Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結) 作:ursus
一夏「バルバトス ナグルノ タノシイ! タノシイ!! ソザイタクサン ウレシイ! ウレシイ!!」←採取決戦を得てテンションが可笑しくなった。
禍福は糾える縄の如し。
幸福と不幸は縄の様に交互にやってくる諺だ。IS学園に通う際に教師からそう習った事をシャルロットは自分が置かれている状況でその言葉を思い出す。
異変の調査のためにアサシンクラスが持つ固有スキルである『気配遮断』を持つジャック・ザ・リッパ―で周囲を探らせ、自分はこれからの活動する拠点を探していた。
しかし、この地域ではあまり霊脈は通っていないのか拠点にできる場所はなかったため仕方ないと諦めて別の場所を探そうと移動したが、それが失敗だった。
移動する際に一組の男女に見つかってしまった。
???「シャルロット……なのか?」
驚いた表情で自分を見ている男性を自分は知っている。それはそうだ。なにせ、目の前にいるのは自分と母を捨てた父親とその正妻だからだ。
心の底から湧き上がるどす黒い感情。それは今まで自分を道具として扱ってきたことに対する憎悪が膨らんでいくのが自分でも分かる。
記憶ではなくここで命を消すべきだろうかと脳裏に一瞬浮かんだが実行できなかった。
自分と父と正妻を囲むように龍牙兵が出現したからだ。
シャルロット「ちっ、こんな時に…」
舌打ちしながら杖を構えて応戦する。一夏程ではないが接近戦についてサーヴァント達から教わっているためある程度善戦できる。それにくわえて
しかし、自分の身だけを守るのならまだしも、後ろの二人を守りながら戦うのは厳しい。
一体の龍牙兵が襲い掛かるが一本の矢によって破壊された。
一夏『シャル、聞こえるか』
シャルロット「よく僕の居場所が分かったね」
一夏『お前のローブが見えたからな。この距離なら強化なしでも十分補足できる』
一体どれほどの視力を持っているのだろう。話の内容を鑑みると少なくとも、1km以上は離れている。
一夏の人外じみた身体能力に内心苦笑するしかないが目の前の状況を打破するのに意識を集中させる。
一夏『これから強力な攻撃を放つ。カウント5で離れてくれ』
遠距離から投影した宝具の一撃を入れるらしくその巻き添えになりたくなければその場から離れろ言っているのだ。
そのような場所があるのかと必死に考えていると近くにマンホール蓋があった。上下水道なら自分達が逃げ込めるだけの時間も空間もある。シャルロットはマンホールをこじ開けるとデュノア夫婦を押し込み、ジャックと一緒に穴の中へ入った。
降りていく間に通過する矢を一瞬だけ捉えることができた。その矢は捻じれた剣のような代物で元になった剣の真名は分からないが常人が見ると魂が汚染されかねない禍々しい代物だった。
その矢が龍牙兵に直撃すると同時に轟音と閃光を撒き散らして爆発した。
骨がきしみそうな轟音で思わず鼓膜を塞いだ。煙が収まる頃合を見て覗き込むと龍牙兵だけでなく周りのビルまでなかった。
シャルロット「ねぇ……派手に壊しちゃったけど大丈夫なの?」
放たれた攻撃のせいで周囲はまるで嵐にでもあったような悲惨な状態になっていた。
はたして神秘の秘匿はできるのだろうかと疑問に思うシャルロットに一夏は抑揚のない声音でこう答えた。
一夏『ガス会社のせいにすれば問題ないだろう』
シャルロット「いや、無理があるでしょ!ってか、なんでガス会社!?」
時々常識にバグが発生している一夏にシャルロットはツッコミをしてしまった。
――――――――――
ところ変わって更識簪はとある資料を読んでいた。隣には元従者であり、現在は友人である布仏本音がいた。
自分たちの持ち場はIS委員会日本支部の防衛のため襲撃がなければ今のように調べ物ができる。
本音「かんちゃん、どうして家の記録を調べようと思ったの?」
簪「ちょっと気になった事があって…」
本音に無理を言って実家からわざわざ取り寄せて貰ったのだ。気になったのは更識家の血筋。
自分と契約しているサーヴァントである巴から魔術に関しての知識を触り程度に教わった。
簪「(更識家は対暗部になったのは今から百年程前。それ以前は呪殺を生業としていた一族だった…)」
その証拠に一冊の和綴じの書物には蟲毒や犬神憑き等の様々な呪法が書かれていた。
簪「(時代が進むにつれて需要がなくなって今に至った)」
どうやら自分が思っていたよりも暗い歴史を持つ家系のようだ。政治家とのパイプが太いのも頷けた。
実家の原点が分かったところでもう一つ疑問がある。
簪「(どうして私にだけ魔術回路と呼べるものがあるのか…)」
姉妹なのだからあってもいいはずなのに巴が見た限りでは姉には魔術に関する才能が皆無なのだ。
簪「(唯一姉に勝てる分野だけど……人には言えないな)」
口に出しても妄言として扱われるのがオチなので黙っておくことにした。
―――――――――――
下水道では一夏とシャルロットはアルベール・デュノアとロゼンダ・デュノアの夫妻と話していた。
そして前々から聞きたかった事をシャルロットが切り出し、夫のアルベールが答えた。
一夏「つまり、娘さんを守るためにわざと冷たい態度をとっていたと…」
ロゼンダ「えぇ…そう言う事になるわ」
デュノア夫妻から聞いた話に眉間を仮面越しに抑える。以前の自分だったら頭に血が上って殴りかかったであろうがそうでもしないと守れない物があると知っているので踏みとどまっている。
というよりも自分よりも先に怒りが爆発した人物がいたおかげで冷静になれたのだ。
一夏「そろそろ殴るの止めないか?お前の親父さん、もう虫の息だぞ」
シャルロット「うん、そうだね。後二十発殴ってから」
その人物とは
その姿は水着を纏って鉄拳聖裁を行うステゴロ聖女に酷似し、サーヴァントのジャックが一夏の腰にしがみついて怯えている。
ロゼンダ「あの子………あんな性格の子だったかしら?少なくとももう少しおしとやかだったのだけれど…」
一夏「まぁ、人間って時と共に変わりますからね」
鳩が豆鉄砲を食ったよう顔をするロゼンダと呆れる一夏。シャルロットが気が済むまで三十分かかり、漸く解放されたアルベールは鼻血で顔が汚れていた。