Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結)   作:ursus

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仕事にかまけて一ヶ月放置してすみませんでした!


第三十話~貴族と海賊(2)~

それは突然の出来事だった。

 IS学園がなくなり、全生徒は祖国や家族の元に帰って行った。セシリアも例にもれず、イギリスに帰ってブルー・ティアーズの調整にデータ取り、在学中に溜まっていたオルコット家の職務等をして日々を過ごしていた。

 しかし、何事もなく一日が終わろうとした時刻に事件は起きた。セシリアの屋敷に幽霊と骸骨兵が押し寄せてきたのだ。

 当然、セシリアも応戦したのだが骸骨兵はともかく、実体をもたない幽霊ではこちらの攻撃など効かない。

 これまでかと思ったその時だった。

 

???「アンタが新しい雇い主かい?」

 

 セシリアの立っている地面が突然蒼く発光し、セシリアの視界を覆う。

 収まるとセシリアの目の前には臙脂色を基調とした海賊風の衣装をまとったスカーフェイスの女性が悠然と立っていた。

 その立ち姿だけでも自分よりもはるかに強いと認識できた。

 

セシリア「貴方は一体誰ですの!?」

 

???「アタシ?アタシはフランシス・ドレイク。まぁ、仲良くやろうじゃないか」

 

 フランシス・ドレイクと言えばイギリスで知らない人はいない英雄の名だ。世界一周を成し遂げた大海賊には自分も尊敬している。

 フランシス・ドレイクが召喚されてから状況が一変した。手にしていた古式の拳銃二挺と背後に現れた砲門で瞬く間に蹴散らしていく。IS一機で手こずるような相手をたった一人で蹴散らしてしまったのだ。派手に暴れたせいで内も外も大騒ぎであったがセシリアが大立ち回りして収めた。

 後日、オルコット家は祖父母の代まで科学を隠れ蓑にしながら裏では錬金術を行っていた事、そして自分にも魔術回路となる機能が備わっている事が判明した。

 それがセシリアとドレイクの出会いだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

ドレイク「さて、久々の戦闘だ。派手に行こうじゃないか!」

 

 古式の拳銃で近くにいるで骸骨兵の頭部を撃ち抜き、背中に出現させた砲身でまとめて蹴散らす。

 嵐と言うべき苛烈さを見せて戦うドレイクを見ながらセシリアはブルー・ティアーズを纏い、手には学園にいたときに主武装であったスターライトMkⅢではなく大型BTレーザーライフル『スターダスト・シューター』が握られていた。襲ってくる骸骨兵の一体に狙いを絞り、引き金を引いた。

 結果としては数体は葬ったが一割も満たなかった。

 

セシリア「(くっ、スターダスト・シューターでもこの物量では厳しいですわ)」

 

 ビットを使ってもいいのだが、この数では逆にデメリットになると判断してスターダスト・シューターだけで戦うことにした。

 物量的にかなり不利な状況だが、希望はある。セシリアは再度スターダスト・シューターを構え、今度は骸骨兵の膝に向かってレーザーを発射した。

 一直線に伸びた光は寸分の狂いもなく命中し、骸骨兵はバランスを崩して倒れた。

 それも十体近くも巻き込んでの転倒だ。

 

セシリア「(できる事と言えば敵の足並みを崩し、態勢を立て直せざるを得ない状況に持っていけば)」

 

 例え数が劣っていようとも足並みがそろわなければ綻びとなってやがて崩れる。

 それしかできない自分に歯痒いと思わないわけではない。しかし、嘆いていても状況は変わってはくれない。

 ならば、ドレイクが戦いやすいように支援に徹する事を選ぶ。

 

ドレイク「中々やるじゃないか」

 

 自分好みの派手さはないが背中を預ける仲間としては頼もしい。元々雇主と雇人の関係だが信における人物であるとセシリアの実力を認めた。

 

ドレイク「私も負けてられないね…もっとに派手に行こうか!」

 

 太陽を落とした女は高らかに声を張り上げ、不敵に笑う。

 しかし、戦闘に夢中で気付かなかったのかその様子を見ていた者たちがいた。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 とある場所でセシリアとドレイクの戦闘を観察している者達がいた。

 

一夏「セシリアも魔術の世界に足を踏み入れてしまったか…」

 

 知り合いが死ななかったことへの安堵とこれから彼女に襲う苦難に対する混ざった表情を浮かべている一夏と静かに佇んでいるスカサハだった。

 彼らは二人から悟られない距離でずっと戦いの様子を観察していたのだ。万が一に備えて一夏は弓と矢を構えていたのだがどうやら杞憂に終わりそうだ。

 セシリアとドレイクが米粒程の大きさにしか見えない距離でも一夏には彼女達の小指の爪がはっきりと見えている。魔術で少しだけ強化しているが一般人からしてみれば数km離れた人間の指先を肉眼で補足できるだけでも十分驚異的だ。

 

一夏「しかし、セシリアのサーヴァントがフランシス・ドレイクとは同郷。関係としては悪くはないようだから放っておいても大丈夫だな」

 

 性格面でも戦闘面でも悪くないようなので当面は余程の事がない限りは大丈夫だろう。

 

スカサハ「その様子だとセシリアという少女は骨のある人物だと見受けられる」

 

一夏「まぁ、女尊男卑の風潮に乗せられている女性より見所はあるでしょうね」

 

 貴族出身であるが故にプライドが高いのは玉に瑕だが心の芯は強い。それがセシリアに対する一夏の評価である。

 いつもと同じ態度に見えるスカサハだが一夏にはどこか興奮しているように見えた。

 

一夏「今戦おうなんて思わないでくださいよ。一応、俺らはお尋ね者なんですから」

 

スカサハ「分かっているさ」

 

 本当に分かっているのか怪しい態度であったが一夏は深く言及しない。

 スカサハの事だから今戦わなくてもそのうち向こうから戦わせる言動をすると踏んでいるしなにより、ここで臍を曲げられると面倒になると分かっているからだ。

 

一夏「ひとまず、ここを離れましょうか」

 

 この距離ならISを使わない限り見つかることはないだろうが長居する理由がなくなったのでこの場を離れる事をスカサハに提案した。スカサハもその提案を承諾したのであった。

 

一夏「(鈴にもセシリアにもサーヴァントがいるとなるとラウラも契約しているのだろうな…)」

 

 吐きたいため息を堪えて直ぐにその場を去った。

 しかし、一夏の予想が相当近い未来で実現することになろうとは一夏自身も知る由もなかったのは別の話である。

 

 

 

 

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