でも最弱になりやすい作家系のキャスターにも劣るレベルの弱さとなる。
一夏「幻霊か。特異点と化しているからあり得んことはないだろうが…調べるのが大変だな」
なんせ国や地域の数だけ伝承は多い。そこから正解を導き出せるかは時間がかかる。
何か手掛かりがあればいいのだがと二人は頭を捻っていると一夏の足元にある物が転がっていた。
一夏「これって…」
一夏が拾ったのは一冊の本。サーヴァントとの戦いで自分がぶつかった際に落ちたものだと理解できた。
その本はアメリカのとある動物作家が書いた狼を題材にした本。これを見た途端、一夏はホームズに本を突きつける。
一夏「なぁ、ホームズ。あの狼の正体ってこれとか言わないよな?」
一夏の問いにホームズは意味深な笑みを浮かべた。
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そしてその数十分後、一夏はホワイト・リンカーネイションで空を飛び、他のメンバーはヘラクレスが運んでくれた。
そして件のサーヴァントともう一度対峙する際に一夏は切り札を切ると言い出した。ジャンヌを始め、他のサーヴァント達は難色を示した。シャルロットもそれがなんなのか分からないがすごく危険なものだと理解できる。
一夏『まぁ、分の悪い賭けだから止められるのも仕方がない。けど、これ以上の被害を出さないためにもやるしかないしその責任を負うのは俺だけでいい』
周囲の被害やサーヴァントの機動力を考えた結果、一夏が採用された。無論、無理はしないようにと思い切り釘を刺したのは言うまでもない。
一夏「
体中にめぐる魔術回路が熱を持ち始め、その熱が一夏自身を焼き焦がすが彼は一切気にせず唱える。
一夏「
身体が軋み、頭が焼け、激しい痛みが襲いかかっているにも関わらず、ひたすら詠唱を続ける。
一夏「
巨狼はこれ以上させまいと攻撃をしかけるがジャンヌがそこへ割って入り、攻撃を防ぐ。
一夏「
ジャンヌ以外のサーヴァントも加勢して一夏の詠唱の時間を稼いでいる時、一夏は自らの内側に沈み込んでいくかのような感覚を覚えながら自分の人生を振り返る。
一夏「
この体は造られた偽物だ。
一夏「
造られた体、血が繋がっていた家族だった者は血が繋がってすらいない他人であった。
一夏「
全てが誰かに作られた偽物だらけの人生だったとしても一つだけ本物であるものがある。
一夏「
例え、自分が歩いてきた道のりが意味がなかったものだとしても―――――――
一夏「
誰かを守りたいという思いは紛れもない本物だ。
一夏「
地面が裂け、炎が溢れ出た瞬間、世界が切り替わった。
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そして一夏の詠唱を終えたと同時に世界が古今も東西も問わないおぞましい魔力を放つ魔剣聖剣に満ちた世界になった。
鈴と簪は顔を少し青ざめ、知識のあるシャルロット達はその景観に圧倒されている。
シャルロット「これが固有結界…」
固有結界については
個と世界、空想と現実。内と外を入れ替え、現実世界を己の心の在り方で塗りつぶす魔術の最奥。大魔術師でも早々に到達できない極みの一つであること。
本来なら神秘が薄れた時代の魔術師のうえにごく一部のサーヴァントしか使えない大禁呪を何故一夏が使えるのか。それはとある守護者の起源と魔術回路を受け継いでしまったが故にできたのだ。
一夏「ぐっ!」
強い力は副作用も存在する。体中に走る激痛をなんとか堪え、一夏は双剣を握る。
???「――――――――!」
位相の異なる世界に引きずり込まれた巨狼は真っ先に一夏を狙った。しかし、地面に刺さった一振りがまるで意思を持ったかのように巨狼に攻撃を仕掛けた。
寸前で察した巨狼は飛び跳ねてかわす。
一夏「逃がすかよ」
ずっと守ってばかりだった一夏であったが今回ばかりは攻勢に出た。迫りくる鎌のようなシェイプシフターを双剣か飛んでくる剣で応戦する。
ランスロット達もそれに続く。
簪「い、一体どうすればいいの?」
鈴「私だって分からないわよ!行方不明の二人がいるわ。馬鹿でかい狼とデュラハンみたいなやつがでてくるわ。そしていきなり剣だらけの世界になるわで訳が分からないわ!?」
ただでさえ、言葉で表現できない事態が立て続けに起こって簪は動転し、鈴に至っては考えることを放棄して吠えた。
シャルロット「鈴達は自分の身を守ることだけに集中して。あの怪物は僕たちと呂布と巴さん…だっけ?その二人に護衛を任せて」
混乱している二人にシャルロットは助け船を出す。魔術師としての日は浅いがそれでも精神的な余裕は多少なりともある。
シャルロット「あなた達もそれでいいですか?」
巴「構いません」
呂布「■■■■」
既に真名を暴かれているので驚きはしない二基のサーヴァントは了解の旨を伝える。
鈴「ねぇ、シャルロット。鎧を着た大男が呂布ってのは本当?それに巴御前って歴史上の人物じゃない」
シャルロット「うん。サーヴァントは英雄や偉人が死後、人々に祀り上げられた存在なの。だから僕たちがISを纏ってもとてもじゃないけど彼らには勝てない」
しかし、中には例外というのも存在するがなんと言って説明すればいいのか分からないのでそこはあえて伏せる。
一夏「シャル!」
大声で名前を呼ばれたことに気付いたシャルロットはある仕掛けを発動した。
巨狼がシャルロットに矛先を変えた瞬間、動きが止まった。
???「―――――――!!?」
あれだけ荒々しくも知的な動きを見せた巨狼が我を忘れて。
一夏はその隙を逃さず、手に持っているのは黄色の短槍で右脚を切り裂いた。その槍はケルトの英雄、フィオナ騎士団随一の戦士、輝く貌のディルムッド・オディナが所持していた呪いの槍だ。
???「――――――――!?」
一夏「今だ!」
動けなくした巨狼を見て一夏は全力で攻撃しろと命じた。
ランスロット「
金時「ベアーハウリング!
ヘラクレス「■■■■■■■■!」
キリツグ「
ルビー「筋系、神経系、血管系、リンパ系、擬似魔術回路変換完了!」
イリヤ「これがわたしの全て…っ!
一夏「これで……終わりだ!」
そしてダメ押しと言わんばかりに手を天に掲げると数えるのが馬鹿らしくなるほどの剣が空に展開され、降ろすと同時に砲弾のように降り注いだ。
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いかがでしょうか?